そうして、放課後。
飯田さんを呼び止める一輪。
「飯田さん……途中まで一緒でしたよね? 一緒に帰りませんか? 話したい事もありますし、色々と」
そう告げると飯田さんは快諾して帰り道を2人して歩く。
語るのは体育祭や授業の事、授業や個性の鍛え方など様々な事を語り合う。
そうして……少し休んで互いの知見を深めないかと言う一輪の提案に対して頷く飯田。
ベンチに座り込み、自販機で購入した飲み物を手渡して話を広げる。
そうして……15分程経過して一輪は切り出す。
「飯田さん……復讐ってのはどうしようもなく哀しいものです」
唐突にそう切り出されて飯田さんは困ったような……反応に困るような苦笑いに近い笑みを浮かべて聞き返してくる。
「済まないが話が見えない……兄の事なら心配ないと言った筈だが……」
そう語るが……一輪からして見ればそんな取り繕った表情など即座に看破できる。
自分がついこの間まで……雄英入学直前まで鏡で見ていた顔だったのだから、憎しみに駆られ、復讐のみを考えていたあの顔を。
「復讐に囚われた人間の顔なら見飽きる程見てきたのですぐに分かりますよ……私も同じ立場だったのでね……あぁ誤解しないでいただきたい……復讐なんて辞めましょう、なんて聖人君子みたいな事を言うつもりは全くありません、私は復讐肯定派です……復讐しなければ前に進めない人間もいるんですから……」
そこで一度言葉を区切り飯田さんの顔を見つめて……再度語り出す一輪。
「けれど飯田さん……今から私は貴方に矛盾した事を言います、貴方は此方側に堕ちてはいけない……復讐に囚われてはいけない……私の様に、復讐に囚われ、復讐という甘美な汚泥を被って悦に浸る悲しい生き物になってはいけない」
寂しげな表情を浮かべ……明らかに前後が矛盾した事を告げてくる一輪。
それを聞き飯田さんは刺し殺せそうな程鋭利な眼差しで、氷よりも冷たく、冷酷な表情を浮かべて一輪へと叫ぶ。
「じゃあ僕はこの気持ちを‼︎ この恨みを何処にぶつければいいんだ‼︎ 家族を害されたんだ‼︎ この恨みを‼︎ 僕は奴にぶつけなければいけないんだ‼︎」
そう叫ぶ飯田さん。
その眼は……在りし日の自身の写し鏡であった、今も変わる事なく続いている、復讐に溺れた自身の顔と同じ。
それを見ながら一輪は諭す様に語る。
「……それは痛い程理解していますよ、ですが私は貴方に問います……貴方が独断専行で飛び出していって、そしてヒーロー殺しを倒したとしましょう……そして警察に引き渡したとしましょう、いくつかの遵守するべき法律と定められた規則とその他全てのルールを破ってまでヒーロー殺しを捕縛して、貴方はそれをいの一番に、真っ先に報告したい相手に報告してお兄様は喜んでくれるとお思いですか? 喜んでくれますか? 貴方は自身の行いを、兄に対して一切恥じる事なく報告できますか? やましい事は何もせずに正規の活動であったと胸を張って報告出来ますか?」
そう問いかける一輪。
それを聞き……暗雲が晴れたかの様に、憑き物が祓われたかの様に、表情を取り戻す飯田。
それを踏まえて……一輪は語る。
「……ヒーロー殺しを捕縛するのは、ちゃんと救助活動をして、現場のヒーローに指示を仰いで、授業で学んだ事を活かして行って下さい……間違っても、私みたいにはならないで下さい……私はもう、とうに引き返せない所まで堕ちていますが……貴方はまだ此方側に来ていない、貴方はまだ引き返せる、此処が分岐点です……人か獣か……どちらか選べるんですよ貴方は、貴方のその手は、その脚は泣いている迷子を導く為のものでしょう? 泣いている迷子の手を取るその綺麗な手脚が復讐の血に塗れていてはいけない……血塗れの手では掴める筈のモノすらスルリと抜け落ちていくのだから……長い話な上に論理が破綻していましたね、すみません……ですが心に留めておいて欲しいのです、では」
そう謝罪して一輪はベンチから立ち上がって帰路へと向かう。
飯田さんと別れて、自宅へと戻ると一輪は苦い顔をして自分を罰する様な声音で鏡に映った自分に問いかける。
「どの口がほざく? 復讐なんて辞めましょうってよ? 馬鹿か? テメェは……」
そう語りつつ……自分自身への心へと嘲る様に語る。
一輪はもう戻れない所にいる……。
血塗れの手で掴めるモノなど何も無いが……。
腕力と暴力と武力と死力と謀略の限りを尽くして復讐を達成した己と、理性も知性も無き獣の差異は如何に……。
復讐を達成し、その屍を踏み躙った……そして惨めで浅ましく、そして烏滸がましくも、それでも自分は人であると知性と理性を追い求めた『知性ありしモノ』を自称するゴミクズよ、証明せよ……自分と『知性なき獣』の差異や如何に。
そう反芻する一輪。
だが結論は出ない。
復讐とは……甘美な泥だ、纏わりつく者を掴んで離さない。
「兄さん……そっちに行けたらどんなに楽か、今でも考えるよ……でも今はまだだ……兄さんを埋葬し直してから……そっちに行くよ」
兄さんと同じ場所には絶対に行けないだろうけれど……。
そう語る一輪であった。
そうして……職場体験の当日となった。
一輪が決めたのはラビットヒーローミルコの所であった。
事務所を構えずサイドキックも雇わずに全国各地を文字通り跳び回るヒーロー。
体育祭での格闘戦を見て指名を入れてきたらしく一輪としても更なる技術の向上の為に指名を受けた次第である。
ミルコに指定された待ち合わせ場所へと到着した一輪。
コスチュームを収納したアタッシュケースを持ちながら貰った住所を間違えてないか確認していると頭上から文字通り、降ってきたミルコ。
着地のタイミングでコンクリートへと伝わる衝撃を分散させて殺しきっておりコンクリートにはヒビすら入っていない。
ミルコの
学べることは多そうだ、そう期待を高める一輪。
「すまねぇな‼︎ ちっと遅くなった‼︎」
破天荒過ぎる登場の仕方に若干驚いたものの……ミルコは男勝りな性格で、告げてくる。
「よしっ‼︎ じゃあ行くぞ‼︎」
「え? ……えっ⁉︎ 何処に⁉︎ ミルコさん⁉︎」
そう叫び一輪の首根っこを引っ掴んで文字通り跳ぶ。
ジェットコースター並みの速度が一瞬で一輪を襲い……絶叫が木霊したのであった。
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