春姫が【ヘスティア・ファミリア】に入団し数日、ヘスティアは春姫のステイタスを見ながら唸っていた
「う〜ん」
「神様、そんなに唸ってどうしたんですか?」
「春姫君のステイタスを見てたんだ」
「まさか何か珍しい魔法かスキルがあるのですか?」
「うん、他人のレベルを上げる器昇華の魔法がある、けど、それ以外に特段変わった物はない」
ヘスティアの言葉にその場にいる全員が首を傾げる
「あの、それの何が問題なんですか?寧ろ凄い魔法で喜ぶべき事なんじゃ?」
「確かに、これは凄い魔法だ。それは断言出来る、けど彼女は【人柱力】だ、それも尾獣の中でもより強大な九尾の、それにしては
ヘスティアの言いたい事が何となく理解出来た一同は黙り込む
確かに春姫の魔法【ウチデノコヅチ】は他人のレベルを1段階上げる希少魔法、他の神が知ればどんな手を使っても求める力だがそれは人間の尺度で測った場合の話だ
ヘスティアは春姫が入団したいと言い出した時、どんなぶっ壊れたステイタスで来るのかとヒヤヒヤしていた
しかしいざ更新してみると底にあったのは綺麗に並んだ0と【ウチデノコヅチ】のみ、幾らイシュタルがその存在を隠す為鍛錬させなかったとしてもこれはあり得ない
「もしかして、まだ僕達も知らない何かがあるのか?」
ヘスティアの言葉は嫌に響いた
「そういや、その春姫は何処に行ったんだ?命も居ねぇしよ」
「今は【タケミカヅチ・ファミリア】の本拠でタケミカヅチ様に武器の指導をして頂いている頃です。命様も一緒ですね」
「ほぉ、てっきりリリスケがサポーターに育てると思ってたんだが」
「リリとしてもそうしたかったのですが、本人たっての希望で戦闘員として育てる事になりました」
「ほぉ、獲物は何だ?」
「まだ聞いていませんがそろそろ種類位は決めて帰って来るのでは無いですか?今まで戦闘などしたこと無いそうですからね、体力作りと筋力作りから始めたそうです」
「何だそうか、んじゃ武器は俺に打たせてくれって伝えてくれ」
「分かりました、タケミカヅチ様に伝えておきます」
「「た、ただいま戻りました〜」」
玄関からそんな声が聞こえ全員がそちらを見るとボロボロになった春姫と命が立っていた
「おかえり〜お風呂沸いてるから2人とも入っておいで」
「「は〜い」」
この光景も既に何度も見ていた為一同は既に驚く事は無い
2人が風呂から上がった後命に鍛錬の様子を尋ねるのが【ヘスティア・ファミリア】の日課になっていた
「それで?タケはなんて?」
「そろそろ武器を決めてもいい頃だと仰ってました。春姫殿の体格からして長物が良いかもしれないとも」
「長物か…………となると槍か?」
「個人的にはナギナタが良いかと思います」
「ナギナタ?」
「槍の穂先が刀の様に反った片刃になっている武器の事です。非常に取り回し易く女性でも使い易い武器です」
「ならそれにするか、ちょっと手貸せ命」
「え?あの、ヴェルフ殿、私今帰ってきたばかりなのですが…………」
ヴェルフは命の声が聞こえていないかの様に命を引き摺り工房に消えていった