入道少女のヒーローアカデミア   作:紅葉紫苑

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雄英体育祭

 5分程して……泣き止む一輪。

 そうして……もう一度墓前に手を合わせて経を誦じる。

 すると、背後から声をかけられる。

 

「一輪……事情は聞き及びました、貴方が望むなら此方で遺骨を回収して無縁塚へと移動させましょうか? 其方のお三方は初めまして……命蓮寺の住職を務めております聖白蓮と申します」

 

 そう語るのはこの寺……命蓮寺の住職である聖白蓮である。

 一輪はその言葉に対して……考えつつも肯定の意を示す。

 腰まで伸ばした金髪に紫のグラデーションが入ったロングウェーブに金色の瞳……服装は白黒のゴスロリ風のドレス姿に表地が黒・裏地が赤のマントを羽織っており黒いブーツを履いている女性。

 僧侶でありながらプロヒーローとしての資格も有しているが積極的に活動しているのは主に僧侶としてである。

 一輪の近接格闘術の師匠でもあり……兄を亡くしたばかりで自暴自棄になりかけていた所を救われた。

 そして……8歳の頃から母親の許可の下……雄英高校入学まで命蓮寺に住み込みをしてその傍らで近接格闘術の訓練を付けて貰っていた。

 その時に聖の読んでいるお経を聞いていく内に自然と全文を憶えた為に今では完全に暗記しており誦じる事など慣れたものである。

 なお、一輪が聖との近接格闘術模擬戦、実戦を見据えた戦闘訓練、白蓮との実戦形式の戦闘訓練、それら全てで勝てた事は未だに一度たりともない。

 惨敗しており全敗記録を今もなお更新中である。

 一輪から見た白蓮の強さは未だ頂上どころか麓すら見えておらず夢にも勝てると思えた事はない。

 聖から一輪との関係性を語られると相澤やマイクは何処か納得する。

 見た目からは考えられない程に鍛えられており徒手格闘や近接格闘の練度があまりにも高かったのはこれが理由かと。

 そうして……遺骨の移動手続きを進める為に、この場を後にする聖。

 一輪もそろそろ暗くなってきたと言う事で帰宅する事になりミッドナイトが車を運転して家まで送ってくれる事となった為にお言葉に甘える。

 ミッドナイト先生の車である幌付きオープンカーに乗り込み……家までの時間でミッドナイト先生から兄の思い出を聴かせてもらう。

 同級生だった相澤先生や山田先生では知り得ない話を聞けて……一輪の表情には少しではあるが笑みが戻っていった。

 自宅であるアパート前に到着するとミッドナイト先生へお礼を告げて降車し家へと入る。

 靴を脱いで、お風呂に入り簡単な夕食を食べると……そのまま眠ってしまった。

 


 

 そうして、休日が明けて朝のHR。

 相澤先生から告げられる。

 

「雄英体育祭があります」

 

 その言葉に沸き立つクラス。

 雄英体育祭といえば一大イベントである。

 一輪も兄や相澤先生が出場していた頃の録画を何十回と見直したものだ。

 しかし同時に懸念点もある。

 

 (ヴィラン)の襲撃を受けたのにも拘らず体育祭開催など色々と大丈夫なのだろうかという当然の疑問。

 それに答えるのは担任である相澤。

 

「逆に開催する事で雄英の危機管理体制が盤石だと世間に示す……って考えらしい、一応警備は例年の10倍に強化するそうだ……そして何よりも雄英の体育祭は最大のチャンスだ、(ヴィラン)ごときの襲撃で中止していい催しじゃねぇ……ウチの体育祭は日本のビッグイベントの1つ……プロヒーローもスカウト目的で観にくるからな? 当然名のあるヒーロー事務所に入った方が得る経験値も話題性も高くなる……時間は有限、プロに見込まれればその場で将来が拓けるわけだが年に一回合計3回だけの僅かなチャンス、チャート上位ヒーロー目指すなら絶対外せないイベントだ……心して挑めよ? じゃ……授業開始」

 

 そう告げられて……授業が開始された。

 みっちり詰め込まれた授業、英語に至ってはかなり難しい文法や応用が普通に出てくる。

 そんなこんなで4時間目が終わってお昼休み。

 お弁当を広げる一輪、今日の献立は鶏もも肉を焼いた物、白米にごま塩、もやしのナムル、カボチャの煮物である。

 食べようとすると耳郎さんが覗き込んでおり少量を分け合わないかと提案がなされる。

 どうやら……この前食べたかぼちゃや鶏肉のあまりの味の良さに感動したらしい。

 快く了承して、新品の割り箸で耳郎さんのお弁当へと自身のお弁当箱から分ける一輪。

 そして取っても問題なさそうなおかずをほんの少しだけ取る。

 耳郎さんのお弁当は鯖の塩焼きがメインで里芋で煮物があった、耳郎さんの許可を得てから里芋を1個貰い食べる、美味しい。

 お弁当を食べ進めつつ話はやはりと言うべきか雄英体育祭に移る。

 ……そんな話を進めていると予鈴が鳴り響いた為に次の授業の準備を行う。

 ヒーロー基礎学、今回の訓練は個性禁止の近接格闘訓練であった。

 

 放課後。

 

 出入り口のドアの周囲には唯一の出入り口を他科の生徒達に塞がれており出れない。

 一輪はぴょんぴょんと飛び跳ねながらそう語る、一輪の身長は150センチ台、小さくもなく大きくもない身長なのだがいかんせん周囲が170〜180センチある人間ばかりのために何が起きてるかが見えないので跳躍しつつドアの周りを見る。

 

「……出れないし見えない……何? 何が起きてる?」

 

「どうせ敵情視察だろ、くだらねぇ……邪魔だ、退けよモブ共」

 

 棘がありまくるキツい口調で扉の前に固まっている集団へと告げる爆豪勝己。

 人混みを押し分けて前に出てくる普通科と思しき男子生徒。

 男子生徒が口を開く。

 

「どんなもんかと見に来たけど随分と偉そうだなぁ……ヒーロー科に在籍する奴は皆こんななのかい? こう言うの見るとちょっと幻滅しちゃうなぁ……体育祭のリザルトによっちゃ、ヒーロー科への編入も検討してくれるんだってさ、知ってた? その逆も然りだそうだ……敵情視察? 少なくとも俺は敵情視察じゃなくて、調子乗ってると足元ゴッソリ掬っちゃうぞって宣戦布告をしにきたんだけれどな」

 

 そう語る普通科の生徒を無視して出ていく爆豪勝己。

 一輪も空いたスペースからこれ幸いと爆豪に続いてテクテクと歩いて帰宅していく。

 そうして、2週間という長い様で短い期間があっという間に過ぎ去り、遂に雄英体育祭の当日を迎えた。

 主席である一輪が選手宣誓をする事となり一輪はマイクを持ち語る。

 

「1年A組雲居一輪です……体育祭、楽しんでいきましょう‼︎」

 

 そう選手宣誓が行われて……雄英体育祭がスタートされた。




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