ある日、極東の名家に1人の女の子が産まれた
その子は産まれた際に母が命を落としたと言う理由で父からの愛を受けられなかった
更に
『お前の様な化け物が産まれたことこそ我が家の恥だ!!即刻出ていけ!!』
父はその子の内にあるモノを恐れその子が10にも満たない子供の内に危険な外に放り出しその子は1人運良くオラリオに流れ着き彼女のもう1つの力に目を付けた女神イシュタルに拾われた
それから約6年の年月が流れその子は英雄と出会った
兎の様な見た目の少年。その少年がピンチに陥った時、16年抱えていたソレが目を覚ました
『春姫……お前は弱いな、心も……体も』
ドクンと胸が大きく躍動したのを感じる。それは目の前で血を流す少年を悲しんでか何かに言われた確信を付いた言葉によるものか、兎に角彼女の心を傷付けたソレに春姫の胸が苦しくなっていく
ドクン ドクン ドクン
と脈はより早く強くなっていく
「ウ ウゥ」
痛みに耐えられず胸を抑え蹲る。痛みはより大きく強くなりやがてそれは大きな喪失感に変わっていく
悲しみ、苦しみ、怨み、辛み
あらゆる負の感情が春姫の心に流れ込んで来る
「あ、ああ、アアアアアア」
『そうだ、儂に委ねろ』
「アアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
「ッ!!春姫さん!!」
「何だい急に!!」
見上げる月が紅く染まっていく、瞳から流れる涙が血に変わる指の爪が急速に伸びていく、半透明の赤い何かが体を包む所で春姫は意識を失った
「………………ハッ!!」
気が付くと春姫は室内にいた
見たことも無い材質で出来た部屋には足首辺りまで水が張っているにも関わらず冷たい感触はない
「ここは…………」
春姫は周りを見回し自分しか居ない事に不安を覚え正面にそれを見付けた
「ヒッ」
その存在に恐れをなした春姫は小さく悲鳴を上げ後退る
そこに居たのは巨大な化け狐、体を伏せているにも関わらずそのサイズはザッと春姫の数十倍〜数百倍
そんな巨体と春姫を阻むのは檻の様な扉とその中心にある札、そんな檻の間から鋭く紅い獣特有の縦に割れた瞳孔が春姫を射抜く
「あ、あなたは…………」
恐る恐る目の前の存在を問う
『お前は…………弱い』
ゆっくりと体を起こした化け狐は自身の問いに答えず核心を突いてくる
「な、何を…………」
『お前が弱いせいで、あの小僧は死ぬ』
その言葉に春姫は顔を青くする
「そんな、出鱈目です!!あの方は…………あの方はそんな事」
『いいや、今既に奴は死にかけている。あの蝦蟇の様な女の手に掛かってな。全てはお前のせいだ、お前が助けを求めなければあのガキは傷つかずに済んだ、全てはお前が弱いせいだ』
「そんな…………私……私は」
暗い暗い闇が春姫の心を蝕んでいく
「私…………私が…………助けを求めなければ…………」
暗い暗い闇に囚われた春姫は目の前でニヤリと笑う化け狐に気付かない、外で暴れる自分の体にも