2日目午前、みっちり詰め込まれた5教科の授業を終えると、お昼休みとなり昼食の時間となる。
一輪は自炊しているので教室で持参したお弁当を開ける。
今日の昼食は白米に鮭の塩焼き、筍の含め煮、昨晩残ったかぼちゃの煮物数個。
手を合わせて『いただきます』と呟きいざ、食べようとした際に……耳郎さんが来て一緒に食べないかと提案され快諾する一輪。
趣味や雄英に入るまでに行なった過去問題集などの話題、そして雄英の勉強かなり難しいという話題などで話が盛り上がって……気付けばお昼休み終了5分前となっていた、いやはや……楽しい時間が過ぎ去るのは早いものだ。
午後はヒーロー基礎学、オールマイト先生による戦闘訓練。
授業開始の鐘が鳴り響きオールマイト先生が入室してきた。
「今日はこれ‼︎ 戦闘訓練‼︎ さて、入学前に送ってもらった『個性届け』と『要望』によってあつらえたコスチューム‼︎ 着替えたらグラウンドβに集合だ‼︎ 格好から入るのも大切な事だぜ少年少女‼︎ 自覚するのだ‼︎ 今日から自分はヒーローなんだと‼︎」
女子更衣室にて着替えをする一輪。
一輪のコスチュームは一見すると尼さんを思わせるデザインとなっていた。
頭には紺色に染められた裾にギザギザの切れ込み入り頭巾を被っており上着は主張の少ない雲のように白い長袖の上着。
スカートは、上は純白、裾周りの部分は藍色の2色に分かれていて、色の境目は富士山を思わせる様な紋様が施されている。
そして灰色の靴下とガラスなどを踏んでも大丈夫な様に踏み抜き防止の鉄板が入った黒いコンバットブーツを履いている。
準備を済ませてグラウンドβへと向かう一輪。
そうして……集合するA組の皆。
オールマイト先生より訓練の内容が語られる。
「さて‼︎ 今回は屋内での対人戦闘訓練を行う、
蛙吹さんがオールマイトの言葉に対して基礎訓練も無しに? と至極当然の質問をするがオールマイト先生はその基礎を知る為の実践さ、と告げてきた。
付け加えるならば今回は初の対人戦闘……ぶっ壊せば戦闘不能になるロボットじゃないのがミソだとか。
そうして、オールマイト先生より説明が告げられる。
制限時間15分、
ヒーローチームは『
5分間は
ペア決めや対戦相手はくじ引きだとか。
一輪はくじ引きにあまり良い思い出が無い……大概、何故だか凶や大凶を連続して引く程にくじ引きに関しては運がない。
くじ引きの結果……耳郎響香さんとペアで
そうして戦闘訓練がスタートして記念すべき緒戦。
……なのだが……初戦の爆豪さんと緑谷さんの戦いはあまりにも観る価値が無い……爆豪さんの私怨丸出しの暴挙に対して緑谷さんも同様。
麗日さんに至ってはパッケージとされている核爆弾があるのに浅慮とも言うべき乱雑な攻撃。
それらの総評を推薦入学者の1人である八百万百が手厳しく語る。
そうして……順々に訓練を終えていった。
残す所……最後に残ったチームは……。
ヒーローチーム、轟焦凍&八百万百チーム。
観戦モニターを見ているクラスメイト達の関心は個性把握テスト殆どの種目で凄まじい成績を叩き出した一輪。
そして推薦入学者2人が一緒の組分けになったという事に関心が寄せられる。
先んじてビル内に入っている一輪と耳郎は互いの個性を簡易的ではあるが説明し合う。
「私の個性は『入道雲』……雲を自分の周りに生み出したり、雲の硬度や体積と言った性質を変化させたり、雲そのものと雲に纏わる全ての事象を自由自在に操る事が可能な個性です……あと、これは常闇踏陰さんの個性に近しい物を感じると思いますが私には『雲山』と言う……アチラと似た様に明確な自我と高度な知性を持った存在が居ます」
そう語ると……耳郎さんはあまりの驚きで口をパクパクと動かしていた。
5秒ほどしてもカッチコチに固まっていた為に一輪が呼びかけつつ耳郎さんの眼の前で手を振るとハッと覚醒して叫ぶ。
「個性強すぎでしょ⁉︎ 雲山ってアレだよね⁉︎ 個性把握テストで呼んだら一輪の背後に現れたヤツ‼︎ アレだけだと思ってたのに……雲そのもの⁉︎」
驚きで口をパクパクと動かして声なき声を響かせる耳郎さん。
試しに雲山を呼ぶと一輪と同じ姿形で耳郎さんと一輪の間に現れて会釈をしてきた。
あまりの事に驚きつつも耳郎は会釈を返して雲山へと挨拶を行う。
しかし、雲山からの返答はない。
それに対して一輪からの補足が入る。
「常闇踏陰さんの個性と同様に会話も可能なんですけれど……何故だか私以外とは恥ずかしいのか喋ろうとしないんです……ごめんなさい」
シャイなんですかねぇとぼやく一輪。
あまりの高スペックに若干の驚きを感じつつも耳郎は気を取り直して自身の個性を説明する。
「ウチの個性は……これ、イヤホンジャック……プラグになった耳たぶを挿すことで自身の心音を爆音の衝撃波として放つことができる、左右それぞれ10mまで伸ばす事が可能で最大の直径は20m……壁などに挿して微細な音を探知することもできるから見えない相手の索敵などにも使える、この程度の分厚い壁があろうと問題無く聞こえるよ……で、それに加えてコスチュームの特製スピーカーブーツを装備することで爆音の範囲、指向性を操作出来る」
それを踏まえて……一輪は作戦を立案していく。
そうして、5分が経過してヒーローチームが乗り込んでくる。
一輪の建てた作戦は専守防衛。
この部屋に留まってひたすら防衛に徹する。
実質3VS2の戦い、数の上では勝っており数の利を捨てて索敵や斥候に出向くメリットなど一切ない、遊撃を戦力を分散させるのも各個撃破の要因になり得る為に無理。
その為に……部屋に留まっての専守防衛策を講じた。
始まって10秒経過するがイヤホンジャックにも天に広がる雲山の眼を通して得る一輪の視界にも何も映らない、映るのはビルの外壁にポンと手を置いている轟焦凍の姿のみ。
何をするのか不明だが、そう思案した……刹那……ビルが一棟丸ごと氷漬けにされて一輪は両脚が太腿まで氷漬けに、耳郎は膝をついてイヤホンジャックを床に挿していた為に下半身とイヤホンジャック2本が全体の半分程氷漬けにされる。
一気に身動きがとれなくなった……普通ならば泣いて許しを乞うだろう。
なんせ動けないのだから、ガチガチに氷漬けになり凍傷も視野に入れておかねばならない……。
だが、氷漬けになっている一輪から勝ちを貪欲に求め滾る眼差しは光を失っておらず……それは又、耳郎響香とて同じであった。
氷に自身の爆音を与えて砕き割るとそのまま立ち上がってイヤホンジャックを氷に突き刺して振動音や環境音から索敵を開始する。
一輪はと言えば雲山が氷を砕き割って脱出させており既に自由な身となっていた。
首をコキッと鳴らして耳郎に目線のみで言葉を告げると耳郎の方もイヤホンジャックと視線を器用に使い無言で言葉を交わし合う。
そうして、暫しそれを続けてやり取りも終えたのか一輪は作戦を継続する。
即ち、専守防衛を継続する。
ビルを凍らせて……相手を封じてから乗り込む。
それは良い作戦だ……尤も……相手の個性をほぼ知らない状態でなければという枕詞が付くが。
索敵している耳郎さんがあと5〜8秒程度でこの部屋に向かってくると一輪へとハンドサインで語ってくる。
そうしてちょうど5秒経過時点で突入してきた轟焦凍と何かの武装を携えた八百万百。
降伏を促される……だがそんなの聞くわけがない。
「まだこちらは無傷に近い……何よりも、勝てるゲームを捨てる
そう語ると……轟は軽く舌打ちをして核兵器を巻き込まない様に気を付けつつ凍氷を放ってくる。
しかし、先程はある種不意打ちで喰らった様なもの。
轟の個性はその特性や性質上……見えていればクラスの中でも特別、対処は簡単で……身構える必要のない部類に入る。
氷が再度耳郎と一輪の2人の身体を包み込んで束縛しようとした刹那……雲山が氷を砕き割る。
そして、そのまま拳を形作った雲山が轟の鳩尾に一撃入れて気絶させると八百万百の事も即座に気絶に追い込むのであった。
それを見ていたオールマイト先生からの戦闘訓練終了の合図が響く。
そうして、初の戦闘訓練は勝利で飾ったのであった。
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