後輩は大人気VTuber   作:高宮 八郎

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【切り抜き】重稲銀輔とその周辺に対する反応集

<権藤通>

【雑談】ちょっと語ろうや【早朝トーク】

 

「重稲かー。あいつの評価は難しいな。新人と呼ぶには4年目だし、かといって個人勢の大物だったかというとそうでもない。中堅? この業界どこからどこまで中堅なのか難しいが……あえて言うなら中堅か。いや、数字的にはまだ新人の域を出ないな」

 

「ただまあ初コラボでこっちが驚くぐらい場慣れしてたのはあれは多分、配信外でなんかゲーム仲間たちが居るんだろうさ。素人と呼ぶにはボイチャ連携に慣れすぎだったからな」

 

「配信外に仲間がいるのは別に珍しくはないだろう。もともと金稼ぎをするつもりも無かったみたいだしな。まああのアホがべったりと張り付いて引きずり出されたようだが」

 

「執念だよな。雨後の筍のごとく湧いてくる新たな配信者を全部チェックしてた……のかどうかは、本人のみぞ知る話か。何年離れてたのかは怖くて聞けて無ぇ」

 

「歌は上手いんじゃないか? いやカラオケレベルでしか歌わない人間に評価されても向こうも困るだろ。インディーズ飛び越してメジャーで、人生初のCDが初週15000枚は普通にやべーと思うぜ、お互いしっかり周知してたみたいだし、小金丸サキと重稲銀輔のコンビがそれだけ期待されてたって話だから。真の評価が出るのは次だろうがな……」

 

「流石にやっこさんも動揺していたみたいだったが。それを表に出してない……出してたか? 俺は配信チェックしてないから知らん」

 

「ああ、そういや配信休みにしてたんだった。ああいうところは場慣れした社会人の部分が出てるよな。あの頃ちょっと裏で話す機会があったんだが、精神的に不安定なので一息入れるって言ってた気がする。言うは易し、だぞ。まあ俺たちはグリーンだから配信しなけりゃ飯が食えない人間じゃない、にしてもだ」

 

「逆に新人配信者だったからこそ休めたのかもしれねえな。これが俺だと、配信の収入の比重のほうが重くなってるから、ちょっと勇気がいる」

 

「ストリボはちょっと申し訳ないことをしたなとは思ってる。あいつにもプランがあったろうに、結局スーパーに貼り付けにさせちまった。まあ本人は輸送マシーンをある程度は楽しんでたみたいなのが多少は救いか」

 

「最終日は多分グダるのが目に見えてて嫌だったんだろうな。撃ち合いがしたいだけなら個人でだって出来たわけだし。後で見たけど個人でひっそり山に登って終戦してたな……こう、コメントに困る終わり方だ」

 

「まあグレスタは同期という概念がない故のしんどさってものがな、お前らが思ってるよりは結構あってな。その辺は我々も良く知ってるから、なるべく後輩に目をかけてやろうとは思ってるぜ」

 

 

 

<穂村炎心>

【祭りの後語り】深い悲しみに包まれた

 

「いやはや楽しい祭りの後というのはどうしても深い悲しみに包まれてしまいますな。行きずりの友と別れる寂しさは何度経験しても慣れませぬ」

 

「拙僧一期一会を旨とする者にて、此度の祭りも良き出会いに恵まれたことを誠に感謝せねばなりませぬ。まずは権藤殿ですな。拙僧の如き色物の性根まで把握している日頃の業界への視線、適任とみるや否や即座にタクトを預ける胆力、なるほどこれが格の違いかと再認識した次第でございます。毎度呼ばれているのも頷けますな。権藤殿がおらねばあの世界の資源はどうなっていたことやら……」

 

「重稲殿は……気性に、幾分か拙僧と似たところがあり申したな。ガソリンスタンドなどというのは毎回暇人が暇つぶしにやる程度のものなれど、今回は試験的に自動補填を切って開始したようで。もっとも、初日から見込みは外れ、結局いつも通りの自動補填に戻ってしまいましたが。あそこで輸送屋が健全に燃料管理シミュレーションをできていたらどうなったかは、一考の興味がありますな」

 

「僭越ながら、終了後に重稲殿の配信をひととおり覗かせていただいたところ、配信画面の9割程度は輸送移動中の画面でしたな。あれで視聴者が離れないのもまた巧みさというべきか、固定層をがっちり掴んでいるというべきか、さてはて」

 

「我ら稲と穂で稲穂コンビ、いずれまた相まみえましょうぞと約束したまでは良かったのですがな。どうやら重稲殿はゲームと本業に加え音楽と、三足の草鞋を履いておられるご様子。グレートスターズのああした力強さは……真似したいとは思いませぬが、時折羨ましいと思うことは無いでは無いですな」

 

「まあ、お互い腰を据えたゲームを好む同志、どのように実現するかはいささか難しいところ。戦略ゲームなど一度の配信で終わるものではございませぬから」

 

「これは相手のあることゆえ、いつ実現するか、何をするかは現状全く白紙であることをご理解いただきたい。うーむ……BOZUなどに誘うしかないですかな」

 

 

 

<栗花落遥>

【雑談】室坂無双!【平然と完投】

 

「いやー昨日の室坂さんは凄かったですね。9回115球1失点で完投。なんで9イニング投げて120球を割ってるんですか……」

 

「ええ、まあ、確かに、重稲さんの配信にはお邪魔していました。――――重稲さんを知らない人も多分多いのでご紹介すると、昨日の室坂さんの投球を同時視聴配信されていた配信者の方です」

 

「野球自体はそれなりに知識がおありのようでした。一方、なんで配信してたかというと、室坂さんと個人的なお知り合いらしく。グリフォンズファンだとか、NPBファンだとか、そういう方ではないようです」

 

「逆に言えば染めがいがありますね! 甲子園なんかはよく見られていたらしいです」

 

「いえ、私は特定球団の推しとかはないので。むしろ野球だけのファンでもありませんよ。球技どころか、マラソンでも競馬でも面白そうなら食いつきます」

 

「あの後ちょっとお願いして、少しだけお話しする時間を作ってもらいました。ええまあ、チャットですよチャット。やりとりを配信に乗せられないのはしょうがないでしょう、お互い応援球団や応援選手のあれこれでひょっとすると喧嘩になるかも、と警戒していたんですから。考えが同じだったのは笑いましたけど」

 

「重稲さん個人についてですか? うーん、そんなに長い間お話ししたわけでもないんですが……良くも悪くも、グレスタらしい人、という感じでしたね。いや、あれは兼業だからなのかな? どうしても専業でやってると、配信での影響力とか収入とかそういったものを重視していかなきゃ駄目なんですが、兼業の皆さんは社会人だからなのか落ち着いていらっしゃいますし、自分の筋が通っているというか芯が通っているというか」

 

「……優先順位がはっきりしている、が一番適した言葉かもしれません。自分のやりたいことが最優先で、お金は二の次、知名度はさらにその次、みたいな。もちろん権藤さんぐらいまでくると流石にままならないケースも出てくるんでしょうけどね」

 

「これはコラボにおいてはメリットにもデメリットにもなるんですよ。私たち専業VTuberは、極端に言うとバーチャルアイドルみたいな感じじゃないですか。歌も踊りもそうですが、テレビのバラエティみたいな企画をやったり、かと思えば流行のゲームに手を出さなきゃならなかったり。あえて言うなら薄く広く。グレスタさんは、個々人で言うと狭く深く」

 

「なので、グレートスターズさんという箱自体を相手にした取引って実は結構やりやすいんですよ。……なんと小金丸サキさんとのコラボを取り付けてきちゃいました」

 

「あはははは、そうです、ご想像の通り。重稲さんに繋いでもらいました。いや、正確に言うと先方から仰ってくれたんですが。まさかという感じでしたよ」

 

「日程はまだ調整中なんですが、ちょっと先の話になるかも? まあ、コラボすること自体は公表して良いとは言われてるので、余程のことがない限りは覆らないかと」

 

「……想像しただけで緊張してきました。でも重稲さんも言ってました、持つべきものはコネだ、って。笑われないように今から頑張ります」

 

 

 

 

<小金丸サキ>

【定期】おはなし【雑談】

 

「"やまびこの夢"初週15000枚! イェーイ!」

 

「権藤さんも言ってたみたいですけど、この数字普通に凄いです。普段このくらいなので麻痺しちゃってましたが、先輩とペアで出す歌、って周知してて同じ売上が出たってことは、ペアの需要もソロと同じぐらいあるってことですからね!」

 

「昔作った曲には、もちろんお互い一人で歌う曲もありますけど、だいたい2人で歌う曲が多いです。これから順次出して……出せたらいいなあ」

 

「先輩が凄くこだわってて、まだ完成してない曲が一個だけあるんですよ。僕としては、2曲目をそれにしたいんですけど……現状だとちょっと無理そうかも」

 

「普段の先輩ですか? 皆さんの前に出てる姿とあんまり変わらないと思いますけど……基本的には丁寧っぽさを装ってますけども、僕と会話してるときのほうが多分素に近いです」

 

「言葉でも容赦なく殴ってきますけど、なんか気づいたら飴と鞭で転がされてるというか……。いや、言葉じゃない暴力を受けたことは無いですよ!」

 

「ほんとですって! DV彼氏に依存してる彼女みたいな言い草は心外ですよ!」

 

「え? 付き合っては無いですよ。今は。将来は知りません。未来の事なんて誰にも分かりませんからね!」

 

「ガチ恋の皆さんには……これ何度も言ってますけど、リスナーにとって僕は画面の向こうに存在する絵であり、同時にひとりの人間です。僕に恋するのは勝手ですけど、僕が誰を好きになるか嫌いになるか、どのように生きるかは僕が決めます」

 

「え?ガチ恋なんかいねーよって? それは僕には知りえない情報なのでなんとも」

 

「昔の曲は全部世界に向けて発信したいし、今しか作れない曲だって絶対あるはずなんです。それらが本当に欲しかったものだと知るのに、ずいぶん遠回りしましたけど」

 

「青春……青春の次って何でしたっけ、夏のやつ」

 

「朱夏? なるほど。昔の曲を青春とするなら、今から作られる曲は朱夏の曲……じゃないですね。壮年期は流石に言いすぎです」

 

「いえ、新曲はひとっつも作れていません。まだ先の話です」

 

「あと少し、あと僅かであの鳥は飛ぶはずなんです。僕らに何が足りないんだろう……」

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