入道少女のヒーローアカデミア   作:紅葉紫苑

9 / 30
第1種目・障害物競争

 選手宣誓が終わった直後、ミッドナイト先生より第一種目が発表される。

 

『障害物競争』と発表されスタート位置に着く、スタートランプが点灯して開始が為される。

 合計11クラスでの総当たりレース……220人が同時には絶対通り抜ける事が不可能な幅で構築されたスタートゲート。

 ギッチギチに詰め込まれている為にスタート地点そのものが……最初に振るい落とす関門となる。

 それを踏まえて動いたのは轟焦凍。

 地面を凍結させ自身以外の全員の動きを封じ込める。

 しかし……轟と同じクラスの皆は当然としてかなりの生徒が凍結を避ける。

 雲居一輪も当然ながら回避していた者の1人。

 最後尾に位置取りして轟の凍結の被害を限りなく低減させてスタートと同時に雲を自身の斜め前に生み出す。

 それを掴んで跳躍してそのまま雲に胡座の様な状態で座り込む、時速80km程度のスピードを出して10m程の高さに浮かんだ雲をジェットコースターの様に滑走していく。

 最後尾から一気に全員をごぼう抜きして第1関門である多数の0ポイントギミックと入試の際にも見かけた1〜3ポイントのギミック達へと辿り着くも一輪からして見れば案山子同然である。

 入試の際にも感じた事だが、1〜3ポイントのロボットはさて置き……50m〜60mある大きさの巨大ロボのセンサーは超高速で動く1cm程度の微細な目標を感知できる様にはなっていない。

 0ポイントから振るわれる鉄の(かいな)を雲に乗りながらスイスイと回避しつつ全0ポイントギミックの内部へと浸透させた雲を用いて内側から一気に破壊していく。

 凍結、暴風、雷雲、雹が0ポイントギミック内部から一気に噴出して損壊していく。

 それを尻目に更なる猛スピードを以てして移動しようとしたが地上付近から一気に噴出する爆破や氷壁を硬質化させた雲を盾にして凌ぎつつ先を急ぐ。

 更なる猛攻が降り注ぎ……いや、天を衝く勢いで天上へと齎されるが一輪はそれらを雲に乗りつつ悠々と回避し……そのままの勢いで一輪が真っ先に第1関門を抜けて第2関門へと辿り着く。

 そこで実況のマイク先生が放送用マイクを片手に熱い実況を繰り広げてきた。

 

『此処までの関門を雲を移動や防壁に使い自由自在に駆使して難なく……グスッ……難なく突破しているのは雲居一輪だァァ‼︎ さて‼︎ 続くは第二の関門‼︎ ザ・フォール‼︎ 落ちれば奈落の底だ‼︎ 落ちたくなければ這いずりな‼︎』

 

 一輪が雲に乗り高速移動をする姿を見てマイク先生が……兄の事を思い出したのか一瞬だけ涙ぐみ嗚咽が混ざるがすぐに実況としての仕事を再開していた。

 よくよく見れば相澤先生も肩を震わせつつ何処か懐かしそうに一輪を見ていた。

 さて、一先ず連発される氷壁や爆破、テープや峰田から投擲される謎の玉……それらを回避しつつスイスイッと第2関門を突破しようとしたが空中を行ける個性持ちの対策もしていたのか強烈な爆音と閃光を齎すドローンと網を射出してくるドローンが一輪へと襲いかかる。

 時間差で出撃していくドローンに対して上からも下からも妨害で埋め尽くされる一輪だがその表情に翳りはない。

 ドローンを全て雲で包みこむとそのままギュッと力を込めて内部に取り込んだ全てのドローンを圧壊させる。

 雲はその見た目からはとても想像できない程に重い……水や氷の集合体なのだから当然と言えば当然なのだが問題なのはその重さである。

 小さな積雲でも数百キロから数トン、巨大な積乱雲にもなると更に重さが跳ね上がり数百万トンにもなる。

 これは、雲を構成する水滴は空気より軽いがその体積が非常に大きい為に結果として総重量は想像以上に重くなる為。

 例えば、1立方キロメートルの積雲には約500トンもの水が含まれると計算され、巨大な積乱雲なら100万トンを超える事もある。

 当然ながら一輪が操作する雲は重量まで操作可能である為に500トンの雲をそのまま相手にぶつけたりする訳ではない。

 ……上からも下からも苛烈な妨害が重なり……流石に厳しくなってきた一輪。

 このままいけば追い落とせると、後続の誰もがそう考えた……。

 しかし、その目論見は甘かったのだと、その場の全員が一瞬で現実に引き戻される。

 

「雲山‼︎」

 

 そう叫んだ一輪の背後に……純白の雲で覆われている女性のような顔付きの表情をした頭部と、人間で言う所の肩から手までの部位のみ雲で構成された、自我と高度な知性を持つ雲が顕現する。

 雲山はその拳を振り抜くと一輪の周囲に存在していたドローンは言わずもがな、下からの爆破や氷壁は跡形もなく砕かれる。

 雲山は相方の一輪を護りながら戦う一風変わった戦闘スタイルを持つ。

 構成する身体も雲故に凡ゆる攻撃が通用せず……凡ゆる個性も攻撃も無意味。

 相澤の『抹消』ならば一輪自身を見れば消せるかも知れない、だがごく一部の例外たる相澤の『抹消』も雲山が一輪自身を視界に入らない様に立ち回る為に相当厳しい。

 妨害全てを叩き落として第二関門を突破した一輪。

 そのまま最後の第3関門へと突入する。

 4kmの内、半分以上を占める2.8kmに渡り埋設された地雷原が最後の関門。

 だが、空を飛べる個性や浮遊できる個性持ちに対しては無意味。

 しかしながらそれを許さないのが先程よりも更に数が増えているドローン。

 先程のドローンとは異なり円盤型でスペックや装備が拡充されたソレから放たれる妨害や質も量も段違いとなる。

 網で絡め取ったり、強烈な音と閃光を発して平衡感覚を狂わせたり……果ては取り付けられたグレネード射出機で的確に撃ち落としてくる。

 グレネードも殺傷能力自体は極限まで抑えられているがその分衝撃に特化しており爆音なども含めるとかなり理に適った妨害と言える。

 雲山を行使している一輪はいまだに一位の座にある。

 だがドローンにどういうプログラミングがされているかは知らないが空を浮遊している一輪へ集中的に集ってくる。

 舌打ちしながらドローンや射出されているグレネードの無力化、そしてクラスメイトやB組達による下から一気に噴出してくる妨害を纏めて吹き飛ばすのに相当な手間と割に合わない苦労を強いられる。

 雲山が拳を形成して全方向へとラッシュを叩き込むとようやく大方のドローンを排除し終わり一息吐く。

 そして……そのまま一瞬の隙を突き航行速度を上げていき時速90km程度の速度でゴールを潜る。

 その瞬間、プレゼントマイクが叫ぶ。

 

『序盤から圧倒的な機動力と‼︎ 妨害をものともしない驚異的なタフネスで一位の座をキープし続けた雲居一輪が‼︎ 最速でゴールへと到達したァァ‼︎』

 

 そう叫んだマイク先生の実況を聞きつつ……障害物競争は一輪の1位入賞で決まり、その後も続々と順位が確定していった。




低評価付いてしまった、悲しみ。

この悲しみを癒す為に評価8.9.10を投げてくれると続きを書く励みになります

評価付与 お気に入り登録 感想

劇場版は読みたいですか?

  • 絶対読みたい
  • 読ませろ
  • 要らん
  • そんなもん書くなら本編書き進めろ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。