『隊長』について➁……
以前──執行官になる前の事だけど、俺は彼に命を拾ってもらったんだ。……尤も彼が良しとした生き方は選べなかったみたいだけど。でも、俺は後悔してないよ。……そうさ、後悔なんて無い。
まるで子供の絵本のような冊子を捲っていくと、可愛くデフォルメされた大砲のようなキャラクターが自己紹介をしていた。
どうも、彼の名前は『ビリビリ・クーヴァキ・レールキャノン』というらしく、おそらく傍らに鎮座するコレも同じ名前なのだろう。
「どうだ? 扱えそうか?」
「これはファルカさん、里の信者達の側にいてやらなくて良いのかい?」
「ラウマのおかげで皆、スムーズに安全地帯まで行ってくれたからな。折角、近くにいたんだ。お前も顔を出しても良かったんだぞ?」
「冗談は止してくれ。いくら、ラウマさんの口添えがあろうと、里の信者にとってファデュイの執行官なんて『月の狩人』と同じくらいの脅威だろう? 今の状況で余計な混乱を招くぐらいなら、端からいない者として振る舞った方が良いさ」
「……それがお前にとっての線引きってヤツか?」
「ああ、そう言う貴方もよくファデュイの人間にこんな重要なポストを任せたものだね。俺が旅人達を後ろから撃つとか思わないのかい?」
「ハハハ……だが、お前は撃たないだろ?」
「……まあ、そうだね。今、この状況で旅人らを撃っても何のメリットも無いからね」
「いや、きっと状況が違っても撃たなかったと俺は思うぞ」
「……そうかな?」
「ああ、何せあの『隊長』がお前の事を色々と教えてくれていたからな」
「カピターノが……?」
「前に北方でのアビスの災厄について話を聞いたことがあってな、その時にお前の事を聞いたんだ。『隊長』曰く、所々に執行官らしからぬ振る舞いはあれど、義理堅く、然れどすべき事を全うする信頼できる男……だそうだ」
「そう……」
少し意外だ、執行官となってからもカピターノと行動を共にすることが多かった訳ではない。
彼にとって、今の俺は只の同僚の一人であり、それ以前も数いる兵士の内の一人でしか無かった筈だ。
「それとだが……『隊長』はお前に対して、こうも言っていた。『俺は『散兵』を──彼らを助けてやれなかった』ってな」
「──っ」
「この言葉の意味する所は俺には分からんが、きっと、お前達の間柄ならそれが分かるんだろう。だから一度、こうしてお前と話がしたかったんだ」
「そっか……そうか……」
……本当に責任感が強い人だよ、貴方は。
初めて貴方を見て、どうしようもなく憧れて──でも、俺は貴方みたいにはなれなくて。
貴方に勝手な幻想を抱いていたのは俺達だったのに、俺は貴方に命を拾って貰った身なのに。
……そんな貴方を誰が責められるものか、むしろ責められるべきは──
「……ファルカさん」
「ん? どうした?」
「今回の作戦、ファデュイ執行官第六位『
「……ほう、それは心強い。なら、俺は西風騎士団の大団長として……いや、モンドの『北風騎士』としてお前の誓いを信じよう」
「なら、なおさら応えないとね……それに、アイノさんからはこんなスゴいものを預けられたんだ。やってみせるよ」
「ああ、頼んだぞ……で、どうだ? そいつは」
「正直、驚きが隠せないな。スペックを見る限り、ウチで作られる軍用のものと遜色が無い……しかも、一部の項目では上回っている。しかも、それを廃材から組み上げていると来てるからね……尚更さ」
しいて欠点をあげるとすれば、一つは砲身の耐久性と言うべきか。
とはいえ、その為に出力に厳重なリミッターが設けられており、スペックを見る限りはその制限下でも十分な威力がある。
そして、もう一つ射撃は手動で行わなくてはならないこと。
まあ、これもあくまで遠距離狙撃を主眼にしていれば差程、問題にはならない。
「こういった武器を見慣れてるお前が言うのなら、相当な代物なんだろうな」
「ああ、俺だけじゃなく、サンドローネだってこれを見たら憤慨はするだろうけど、性能については認めざるを得ないだろうね」
「サンドローネ……確か冒険者協会のキャサリンを造ったのも、その執行官だったか」
「ちなみに今は実験設計局の責任者も兼任しているよ。おかげで毎日、仕事でイライラモードさ」
「ハハハ、その気持ちは俺にも分かるぞ。気分転換に少し外へ行っただけなのに、戻って来てみたら……イカン、頭が……」
どうやら、かの『北風騎士』と謂えど、積み重なる書類には難色を示すようだ。
まさに、力ある者には相応の責任があるというヤツか……いや、そういう意味ではないか。
「……なぁ、お前さん。酒はイケる口か?」
「唐突だね。もう作戦後の事を考えているのかい?」
「まあな。騎士団としてもこれだけの勢力が一つの目的の下、共闘するといった事は無かった。宴をやるなら盛大の方が良いだろ?」
「否定はしないけど、俺やアルレッキーノもその宴に参加することはないよ。今回は個人として協力しているとはいえ、俺達はあくまでファデュイの人間だ。……それに、この後の事についても先約があるからね」
「そうか……勿論、無理強いはしない。むしろ今、こうして助力してくれている事に改めて感謝する。だが、あくまで俺の個人的な興味として聞いておきたいんだ」
「あのね……はぁ、分かったよ」
おちゃらけていると思えば、急に真面目な表情をしたりと、彼の真意というのはなかなか読めない。
無論、彼の真意を図れる程に親交があるわけでもないのだが……どうもこういうタイプの人間はあしらいづらいのである。
これぞ人たらしというヤツか……この人に変な風評被害が付いて回らないのが不思議でならないな。
「酒は飲めないんだよ。執行官になるよりも昔からね」
「そうか……身体の都合か?」
「……まあ、確かに身体は健康とは言えないんだけど
……
「……意外だな。スネージナヤじゃ『
「スネージナヤ人全てが酒飲みだとは思わないでくれ。俺が『炎水』なんて飲んだら、グラスを飲み干す前に倒れるよ」
執行官になる前、仲間の一人が将校の部屋から酒瓶を一本だけ盗ってきた事があった。
そして、部隊の皆で飲んでみようと、俺も一杯口にしたら……目が覚めた時には既に朝日が昇っていた。
後に聞けば、一口飲んでそのまま倒れたとの事だ。
そして、執行官となった後も振る舞われた酒は飲むフリをしたり、その手の集まりをサボったりと俺の細かな努力は絶えなかった。
「……お前さん、意外と苦労してきたんだな」
「本当にね……」
こうした気苦労というのは執行官になった後も、なる以前から絶えない。
此処に初めて来た時は実験設計局にいる兵士達の空き瓶の芸術作品を見て、思わず引きつった笑みが出たのを覚えている。
よくも、まあこんなに酒を飲めるものだと──
「──ファルカさん」
「ん? どうした?」
「貴方の宴には参加することは出来ないけど……一つ頼みをしても良いかな?」
「ああ、あくまで俺が出来る範囲ならな」
「大きな要求はしないさ。ちょっとしたプレゼントを用意したくてね」
「プレゼント?」
実験設計局に届く嗜好品の量というのは決して潤沢とは言えない。
執行官でれば自身の権力でどうとも出来るが、兵士達はそうはいかない。
それに、これは以前、報告書で読んだ事なのだが。
『月の狩人』の復活の時よりも前に各地で大規模なワイルドハントが発生したことがあった。
当然、駐屯していたライトキーパー達が総出で対応に当たったが、それでも数が足らない。
しかし、そんな中で対処に当たった別勢力があった。
それは現地に駐屯していたファデュイの兵士達だったそうだ。
その頃のファデュイの兵士達に与えられていたのは、『少女』の捜索。
極端な話、彼らがワイルドハントの対処に当たらなくても組織としては何も問題にはならない。
しかし、彼らとの共闘もあり、事態は辛うじて収拾が付いたらしい。
そして、ライトキーパー側が彼らに聞いたところ、任務のためとしか答えなかったそうだ。
此方の──ファデュイの記録には一切、そのような記録は残っていない。
故に誰の部隊の兵士が戦ったのかすらも分からない。
それだけではない、実験設計局にワイルドハントと『月の狩人』が襲来した時、全ての兵士達の命懸けの奮戦があったおかげでこの地にあの施設は存在している。
なら、そんな彼らに労いがあっても良い筈だ。
「──心得た、俺の方から手配しておこう」
「助かるよ。送り主は──まあ、貴方のセンスに任せるよ」
「ハハ、言ったな? とびっきりの宛名で送るぞ?」
「……俺の風評が悪化しない程度で頼むよ」
『聞こえるかい?』
その時、耳に着けた端末から向こうの岸辺に居るであろう者の声が響く。
「聴こえてるよ」
『つくづくアイノの作品には驚かされるね。これだけ離れてても繋がるなんて』
「ファデュイの無線機と違って機能は限定的だけど、この距離となると専用の装備がいる。それを耳に収まるサイズで、尚且つこの音質で実現するのはファデュイでもなし得なかった偉業だよ」
確か、この耳の無線機の名前は『プルプル・デンデン・イヤホン』とか言っていたか。
名前はなかなかに独創的だが、それが霞む性能を実際に示してくれている。
もし、彼女がファデュイに入っていれば、サンドローネにとって大きなライバルとなっていたかもしれない。
『ところでスカラマシュはオイラ達の事は見えているのか?』
「バッチリさ。パイモンの姿はスコープからちゃんと見えてるから、わざわざ手を振らなくても大丈夫だよ」
『おおっ! 本当に見えているんだな!』
スコープの望遠レンズ越しには、宙を跳ね回るパイモンとそれを見守る面々の姿がはっきりと見える。
『スカラマシュさんのこの度の助力、霜月の子を代表して感謝する』
「構わないよ。それに何事も適材適所と言うだろ? 正面から殺り合うよりもこっちの方が性に合ってるのさ」
『執行官第六位からの援護……これは期待できそうですね』
「お世辞を言ったって何も出ないよ。それに援護射撃の前に倒れないでくれよ? 援護の意味が無くなるからね」
『ええ、勿論です』
どうも最近になって分かった事だが、フリンズさんはどうも天然というか、人々のやり取りを面白そうに見ている節がある。
いや、彼が普通の人間とは異なった気質があるというのは分かってはいたのだが……
「……さて、旅人」
『何?』
「『月の狩人』と二度殺り合っている身としての助言だよ。彼を斬ろうとはせず、衝撃を以て叩くんだ」
貫通射撃、斬撃といった攻撃は『月の狩人』に対しては効果が薄い。
斬られれば、傷を再生させ、貫かれれば、忽ちに傷を埋める。
故に打撃や爆発による衝撃力、若しくは大質量による物理的な衝突の方が『月の狩人』の足を止めやすい
「それに分かっていると思うけど、君達の役割は彼をその場に留めるのと、向こうの準備が完了するまでの時間稼ぎだ。援護射撃は君の合図を確認次第、開始する。くれぐれも焦らないでくれ」
『うん、分かってる。……今はスカラマシュを信じるから』
「……なら、その信頼には応えてみせよう」
『それにもし、変なことをしたら……スカラマシュのあること無いこと言いふらすからね』
「……いきなり、随分と恐ろしい事を言うね。なら、尚更だよ」
冗談を言うような言い方だが、彼女はやると言ったらやる凄みがある。
……つまり、ナド・クライの命運と共に俺の風評もこの瞬間に懸かってるってこと。
『……っ、アンタ達、楽しいお喋りは終わりみたいだよ』
ネフェルさんの横の煌びやかな箱が震え、その内側からアビスの──『月の狩人』の気配が漏れ出している。
「……よし、作戦開始だ。俺も持ち場へ戻ろう……皆の奮戦を期待するぞ!」
背後のファルカさんの気配が消え、それに構うこと無くレールキャノンの起動シーケンスに入る。
「クーヴァキ流入開始」
後ろに繋がれたタンクが薄く光り、ケーブルを通って砲へクーヴァキが流れ込んでいく。
そして、向こうでは遂に箱がこじ開けられ、溢れ出た影からは見慣れた継ぎ接ぎの──『月の狩人』が現れた。
「虫けら共の小細工にはそろそろ飽きていたが……退屈な殺戮がしばらく続きそうだな」
スコープ越しだというのに、身に刺さる威圧感で冷や汗が滲む。
向こうでは戦端が開かれ、無数の影の腕と紫や緑の元素による光が爆発と共に散る。
だが、まだだ……まだ撃つには早い、合図もまだ出てない。
スコープ越しに彼らの疾走から目を離さず、ただ機会を待つ。
待つのには慣れている──あの時とは違うんだ。
『■■■』
まだだ。
『■■■』
脳内にあの光景が過る。
『■■■』
俺が外せば、彼処にいる面々が死ぬ。
『■■■』
そうはさせるものか、何のために強さを求めた?
『■■■■■■』
あの時を繰り返したくなかったからだろう? もう二度と──
『──スカラマシュ!』
──俺が弱いせいで、仲間を奪われたくないって。
「合図を確認した。レールキャノン発射シーケンスを開始する」
内部機構が駆動を始め、クーヴァキが砲身内へと注ぎ込まれる。
「モジュール接続。エネルギータービン解放、出力70%──」
圧縮されたクーヴァキによって砲身が光を帯びていく。
「──80%、85、90、95……照準補正良し」
引き金へと指を掛ける、後はもう引くだけだ。
──カピターノ、俺は貴方が良しとした未来を歩むことは出来ませんでした。
失くした者を背負って生きるよりも、自らの命を賭してでも、彼らに意味を見出だすことを選んだのです。
端から見れば、貴方に拾ってもらった命を無駄にしているようにも見えるでしょう。
でも、俺はそうでもしなきゃ、俺自身を肯定出来なかったんです。
人が生きるのには理由が必要です、貴方が幾多の戦友を還すために永い時を歩いたように。
だから、俺は──
「──スカラマシュ」
「──っ、外さないよ」
引き金を引くと、轟音と共に加速された弾体が光の尾を引きながら空を裂いて進む。
一秒……否、それすらに満たぬ時間で閃光は対岸まで到達。
「──ガっ!?」
ほぼ同時に飛び上がった『月の狩人』の胸部を粉砕したのだった。
彼方から轟音が響くと、白い閃光が煌めく。
「──ガっ!?」
直後、胸を砕かれた『月の狩人』が地面へと叩きつけられた。
「なんてこったい……」
傍らのネフェルが心底、驚愕したような声を漏らした。
無論、彼の腕を疑っていたわけではなかった……だが、ここまで見事に直撃させるとは思ってもいなかったのだ。
「まさか、この距離を直撃させるとは……」
「ウグッ……ガアッ……馬鹿な、何処から……!?」
完全に意識外からの狙撃、その直撃に胸を大きく抉られながら『月の狩人』が立ち上がる。
血の代わりに傷口からは影のエネルギーが染み出ている。
『今だ。目標の追撃を頼む』
耳から聞こえた向こう岸にいる彼の声に皆が我に返った。
「──皆!」
「ああ、コイツは好機だね」
「ええ。僕達も続きましょう!」
ネフェルとフリンズが未だ膝を着く『月の狩人』を挟み込むように駆け出す。
「……ぐうっ、小癪な……何っ!?」
先程までの気勢とは裏腹に、弱々しく伸びた影の腕では二人を止めることは出来ず、一瞬で振り払われ、槍の一閃としなやかな蹴撃が『月の狩人』を打ちのめした。
「どうやら、作戦会議でスカラマシュさんが言った通りのようだな」
「うん……これならいける」
彼が作戦会議で言っていた事──それは数時間前にまて遡る。
「『月の狩人』は残念だけど斬っても、撃っても効果は殆ど無いかな。再生されて終わりだよ」
作戦会議中、この彼の発言に異を唱える者はいなかった。
それもその筈、彼は二度に渡って『月の狩人』と直接、戦っている。
そんな彼がこう言うのだ、その説得力は十分すぎた。
「そ、そんな……じゃあどうするんだよ。そんなんじゃ『月の狩人』を足止めするなんて……」
彼の発言により、パイモンが怯えたような声を漏らす。
「パイモン、何事も物は使いようだよ。そもそも、今回の旅人達の役割は彼を倒す事じゃない。あくまでその場に留め、時間を稼ぐことだ」
「そ、そうだけど……」
「二度の戦闘で『月の狩人』に対しては爆発──正確には衝撃力がある攻撃が有効であると、俺は結論付けた。更には先の攻撃方法も同じく殺せはしないものの、『月の狩人』の気勢を削ぎ、力を消耗させるという意味では有効打にもなり得る」
「成る程……再生する以上、斬撃や刺突は無意味。衝撃を用いて抑え込む事を主眼に立ち回るべきという訳ですね」
「話が早くて助かるよ。それにヤツはクーヴァキを吸収して自らの力に変えている。だが、それはクーヴァキ単体に限った話で、吸収する前にそのクーヴァキを暴走させたり、或いは異物が混じっていればその能率は劇的に下がる。これを利用しない手はないと思うよ」
「あっ……なら、アイノが作ったものが役に立つかも!」
「……なんだって?」
以前、『月の狩人』はナシャタウンの大砲によるレーザーに使われているクーヴァキを用いて復活した。
今回も同様に大量のクーヴァキで攻撃するのは、それこそ『月の狩人』をより強化してしまうことに他ならない。
「具体的にどう役に立つんだ?」
「えっと……それはね、クーヴァキを照射するんじゃなくて、クーヴァキの反発力を使って弾を撃ち出すの!」
「成る程……要はクーヴァキを用いた弾体加速装置という訳だ」
「でも……まだ撃つ時の管制システムが未完成なんだ。出力のバランスも外付けのリミッターで取ってるから……」
「アイノさん。手動で補正するとなれば、それはすぐに使えそうかな?」
「えっ? それなら使えると思うけど……」
「幸い、ファデュイにも同じ原理を利用した試作装置がある。応用は利くだろうね」
「で、でも、空気抵抗とか……色々な誤差を手動で直さなきゃいけないんだよ?」
「狙撃は俺の十八番芸でね。それも普段からやってる事さ」
確かに以前、ヒーシ島で『月の狩人』と対峙した時、ヤファダへの攻撃を撃ち落としていた。
あれ程の射撃の腕があれば、確かに射撃補助が未完成でも十分に手動で補正できるだろう。
「……任せて良いんだな?」
「答えなんて決まってるだろう?」
「……分かった。だが、忘れないでくれ。この作戦の肝は『月の狩人』から力を
そう、私達はあくまで陽動──その時が来るまで何とかして耐えなくてはならない。
全身全霊をかけて、『月の狩人』をその場に留めるのだ。
『第六位』について……
あの時、彼の目は全てに絶望していた。国に、かつての仲間に、そして女皇陛下にもだ。……俺がもう少し早く来てやれていれば、違った結果になっていたかもしれん。……どんな選択であれ、命の使い方はその持ち主が決めるものだ。その点に俺が介在する余地はない。