合宿3日目。
やるべきことは変わらない。
昨日に引き続き個性の強化トレーニング。
……なのだが補習組の動きは緩慢で中には立ったまま意識を飛ばしている者も。
当然相澤の捕縛布がグイイッと巻きつけられ怒られる。
「補習組‼︎ 動き止まってるぞ‼︎」
演習試験で赤点であった5人は合宿中別途補修が設けられており1日目は無かったが2日目から皆が就寝する時間の22時丁度から補習がスタートしAM2時30分まで執り行われていた。
その為に眠気が常に襲ってきている補習組。
それを見て相澤は溜息混じりに告げる。
「だから言ったろキツイって……お前ら5人は
そう一喝して周囲を見回しつつ叫ぶ。
「皆も気を抜くなよ⁉︎ ダラダラやるな‼︎ 何をするにしても常に原点を意識しておけ、向上ってのはそういうもんだ、何の為に汗かいて何の為にこうしてグチグチ言われんのか常に頭に置いておけ‼︎」
そう叫びつつ指導やアドバイスに向かう相澤先生。
そうして訓練は進んでいき……時間は進み昼休憩を挟んで午後の訓練へと戻る。
午後訓練の最中、ピクシーボブが叫ぶ。
「それよりみんな‼︎ 今日の夜は‼︎ クラス対抗肝試しを実行するよ‼︎ しっかり苦労したあとはしっかり楽しい事がある‼︎ アメとムチ‼︎ だから今は全力で励むのダァー‼︎」
その言葉に対してテンションを上げる者とホラーが苦手なのかガクブルと震える者。
一輪は個性の都合上……皆とは離れた位置でトレーニングをしておりダウンバーストや雷雨の制御法、雲山の更なる制御法、雹害や豪雨、雷撃と言った繊細さを要求されるトレーニングしていく。
雲山からは雲である事を利用し雲の内部で発生させた雷撃を応用し眼からビームが放てる様になった。
一輪自身の個性はとても汎用性が高い……広域殲滅から閉所戦闘までなんでもござれであり、特殊な構成の雲を口元に防護マスクの様に装着する事によりある種の防毒マスクの様な役割や濾過装置の役割を持たせる事が可能であり……それは即ち、火災現場のような有毒極まる環境などでも一定以上は戦える事を意味している。
そうして……18:00になり今日の訓練は終了した。
今晩の夕食は肉じゃがである。
自炊していて下処理は手慣れた物であるのか機械の如く鮮やかで正確な下処理を行う一輪。
そうして……夕食を囲むA組の皆であった。
夕食後……ピクシーボブが本日のレクリエーション企画であるクラス対抗肝試し開催を宣言すると芦戸を筆頭に楽しそうな声を響かせる。
が……相澤先生より一点、大変心苦しいがと置きされて告がなされる。
「……補習組は今から俺と授業を行う」
その宣告に……このレクリエーション、クラス対抗肝試しを何よりも楽しみにしていた芦戸が驚愕し悲痛な叫びを上げる。
相澤先生は捕縛布を対象者へと巻きつけて拘束すると理由を述べる。
「日中の訓練が大分疎かになっていたのでこっちを削る……すまんな」
対象者5名はズルズルと捕縛布で拘束されて引きずられながら悲痛な叫びが木霊していく。
「うわぁぁぁ‼︎ 堪忍してくれェェェ‼︎ 試させてくれぇぇ‼︎」
悲しげな叫びは施設に到着するまで響き渡っていた……。
まぁ一悶着あったのだがピクシーボブから今回のレクリエーションであるクラス対抗肝試しの要点が説明される。
「脅かす側先攻はB組、A組は2人1組で3分おきに出発、ルートの真ん中には名前を書いたお札があるからそれを持って帰る事、脅かす側は直接接触禁止で“個性”を使った脅かしネタを披露してくるよ〜」
そう説明が為されて組み分けの為にくじ引きを引く事になったのだが20人から5人補習で強制的に居なくなってしまった為に1人余る結果となった。
くじびきの結果組み分けは以下の通り。
1組目 雲居一輪&八百万百。
2組目 障子目蔵&常闇踏陰
3組目 轟焦凍&爆豪勝己。
4組目 耳郎響香&葉隠透
5組目 麗日お茶子&蛙吹梅雨
6組目 尾白猿夫&青山優雅
7組目 飯田天哉&峰田実
8組目 緑谷
肝試しがスタートされた。
肝試しがスタートして9分後……一輪&八百万ペアは中間地点であるルート真ん中を通過し終わり折り返し地点に到達していた。
八百万さんは脅かしに対して結構な反応をしていたが一輪は肉体的反応はほぼ無く僅かに身体が揺れる程度……。
八百万は隣を歩く一輪と楽しく会話していたが突如として周囲に散布された煙を吸気した瞬間……意識を失い倒れ込む。
倒れ込んだ八百万を見て一輪はしきりに叫ぶが目醒めることはない。
「八百万さん⁉︎ どうしたの⁉︎ 煙……毒⁉︎」
吸気した気体を吸わない様に気をつけつつ敵襲に備えて雲山を呼び出すと即座に警戒態勢を取る一輪。
場面は変わり施設付近ではマンダレイと虎が
ピクシーボブは頭を強く打ち意識混濁の状態にある……イレイザーヘッドは生徒の安否確認及び保護をしに先んじて生徒らの居る方へと……残るブラドキングは施設内に残り生徒達の保護をしている為にマンダレイと虎が眼前の
マンダレイはスピナーと名乗った
「引石健磁‼︎
プッシーキャッツのチームメイト全員が虎考案の我流格闘術キャットコンバットを非常に高い練度で修めている。
特に虎は考案者故にプッシーキャッツ内は元より格闘技をメインにしているプロヒーローの中でも最上位に位置する格闘全般の玄人である、そんな虎のアッパーブローは分厚く硬いコンクリの壁だろうとも難なく破砕する威力を誇る。
そんな虎の掌打や拳打を……マグネと呼ばれた男は完璧に威力を殺して難なく捌いている。
「いやんっ‼︎ 話聞いてよ……私達はっ⁉︎ やだっ‼︎ 危ないわね‼︎」
虎の個性である軟体を活かした変幻自在の蹴り技すらも見切って威力を極限まで殺し受け止める。
見た所……中国拳法の“化勁”を応用した防御技……。
拳打の応酬をしているとスピナーを鎮圧し終えたマンダレイが拳打の応酬へと加わり2対1の状況……にも拘らず決定打を打ち込めない。
パンチやキックを繰り出しつつマンダレイは叫ぶ。
「虎‼︎ おかしいよ……未だラグドールからの応答がない‼︎ いつもなら5秒以内に返事よこすのに‼︎」
プッシーキャッツが装備している猫耳を模したヘッドセット……それは外見的特徴のみ高める物ではない。
マンダレイのテレパスに応答ができる様にそう言う機構を組み込んだデバイスにもなっている為にプッシーキャッツメンバー達はマンダレイのテレパスへ応答する事が可能である。
いつもならどんな緊急時だろうと5秒以内に返答が来るはずなのだが……30秒経とうとも返ってない。
その事象に対して……一抹の不安が頭を過ぎるが今やるべきことを行うマンダレイと虎であった。
合宿地襲撃と時を同じくして……アジトとなっているBARでは死柄木弔が酒を飲みつつカウンターに座っていた。
黒霧は今回の襲撃でのワープゲートを開いてメンバーの帰還を行う要員故に襲撃地点に居るのは捕えられた際にあまりにも不都合故にアジトであるBARに死柄木弔と共に残っていた。
黒霧は45年もののマッカランを楽しんでいる死柄木弔に向けて語りかける。
「……本当に彼らのみで大丈夫でしょうか?」
グラスを拭きつつそう問いかけてきた黒霧に弔は2枚の写真を見ながら返事を返す。
「あぁ、俺の出る幕じゃないよ……ゲームのルールが変わったからな、今までは俗に言うRPG……準備や装備だけが万全で肝心要のレベルは1のまま、そんな状態でラスボスに挑んでたらそりゃあ勝てるわけない……やるべきはカードゲームだったのさ、プレイヤーである俺は限りある手札を用いて知恵を絞り盤面を切り崩して相手を倒す……勝負事に勝つ鉄則は相手の最も嫌がる事をやり続ける事だから、今は嫌がらせの時間だ……超人社会にヒビを入れる、開闢行動隊、雲居一輪、爆豪勝己、八百万百のの誘拐以外のどれもが失敗しても成功しても……如何に対策を講じていたとしてもそれを貫いて
弔は4本目のマッカランを飲み干す2枚の写真を手でクルクルと弄びながら呟く。
それを踏まえて黒霧は静かに語る。
「彼らは死に札ですか?」
言外に使い捨てかと問うてきた黒霧に対して弔は笑いながら返事を返す。
「はっ、馬鹿言え……俺がそんな薄情に見えるか? 奴らの強さも仲間意識も本物だよ……向いている方向はバラバラだが頼れる良い仲間さ……ルールで雁字搦めの社会、抑圧されてんのは俺たちだけじゃない」
そう語る死柄木弔であった。
「八百万さん……呼吸はしている、気絶しただけですが……不味い状況ですね」
一輪は雲山と共に警戒しつつ合宿所へと戻ろうとするが、現れるはマジシャンの様な風体をした
その
「初めまして……私は
言外に、今回の襲撃対象は八百万百、一輪、爆豪勝己であると語りジリジリと距離を詰めてくる
しかし……一輪のブリザードよりも冷たい眼と表情を見てその動きが止まる。
雷鳴が響き渡り、満月が暗雲に遮られ真夏にしては異様に冷たい風が木々を揺らす中で……ゆっくりと一輪が口を開く。
「私は今……虫の居所が悪いんだ、3秒やるから失せろ」
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