いつか必ず向き合わなければならない問題を、強制的に解決させられた。
まったく、あの思い切りの良さと行動力の高さには感心する。
俺がやるべきことは、隠し通すことだ。
まあ……普通に考えて、サキからバレそうな気がするのだが。
「皆様、聞こえていますか? 重稲銀輔です」
・O K
・こんばんは
・O K
「本日は巨人が進撃するゲームの2FBをやっていこうと思います」
・アレか
・昔完結してなかったっけ?
・最後までやってたよね
「はい、一応FBのストーリーモードの最後まで全部クリアしています。なので今回からはやり込みの域ですね。トロフィーのうち埋められそうなものを埋めていこうかと」
・なるほど
・図鑑が一番めんどい
・いや好感度だろ
「あの後少しだけプレイしまして、現在の装備はこちらになります」
画面に、マイキャラクターとその装備を表示させる。
「角度補正無視でごり押しできるシルバーソー。
特殊効果は無いですが、ブレード本数の多い新型鞘。
ワイヤー射程に特化したフルムーンギア。
セット効果なんて1ミリも考慮されてませんが、自慢のカスタムです」
・相変わらず装備のチョイスが独特
・絶対に楽をするという強い意志を感じる
・ギアだけ強化されてないな
「ああ、ギアを強化してないのはわざとです。強度はともかく、巻き取り速度が速すぎるとボタン押すタイミングが狂うので」
言いつつ、最高難易度のフリーミッションに出撃する。
このゲームを雑に解説するなら、ハイスピード3Dアクション無双ゲーム、だろうか。
人気漫画の原作ストーリーの前半部分をなぞるように追っていくのだが、無双ゲームとしてもなかなか良くできている。
残念な点としては、漫画の展開の都合上、絶対に続編が出ないであろうことだ。
「さて、狩り尽くしますか」
・駆逐してやる!
・はっや
・こんなスピード出るんだ(初見)
巨大な樹木の表面にワイヤーアンカーを突き刺し、ワイヤーの巻き取り機構によって高速な三次元機動を実現する。ガスによる追加噴射もできるが、装備が高性能なのでワイヤーを刺して巻き取り、の動作の反復だけでもかなりの速度が出せる。
人間の何倍もある大きさの巨人をロックオン後、素早く背中側に回る。
首の裏側にワイヤーを突き刺し、巻き取られるままに接近してうなじを削いだ。
「一丁あがり」
・手慣れすぎ
・GOOD
・軌道の描き方がベテランなのよ
・よう木に突っ込まずに動けるもんやな
・木や壁に激突してもノーダメージのゲームなので……
・なお原作では当然死ぬ模様
本来なら、手や足を部位破壊することで弱体化を図り、丁寧に倒していくのだが、しっかり強化さえしていればその必要もない。
「お、サブミッションですね」
遠方から緑の狼煙が上がり、ミニマップ上に緑のマークが表示される。
「無双ゲームの常として、味方はまーじで役に立たないので、全部介護してあげる必要があります」
・草
・それはそう
・無双ゲームのお約束だから……
・無双とか言いつつ大体司令官にパシられてるんだよな
サブミッションには制限時間があり、過ぎるとミッション依頼主が戦死または撤退してしまうので、先に向かうことにする。
アンカーを打ち出して木々の間を飛び回り、進路上にいた哀れな巨人をついでになぎ倒しておく。
・哀れ巨人は爆発四散
・爆発はしてないんだよなあ
・蒸発はしてる
・ついでのように狩られる巨人
・信じられるか?巨人って普通は単独討伐できるだけで凄いんだぜ
「それを言い出すと無双ゲーのコンセプトが揺らぐというか、1000人斬りだって現実では絶対無理な訳で、皆様フィクションですよフィクション」
サブミッションの地点に到着し、巨人に絡まれている味方を助ける。
助けると言っても、それは基本的に討伐とイコールであり、逃走を手伝うとかのサブミッションは一切ないのだが。
暴走モードに入った敵を光弾で怯ませ、サッと背後を取って速やかに排除。この程度の敵相手に消耗品の光弾を使うのはもったいなかった気もするが、どうせ余るので良しとしようか。
・手慣れすぎや
・ストーリークリアする頃には皆できるようになっとるで
・なお武器とスキル
・ちゃんとキャラクターの強化はしましょうね^^
「物資と仲間をゲットです」
襲われていた味方は、サブミッションをクリアすると自分の指揮下に入ってくれる。指揮下と言っても、数十秒ごとに攻撃指令を出せたりするくらいだが、中には戦況を一変させるような能力を持った兵士もいる。原作主人公とか。
「さて……」
次のサブミッションに向けて移動しつつ、また通り道の敵を狩っていく。一撃で首を刎ねられるからこそできる荒業だが、何周も何周もプレイしていると、コメントにあった通り、自然と操作を指が覚えてできるようになる。
いわゆる普通の無双ゲームと違うのは、雑魚と言っても相手が自分よりも大きい巨人である都合上、数百数千となぎ倒すわけではないところだ。1マップには、どんなに多くてもせいぜい50~60程度(それでもプレイしている感覚からするとかなり多い)、とはいえ高評価を狙うなら時短も必須なので効率よく倒す必要はある。
よって、最適解は一筆書き。
もちろん理想と現実は違うのだが、同じところを三度四度と通らないように、討伐順には気を付ける。
・シルバーソーってこんな強いんや
・正面からゴリ押しできるからな
・連撃するとときどき角度補正で減算されるからなあ
・MAXシルバーソーのこと少し見直した
「ええ、個人的にノコギリ系列はかなり強い武器種だと思いますよ。ただ、最初は強化の簡単なノーマルの刃から始めたほうが良いですけどね。お金、かかりますから」
・世知辛いのじゃ
・無双ゲーでも金に困るのか……
・世の中カネですわ!
・金よりも資材がきつい
「そうですね、強化資材も周回で手に入れるしかありません。あとは低レアで強化値を上げて、強化値を上げ終わった後レアリティを上げるみたいな技も必要です」
そんなことを話している間に掃討はあらかた終わり、最終ミッションとしてボスが現れた。原作ストーリーで重要な役回りを演じたネームド巨人である。
「この巨人、世界に複数いていい存在じゃないんですけどね……」
・草
・草
・草
・この世界のルールはガバガバ
・こいつらしか出ない超鬼畜ミッションもある
ネームド巨人といえど基本的にやる事は変わらないが、まず腕か脚が光っているので、そこを攻撃してバリアを剥がす必要がある。何だよバリアって。原作にそんなのなかっただろ。
ロックオン部位を動かして、バリアの部位を叩く。
一撃するとバリアの場所が移動してしまうので、ワイヤーを限界まで伸ばして距離を取り視界を広げ、対象の部位を確認して再ロック。
今まで温存していたガス噴射も併用して、高速でバリア剥がしを試みる。
・でたわね
・このバリアはまじで謎
・バリア???
・緑バリアをはがさないと首にダメージ通らない仕様となっております(カス)
・えぇ......
バリアさえ取り除いてしまえば、あとは普通の巨人と同じ。
高機動だったり強烈な暴れをしてきたりと厄介だが、結局は数パターンしかないので、防御に関しては丁寧に距離を取っていればなんとかなる、こともある。
首を狙って五連撃を叩き込み、なんとか1回で討伐完了。
なお、うかうかしているとバリアが復活し、またバリア剥がしのフェーズからやり直しとなる(首に与えたダメージは維持されるが)。
・翼持ちかよ
・そらそうやろ
・翼は取るの簡単だからね
・スキル構成見せてくれ
・どうせ全取りでしょ
ボスを倒したことでミッションが終了。リザルト画面の後、街に戻ってくる。
「スキルですか? 火力面は大体つけてますけど、被弾前提のスキルとかは入れてないですね。あと射撃系も」
メニューを開き、取得スキルの一覧を視聴者さんにゆっくり見せる。
・射撃はまあ……
・射撃はほら対人用だから
・負傷も基本死を意味するからすぐ治すし
・そもそも普通にやってたら捕まらん
・確かに火炎瓶は要らんわな
スキルポイントの最大値を増やすアイテムがあるため、最終的にはビルドという概念はなくなる。俺のやり込みは半端なところなので、全部のスキルを取れてはいないが、最高難易度のミッションでも普通に遂行できる程度にはスキルポイントを持っている。
「こんな感じで、しばらくは好感度稼ぎと装備集めをします。繰り返しやっていると本当に絵面が退屈になるので、今回は短めで」
・おk
・了解です
・ストーリーはともかく周回は、ね
・想像してたより面白そうなゲームだな
・DLC込みだとフルプライス級やぞ
・うへえ
・セール待ちましょうねえ
「大型セールの時は値引きされてたりするので、欲しいものリストに追加してメール待ちで良いんじゃないでしょうか。結構昔のゲームなので、攻略も終わってて情報には事欠きませんし」
・大型セールのみかあ
・お布施だ!いま買った!
・次回作は出ませんわよ(ほぼ確定)
・それな
「一番悲しいのが次回作ですよねえ。もう絶対出ないでしょうし……まあ、昨今なんでも無双ゲームにしちゃう世の中みたいなので、別シリーズに期待ということで」
・確かに
・無双とは縁遠かったシリーズも無双になってきてる
・Web小説が元ネタの無双ゲームとかも出てきそうだよな
一定程度の慣れと腕前さえあれば、あとは数値で殴るだけのゲームである。
作業のように巨人の首を刎ねつつ、コメント欄と会話を楽しんだ配信だった。