後輩は大人気VTuber   作:高宮 八郎

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■GS_天雪六花

 予定が空いちゃった。何か簡単に終わるゲームない?一緒にやろうよ


◆GS_重稲銀輔

 それを聞くべき人はもっと他にいるのでは


■GS_天雪六花

 だって今ギンちゃんと配信で遊んだら面白そうだから


◆GS_重稲銀輔

 どういうことですか


■GS_天雪六花

 指輪ネタ擦ればあたしにまとわりつく厄介なお気持ち勢が減るでしょ?


◆GS_重稲銀輔

 後輩のことを便利なグラインダーかシュレッダーみたいに扱うのは止めていただけませんかね


■GS_天雪六花

 まあまあ。ギブアンドテイクだよ。ギンちゃんはお金がほしい、私は余計な心配を減らしたい、利害一致だ!


◆GS_重稲銀輔

 ……抱え込みきれなくなる前にちゃんと大人に相談するんですよ


■GS_天雪六花

 だから大人に相談してるんじゃん


◆GS_重稲銀輔

 頼ってもらえるのは有難いんですがね

 まあ、適当に探しておきます


■GS_天雪六花

 やった~

 

 

 

「皆様、聞こえていますか? 重稲銀輔です」

 

 

O K

O K

・OK

・OK

・大丈夫

 

 

「今日はゲストとして、グレートスターズの顔、天雪六花さんをお招きしております。よろしくお願いします」

 

「かたすぎ!? あたし結構年下なんだから、そんなに畏まらないでよー。こっちのほうが緊張してきちゃう」

 

 

・それはそう

・草

・距離感って難しいね

 

 

「いやぁサキぐらい関係ができていればどうとでもなるんですが、年下の、女の子の、格上、ってどう扱ったらいいか困るんですよね本当に」

 

「うーん……ギンちゃんって会社に年下の子とかいないの?」

 

「いますよ?」

 

「じゃあ、その子を相手にするような感じでおねがーい」

 

「なるほど? まあいずれにせよ、乱雑な言葉は使わないようにしてますが。それはともかく、本日は画面に表示されている通り、ピンクの悪魔SDXをやっていきます」

 

「いにしえのゲームだ!」

 

「はい。3の方でもよかったんですが、そちらはクリア済みと聞いたのでSDXです。当然天雪さんが1P、私は2Pで適当に茶々を入れます」

 

 

・茶々w

・草

・まあシゲさんが1Pだとすぐクリアするだろうから…

・3終わっててSDX終わってないのも珍しい

 

 

「こういう、古くて――つまり年上の人と盛り上がれて、かつ複数人プレイできるものって、あたしらの世代にとってはいわば"コミュニケーションの切札"みたいなものだからねー。その辺の耐久配信とかで軽々に浪費するわけにいかなくてさー」

 

「で、結局使い時を失っていたと」

 

「だってシュガーもサキちゃんも勝手に伸びてったんだもん。通は元々人気配信者だったし? まあギンちゃんも勝手に伸びる勢ではあるだろうけど……」

 

「天雪さんの重稲評はともかく。天雪さんが"暇だー"とダル絡みしてきたので遠慮なく使わせてもらいます」

 

 

・草

・草

・暇だからw

・六花ちゃんさあ

 

 

「複数人の計画が動くときって大体予備日があるんだけど、あっちも予備日こっちも予備日ってしとくと、予定通り終わった場合必ずどこかが浮いちゃうんだよねー。もちろん休んだりとか裏でレッスンがあったりとかはするよ? でも暇になるときはあるよね」

 

 

・あー

・仕方ないね

・大手Vとかは実は予備日でスケジュール一杯だとはたまに聞く

・こっちには見えない手続きとかもあるだろうしなあ

 

 

「……さてさて、そろそろ始めましょうか。順当に簡単なステージからでいいですね?」

 

「その辺は任せた!」

 

「じゃあ入門用から行きましょうか」

 

左上の入門編から始めていく。

天雪さんは、ピンクの悪魔3を既にクリアしているほか、当人も言うようにレトロゲーのコラボをちょくちょく挟んでいるので、基本的なアクションゲームの操作に問題はない。

 

「ギンちゃん何がいいとかある?」

 

「SDXなら一通り何でも大丈夫ですよ」

 

「じゃあビームで!」

 

単眼のヘルパーが呼び出され、俺が操作可能になる。

 

 

・世代...とはちょっとずれてるんだよな

・世代はちょっと違うはず

・親とかがゲーム好きだと普通に経験あったりするけどね

・完全に世代じゃない六花もなかなか上手い

 

 

「ビームは割と使いやすいほうですね。射程もそうですが掴み技があるのが大きいです」

 

「そうなの?」

 

「ええ。掴んだあとにすぐ投げなくてもいいタイプなんですが、投げるまでは無敵なんですよ」

 

「へー」

 

などと言っている間に、天雪さんはボムを手に入れて、2人がかりであっさりとボスを撃破。

元々子供向けゲームの、さらに初心者用モードだ。

特に詰まるところもなく、すいすいと進んでいく。

 

「ギンちゃんこのゲーム詳しいの?」

 

「まあ……散々やり込みましたね。もうだいぶ忘れましたが」

 

「好きな能力はー?」

 

「一番で言うとハンマーですかねえ。やっぱり高火力なので」

 

「おー、定番だね」

 

 

・定番てw

・確かに定番ではあるが

・他人のプレイ配信は見てるだろうしな

・ハンマーかぁ

 

 

「2Pだと図体がデカくなることだけが欠点ですね」

 

「あー、あの中ボスね」

 

「そうです」

 

話しながらも手を止めないのが配信者のサガである。

あっという間に大王まで叩きのめし、モードクリアしてしまった。

 

 

・はやい

・まあ子供向けやし

 

 

「次はー?」

 

「順番で言うと鳥ですね。一番左のアイコンです」

 

「はーい」

 

ボタンが押され、ゲームが始まる。

 

「天雪さんも動画ぐらいは見たことあると思うんですが、面白そうな能力はありましたか?」

 

「カッターかなー。射程あるし、無敵も持ってるし、カッコいい連続技もあるよね」

 

「あー、密着時限定のやつですね」

 

「そうなんだ!?」

 

「ええ、敵に近づいてないと発生しません。ちなみに能力を持った状態でポーズすると、その能力の解説が読めますよ」

 

「へー、見てみて良い?」

 

「もちろん、どうぞ」

 

「おおー、格闘ゲームのコマンドみたいだ」

 

そんなわけで、今回は天雪さんがカッター、俺はその辺で拾われたパラソル。

このモードも難易度自体は大したことは無い。ステージ自体は見たことがあるのか、天雪さんは迷いなき足取りでずんずんと進んでいく。

 

ボスの巨鳥だけは、初見でアクション慣れしていない人が相対するにはちと難しい。掴み技や、不意打ち気味の飛び道具など、順当にアクション能力のレベルを確認してくる相手だ。

 

「あーあーあー」

 

「まあ、そんなもんです」

 

俺が全力を発揮すれば一人で倒せるが、それだと盛り上がらない。

適度に手を抜いて戦っていたら、やはり天雪さんのHPがゼロになった。

 

 

・初デス

・こいつはしゃーないわ

・シゲさん露骨にサボっとるw

・まあまあ

 

 

「ねー、もしかしてビームのほうが戦いやすい?」

 

「空中戦だとそうですね。カッターはどうしても一本調子になりやすいので……」

 

「じゃあビームで行こーっと」

 

本当に厄介なのは空中で被弾した後、受け身も取れないまま着地で二回目の被弾をすること。ダメージが嵩むので、ダメージレース負けしてしまう。

 

「うおりゃー!」

 

距離を取って、距離を取って、チャージビームをぶっ放す。

俺はビームの基本戦法を伝授はしていないのだが、技をひととおり見ただけでどれを使えばいいか分かっているのは、流石の一言。

 

 

・かわいい

・鉄板ではある

・かわいい

・かわいい

 

 

アクションゲームは、クリアできればそれが"正解"だ。俺はちょこちょこと2,3発殴ったぐらいで、あとは天雪さんが一人で削り切った。

 

「ぶい!」

 

「おめでとう!」

 

「そういえばさー」

 

エンディングムービーを見ながら、天雪さんが言う。

 

「サキちゃんに指輪贈ったってほんと?」

 

 

・草

・草

・草

・ここでぶち込んできたw

 

 

先ほどまでかわいい一色だったコメント欄が、一瞬で草に埋め尽くされる。

 

「事実ですよ」

 

「いーなー、でも付き合ってないんでしょ?」

 

「ええまあ、いずれにせよ付き合ってないと答えるしか無いんですが」

 

「それもう答えでしょ」

 

 

・それはそう

・匂わせとかいう次元じゃないんだよなあ

・認めたほうが早くね?

・まだガチ恋勢が時々凸してくるからな

 

 

コメント欄を1か月ROMってろ仕様に変更しているお陰で、俺の配信にはほとんど荒らしは湧いていない。1か月後に一気に荒らされる可能性は一応あるが……。

そうなれば、適切に対処するだけだ。

 

「あたしも指輪欲しーなー」

 

「あなたのほうが圧倒的お金持ちでしょう。自分で買いなさいよ」

 

「もう。分かってないなあ。どんなに安物でも、他人から貰うから価値が出るんじゃん。自分のお財布から出したらそれはただのおしゃれなのー」

 

「たとえあなたが男でも未成年に指輪は渡しませんよ。手だって成長するんですから。サイズの合わなくなった指輪なんて悲しいだけじゃないですか」

 

「ぶー。……えーと、次は?」

 

「"洞窟"は改めて枠を取るべきなので、やるなら"逆襲"ですね。未知の巨大かつ堅牢な空中戦艦を墜としにいきます」

 

 

・巨大かつ堅牢w

・よそ様のネタやw

・草

・堅牢か……?

・堅牢だろ、なんやかんや形を保ったまま沈んでったんだぞ

・一度は悪魔をはじき返してもいる

・内部にも巨大かつ堅牢な兵器や装置がいくつもあるぞ

 

 

「時間制限があって、うかうかしていると時間切れになるので注意してくださいね」

 

「うぇー、いにしえのゲームだー」

 

そんな感じで、我々はSDXを堪能したのであった。

 

 

なお後日、天雪さんから俺とサキ宛に、安物ではあるが緑の四角い(グリーンスクエア)スフェーンのペンダントが届いた。なんと、俺たち以外の配信者たちにも、それぞれアクセサリ類が贈られたらしい。何故かこれを契機に、グレートスターズ内では謎の装飾品ブーム(宝石ブームではない)が始まった。噂によれば、元々百合営業気味だった女の子たちが2人、仲を深めたとか深めていないとか……。

 

 

■GS_天雪六花

 あたしに指輪は要らないけど。幸せにならないと許さないんだからね


◆GS_重稲銀輔

 末路がどうなるにせよ、全力は尽くしますよ


■GS_天雪六花

 よろしい!……あたしも彼氏欲しいなあ、絶対に公言できないけど


◆GS_重稲銀輔

 口の堅い人を頑張って見極めましょうね……


■GS_天雪六花

 ほんとそれ。そこだけが怖い。子供から大人までカメラとSNSを持つ時代だから、同級生でも配信者でも社員ですら油断ならないもん


◆GS_重稲銀輔

 成人したら、グレスタの西支部か北支部に移るという手もありますよ。配信者ひしめき合う関東よりはマシでしょう。ただ同級生で狙ってる子が居るなら、ちゃんと考えないとですけどね


■GS_天雪六花

 あー!実際に移るかはともかく、検討だけはしてみようかな

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