そうして……表彰式へと移る。
1位・雲居一輪
2位・爆豪勝己
3位・轟焦凍&常闇踏陰
「さて……メダル授与よ‼︎ 今年メダルを贈呈する人はもちろんこの人‼︎」
そうミッドナイトが語りスタジアム外壁部より跳躍しつつその声が響く。
「私が‼︎ メダルを持って『我らがヒーロー‼︎ オールマイト‼︎』きた‼︎」
オールマイトとミッドナイト先生の言葉が駄々被りして何とも言えない空気が一瞬流れる。
気まずい沈黙が流れたのは2〜3秒程……。
その後はメダルを粛々と授与していく。
3位の常闇踏陰から授与される。
「常闇少年おめでとう‼︎ 強いな君は、ただ相性差を覆すには“個性”に頼りきりじゃダメだ、もっと地力を鍛え上げれば取れる選択肢も幅が増えていくだろう……今回は地力の差で負けてしまったがまだ機会がある、もっと地力や得意な分野、そして個性を鍛え上げれば誰にも止められない強さを得るだろう」
その言葉に常闇は粛々とお辞儀をしてメダルと共に受け取る。
次に授与をされるのは轟焦凍。
同様にオールマイトは轟にもメダル授与と一言激励の言葉をかける。
「おめでとう轟少年‼︎ 準決勝戦、見事な戦いを見せてもらった‼︎ 氷と炎、相反する2つの個性を使いこなせば君はもっともっと強くなれる‼︎ 今回は惜しくも一歩届かずに3位になってしまったがまだ機会がある‼︎ もっと地力や個性の扱い方を習熟させれば君は更に上を目指せる‼︎ おめでとう」
それを聞き轟は何か吹っ切れた様な……されど逡巡している様な表情を浮かべて語る。
「緑谷戦で……キッカケを貰いました、……貴方が緑谷を気にかけるのも少し分かったような気がします……だけど俺にはまだ精算しないといけないものがあります」
それを聞きオールマイトは轟へと再度言葉をかける。
「顔が以前と全然違う……深くは聞くまいよ、君ならきっと清算できる」
オールマイトは2位の爆豪勝己へと語りかけながらメダルを授与する。
「おめでとう爆豪少年‼︎ 圧倒的物量の差や近接格闘術の練度の差で敗北してしまったが勝負は一瞬の分かれ目さ‼︎ 実際、最初に弾幕を仕掛けた所や新技の仕掛け方などを見ればどちらが勝っても全くおかしくない試合内容だった、君はまだまだ成長途中なんだ‼︎ これから先もっともっと強くなれる‼︎ 今日の苦い敗北を胸に刻んで次に繋げていこう‼︎ おめでとう‼︎」
爆豪勝己はオールマイトの言葉を聞いて、終始俯きながら無言で頷いていた。
そしてオールマイトは1位の雲居一輪へとメダル授与へと移る。
その瞬間……会場の歓声やボルテージは先程とは比にならないレベルで跳ね上がり歓声でスタジアム内が揺れる。
勝負事において……敗者は勝者よりも報われない、古今東西全ての勝負事における大原則にして大前提である。
……どんなに決勝戦や準決勝戦や表彰やメダルの授与の栄誉に賜われたとしても敗者が評価されるのはその瞬間だけ……1位という圧倒的な勝者の前には全てが霞む。
大歓声の中……オールマイトは一輪へと労いの言葉をかける。
「おめでとう雲居少女‼︎ 各試合通して見事な個性の扱い方だった‼︎ 凄まじい耐久力と個性、それに近接格闘術を生かした素晴らしい試合運びだったね‼︎ 雲居少女は今でも十二分に強いが個性を鍛え続ければ確実に『今』よりも更に強くなる‼︎ 1位獲得おめでとう‼︎」
そう告げられ……オールマイトは観客へと向けて語る。
そして、オールマイトがマイクを持って叫ぶ。
「さぁ‼︎ 今回は彼らだった‼︎ しかし皆さん‼︎ この場の誰にもここに立つ可能性はあった‼︎ ご覧いただいた通り‼︎ 競い‼︎ 高めあい‼︎ 更にその先へと登っていくその姿‼︎ 次代のヒーローは確実にその芽を伸ばしている‼︎ てな感じで最後に一言‼︎ ご唱和ください‼︎ せーの‼︎」
「プルス「お疲れ様でしたぁぁぁ‼︎」ウルトラ」
何とも締まらない最後に苦笑しながら一輪はメダルを嬉しそうに手で弄ぶ。
体育祭終了後にクラスへと戻り相澤先生よりこの後の日程について連絡が為される。
「お疲れ様っつう事で、明日と明後日は休校だ、プロからの指名などをこっちで纏めて休み明けに発表する、ドキドキしながらしっかり休んでおけ」
そう語られて……長いようで短いような激動の体育祭の1日は幕を閉じた。
そうして……2日間の休日明け。
一輪は降り頻る雨の中、傘も差さずに登校している。
雲山が傘の役割を果たしており濡れる事がない。
雲山との会話を楽しみながら登校していると飯田さんとすれ違う。
その瞬間……一輪は飯田の顔を一目見て悟った、嗚呼、こう言う事なのかと。
過去の自分を見ているのだと。
……聖様もこんな感じだったのかと。
後で飯田さんと話そう。
そう心に決めて、ゆっくりと階段を上がり教室へと入りいつもの様に八百万さんや耳郎さんらと雑談に花を咲かせる。
ワイワイガヤガヤとしていたクラスであったが相澤先生が入ってきた瞬間にビタァッと静まり返る。
「おはよう、今日のヒーロー情報学、ちょっと特別なモノが行われるぞ?」
『特別』……その言葉を聞いて怖気付く一部のクラスメイト達。
相澤先生が『特別』と言う言葉を使った場合……大体、と言うか94%位は抜き打ちでの小テストや抜き打ちの筆記実技テストがある為だ。
皆の顔が強張る中……相澤先生が語る。
「『コードネーム』……ヒーロー名の考案だ」
ヒーロー名の考案、その言葉で一気にクラスが沸き立つが相澤先生に睨みつけられて一瞬で沈黙する。
相澤先生が理由を説明する。
「と言うのも……休み前に話した『プロからのドラフト指名』に関係してくる、指名が本格化するのは経験を積んで即戦力として扱われる2年3年からだ。つまり今回来た『指名』とはお前らの将来性に対する『期待や興味』に近い、卒業までにその興味や期待が削がれたら一方的にキャンセルなんて事はよくある話しだ」
そう聞いて峰田実や芦戸三奈、上鳴電気は嘆きの言葉を漏らす。
そして、相澤先生がホログラフィックを映し出しながら語る。
「まぁ口で言うより見たほうが早い、指名はこうなった、例年はもうちょいバラけるんだがな」
4桁を超える指名を受けていたのは4人であった。
雲居一輪6158件。
轟焦凍4712件。
爆豪勝己3981件。
常闇踏陰1621件。
続いて3桁。
八百万百979件。
飯田天哉841件。
上鳴電気419件。
麗日お茶子109件。
後の者は指名が2桁かそもそも指名自体が来ていないかであった。
そうして説明が為されていく。
「これを踏まえて指名の有無に関係なく、お前らにはいわゆる職場体験に行ってもらう、お前らは一足先に経験してしまったがプロヒーローの活動を実際に体験してより実りのある訓練や授業をしましょうって事だな」
それを聞いて納得したクラスメイト達。
砂藤と麗日お茶子がウキウキで語り合う。
「なるほどそれでヒーロー名か‼︎」
「楽しみになってきたぁ‼︎」
それを皮切りにわいわいと喋り始めるクラスメイト達。
相澤先生が語る。
「まぁ今回付けるのはあくまでも仮のヒーロー名ではあるが適当なもんは……」
そう語った所でドアが開かれてミッドナイト先生が入ってきて語り手を交代して喋る。
「付けたら地獄を見ちゃうよ‼︎ この時仮だと思って適当に付けた名前がそのまま世の中に浸透しちゃって実質的に変更が効かずにそのままプロになって後悔してる人多いからね⁉︎」
そう語るミッドナイト先生。
そして相澤先生は用意していた寝袋に入りながら語る。
「まぁそう言う事だ……そこらへんのセンスをミッドナイトさんに査定してもらう、俺にはそう言うの出来ん……将来自分がどうなるか、どうなりたいのか、何を成したいのか、名を付ける事でイメージが固まりそこに近づいていく、それが『名は体を表す』って事だ……分かりやすく言うならば『オールマイト』とかな……俺は寝る」
そう告げて本当に眠り始めた。
確認なんだけど……給料出てるんだよな? この時間も……多忙なのは重々理解していますが。
仮眠室があるでしょうよ……。
そうなんとも言えない表情で相澤先生を見る一輪だがそれはさて置きヒーローネームの考案というのは中々に胸が膨らむ。
ワクワクするのはいつだって変わらない。
そうして15分程経過した所でミッドナイト先生が笑顔で告げる。
「じゃあ……そろそろ出来た人から発表してね」
その言葉にクラスの空気が凍る。
まさかに発表形式である、てっきり後ろの人が集めて後ほど発表‼︎ みたいな事を考えていた者達が大多数を占めていた為2〜3分は誰も発表に行かない。
最初に発表した、青山優雅と芦戸三奈のヒーローネームがあまりにも変なのが来たせいで大喜利みたいな空気になってしまった。
そして……次なる発表者である梅雨ちゃんが空気を変えてくれたおかげでまた皆が続々と発表しだす。
ありがとう、
「んー……なんだかなぁ」
名は体を表す……か。
私と言えば雲……雲か。
……決めた。
そうして、壇上に上がり発表する一輪。
「ふわふわヒーロー・クラウディア」
そう発表する一輪であった。
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