スーパーコーディネーターの悪友   作:アオノクロ

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 前回のニコルちゃん好評…………好評でしたね! 全力で挑んで特攻じみた攻撃も躱されて守られて、生身でちゃんとお互いのことを知らないままに命の奪い合いをした相手を助けただけだってのに、どうしてだろ???

 イザークはバカと結構仲がいいです。友人の恋も応援するし仕事真面目で熱血な良いやつ。さっさと引き取れとか思ってない。

 ズラはプラントを出るまでたまにミーアとニコルに会ってます。その度にダメージと理由ある恨みが溜まっていきました。


バカがバイクでやってくる

「クソックソッ!」

 

 暗い部屋で庶民なら目を見張るほどの価格である豪華な調度品を、何の躊躇もなく手当たり次第に投げ捨てる男。

 

 部屋の隅で目を光らせた猫は、暴れている男を静かに見つめている。

 

「核が一発でも入ればそれで済んだのに! 下手くそ共が無駄にしやがって!」

 

 顔を見たこともない相手への不満を物へと当てる。

 

 言い返してこない相手への八つ当たりを息が切れるまで続けると、乱暴なままに端末を操作した。

 

「おい! 次の攻撃だ! 目標は──────

 

 

 

 

 

 

「早急すぎじゃないです?」

「いやこのタイミングが良いのだ。向こうは手土産を望んでいる」

 

 通路を歩きながら顔を見ることなく話をするウナトとユウナ。

 

「大西洋連邦と条約を結ぶにあたり、ちょうど良いものがあるだろう?」

「ですね。とは言っても目の前でドンパチされたら怖いですよ」

「ふん、そんなもの軍に任せておけばいい」

 

 笑いながら言い切るウナトにですね、と軽く笑いながら頷くユウナ。軽薄な表情と裏腹に、頭の中ではものすごい勢いでそろばんが弾かれている。

 

(親父様はそういうけどさ⁉ 開戦して目の前でドンパチって不満出ない⁉ いや出るよね! 戦争に参加するだけで不満度上がるもんだし、そうなったらデバフかかって国力下がるタイプの国だよオーブは‼)

 

 自身の得意である戦略シミュレーションにオーブを当てはめてるが、どう考えてもダメな未来しか見えない。

 

 オーブが持つ武器は技術と愛国心、ただしそれらを十二分に使いこなすに必要なものは、

 

「お前もそろそろ結婚のための準備を進めておけ」

「もちろん、任せてくださいよ」

(カガリィ! はやくきてェ! そんでこう、なんかいい感じに話をまとめて! あのいけ好かないズラと一緒にどうにかして、ぼくをここから追い出してェ‼)

 

 セイラン家の跡取り、ユウナ・ロマ・セイラン。

 

 彼は七光りでしかないボンボンから、引きニート志望のボンボンへと進化していた。

 

 皮肉にも、元々の目標である国の権力者を目指していた時より、やめようとしている現在の方が能力が磨かれている。

 

 そのまだ頼りない頭脳を全力で活用しようとしているが、ニヤついたウナトから大西洋連邦の軍がもうすぐ到着するという報告を聞き、笑顔のまま手遅れなことを悟った。

 

 

 

 

 

「ユウキー? そろそろ起きないと、朝ごはんがなくなりますよー」

 

 マルキオ導師たちが暮らす、オーブの海岸沿いにある豪邸。

 

 桃色の髪を揺らしながら扉をノックするラクスだが、中から返事は返ってこない。

 

 夜更かしの結果寝坊したり、徹夜でゲームをして朝を迎えるなど日常茶飯事な部屋の主のことである。

 

 これは致し方ない事であり、料理当番としては温かい食事を食べて欲しいという思いがあるだけで、決して何かのチャンスだとは思っていない。

 

「ユウキー起きてますか?」

 

 少し鼓動が早くなった気がするが、表に出すことなく扉を開く。

 

 掛け布団がめくられたままのベッド、朝の陽ざしが差し込み、心地よい風が吹いている。

 

 大きく開け放たれた部屋の大窓から朝日で輝く海が見えた。

 

「…………」

 

 無言で部屋の状態を観察、特別変わった点はなく、ただ部屋の主がいないだけである。

 

 何か手掛かりがないかと見渡すが、特に探る点もなく、なんなら着替えもなく。

 

 普通に出ていったのだろう。

 

 慣れたものとはいえ寂しさがないわけもなく、いや寂しいというわけではないが、せめてひと言欲しいというのは我がままでもないだろうと言い聞かせる。

 

 小さく息を吐きながら視線を下ろすと、ベッドの枕元に紙の切れ端が置いてあった。

 

『今度はクリームシチューが食べたい』

 

 宛名もないただのメモにしか見えないが、自然と口角が上がっていき、愛おしそうに眺めていた紙切れの向こうに、

 

「………………」

 

 口に手を当てているマリューと目が合った。

 

「マリューさんこれは」

「いえ、いいのよ。ごめんなさいね」

「誤解があるようですが」

「分かるわ、私もそういう時期があったから。ラクスさんもたまにはゆっくりしたいわよね」

「ですので」

「ちゃんとユウキくんには秘密にしておくから」

 

 ラクスの言葉を押し切りあらあら、うふふ、ほほほ、と謎の笑い方をして消えていくマリュー。

 

 たまたま知り合いのベッドに寝転がって、持ち主からの手紙を眺めていただけだというのに、変な誤解をされた気がする。

 

 その原因となる相手に、次に会ったらどうしてくれようかと考えながらにこやかに笑っているマリューを追いかけていく。

 

 子どもたちを巻き込んでの盛大な鬼ごっこは、自分のバイクが見当たらないムウが、キラと共に昼食の買い出しを終えて帰ってくるまで続いた。

 

 その日の夜、アイシャとマリューにフレイも一緒となって行われた女子会。強制参加させられたラクスは、ずっと枕を抱きしめて拗ねていたが、それもまたいじられて笑いの種となっていた。

 

 

 

 

 

 プラントの積極的自衛権の行使、それにともないオーブに残っているミネルバはコンディションイエロー、いつでも出撃できる警戒態勢となっていた。

 

 ミネルバに届いた謎のメッセージ、「いまの間に出港して逃げろ」という言葉を信じるか迷っていたブリッジだが、タリアは出航を決断。

 

 パイロットスーツを着て控えていたシンたちは、驚きながらもその指示に従うしかない。

 

「あーあ、あたしこの国気に入ってたんだけどな」

 

 気楽なルナマリアの言葉だが、シンの頭には慰霊碑の前での出来事が浮かんでいた。

 

「吹き飛ばされても別の花を、みんなでまもっていこう」

 

 民間人ではあるが、特例措置によりザフトの軍人となっていたマユを降ろすことはできず。とはいえ状況としては下さない方が良かったが、ミネルバに乗っている。

 

 その事実がシンの体に力を入れて、表情が険しくなり、

 

「そんな気負ってて本番どうすんだ」

「てっ⁉︎ ユウキさん⁉︎」

 

 自分の頭を叩いたのは、偶然出会った頼りになる人。てっきりオーブに降りていたと思っていたのだが、同じ事を思っていたのかルナマリアとレイも驚いている。

 

「なんでここに⁉︎」

 

 誰もが思った疑問を真っ先に口にしたルナマリア、普段は冷静なレイも少し目を見開いているが、当の本人は至極当然といったように応えた。

 

「俺しばらくここのクルーだから、よろしく」

 

 次々と疑問を口にするルナマリアを適当に流すユウキ。騒がしい控え室で、思いがけない言葉に驚くと同時に、シンは張り詰めていた緊張が緩んでいくのを感じた。




 ちょっと短いけど許して! 仕事忙しかったの!

 バカがバイクで飛び込んでくるダイハードとか考えたけど、流石にダメというかコッソリ忍び込む方がらしいかと思います。経緯は次話にて。

 ほらラクス様、そっちで拗ねてないでこちらにいらっしゃいな。そうそう、どの辺りが嫌いなのか愚痴を聞かせてください。

 ────その辺が好きなんですね、と歌姫を拗ねさせたバルトフェルド
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