グレイル傭兵団の団長アイクは、普段から肉ばかりを食べ、野菜を食べないことで体調を崩して倒れてしまう。その間を埋めるべく、セネリオが団長代理を務めるが…?

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野菜嫌いのアイクが倒れる話

「…うぅ。セネリオ…体が重い。」

 

「アイク、言いましたよね。“野菜も食べないと、いずれ本当に倒れます”と。」

 

「肉なら食える。野菜は無理だ。」

 

「その“肉だけで生きていける”という謎の自信はどこから来るんですか。

 あなたはラグズではありません、肉食だけで動けると思わないでください。」

 

ティアマトも腕を組んで頷く。

「団長、セネリオの言うとおりですよ。健康第一です。」

 

ミストも涙目で叫ぶ。

「お兄ちゃんっ!もう、子どもじゃないんだから好き嫌いしないの!」

 

「ミスト…肉は好きだぞ…」

 

「そういう意味じゃない!」

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アイクの容態が安定したあと、グレイル傭兵団は急遽、会議を開いた。

 

「というわけで、アイク団長は当面休養します。」

とセネリオが宣言する――

 

「…やっとか。」

シノンが、ニヤリとした笑みを浮かべた。

「アイクが倒れたなら、団長はオレだろ?

 実力、経験、カリスマ性、どれを取っても――」

 

「却下です」

セネリオは即答した。

「あなたが団長になれば“全員弓を持て”とか言い出すので。」

 

「はぁ?当然だろ?何が悪い?」

 

反論するシノンにティアマトは苦笑しながら答えた。

「シノン。戦力は頼もしいけれど…あなたの指揮は偏りすぎなのよ。」

 

「偏ってねぇよ。弓は万能だ。」

 

「ミサイル兵器じゃないんですから。」

セネリオはシノンを冷静に受け流し、決心した顔で言う。

「というわけで…私が当面、“団長代理”を務めます。」

 

「チッ…参謀風情が…」

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そして、団長代理の初仕事を迎えた。セネリオは各団員に作戦を伝える。

 

「ガトリーが敵の攻撃を引きつけて、私とミストの魔法で攻撃と回復をしましょう。」

「ティアマトたち騎馬隊は深追いせず、ヒットアンドウェイで囲まれない立ち回りを。

 騎馬隊の指揮はティアマトにお任せします。」

「ボーレや物理攻撃の歩兵の方々は、無理のない範囲で偵察・陽動・牽制、

 こちらの陣地に入り込んできた敵の対応をしてください。」

 

「わかったわ、さすがね。」

ティアマトは感心し、他団員たちも納得した。

 

「オレの出番は?」

シノンが聞く。

 

「あなたは重要な“狙撃担当”です。飛行する敵や陽動で近付いてきた敵の処理を。」

 

「…悪くねぇけど、何で前に出さねぇ?」

 

「あなたを前に出すと“弓で殴る”とか言い出すので。

 それに物理も魔法も当たれば致命傷なのでリスクが高いです。」

 

「は?!言わねぇよ!(…状況によってはそれもありか?)

 なめやがって…敵の攻撃は全部かわせばいいんだよ!

 まぁ、とりあえずやってみりゃわかるだろ。

 それで戦況がまずくなりゃ俺を前に出すのが正しかったって。」

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戦闘は無事に終わり。セネリオの計算通り、驚くほど効率良く勝利した。

 

ミストが嬉しそうに叫ぶ。

「セネリオさんすごい!本当に団長って感じ!」

 

「…ありがとう。団長代理の間は、責任を果たします。」

 

シノンは不服な顔をしながらもセネリオを認めざるを得なかった。

「(チッ…こいつ想像以上に団長向きじゃねぇか…)」

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数日後、アイクは布団から体を起こせる程度には回復した。

 

「…セネリオ…肉を…」

 

「野菜が先です。」

 

「肉を…」

 

「野菜です。」

 

ミストが呆れた顔で小皿を差し出す。

「はい、お兄ちゃん。まずは温野菜から。」

 

「…ミスト、これは…」

 

「生じゃないだけありがたいと思って!」

 

シノンも部屋に入ってくる。

「よぉアイク、死にかけの噂聞いて来てやったぞ。」

 

「…シノン…」

 

「団長の座、返してほしいなら野菜くらい食え。

 あとセネリオの作戦じゃ、マジでオレの出番ないんだけど?」

 

セネリオは淡々と言い返す。

「あなたは“狙撃の天才”という役割で、

 前に出なくても安全なところから敵を仕留める力があるでしょう?

 そんなに前に出て死に急ぎたいのですか?だから団長の器がないんですよ。」

 

「はぁ?!言ってくれるじゃねぇか!俺と勝負しろ!

 今すぐお前から団長の座を奪ってやるよ!」

 

ミストが止めに入る。

「もう!喧嘩しないで!」

 

シノンは落ち着いて吐き捨てるように言う。

「…まったく、そもそも野菜食わねぇ程度で倒れるような団長とか馬鹿馬鹿しいぜ…」

 

「それについては同感ですね。」

セネリオはふっと微笑んだ。

 

「なんだ、お前はコイツのミスも全部養護するようなヤツだと思ってたぜ。」

 

「いいえ、私だってアイクが間違えれば指摘しますし、

 野菜を食べるように注意してましたからね。」

 

「ケッ、お互い面倒な団長を持ったな。

 まぁ他のヤツでも団長は務まるってことがわかって清々したぜ。ざまぁねぇな。」

 

「お前ら…そんなことはいいから肉…」

 

「アイク、野菜を食べれば団長の座をお返しします。」

 

「…じゃあ食う。食うから…肉も…」

 

「野菜を完食してからです。」

 

シノンは大きくため息をつく。

「はぁ…団長なら団長らしくしろよ。

 お前が倒れると、色々ややこしいんだからな。」

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アイクが完全に復活し、セネリオはすぐに団長の座を返した。その日の晩餐。

 

ミストは笑顔で言う。

「ねぇシノンさん。結局、団長になれなかったね。」

 

「…フン、別に興味ねぇよ。(ちょっとはあったけどな…)」

 

アイクは肩をまるめる。

「…もう野菜は残さない。」

 

「約束しましたからね。」

セネリオは疑いの目を向けながらも言った。

 

その日、グレイル傭兵団の食卓には、

山盛りの温野菜と、控えめの肉料理が並んだ。

※シノンが勝手に肉を足したらしい

 

~fin~


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