見直すと忘れてたシーンとかあるし書きたいとこありすぎて端折れない問題。
「きゃあぁぁぁぁぁぁ!」
ブリッジに突入して銃を構える憲兵隊、まだティーンエージャーであるミリアリアの悲鳴が響き渡った。
地球軍の要塞であるアルテミスに入港したアークエンジェルだが、船内はアルテミスの人員に占拠、隔離されていた。味方の船とはいえ新造艦であり識別コードもないが故の処置、仕方ないとは思っていても銃を向けられて気持ちのいいものではない。不満のある表情を隠しもせず、食堂に集められたクルーたちはただ無駄な時間を過ぎるのを待っていた。
「ふむ、確かに君たちの身分証は正式なものだ」
ほっと息を吐くマリュー、ナタル、ムウの三人。目の前ではアルテミス要塞を指揮するガルシアがいた。
補給をして月の本部と連絡を取りたいという願いも休めというひと言で遮られる。三人を迎えたのは要塞の中でも立派な応接室、しかし今必要なのは休む時間ではなく味方との合流。焦っても仕方がないができることがないと立派なソファに腰を下ろした。
「目的はなんでしょうか」
「おそらくはアークエンジェルやストライクのデータ、それを使っての本部への復帰、とかじゃない?」
「味方同士でそんなこと…………!」
「するよ、俺はその手の奴らを何度も見てきた」
エースパイロットとして様々な戦場を渡り歩いてきたムウの言葉にナタルも口を閉ざした。いつまで、これからどうすれば、悩むことは多々あれど何もできない時間が過ぎる。
「…………フラガ大尉は心配ではないのですか?」
ソファに座り目をつむるムウにマリューが聞く。ほんの少しの時間だが学生たちと仲良くなっているところを見た。頼りっぱなしではあるが同時に子どもでもある、巻き込んでしまった責任も感じており安否を気にしていた。
「ん? …………あぁ、あいつらね」
誰のことを言ったわけではないが察したムウはあくび交じりに返事をした。
「心配ではあるよ、でも根性に度胸もある。ちょっとやそっとじゃ動じないよ」
「同じく、あの太々しさはやっかいですが私たちがいないからと言ってすぐに折れるようなことはないでしょう」
意外な言葉が意外な人物から出てきた。驚いた二人の視線から顔を背けると、慌てて取り繕うように言葉を足す。
「私はあくまで問題ないと! むしろ何かやらかさないかと心配……して…………いるのですが」
小さくなっていく言葉、話しながら気が付いた。学生とは思えないほど度胸があり、行動力もある。とくにその中心人物、最近はストライクのパイロットもそうではないかとマリューは思っているが、ダメだと分かっていながらもおもしろそうだと思ったことをする。
部屋に沈黙がおりる、おとなしくしてほしいと言い損ねた大きな後悔を胸にマリューは目を閉じた。
「あのモビルスーツのパイロットは誰だ?」
「あ、ボクです」
一方そのころ、アークエンジェルの食堂ではガルシアがストライクのパイロットを探していた。時間がかかると思っていたら普通に手をあげたので面喰ってしまった。周りのクルーも何を言ってるんだお前という顔をしていたが、気にすることなく席から立ち上がる。
「ふん、意気込みは買うがウソをつくならもう少しまともなウソをつくがいい」
しかしガルシア、これをウソだと断定。軍服を着ているが見るからに若いキラをパイロットとは思えなかったのだ。仕方がないが。
「ま、ひとりずつ順番に聞いていってもよかろう、では」
「きゃあ!」
そういうと手前にいたミリアリアの腕を掴んだ。その乱暴な行動にキラやクルーが立ち上がったが、
「やめなさい!」
「…………フレイ?」
最初に動いたのは意外な人物だった。
「おや、お嬢さん、どうかしましたかな?」
「ミリアリアの手を放しなさい!」
ガルシア睨みつけながら力強く大股で歩いていくとミリアリアを掴む手を振り払った。
「フレイっ…………!」
「友達、なのかな? だが申し訳ない、これは軍内部での正式な取り調べであり一般人の君は関係のない「関係あるわ」…………なに?」
あくまで優し気な態度でだったガルシアの表情が険悪なものになる。何も知らない小娘が自分に楯突いたことに腹を立てる。
「わたしは地球連合所属、大西洋連邦外務次官ジョージ・アルスターの娘、フレイ・アルスターよ」
その言葉に驚くが直ぐに憎らしい目で睨みつける。ガルシアの所属するユーラシア連邦と大西洋連邦は同じ地球軍ではあるが、互いに足を引っ張りあいザフトと共倒れになればいいと思っている同士だ。直接的な関係があるわけではないが、それなりの地位を持つものの娘に危害を加えたと知られればめんどうなことになる。
しかし目の前にあるのは大西洋連邦の新造艦にモビルスーツ、黙って見送るには惜しすぎるシロモノだ。この機会をどう生かすべきか、そして自分の出世に役立たせるか、頭の中で計算をし始めた。
「…………これは失礼、あくまでこの船には識別コードがなくてですね。その一環としてモビルスーツのパイロットも確認しておかなければいけないのですよ」
所詮小娘、それが正式なものなのかどうかは分かるはずもない。そう賭けた。
「それが分かれば誰にも危害は加えないでしょうね」
「もちろんですとも」
「…………すぐに向かわせるから今は出て行って」
「分かりました、もし遅くなるようでしたらまた迎えに来ましょう」
無理に押すことはない、時間はたっぷりとあるのだから。そう判断して一度部屋を出たガルシア。扉が閉まったのを見てフレイはほっと息を吐いた。そして振り返ると、
「ごめんなさいキラ!」
「問題ないよフレイ、ミリアリアも大丈夫?」
「うん、けど」
ミリアリアの近くに駆け寄るトールやカズイ、マードックなどのクルーもキラとフレイを心配そうに見ている。コーディネイターということはバレていない⋯だがどっちにしろストライクのパイロットとして出向かわなければいけない。代理人を立ててもいいが、現在ストライクのOSにはキラ以外解除が不可能なロックがかけられている。それを解除できなくては怪しまれるだけ、そうなると今度はフレイにも何かされるかもしれない。
「ボウズも嬢ちゃんも、無茶すんなよ?」
「お前ひとりに任せているみたいだが、手伝えることがあれば遠慮なく言ってくれ」
マードックにノイマン、他のクルーもキラを真剣に見ている。それは申し訳なさと同時に心配という気持ちが含まれていた。
「まぁここまでユウキの予想通りですから…………」
聞き覚えのある単語にしおらしくなっていたフレイの目が吊り上がった。
「モビルスーツのOSにロックをかけておけってさ」
「ふぅーん」
ホワイトのコクピットで機体の調整をしていたユウキに、ムウからの伝言をキラが伝えた。キラほどではないが素早くキーボードを叩いた手が止まった。
「ムウさんがそういうなら、たぶんそういうことだろうな」
「だね」
コクピットから立ち上がると、キラに譲りホワイトの肩を蹴ってどこかへと向かう。
「同じやつ頼む」
「分かった、ユウキはなにするの?」
「頭下げてくる」
普通なら誰かに頼み込むと思うのだが、この場合は頭を下げないと話ができない相手のところに行くんだろうなとキラは考えた。そしてこの船にはそんな相手はひとりしかいない。
「何の用? 忙しいんだけど」
赤い髪を後ろにひとくくりにして、食事用の配給カートを押しているフレイ。優しい笑みを浮かべながら民間人に渡していたのだが、誰かを見た瞬間に目が吊り上がった。
「もうすぐアルテミス要塞につく」
「そうね、アンタだけ追い出すかおいてこれないかしら」
「そこで補給、地球軍との連絡をするはずだが無理かもしれない」
「どういうことよ、アンタまた何かしたの?」
珍しく真剣な表情、だから言葉と態度に棘があっても話は続ける。もしいつも通りなら出会った瞬間に空のトレーを叩きつけていた。
「軍の政権争い、みたいなもん」
「…………よく分かんないけど、それがなに?」
「キラが危ないかもしれない」
「? …………………………………………あっ!」
少しだけ考えて気が付く。もはや誰も気にしていないがキラはコーディネイターだ。アークエンジェルのクルーはモビルスーツを動かせる子ども、頼りになる戦友という認識だし、学生に至っては良く忘れている。それ以上にユウキに巻き込まれてバカをしているが、その実本人がわりとノリノリなので似た者同士といった印象が強い。本人が聞けば頭を抱えて落ち込むが覆すことはできない。
コーディネイターであってもできないことはあるのだ。
「そっか、キラってコーディネイターだったわね」
「もしバレたらめんどくさい。監禁、いや拘束くらいはされるかもしれない。そのままモビルスーツのデータをよこせとか言ってくるだろうし。まぁその辺はこっちでどうにかなる」
「なら、わたしは何をしたらいいってのよ」
「親父さんの立場でパイロットであることに意識を逸らしてくれたらいい、タイミングとか言う言わないは任せる」
「……………………分かったわよ」
頼んできた相手が相手なので本音を言えば即座に断りたい。しかしキラのことは心配だ。確かによく一緒におかしなことをしているが、巻き込まないようかばってくれたり身を挺して守ってくれる。
サイ? コーディネイターの耐久力がないのが悪い。守ろうとはしている、ただかばいきれないだけで。時間がないため割とグダグダな連携になったが、それでもコーディネイターということはバレずに済んだ。
「ほう? ほんとうに君がパイロットなのか」
モビルスーツ格納庫に行けばガルシアが部下や技術士官などを引き連れて待っていた。そのほとんどが訝しむようにキラを眺めるが、ガルシアだけはいやらしく笑いながらも真偽を疑っている。
「そうです! こいつですよ! チクショウ俺のモビルスーツにもロックをしかけやがって!」
そしてさも当然のように横に立って喚いているユウキ。
「まぁまぁ落ち着き給え、これでロックが外せなければ偽者だ。それならそれでアルスター家の令嬢にもう一度聞けばいい」
「そうすりゃ司令官もこんなとこからおさらば! ぜひその時は」
「あぁ分かっているとも、モビルスーツを動かせるパイロットは貴重だ、どこへ行っても大事にされるだろう。それと、まだそのことを大声で言うもんじゃない」
「あっと、すいません」
慣れたようになだめるガルシア、ドラマに出てくる三下のようなごますりムーブをする悪友を分かっていてもその様子を白い目で見てしまう。
「へへ、これでようやく動かせるぜ!」
キラは最初にホワイトのロックを解除した。その後ストライクのロックを外しにかかるが、確認のためにユウキはホワイトに乗り込んだ。起動して目が光るホワイト⋯おぉ、と歓声が上がる中、コクピットに座るユウキの目も輝いた。
この時マードックがキラを抑えたりノイマンがケンカ腰で注意を逸らそうとしたりと、かっこいいんですよね。逆に目立つフレイのアラ、でも分かっていない子供ならこんなもんかとも思う。
書きながらこの小説に求められてるのってなんだろなーって考えてますが、やっぱ主人公とキラの青春アミーゴ(戦時中)かなと思ってます。がんばります。
おまけ 今話くらいの原作を見た二人組
わるだくみ中「マードックさんとかノイマンさんとか結構かばってくれてるよな」
顔を抑えるスパコ「…………」
特殊攻撃二段階上昇中「自分一人で戦ってるだっけ? そりゃ片方は補給ままならない状態での整備担当、もう片方はガンダムシリーズ殿堂入り操舵手だからモビルスーツには乗ってないもんな」
何かが割れたスパコ「……………………」
波動弾「なんだっけ?「みんなが弱いから」「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼」目のハイライト消えたまま襲い掛かってくるんじゃねぇ!」
赤いの「わたしって……………わたしって……………」
何気にシャワー前の下着が映った人「ほ、ほらわたしだってあんまりキラのこと考えてなかったし」
肌パックして下着と谷間見せたやつ「キラに助けられる囚われのヒロインやってたじゃない……………」
結構おいしい役が多い人「いや、まぁ……………………」