あとバカは裸じゃなくて海パンとか言われて、じゃあネクタイもいるよねって。たぶん背中に傷跡とか映って視聴者がおいたわしい事になりそう。
ユウナも誘拐されない? とか言われましたが結果はこちらです。
華やかな衣装に身を包み、笑顔で手を振りあう男女。
大勢に囲まれて祝福の言葉を投げられるが、その実主役の2人にとっては呪いに近い。
(なんでさ! 条約を結ぶのと結婚に何のつながりがあるんだよ! そりゃ相手の偉い人とならまだ分かるけど、思いっきり身内の政略結婚じゃん! 関係ないじゃん!)
爽やかな笑顔の裏で泣き言を叫び続けるユウナ。
(そりゃさぁ⁉ 最初は国のトップと結婚して権力やっほー! とか思ってたけどさ! 仕事多いしめんどくさいこと多いし嫌だよ! 外から見てこれってやる側になったらもっと多いって!)
ゆったりと進んで行く車の中でも、窓越しに立ち並んでいる民衆に手を振る。
(せっかくゲームする相手が増えたんだしずっとゲームしてたまに仕事、くらいでいいじゃん! ダメかな⁉ ダメだよね! 引きこもっていいくらいのお金あるからそれで生活とかさ! 税金だし市民に殺されそうだね!)
一度味方になったユウキに、全てを捧げる姫プレイをしたことがある。自陣で蓄えた資金や装備などを全てユウキに譲渡し、相手は強くなったが自陣は滅亡した。ゲームなので笑ったが、実際にやられると殺意しか湧かないだろう。
(というか今のオーブにカガリの味方が少なすぎるんだよ! 傀儡政権でもなくただお飾りを据えて面倒ごとを丸投げしてる状態! こんなんいつか滅ぶって! 親父たちはそれ分かってるのかなぁ⁉ 分かってないよねぇ! 分かってるならやらないもんね‼)
カガリと腕を組み、ゆっくりと祭壇をのぼっていく。
キレイな海とM1アストレイに続く、新たなオーブの剣ムラサメが騎士のように立ち並び、立派な結婚式であるには変わりない。
(キラに助けてって言ったけど助けてくれるかな⁉ いやするしないならひゃくぱーするヤツだけど、できるできないならできないかもね! 国トップの結婚式をどうにかしろってどうするんだよ! 誰だよそんなむちゃなお願いしたの! おーっと、そんな無茶ぶりしたのぼくでした。って、なめんなっ‼)
2人の前に立つ神父が誓いの言葉を読み上げていく。
こうなるとあとは指輪交換をして誓いのキスだ。
時間と共に湧き上がるあきらめの感情が頭を冷静にし、目の光がなくなっていく。
見上げた空は快晴で文句のつけようもない。
まるで天までもお前らお似合いだよ、と言ってくるようだ。
「…………あーできるなら黒髪ロングで引きこもりゲーマー生活でも許してくれる美人と結婚したかった」
「お前ここから蹴り落とすぞ」
物騒な言葉が隣から聞こえてきたが、ユウナの精神は既に死んでいるに近い。
そよぐ海風に流されていきたい、と考えていた時、
「え?」
風を切り裂く甲高い音が聞こえた。と思った時、謎の物体が結婚式場の上空を通過した。
「うおぉぉぉぉ⁉」
とっさに身をかがめて隣にいるカガリに手を伸ばす。
風が止み、目を開けば伝説の機体フリーダムが目の前に着地した。
「なんでぇ⁉」
着地した時の衝撃に流されるように転がっていく。
適当なところで止まって顔をあげれば、カガリを両手に収めて飛び立っていくフリーダム。
既に会場は大騒ぎとなっており、逃げ惑う参列者とフリーダムの後ろを交互に見ながらユウナは叫んだ。
「もっといい方法なかったのかよぉぉぉぉぉぉ‼」
ユウナの叫び声がフリーダムと共に空に消えていく。
こうして前代未聞の花嫁誘拐事件は幕を閉じた。運が良かったことと言えば、あまりの出来事に周りもあれはしょうがないと慰めてくれたことだろうか。国の名前には傷が入ったが、ユウナ自身には何もない。それはそれとしてもっとやりようはなかったのか、と文句は言った。
後日、キラから流石に時間がなさ過ぎて無理と言われた。何も言い返せず、お礼にレアアイテムを送っておいた。
「キラ! お前たちも、どういうつもりなんだ!」
アークエンジェルのブリッジにて大声をあげるカガリ。
言われたクルーたちも普段なら軽く流したり言い返せるのだが、今回ばかりは言い訳が思いつかない。
カガリも理解はできる。予想してなかった突然の結婚式、先延ばしもできず、かと言って住んでしまえばオーブはほぼセイラン家のものとなってしまうだろう。
では花嫁にして国のトップを攫っていいのかと聞かれれば視線を逸らすしかない。
「いやぁいろいろ考えたんだけど、やっぱ時間がなくてね?」
「だとしてもだ! 相談とか連絡とか!」
「アークエンジェルとフリーダムなら、ギリギリ身内のいたずらですまないかなぁって…………あとボク兄妹だし」
「混乱させないよう隠すと決めただろ! というか姉弟であっても許される範囲を超えてるぞ!」
言われれば言われるほどに、やっぱマズかったよなぁという空気が広がっていく。
同時にでもこれ以外方法ないよなぁという空気も広がっていった。
仮にも国のトップを誘拐した凶悪犯グループの空気ではない。
「あぁ~もうー!」
頭を掻きむしり長い溜息を吐いたカガリ。
「…………助けてくれたことには………………………………感謝する。ありがとう」
最後の言葉は蚊の鳴くような小さすぎる声だったが、アークエンジェルのクルーたちにはちゃんと届いた。
「さて、これからどうするよ?」
パンと手を打ち鳴らし、注目をひいたムウが口を開く。
カガリの救出、事態は仕方がなかったが、そもそもこれからの目標は決まってない。決める時間もなく出てきたのだ。
情報がなければ動けない。
そう結論を出し、スカンディナビア国へと向かうことになったアークエンジェル。
大西洋連邦にプラント、オーブの動向に注意しながら潜伏することになった。
その際一番最初に起きた問題といえば、プラントに現れたラクス・クラインの存在。
驚きもある中で、本人よりも発育の良いボディに見とれた男性陣が、しばらくの間冷たい眼で見られるようになった。
「何それ」
「ユウキさん知らないんですか? プラントのアイドル、ラクス・クライン様ですよ」
大西洋連邦の待ち伏せを切り抜け、無事カーペンタリア基地にたどり着いたミネルバ。艦内のソファでくつろぐユウキは、マユから携帯端末に映るアイドルのライブ映像を見せてもらっていた。
ポップで明るく、笑顔を向けながら踊り歌う少女。知らない人であってもかわいい女の子と評することができる画面の相手に、ユウキは持っていたドリンクから口を離した。
「へー
「2年前の戦争からみなくなったらしいんですけど、最近また活動してるんです! わたしのおススメはですね「ユウキさん!」もーどうしたのよお兄ちゃん」
端末を操作するマユに割り込んできたのは兄であるシン。
走ってきたのか少し汗をかいている。
「どうしたよ。ルナマリアに仕掛けた爬虫類人形トラップでも失敗したか?」
「あ、そっちはちゃんと成功して今めっちゃ怒ってます。じゃなくてですね!」
焦るシンの後ろからゆっくりと影が現れた。
見覚えがある、割にはどこかすすけているようにも見えるザフトの赤服を着た顔見知り。
シンを押しのけ部屋に入ってくると、まっすぐにバカの元へ拳を振り上げた。
「このバカヤロー‼」
この後、タリアから正式にミネルバの新搭乗員の説明が行われた。
FAITHとなったアスラン・ザラ。その存在に誰もが話のネタにするほど説明するまでもない有名人なのだが、何故か顔に痣ができている。
そしてブルーピリオドから出向してきたユウキ・イチノセもアスラン以上の痣を作っており、2人の仲は悪いのではないかと噂された。
真実を知るのは現場にいたアスカ兄妹と、報告を受けて口止めしたタリア。
偶然通りかかり、トイレ掃除をする2人に理由を聞いたメイリンだけである。
はい、ついに出ましたトイレ掃除です。反省の証として自ら申し出たアスランをタリアは止めることができませんでした。だってFAITHだし。あとルナマリアはこの騒動でやられたの忘れてます。
書いててね思ったんです。ミネルバだとバカの相方がいないって、だからズラを投入する必要があったんですね。
ユウナはカガリが居なくなったオーブの運営をしてもらうので置いてけぼりです。やったねユウナ! 夢が叶ったよ!
いつも感想や誤字報告、ここすき等ありがとうございます。励みになっています。
なんで2人はトイレ掃除をしてるんです? というかなんでそんなに慣れてるんです?
────何がおかしいのかと聞き返されて宇宙猫になった赤服の妹