決勝の舞台。
此処まできたら優勝したという報告を兄の魂が眠る墓に報告したいものだ。
骨は確かに兄ではなかった……だが、魂は確かに其処に眠っている、そう信じなければ立ち直れない。
雲山と共に精神統一を計っていると選手控え室の扉が乱雑に開け放たれて入ってくるのは対戦相手である爆豪勝己。
互いにパチクリと瞬きして……互いに控え室を確認する。
「私が間違えたかと思って驚きました……爆豪勝己さん、試合……勝たせてもらいますね」
ジャブの様に繰り出される口撃、勝利宣言たるそれに対して眼を吊り上げて小規模の爆破を繰り返しながら顔と顔がくっつく程近づきドスの効いた声で詰め寄る爆豪。
「あァン⁉︎ 勝つのは俺だよ雲女‼︎ いいか⁉︎ テメェを完膚なきまでに捩じ伏せて1位を捥ぎ取るのはこの俺なんだよ‼︎ ズタボロにして俺が勝利宣言してやっから覚悟しとけ‼︎」
その言葉を聞き感無量と言わんばかりの表情を浮かべる一輪。
これまで生きてきて一輪に向けられる視線は大体が羨望、嫉妬、妬み、嫉み、諦観。
個性に関しても同様。
故に……爆豪の言葉がとても嬉しい、居なかったのだから……一輪を前にして闘志をメラメラと燃え上がらせて叩きのめす宣言をしてくる様な相手は。
あぁ……良いね。
「良いね……だがもうそろそろ時間だ、私はこのまま君と楽しく語り合っていたいのだがそうもいかない……次は殴り合いで語ろう」
和やかに笑みを浮かべて爆豪の肩をポンポンと撫でるとあからさまに不機嫌な顔で一輪は手を弾かれる。
「テメェのスキンシップはどうなってんだ⁉︎ 距離感バグってんのかテメェは⁉︎ ハッ‼︎ 殴り合いなら望む所だ、ズタボロにしてぶっ倒す‼︎」
そうして、控室が火花を散らす2人により最高に良い空気に包まれ、互いにコンニチワの挨拶を済ませてトーナメント戦でこれ以上ない程に最高のコンディションで勝負に挑む。
『さぁさ‼︎ いよいよラストだぜ⁉︎ 雄英1年の頂点が此処で決まる‼︎ 決勝戦‼︎ 雲居VS爆豪‼︎ 今‼︎ スタート‼︎』
実況であるプレゼントマイクのその叫びと共に開始宣告がなされる。
その刹那……両掌から爆破を行い飛翔した爆豪は一輪を見下ろして……躊躇う事なく一輪の身体を覆い尽くす様に爆破の弾幕を途絶える事なく放つ。
その威力はコンクリートのフィールドを破砕する程の威力。
そんなものを直撃した一輪を心配する声が上がるが麗日戦での一件があるからかブーイングは起こらない。
飛翔していた爆豪がフィールドに降り立った刹那……違和感を感じて更に爆破の弾幕を仕掛ける。
側から見ればもはや成す術もなく防戦一方にも見える一輪。
実況のプレゼントマイクも大仰な言葉を使いながら叫ぶ。
『あーっと⁉︎ 爆破の弾幕が絶える事なく雲居を襲っているううう‼︎ 爆破の弾幕で姿は見えないがこれはもう勝負あったかぁぁぁ⁉︎』
爆破が着弾し爆炎と爆煙に包まれている一輪であるが……対戦相手である爆豪は微塵も油断せずに更なる追撃を行なっていく。
観客や実況席からは見えないが……フィールドで実際に相対している爆豪と審判である2人には見えていた。
爆破と爆破の間で薄らと見える一輪の身体は雲に包まれて僅かな傷一つ付いていないのが。
それを見てある種のプライドを逆撫でされたのか爆豪は顔を憤怒に染めて更に爆破の威力を底上げして今撃てる限界威力を引き出して連発しながら怒鳴り声をあげる。
「
そう怒鳴る爆豪は自身の個性である『爆破』……その大元であるニトロの様な汗を掌全体ではなく一点に集中して起爆させることで爆発の範囲を狭めて貫通力を上げる様に意識し更にそれを両手で連続して放つ。
他とは明確に一線を画すその爆破は凄まじい威力と反動を誇ったソレは爆煙を一瞬で吹き飛ばし爆煙に包まれていた一輪の姿が実況や観客席にも露わになる。
だが……露わになるのは粉塵すら付着していない綺麗な一輪の姿。
一輪は……空中に居る爆豪を見据えると地上にいる状態で拳打の構えを取り……殴る動作を行う。
それに付随して動くは雲山。
爆煙に紛れて爆豪の正面に居たそれは一輪とまるで同じ動きをトレースしており的確な打撃を完璧な動きで入れてくる。
咄嗟に飛翔して雲山による雲の拳を利用した拳打を回避してフィールドへ凄まじい勢いで滑空し一輪自身を狙って爆撃を行うが雲山に全てを防がれる。
雲山をどうにかしないと勝ち目すらない。
だがしかし……雲山を攻略する手が無い。
物理完全無効に等しい存在であるが故に雲山に護られている間、雲山を突破して一輪に攻撃を通すのは現状かなり厳しい。
だが……無理だと言って諦める事だけはしない。
絶え間なく襲いかかってくる雲の拳。
それらを掻い潜り何とかして一輪の眼前に辿り着くが爆破よりも速く雲に乗り空中へと移動する一輪。
一輪は雲に乗り……空中から爆豪を見下ろして傲岸不遜に語る。
「どうする? どうするんだ? 私を完膚なきまでに倒すんだろ? 勝機はいくらだ。千に一つか、万に一つか、億か兆かそれとも京か」
それに対して……爆豪は掌からバチバチと爆破音を響かせてギラリとその双眸を一輪へと向けて叫び返す。
「それがたとえ那由他の彼方でも、俺には充分過ぎる‼︎」
爆破を更に重ねて1つの弾幕と為す。
元々天才的な戦闘センスの持ち主の爆豪勝己。
それを迎え撃つは雲による圧倒的な力を有する雲居一輪。
先程の
雲を束ねて威力を殺し切るがそれに付随して行われる眼で追えない速度の移動。
雲山も攻撃を行うがそれよりも速く爆豪は爆破を放ち飛翔と滑空を繰り返しており雲山の拳を躱しきっていた。
常に不規則な移動法を行う事も相まって次の動きを読む事が難しい。
自身の周囲に防壁の如く雲を束ねて纏ってはいるが雲に手を突っ込んで中から爆破され一瞬だけ雲が剥がれ落ちる。
即座に纏い直すも一瞬とはいえ爆豪の前で隙を晒したのは悪手。
その隙を見逃さずに爆破の絨毯爆撃を叩き込まれる……。
『オオットォォォ‼︎ 苛烈な爆破が雲居を包み込んでいくうううう‼︎ 煙で何も見えねえがどうなった⁉︎』
爆炎と爆煙が晴れる間際……爆豪はしっかりと聞き取った。
一輪の言葉を。
「素晴らしい……素晴らしいよ爆豪……改めて私の個性を教えよう……『入道雲』だ」
クラスメイトならば周知の事実を再度説明してどうだと言うのか? 疑問が爆豪の脳を駆け巡る。
爆煙が晴れると爆撃の威力で襤褸布と化した上半身の体操服を脱ぎ捨ててスポーツブラの格好となっていた一輪。
刹那……フィールドの上空に分厚い暗雲が立ち込めて陽光が遮られる。
一輪は唖然としている爆豪に対して天を見上げる様にして人差し指を立てると鈴の様に響く声で凛と語る。
「言っただろう? 入道雲だと……君が知っているかは分からないが、分かり易い言い方をしようか? 別名は積乱雲だ、さてと第2ラウンドだ……先程はかなり手酷くやられたからね……私の得意なフィールドでやらせてもらおう」
そう語ると……雷鳴が轟いて一輪と爆豪の2人を包み込む様にして猛烈な雨が降り注ぐ。
前方3mも目視が出来ぬ程に強い豪雨。
猛烈な雨に突如として降られたがそれよりも更に厳しい事がある。
爆豪の個性である爆破の威力はそう落ちないが視認性が劣悪なこの状況でポンポン爆破を放つのはよろしくない。
警戒を最大まで引き上げて周囲を見回すが雨音が酷すぎて何も聞こえない。
刹那……自身の直感に従い振り向きざまに爆破を行うが雲に阻まれ意味を為さない。
そして豪雨を切り裂いて飛んでくるのは鋭く速く重い拳打。
顎を狙った一撃を回避して爆豪も殴打を繰り出すが逆にその腕を掴まれて引き寄せられて三角絞めを極められる、何とか脱出しようとして一輪に向けて爆破を行うも分厚い雲の防壁に阻まれる、そして……締め落とされる爆豪。
そうして……豪雨が止み……勝負は決した。
サーモグラフィー付きドローンとサーマルカメラで状況をずっと視認していた主審のミッドナイトが状況を見て宣告を行う。
「爆豪勝己君気絶により試合終了‼︎ 勝者‼︎ 雲居一輪‼︎」
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続け様に☆1が付いてしまい深い悲しみに覆われています
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