入道少女のヒーローアカデミア   作:紅葉紫苑

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職場体験②

 シャワーを浴びて汗を流すと一輪はミルコさんとの反省会を行う。

 課題として挙がったのは一輪の悪癖と雲山への依存。

 この2点を克服すればいい、克服するにはどうするかを話し合い、煮詰めて……そうして再度模擬戦を行なっていく。

 そうして……気づけば18:00。

 1日目はただひたすらに実戦に限りなく近い模擬戦を繰り返し続けた。

 2日目も同じ、ひたすらに実戦形式の戦闘と反省会、そして基礎練習や反復練習の繰り返し……師匠である聖白蓮の下でも同様の事が行われていた故に弱音を吐く事はない。

 凡ゆる近接格闘術に於ける最大の訓練である基礎固めや反復練習をして徹底的に身体に覚え込ませて……考えるよりも速く動ける様に、考えるよりも先に対処できる様にする。

 


 

 そうして3日目。

 17:00。

 1日目や2日目と同じ様にひたすらに実戦に限りなく近い基礎練や対人戦闘訓練を繰り返しており……一通りの訓練を終えるとシャワールームで汗を流す。

 壁とカーテンでで仕切られているだけの簡素なシャワールームであり、一輪が使用しているシャワールーム、その隣のシャワールームにはミルコさんが汗を流しており……シャンプーの香りがする中、ミルコさんが語りかけてきた。

 

「シャワー終わった後で街に行くからな」

 

 シャンプーの泡を洗い流しつつそう告げられて一瞬ポカンっとするがすぐに返事をして何処に行くか問いかける一輪。

 

「保須市に行く……ニュースくらい見てるだろ? ヒーロー殺しステイン……奴が出ても大丈夫な様に街をしらみ潰しに当たる、私とお前の機動力ならそれが出来る」

 

 そう語り……シャワーを終えたのか水流の音が止まる……そろそろ自分も出るかと思案してバスタオルで髪を拭き出ようとした……。

 だが……シャッとカーテンを開ける音がした為に振り向くと其処には全裸のミルコさんが……如何に同性同士だろうと恥じらいはあると思っていたのだが。

 

「み……ミルコさん?」

 

 おっかなびっくりといった声音でそう問いかける一輪を無視してミルコは全裸の状態のまま俗に言う壁ドンの体勢を取り、互いの胸が密着する程の距離を維持しつつ一輪へと語る。

 

「なぁ……ヒーローとしても聖白蓮の弟子としても大先輩であるミルコさんから1つ、教えてやるんだぜ? 一輪……少なくともその眼の奥底にある復讐に燃え盛る焔は他人に悟らせない事をお勧めする……憎悪と諦観に染まったその眼を見りゃあ分かる……なんて言わないし私は聖パイセンみたいに止める気はないし、それに今更動き出した歯車は止まらないだろ? 止められないにしても愚痴くらいは聞いてやるよ……全部吐き出してみな?」

 

 そう告げられて……一輪はミルコの胸に顔を埋め……大粒の涙を流しながらどうしようもならない事を吐き出し……叫び……狂乱した。

 そうして30分後、落ち着きを取り戻した一輪は謝罪をしてコスチュームを着直しシャワールームを出ていく。

 目的地は保須市。

 現在地、山形県。

 一輪の移動速度とミルコの移動速度ならば……1時間程度で到着する。

 


 

 保須市へと到着した2人。

 一輪は雲から降りて、ミルコは着地をして地面に脚をつける。

 そうして、歩きながらのパトロール中に、そう言えば遅くなったがと前置きされてミルコさんから語られる。

 

「プロヒーロー、ラビットヒーローミルコに与えられた権限によりふわふわヒーロークラウディアの個性行使を容認する……(ヴィラン)による襲撃やそれに類する緊急性の高い事案が発生した場合、クラウディアの独断による個性行使を容認すると言っておこう……」

 

 そう語り、保須市市内をパトロールするミルコと一輪。10分程すると駅前で2人の共通の知り合いである聖白蓮が見えた。

 少し立ち止まって語らう3人。

 何でも、保須市市内にいる檀家さんにご挨拶へ来てたらしい。

 聖はその双眸で一輪を見つめて……ミルコに対して何かを言いかけた刹那……轟音と悲鳴が響き渡り、帰宅ラッシュの駅前に脳が剥き出しの化け物が6匹出現した。

 即座にミルコは臨戦体制を取り迎撃していく。

 聖もその戦闘能力を遺憾なく発揮している。

 聖の個性は非常にシンプルな身体強化系に属するものであり……強化幅もそうだが聖自身の身体能力が高いのも相まって非常に高効率で循環がされる。

 聖の背後に浮かび上がる虹色の巻物は光の文様は聖の個性能力を使うためのお経であり、呪文そのものが浮かび上がり、巻物となって形成されている。

 そういった構造のため、紙でできた通常の巻物よりも軽く、容量もほぼ無限と言われており、時間と共に劣化するような事も無いという。

 また……「オート読経モード」という機能を搭載しており、呪文の詠唱無しに巻物を振りかざすだけで、その呪文による身体能力強化を行使する事も可能らしい。

 恐らくこの機能は転読を意識している物と思われる……とは聖の言である。

 肉体強化系など、能力上昇系を得意とする。

 個性と肉体の相性が良く、またその効果は得意分野とするだけあって非常に強力で、個性発動に際して呪文を唱えれば拳は金剛石を打ち砕く程の鉄拳と化し、他者の心拍や血流の流れすら読み取れる程、五感が異常に研ぎ澄まされ、溶岩の中で遠泳をしてもいたって平気な肉体を持つ事が出来る。

 部位による一点強化・身体全体強化共に可能で鍛え上げられた肉体から繰り出される近接格闘術の威力などは群を抜いている。

 脳無の殴打をほんの僅かな回避行動だけで躱すとそのまま脳無の鳩尾に手をスッと置いて発勁を打ち込む、発勁とは体内にある水分に波紋を誘発させて……体内から壊す技。

 鍛え上げられた肉体から繰り出される発勁、浸透系に類する武の極致。

 あそこに到達するまで……果たしてどの程度の修行や反復練習を積んだのかはミルコにも一輪にも不明だが……USJに居た脳無程ではない。

 あれ程の脅威では無い事を認識しつつ一輪も襲いかかってきた脳無を雲山と共に処理していく。

 しかしながら……かなりの広範囲に被害が出ている、雲山の視界を共有して一輪は文字通り天空から見る。

 天網恢々疎にして漏らさずと言う格言の通り……雲を自由自在に操れる一輪は天から視界を確保できる。

 その双眸とは別の……額に第3の眼がある様な感覚で市内をぐるりと見渡せば……裏路地に居るのはステインとプロヒーロー、そして飯田天哉。

 窮地に立っているのは言わずもがな……250m離れた場所に緑谷、350m離れた場所に轟焦凍が居るが間に合うかは賭けになる。

 ミルコへと叫び告げる。

 

「ステインを発見‼︎ 緊急時の為このまま雲山と共に対応します‼︎ ミルコさん‼︎」

 

 その叫びにグッと親指を立ててハンドサインで、声なき声で語るミルコ。

 それを見て……一輪は雲山と共にクラスメイトを救う為に駆け出していった。




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