今作は雲居一輪&雲山となります
楽しんで頂ければ作者としてもとても嬉しいです
「……此処が兄さんが通っていた雄英……か……やっと此処まできたよ兄さん」
そう呟いた少女、名前を雲居一輪という。
足先まで伸びている天に広がる青く澄み渡る空と同色の髪をたなびかせて……また蒼空と同色の虹彩をした瞳でそう呟く。
その首には陽光を反射して銀色に煌めくロケットが下げられており開いて中の写真を愛おしそうに見つめて……試験へと挑む。
筆記試験を終えて軽く自己採点を行うと95点以上は取れていたのでまぁ筆記の方は取り敢えず問題はないだろう。
問題は実技試験である、兄さんの時代から大きく変わってなければ例年と同様にロボット相手のポイント取得ゲームと、説明が為されない裏評価点……救助ポイント稼ぎ……細々としたルールは毎年変わるが大きくは変わらない。
一瞬だけ、受かるかと言う不安に駆られる一輪……だがそう悲観する事もない。
何せ個性の扱いに関しては兄さんよりも遥かに長けている、兄さん自身からそうお墨付きを頂いたのだから、自分の出せる全力を尽くして試験に挑むだけだ。
バスに乗って実技試験会場へと向かい……準備時間3分を与えられる。
深呼吸を行い意識を集中させてルーティーンを行う。
眼を閉じて……あの日の原点を想い起こす、自身がヒーローを志した全ての原点を……オリジンを。
プレゼントマイクの間延びした声と共にスタートの合図が為されて一輪は1人駆け出す。
駆け出してから10秒もしないうちに2ポイントと3ポイント
一見して丸腰に見える一輪であるが……実は既に個性は使用している。
と言うよりも一輪は一族の系譜が有する個性を一族の誰より強力に発現させた、両親や兄の遥か上を行く程に。
仮想敵ロボットが一輪に襲いかかる刹那……一輪の背後からは入道雲が顕現しその質量のままロボットを押し潰す。
返す刀で背後から襲いくるロボットも入道雲に押し潰されて最早原型を留めていない。
雲居一輪の個性は『入道雲』……何の事だと思われるかも知れないが、至ってシンプル……自由自在に雲を生み出して雲の全てを自由自在に操作する個性である。
質量、体積、大きさ、厚み……雲に出来る事ならばその全てを思うがままに操作する事が出来る。
基本的には一輪がコントロールするのだが兄との訓練や遊びの際でも四六時中、いつでも何処でも永きに渡り個性を使用していた為に雲の方にも意識が有り思考まで出来る様になっていた。
何故だか雲なのに意識があって思考が出来るのは……まぁ突っ込むまい、個性とは未だに中身の分からないパンドラの箱なのだから。
しかしながらロボットに組み込まれた戦術論も馬鹿ではない様で暫くして大群に囲まれる一輪。
しかし、慌てる素振りもなく周囲のロボットを入道雲で覆うとその質量で締め付けつつ更に強烈な雷にてロボットに負荷をかけ続けていき外装部を焼き溶かすとロボットの内部センサーやコアたる動力源に雷を容赦なく叩き込んで破壊していく。
一輪が扱うのは雲、正確に言えば積乱雲である。
雲の全てを自由自在に操る事が出来るとはこう言うことだ。
積乱雲とは局所的、短時間に渡り雷や雹、突発的な豪雨や暴風を齎す。
一輪はそれらを含めて自由自在に操作が可能で、雲自体にも金剛石の様な硬度と凄まじい密度と質量を持たせる事すら可能な為に押し潰すと言った行為すらも可能。
そのまま暴れ続けて暫くすると……ビルや建造物を壊しながら登場する0ポイントギミック。
50〜60m程の大きさ、他の仮想敵ロボットとは一線を画す。
大きさはそのまま脅威になり周囲の受験生は皆パニックに陥って我先にと逃げていく。
人の波に呑まれる前に一輪は自身の斜め前に雲を顕現させてそれを掴んで跳躍して雲に乗って人の波を避けるとそのまま時速80kmはあるであろう速度で0ポイントギミックの場所へと急行する。
一輪には見えたのだ、落下していく瓦礫に巻き込まれて負傷した少女の姿が。
瓦礫で身動きが取れない耳たぶがイヤホンジャックの様な形状をした少女を助け出す一輪。
「大丈夫ですか?」
雲で瓦礫を押し除けながら負傷した少女の隣に膝をついて応急処置と共ににそう問いかける一輪。
頸動脈や橈骨、胸部に触れてバイタルサインをチェックしていく、その隙にも0ポイントギミックはドスンッとゆっくりではあるが確実に歩みを進めており、後2〜3歩進めば確実に瓦礫に巻き込まれる。
それを察知したのか耳たぶ少女は一輪に向けて叫ぶ。
「私の事は良いからッ‼︎ アンタも逃げて‼︎ じゃないと‼︎」
そう叫ばれるが……ヒーローを志したのだ、理由はどうあれ。
ヒーローが怪我人を見捨てて逃げるか? 否。
ヒーローが相手に勝てないから、相手との相性が悪いからと言って退却するか? 否。
ヒーローが不安そうな表情をして守るべき相手を不安にするか? 否。
断じて否だろう。
故に……一輪は少女を安心させる様に笑みを浮かべて告げる。
そして、一輪はゆっくりと立ち上がって自身の友達であり個性を呼び起こす。
「大丈夫です……来いッ‼︎ 雲山‼︎」
そう叫ぶと……晴天の筈の空が瞬く間に雲に覆われて曇天となり……10Kmを超す大きさを有するその雲が明らかに意思を持って雲を手の形にすると0ポイントギミックをヒョイっと摘み上げて人差し指と親指で跡形もなく0ポイントギミックを擦り潰す。
破片すら、ネジすら残さずに消滅した0ポイントギミック。
それを満足そうに見つめた積乱雲は……ゆっくりと霧散していった。
曇天が晴れて、晴天が戻っていく、澄み渡る青空を見上げながら試験終了の合図を聞き満足げにしている一輪。
立ち上がって帰ろうとした所を背後から呼び止められる。
「まだお礼を言ってない‼︎ 私は耳郎、耳郎響香……助けてくれてありがとう‼︎」
それを聞いた一輪は耳たぶ少女……耳郎響香の方へと向き直りカーテシーをしながら返礼をする。
「いえ、危険に陥った人を助けただけです……私の名前は雲居一輪、貴女ともしも雄英で共に学び共に高めあう事が出来たのなら……その時は是非お友達になってくれると嬉しいです」
そう告げてペコリッとお辞儀をして試験会場から、帰る準備をする雲居一輪であった。
そうして、更衣室にて着替えと荷物を持って……自宅への帰路へと向かうのであった。
過去に兄が通っていた雄英へ自分も通えるかの期待に胸を膨らませながら。
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