滝の前で座禅を組む春姫を心配そうに見守る【ヘスティア・ファミリア】の面々、ベルはソワソワする。そんなベルの肩にヴェルフが手を置く。
「落ち着けよベル、アイツなら大丈夫だ、だろ?」
「ヴェルフ…………でも、リド春姫さんは大丈夫だよね?」
リドは頭を掻き答える
「正直分からねぇのが本音だな。自分の闇と向き合い乗り越える事は簡単じゃねぇ」
その瞬間、春姫の座禅が解け肩で息を切らせ四つん這いで地面に手を付いている。
「春姫さん!!」
その様子を見たベルは春姫に走り寄りその背中を擦る。
「春姫さん……大丈夫ですか?……何があったんですか?」
「ハァ……ハァ……ハァ……闇の私が、憎しみこそ私だと」
「……………………」
「否定しても否定しても同じ様に言ってくるんです。私の真実は闇の中にある、と。闇の自分を追い出す事は出来ない、と」
「それは…………」
「……………………すいません。少し一人にして下さい」
「あ、うん。じゃあ僕達は少し向こうに言ってるから」
ベルはそう言うと少し離れた場所へ移動し【真実の滝】には春姫だけが残された。
「あの感じだと駄目だったみたいだな」
ヴェルフが【真実の滝】の方を見ながら呟く。
「リド様、闇の自分を消す方法はやっぱり無いんですか?」
「それはそいつ次第だな。闇の自分を消した奴もいたし別の方法で切り抜けた奴もいた。そして闇に飲まれた奴も」
「闇に飲まれるとどうなるんですか?」
「どうともしない。ソイツの闇の部分が表に出てきてその通りに行動する。怒りに飲まれた奴は怒りのままに行動するし嫉妬や恨みに飲まれた奴はその感情のまま行動しようとする。まぁ異端児である俺達の場合だから参考になるかは分からねぇけどな」
リドがそう言うと命は【真実の滝】の方を向き自然と足がそちらへ向く。
「命様?」
リリルカが命を止めようとしたがそんなリリルカをベルが止める。
「待ってリリ、ここは命さんに任せてみよう」
ベルは命の目を見てそう言いリリルカもそれ以上追求しようとはしなかった。
「………………………………」
【真実の滝】で1人滝が流れていく様子を春姫は1人ボーッと見つめる、そこに命が現れ春姫の横に座る。
「命ちゃん…………」
「春姫殿、食事にしましょう。【腹が減っては戦はできぬ】と言います」
そう言って命は握り飯の入った包みを取り出し紐を解くと1つを春姫に渡す。
「私は、春姫殿がどんな存在でも受け入れます。今の春姫殿も闇の春姫殿もどちらも春姫殿だから」
「命ちゃん…………」
「一人で乗り越えなくても良い、私だってベル殿だって1人で春姫殿を助けた訳では無い、皆がいたから助けることが出来た」
「……………………皆」
春姫は何かを考えた後命から渡された握り飯を頬張った。
次回は20日の予定です。