入道少女のヒーローアカデミア   作:紅葉紫苑

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必殺技構築

「昨日話した通り、先ずは『仮免』取得が当面の目標だ……ヒーロー免許ってのは人命に直接関わる責任重大な資格だ、当然、資格取得はとても厳しい、仮免といえど合格率は例年3割を切る……そこで君らには1人最低でも2つ、必殺技を作ってもらう」

 

 ドアが開いて入ってくるのは、セメントス、ミッドナイト、エクトプラズム。

 

「必殺‼︎ コレ即チ必勝の型・技のコトナリ‼︎」

 

 そう語るエクトプラズム。

 セメントスが人差し指を立てて告げる。

 

「その身に染み付かせた技・型は他の追随を許さない、戦闘とは如何に自分の得意を押し付ける事が出来るか」

 

 ミッドナイトが髪をクルクルと弄りながら告げる。

 

「技は己を象徴する‼︎ 今日日……必殺技を持たないプロヒーローなど絶滅危惧種よ‼︎」

 

 とりあえず、そう前置きして相澤先生より告げられる。

 

「あとの詳しい説明は実演を交えて合理的に行う為にコスチュームに着替えて体育館γへと集合だ」

 

 体育館γ-通称トレーニングの台所、セメントス先生考案の施設であり生徒1人1人に合わせた地形や物を用意できる所らしい。

 相澤先生より説明が為される。

 

 ミッドナイトより告げられた、凡ゆる能力と多くの適性を毎年違う試験で試されるがその中でも必ずあるのが戦闘能力。

 セメントスより告げられる、状況に左右されずに安定した行動を取れる様になればそれは高い戦闘能力を有していると。

 エクトプラズムからは必ずしも技が攻撃である必要でないとの事。

 例えば飯田天哉のレシプロバースト、一時的な超速移動そのものが脅威である為に必殺技と呼ぶに値する、例えば一輪の操る雲山及び入道雲、これもまた脅威的な自然災害を齎す為に必殺技と呼ぶに値する。

 相澤先生が口を開く。

 

「中断されてしまったが……合宿での『個性伸ばし』はこの必殺技を作り上げる為のプロセスだった、つまりこれから後期始業までの残り2週間あまりの夏休みは『個性』を伸ばしつつ必殺技を編み出す『圧縮訓練』となる、尚……各自『個性』の伸びや技の性質に合わせてコスチュームの改良やサポートアイテムの考案も並行して考えていく様に、プルスウルトラの精神で乗り越えろ‼︎」

 

 そう告げられて一輪を筆頭にA組の皆は気持ちを引き締める。

 


 

 と言っても一輪には必殺技は既にある。

 雲山を駆使した攻撃や積乱雲から繰り出される雷雨や豪雨を駆使した攻撃そのものが相手にとっては致命の一撃足りうるのだ。

 あとは具体的な技名だが……。

 

「別に雲山だけでも技になるんだよなぁ……必殺技……一撃、一撃必殺か、そっちの方面で舵取りしてもいいかもなぁ、相澤先生、あのロボット壊しても構いませんか? 壊してもいい? ありがとうございます……さて『曇天・雷雲の膜』」

 

 そう思案しつつ……許可を取り1つ技を編み出す。

 眼前の0p仮想(ヴィラン)ロボットの複製品(ダミー)14体へと向けて、普段は抑えている力の100%を余さず解放する。

 渦巻く雷雲を対象の周囲にコンマ秒単位で絡めとり捕縛する形で顕現させて対象を飲み込み雲の内部にて強烈な雷と雲そのモノの重さで圧壊するまで圧し潰す。

 つまり、対象を完全に殺し切る技である。

 当然、人間相手には使えない為に非生物相手に限られるが殲滅力、効果範囲、威力、効果時間、射程範囲、精度、どれをとっても現状の一輪の最高峰に位置する。

 暗雲の黒い球がダミーのロボットの全てを呑み込んで音を立てて圧壊、体育祭で見た0ポイントのロボットが手のひらサイズの正方形のスクラップになるまで然程時間はかからなかった。

 あまりの威力に茫然とするクラスメイト達。

 それを見渡して一輪は語る。

 

「……必殺、という言葉があるでしょう」

 

「──え、あ、はい?」

 

 一輪の呟きに困惑する皆に、だが構わず続ける。

 

「アニメや漫画、映画で敵役やヒーローが気安く口にする言葉らしいですが。なんでも、必殺の魔法、必殺の兵器等々──私の場合『雲山』がそう思われているらしいですね。だが──」

 

 苦笑一つ、一拍置いて一輪は暗雲が支配する空中を指さし、告げる。

 

「必殺と呼ぶからには、必ず殺せねば噓でしょう。たとえば──アレのように」

 

 未だにロボットを包み込んでいる僅か数メートルの闇の球体、黒い隔絶空間。

 アレは1体1体のロボットがいた位置のみを的確に呑み込んでいる、即ち……広範囲に散らばっていてもアレと同じ挙動をする事は可能ということ。

 誰もが喉を鳴らした──宣言通り、一撃。

 ──有無を言わさぬ力で逃げ場を断ち──閉鎖空間内での無条件の破壊。

 繰り出した時点で終わるそれはなるほど──正しく〝必殺〟の技だ。

 問答無用。戦闘さえ許さぬ。無条件で全てを終わらせる一撃に、ある者は畏敬の念を抱き、ある者は奮起し、ある者は恐れ慄く。

 何をすれば、何を志せば、アレほどの威力を保つ事が出来るのか。

 一輪は近接格闘術もずば抜けている。

 一撃の威力を重視した格闘術でありその動きは師匠たる聖白蓮のものと非常に似通っている。

 故に体術がメインとなる必殺技を構築した。

 雲山を自分自身に身に纏い、絶大な防御力と同時に絶大な攻撃能力も移動能力を構築、雲の様に軽く羽衣の様な軽い肌触りでありながら爆豪や轟の最大火力ですら簡単にはこの鎧の防護を貫通する事はほぼ不可能な防護能力。

 そして雲山を身に纏うという事は一輪の弱点でもあった雲山が離れるという事象を無くしているに等しい。

 その状態でも雲山の思考能力には影響を及ぼさない為に雲山自身が考えて戦闘する事すらも可能。

 

「ふむ、こちらは……技名はなくていいですね」

 

 そう呟く一輪、一輪は感触を確かめつつ……難儀している常闇の元へと近寄り助言を行う。

 

「やぁどうかな? 調子は……迷っている君に1つアドバイスだよ常闇さん……私が雲山を身に纏う事が出来たんだ、常闇くんの黒影(ダークシャドウ)だって同じ事が出来るんじゃあないのかい? 生まれた時から一緒にいる、言わば兄弟みたいなものだろう?」

 

 そう語ると腑に落ちた様に、パズルの最後の1ピースがピッタリと当て嵌まったかの様に、黒影(ダークシャドウ)を纏い始めた。

 そうして……必殺技の構築は各々進んでいった。

 


 

 そうして……仮免試験当日になった。

 




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