「その前に来客だよ、雲居」
そう相澤先生より語られて扉の方を見ると保須市警察署の署長が来ていた。
ベッドに寝たままでは失礼になると断じてゆっくりと起き上がり起立しようとしたが当の署長本人からストップが掛けられる。
「いや、かなりの重傷と聞き及んでいる、寝たままで結構だワン」
日本刀、それも太刀による腹部刺傷。
それに伴い一輪の腹腔内及び肺の一部が損傷し手術が行われて今に至る。
あと1cm傷がズレてたら心臓を貫通して死んでいた。
「君はミルコより、轟焦凍はエンデヴァーより許可を得て交戦していたと聞いているワン……なのでこの2人には戦闘に関する規則違反は無いワン……だが、先んじて3人には話した事なのだが……」
そう語ってきた署長の言葉を遮り一輪は口を開く。
「それで構いませんよ……資格未取得者がステインと戦闘を行ったという違反をミルコかエンデヴァーの功績にするという話でしょう? 私は功績なんぞ興味ないので其方のお好きな様にして下さい……」
そう語ると警察署長は頭を下げて礼を告げてくる。
そうして部屋を退出した警察署長。
相澤先生と聖からは注意と説教が飛んできた。
……その後、話も終わりナースへと友人の部屋へと移動する許可を貰い緑谷、轟、飯田の部屋へと向かった一輪。
ノックをして入室する。
「皆さん元気ですか?」
お日様のような笑顔でそう語りかける一輪。
轟と緑谷、飯田は元気そうな一輪を見て安堵の表情を浮かべていた。
手術がかなりの長時間かかった様で気が気で無かったらしい、特に飯田は自身の行いで一輪に傷を負わせたも同然と酷く悔やんでいる。
一輪の腹部と背中には日本刀で刺し貫かれた傷痕がクッキリと残されており女の子の肌に一生消えない傷が残ったというのは何度謝ったとしても到底赦されるものではないだろう。
一輪は飯田の眼をみて、そこに宿る一筋の黄金の精神を見て理解する。
……蜂蜜の様に甘露で掴んだ者を決して離さない復讐の底無し沼からは脱したのだと、一輪は復讐という底無し沼に自ら潜り込んで浮かび上がる事なく沈み切ってしまったが飯田は何とか戻れたようだ……良かった本当に。
「どうやら復讐の虚しさは痛い程理解した様ですね……それだけでもステインから貴方を護った価値があったと言うものです……この傷に関しては飯田さんが謝る必要はなーんにも無いですよ、アレは私のミスなのですから」
実際、この傷に責任を持つべきだというのならばそれは他ならない自分自身にある。
雲山をガイドではなく常に戦闘の際は横に置いておくべきだと痛感した。
二度と同じ過ちは犯すまい。
友人の無事を確かめて……個室へと戻る一輪、本当は飯田や轟、緑谷達と同じ部屋でも良かったのだが異性故にそうもいかない。
そうして2日後。
職場体験を終えた一輪。
ミルコさんへと御礼を告げて別れる。
とある寂れたBARでどう見てもカタギではない雰囲気を醸し出す男2人がソファに対面になる様に座って懐かしい昔話に興じていた……眼帯をしている男は懐かしそうに語る。
「懐かしいなぁ……俺も個性使った
そう語るのは昔は何件もの誘拐に殺人、強盗など、犯罪の華々しい黄金の道を歩いてきたが今や見る影もなく違法コスチューム作成やサポートアイテム売買をシノギにしている男。
オールマイト以前はかなり名を馳せた犯罪者であったが今はもう見る影もない。
寂れたBARで酒を浴びるほど喰らって無為に過ごすだけの1日を過ごす自堕落な人間だ。
そんな状態の男の前にいるのは人材派遣のブローカー。
無論……まともな人材派遣じゃない、犯罪者御用達の人材紹介を行う、その人にあった仲間を、その集団に見合った仲間を必ず連れて来ると有名なブローカーである。
名を義爛と言ったか……。
義爛は映像を見せてきながら語る。
「このステインの最後の慟哭……コレに当てられた前科無数の極悪人や逃走中のネームド……あらゆる犯罪者が興味を持っている、当然この俺もさ……あのステインが所属したっていう組織、
水面下で……悪意の受け皿は整えられている。
職場体験も終えて……日常へと戻っていった。
皆、職場体験で何かしら得た物はあったようで授業が始まる前や休み時間ではそういった話題で盛り上がっていた。
そうして授業はどんどん進み……昼休みを挟んでヒーロー基礎学の時間となる。
今回使用するのは運動場γ。
複雑に入り組んだ迷路の様な細道が連綿と続いている密集工業地帯。
オールマイト先生曰く……今回は職場体験直後って事で遊びの要素を取り入れた救助訓練レースだとか。
5人1組で行い何処かにいるオールマイトへ真っ先に接触出来た者がその組での優勝となり最後に各組での1位でトップを競り合うとか。
くじ引きで組み分けをする様でそれぞれが順次引いて行く。
1組目。
雲居
八百万
麗日
飯田
芦戸
八百万百は『創造』にてどんな物も掴めるアーム機能付きバックパックと脚部バーニアスラスターでの高速移動を行い狭い立地を的確に移動している。
麗日は一度自身を可能な限り浮遊させて高所へと移動し視界を確保し目的地を目指す。
飯田はその足のエンジンを使ってトップスピードを維持しつつ工業地帯のパイプをパルクールの要領でものともせずに走り抜けていた。
芦戸は足裏から弱目の酸を放出して滑る様にしてまるでスピードスケートの要領で地面を蹴って走っていく……。
ブザーの音と共にそれぞれが自身に適切な移動方法を行うが一輪はやはり別格であった。
雲に乗って移動して縦横無尽に駆け巡りスタートから1秒足らずで誰よりも速くオールマイトを視界に捉えると、雲を自在に乗りこなしてオールマイトとの距離を詰める。
そして……スタートから3秒と経過しない内に一輪が1位でゴール、その後に八百万、飯田、芦戸、麗日の順でゴールして行く。
その後の組も続々とゴールしていき……選抜者達の最終レースが行われる。
雲居
轟
爆豪
瀬呂
緑谷
この5人の内1人が最終レース1位の栄誉を獲得する。
配置決めのくじ引きとなり順次くじを引いて行く5人。
それぞれの外壁部からのスタートとなる訳だが場所によっては僅かながら開けた場所や逆に入り組んでいる場所がある運動場γ。
一輪は配管などが1番入り組んだ場所に配置されているが関係がない。
雲に乗って浮遊し即座に距離を稼ぎ……当然の1位を掠め取っていった。
そうして、久しぶりのヒーロー基礎学を終えた後……
更衣室にて女子達が着替えていると壁の向こうから嫌に鮮明な声が聞こえてきた。
ロッカーの隣には何故か貫通している穴が。
「八百万のヤオヨロッパイ‼︎ 芦戸の腰つき‼︎ 葉隠の浮かぶ下着‼︎ 麗日のうららかボディ‼︎ 蛙吹の意外おっぱい‼︎ 雲居のスイカのようなおっぱい‼︎」
聴くに耐えない下世話な内容に女子更衣室の全員が溜息と共に呆れ……覗こうとした瞬間に耳郎のイヤホンジャックが峰田の眼球へと突き刺さり爆音が流し込まれた。
峰田はそう言う下世話な内容に走らなければマトモなのに……。
そうして皆は着替え終わり教室へと戻っていった。
放課後のHRにて。
相澤先生より語られる。
「えー……そろそろ夏休みも近いが勿論の事諸君が30日間ゆっくりと休める道理はない……」
その言葉にクラスがざわめく……。
ざわめきが収まると相澤先生が語る。
「夏休み、林間合宿やるぞ」
その言葉に一気に湧き立つクラス内。
雄英ヒーロー科・夏季休暇個性強化合宿訓練……林間合宿。
2週間の間、合宿を行い集中的に個性を高めて強化トレーニングを行おうという催しである。
ワイワイとざわめくクラス……その直後に発せられた相澤先生の一言で一気に静まり返る。
「ただし‼︎ その前にある期末テストで合格基準点に満たなかった奴は学校で補習地獄だからな? 覚悟して取り組めよ?」
期末テスト……。
林間合宿の前に打ち倒さねばならない強敵が現れるのであった。
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