最終試験が開始されスタートから8分。
仮の救護所とした控え室で注射用水レベルに滅菌された水を使い適宜、対処していく最中、救護所としている箇所から数えておおよそ500m先から耳を劈く爆発音と共に現れた
ホークス、レディ・ナガン、ギャングオルカ及びそのサイドキック、そしてミルコに聖白蓮。
錚々たるメンバーが
一輪は雲山を通してそれを見た。
純粋な肉弾戦で聖白蓮に敵う者はそう多くはない。
しかも、彼女の背後にはエア巻物が虹色の光を放ち浮いている。
……つまりは完全に本気であるという事。そしてそれは瞬きの間に起きた。
500mは離れている彼我の距離を1歩で0に詰める驚異的な身体能力で聖は一輪の眼前へと音を置き去りにした移動法を以てして移動する。
そして、一輪の鳩尾に掌底を喰らわせるとそのまま流れる様に襟首を掴んで後方へと無造作に、されど鬼の如く凄まじい腕力で投げ飛ばす。
投げ飛ばされた一輪は即座に雲山を駆使して空中で姿勢を整えるも眼前に迫るは100を超える羽根の大群と30数発もの連続した超精密射撃。
それら全てを、一輪は脅威的な集中が生み出した、時が止まったかの様な錯覚に、まるで自分以外がスローモーションになったかの様な世界の中で……全てを捌き切った。
そして……
最も危険な3人を一輪が単独で相手取る。
暴風と豪雨が世界を支配し雷鳴が鳴り止む事なく轟続ける積乱雲内部。
既に荒れ狂う暴風雨と雷撃で羽根は無力化し毎秒70m以上の暴風が撫でる中での狙撃は余程の
故に一輪が気にかけるのはただ1人……。
師匠たる聖白蓮のみ。
荒れ狂う豪雨と暴風を気にも止めず……エア巻物の効力かは知らないが浮遊している、そして……荒れ狂う暴風雨の世界の中にも関わらず──雲という一輪の支配する世界にも関わらず、眼にも留まらない速度で一輪の眼前に到達し喉へと振り抜かれるは凄まじい速度の殴打。
しかしそれが当たる事は無かった。
当たる直前で聖はその手を止めている、何故? そう思案した刹那……雲山が耳元で囁いてきた。
……ああなるほど、試験が終わったのか。
積乱雲を解除する一輪、ふわりと地上へと降り立ち状況を再確認する。
試験終了を告げるアナウンスがスピーカーから続いていた。
『えー、配置された全ての
着替えて数分後。
巨大な電光掲示板が登場し、壇上の目良さんがマイクを手に取り語る。
、目良さんが壇上に立ちマイクを取り語る。
『皆さん長い事お疲れ様でした、これより発表を行います……採点方式についてです、我々ヒーロー公安委員会と
そう告げられて電光掲示板にバァァァっと一斉に名前が表示される。
自身の名前を探すとだいぶ早い段階で見つかった。
雲居一輪の名前がしっかりと載っておりとりあえず安堵の溜息を吐いて呼吸を整える。
数秒の時間を置いて目良さんが再度語り出す。
『えー全員ご確認していただけたでしょうか? 続きましてプリントをお配りします、採点内容が詳しく記載されておりますのでしっかり眼を通して下さい、ボーダーラインは50点、減点方式での採点ですのでどの行動が何点引かれたのかを下記にズラーっと記載しています……』
そう告げられて一輪は自身のプリントを確認する。97点。
引かれた3点に関しては雲山に頼りすぎな部分がマイナスなだけでありそれ以外は概ね問題のないものであった。
しかし、電光掲示板に轟と爆豪の名前はない、爆豪は口の悪さで、轟は接敵中にも関わらず他校生徒との諍いを起こしそれが大幅減点となり不合格。
『えー……それぞれ確認していただいたと思います、合格した皆さんはこれから緊急時に限りプロヒーローと同等の権利を行使出来る立場となります、すなわち
そうして、一度呼吸を整えて目良さんが語る。
『そして……えー、点数がボーダーラインを下回り不合格となってしまった方々、点数が満たなかったからとしょげている暇はありません、君達にもチャンスは残っています……4ヶ月の特別講習を受講の後、個別テストで結果を出せば君達にも仮免許を発行する予定です今私が述べた『これから』に対応するにはより『質の高い』ヒーローがなるべく『多く』欲しい、一次はいわゆる『落とす試験』でしたが通過した90名はなるべく育てていきたいのです、そう言うわけで全員を最後まで見ました……』
そうして……仮免試験は終了した。
一輪は自身の手に持った仮免許証をスマホのカメラで写真に収める。
ヒーロー活動許可仮免許証。
本名・雲居一輪
ヒーローネーム・クラウディア。
とりあえず合格した事を師匠である聖白蓮と父母へと連絡するととても喜んでくれていた。
そうして……仮免試験は終了したのだった。
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