ハードな国に転生したけどカッコ良く生き(り)たい   作:王の物置

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当たり前は無くなりかけてからありがたさを感じる件

どうも、8歳になりましたエドルスです。

 

最近は何事もなく平穏な毎日を過ごしております…あの人攫いにあってからはちょっと脱出計画立てるのが怖くなりましてね……迷惑になるような問題も最近はそこまで起こしていません。

 

いつものように魔法を学び、いつものように闘気を鍛え、いつものように本を読み、いつものように過ごしていく…

 

この世界に来てから色々とハプニングが多かったからかこのいつもが凄く幸せなことなんだなと実感できるようになりました。

やっぱり平穏はなくなりそうになってから初めてありがたさを気付くんだなって…

 

でも毎日毎日同じことで若干飽き気味…なんてことはなく魔法なんかは自分の成長が顕著に感じられて嬉しいし城内にある図書館で面白そうな本を漁ってみたりするのはかなり楽しい。

 

ちょっと前の俺は未知を探検ことに執着しすぎてたかもしれない。近くにも知らないものはまだまだあるし魔法についてだとか深くやるようになってから表面上の薄い知識しか記憶に残っていないと感じる機会も増えてきた。

 

まだまだ俺の手に届く範囲でも知らないことはいっぱいあるのだ…

 

ご飯も美味しいし、そろそろ気軽な外食もしたくなってきた頃合いではありますがいつもお腹いっぱい食べれることは幸せだと感じています。

 

……仕事として作っているのだから当たり前と言えばそうかもしれないけどこんなに美味しいものを毎日出してくれているのは感謝してもしきれない……今度差し入れでも持っていくべきだろうか?

 

「エドルス…よ。その、最近は問題を起こしていないらしいな………この国を背負うものとして、良い心がけだ」

 

まぁ父と一緒に食べているのも食卓の幸せの要因なのか?

最初の方はめんどくさいだとか堅苦しいしゃべり方やめてくれだとか思っていたけれども職務柄あまり話す機会もないし忙しいだろうに毎日できるだけ一緒に食事をしてくれるのは愛されているんだなと思う。

 

我が父ことエドマリス王は話してる分には普通の人だし本編で言われてるほど酷い奴ではないと個人的には思っている…

「ありがとうございます。問題ばかりで周りの方々には迷惑をかけてばかりで、申し訳ないと感じる機会が増えまして…」

 

俺から見れば普通の人という印象である、腐敗した部分に忌避感を覚えても介入することもなく、亡者ほど物への執着が醜いわけでもない。

 

俺の父は儲け話を聞けば少し考えて乗っかり、ちゃんと自分なりに未来を描いてから行動に移す…ごくごくどこにでもいる普通の人。

 

その普通が王に向いているかは別問題だがそれはそれ、これはこれだ。…大してあくどい人間ではないという事実が大切なのだ。

 

「そ、そうか……その、なんだ。お前が日々魔術などの鍛錬に励んでいるのはよく耳にするぞ…どうなのだ…鍛錬というのは、つまり、楽しんでいるのか?」

 

「はい、楽しいです。ラーゼン様や王宮魔術師の方々のように巧みに魔法を切り分け、扱えるわけではありませんがそれでも時が進むごとに上達していくのを実感し、日々に楽しみを感じています。騎士の方々と共に行っている鍛錬も同様です」

 

 

父なりに気を使ってくれているのは分かる。

周りから見れば普通とは呼べないかもしれない会話だが、この会話は間違いなく家族とのコミュニケーションなのだ。

「そ、そうか。ラーゼンも言っていたぞ…成長は目覚ましくとても聡明で将来有望だと……」

 

…うんまぁそれに関しては精神年齢がオッサンだからね…前世の記憶があるから。ファンタジーなものに惹かれるから。

だから頑張れているのであって歳を重ねれば重ねるだけ本当に才能があり、頑張れる人に置いて行かれるだろう。

 

「フフッ、ラーゼンさんがそんな話を?その声に応えるべくよりいっそう励まないといけませんね」

 

いやーホントに赤子として生まれて良かったという感じである、赤子の頃の情緒とかの人としての育ちをかっ飛ばして魔法とかを勉強できるのって中々結構チートだと思う。

 

「……そ、そうか。うむ……いい心がけだ………これからも励みなさい。」

 

「はい、今まで以上に精進していきます」

そう笑顔で返すと父は満足そうに頷き食事を続ける、俺もそれに続いてまた食事を再開していく…

このチートを精一杯活用して無駄にならないようにこれからも頑張っていきますよ!

 

 

 

 

「どうかされましたか父上?手が止まっていますが」

 

「い、いや。少しな……」

エドマリスは息子であるエドルスと話す時、少し壁のある物言いをしてしまう。

同年代と比べても物静かだから、年頃とは思えぬ落ち着きがあるから、大人びているからといった理由は勿論ある。

 

しかしそれ以上にエドルスが『天才』であるからだ。

 

才能に酔いしれることなく魔術の鍛錬や勉学に励む姿はまさに勤勉そのものであり、今の事柄に満足せず常に上を目指そうとする向上心は王宮魔術師であるラーゼンと同じかそれ以上のものを感じた。

 

 

「……食欲がないのですか?最近食事の手が止まることが多い気がします」

「い、いや……そうではないが」

 

その観察眼、その落ち着き…

 

エドルスはポツリと言葉をこぼし、こちらを見つめて心配そうな様子を向けてくる。その目の鋭さに一瞬心を見透かされたように感じ、自然と動揺してしまう。

 

父として、国を継がせる立場として聡明である子だと喜ぶべきなのだが今やそれがひどく恐ろしく感じてしまう。

「その、なんだ……エドルスよ」

「はい、なんでしょうか?」

エドルスはコチラを真っ直ぐ見つめる。その瞳には一切の曇りがなく、しかし知性が宿り、感情のこもっていない見るから見ているという瞳。

 

この目、この目が恐ろしいのだ……自分の息子に恐怖心を抱くのもおかしな話だが、その年不相応な複雑に様々なことを考えているような瞳はエドマリスからすると未知の存在と出くわしたような恐怖を覚える。

 

「お前は……いや、なんでもない」

「……?そうですか?」

 

会った者皆がエドルスを賛美する。城内の隅々でエドルスの名が現れる。その才覚に皆驚き、そして褒め称える。

なぜこの息子に誰も恐ろしさを感じないのだろうか?自身が親であるがゆえにそう見えているだけなのだろうか?

 

エドルスからは子供らしさを感じられない、少し前までは外の憧れからか何度も脱走を図ろうとしたが、ここ最近はそういった行為もあまり見られなくなり大人しくなった。

 

それは成長しているとも言えるだろう、エドルスという子の成長……その早すぎる成長にエドマリスは恐怖を感じざるを得ないのだ。

エドルスは小さい時から泣いたことが無かった、大きくなってからも喚くことはなかった。だからこそ恐ろしい、何を考えているか分からないその姿が恐ろしいのだ。

 

 

「父上――」

「な、なんだ……?」

エドルスの瞳はこちらの全体像を捉え、そして唯一その瞳だけが自分を射抜く。真っ直ぐとこちらを見据える。落ち着きのないわんぱくな子の瞳でもなく、落ち着く場が好きな大人しい子の目でもなく。

 

その目は一人の者として完成されている。芯を持ち、自分と他者を見比べれるものの瞳…エドマリスが息子を苦手となった原因のひとつがそこにある。

 

「私はこれで失礼します。無理はなさらないようにしてくださいね」

 

そう言って笑う息子の笑顔は微笑みにも近い表情……その安堵させるように笑いかける顔はやはり子供のものとは思えない、その表情は息子の不気味さ歪さを明確に表す。

 

「う、うむ…用心しておこう」

 

エドルスは立ち上がり一礼をして去っていく…その後ろ姿を見送りながらエドマリスは思う。

(あの子は一体何なのだ……?)




エドルス
誘拐事件を期にちょっと大人しくなった。当たり前を失いかけて初めて日常って美しいものなんやなと実感。弟もいるしそろそろしっかりしないといけないよななんて思っている。

エドマリス
1人の子を持つ親として子供らしさが若干足りてないと感じているエドルスに恐怖を覚えている。多分子供らしさ云々をラーゼンに言ったら『どこが?』と一蹴されて爆笑される。
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