ハードな国に転生したけどカッコ良く生き(り)たい   作:王の物置

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転スラ読み返してるんですけどリムルが来てからの技術進歩が凄まじい…


物事やり出した時が一番辛い件

煌びやかで豪華な城の中でも一際豪華で目が痛くなるレベルな部屋、そこに集まるは華やかな装飾が施されたドレス、タキシードに身を包み、これまた目が痛くなるレベルの輝きを放つ富裕層の者達。

 

皆どこかで見たことのあるような笑いを浮かべて談笑をしている…営業スマイル…俺が嫌いな言葉です。

 

 

「これはこれはエドマリス王。この度、この式典に参加させていただきまして、まずは心からの感謝を」

「おぉ!ミュラー侯爵殿!よく来てくださったな――」

 

 

父は父で、満面の笑みで様々な人達に挨拶を交わしている……よくやるよなぁ。俺大人になっても挨拶回りとかできる気がしない。

 

あ、どうも。本日誕生日を迎え、十歳になったパーティー?的なのに参加させられてるエドルスです。

――正直クソめんどい。家に引きこもって魔法の勉強するなり騎士の方々を参考に闘気を鍛える方がまだ有意義な気がする。

……いや、まぁ確かにこのパーティーは貴族同士の交流会みたいな側面もあるから俺が出ないといけないのもわかるけどぉ…根が庶民の日本人だ。

 

エリートな人間でもないしこんなのただ疲れるだけなんだよね…誕生日そうそうこんな事やらされて辛いどころじゃないですよ。

「エドルス様、また一つの節目を終えられたこと、誠に喜ばしく存じます。」

 

…こっちにむかって話しかけてきたほうを見ればそこに立つのは小太りで丸坊主の男性。

 

この場にいる者たちの例に漏れず豪華な服装を着こなしているがほんの少しだけ装飾が少なく白を几帳面としている格好で、他のものと比べると少しだけ神聖的なものを感じる。

この男、なんだか見たことがあるような気がしなくもなくもないような…

 

「……これはこれは、わざわざお声掛けありがとうございます」

 

いかんいかん、こうボーっとして物思いにふけると会話が止まる、こういう場ではビシッと決めとかないとな…

いやでも…なんか見覚えがあるんだよな。直接見たことはない…と思うのだが見たことがある顔つきというか…他人の空似か?

 

顔をジロジロ見ていたのがバレたのか男はハッとしたように一つ咳ばらいをし、ニッコリと笑う…いかにもな貼り付けた笑顔、ちょっと引いてしまう。

「申し遅れました。わたくし、レイヒムと申しまして――」

レイヒム……レイヒム……レイヒム?あー思い出した!

「あーレイヒム大司教?」

 

あっレイヒム大司教!レイヒム大司教じゃないか!思い出した!せっかくテンペストとの戦争に生き残ったのに七曜の老師に暗殺された人!

「……あぁ。申し訳ありません」

 

…初対面なのにバリバリ食い付いて反応してしまった、何か怪しまれないだろうか。

相手の様子を見てみればこちらを警戒したりしているわけではなくなんか…少し驚いたような顔をしている?

 

うーん、何かやらかしたなこれは…さて、言い訳する準備を整えなければ…

 

「耳が早いですな!さすがは神童と謳われるエドルス様と言いましょうか……改めて自己紹介を。わたくし、つい先月大司教へと就任致しましたレイヒムと申します」

 

――んー!セーフ!いやーね?これ2カ月前に会ってたらアウトだったわ。

 

しかしこう考えてみるとフォルムス陣営の主要人物ほぼ死んでないか?

ヨウムとかは置いといて、生き残ったのはラーゼンと王達と……なんかよくわからん貴族たちとかか…うん。やばいなこの国。

 

「しかし、本当に素晴らしい才覚ですな。近くでその知見を拝見するとより一層強く感じます」

「私などまだまだ若輩の身でありますがそうおっしゃっていただけるとは…」

 

「…若いながらも謙虚でいらっしゃる。謙虚な姿勢、感服いたしました……少々世間話が過ぎましたかな…それではまた後ほど。貴方様に神ルミナスの加護があらんことを」

 

一通りの会話を済ますとレイヒム大司教はそそくさと俺の前から去っていき、他の者の元へと向かっていく。

……うん、これ完全に社交辞令だわ…ホントお世辞も言わなければならないとは面倒だ、少ししただけで気が滅入る。

 

まぁそういう腹の探り合いが貴族の嗜みと言うやつなのかもしれないがやっぱり俺は適当に考えてパーっとやるのが性に合っているようだ。

「……」

端のほうで魔法を使って辺り一帯の詮索を開始し、ここって思ったよりも広いんだなとしみじみと現実逃避をする。

 

そう!この1年間で俺は魔力感知を覚えた…わけではないのだが似たような事ができるようになったのだ…厳しいラーゼンのスパルタ授業によって生まれた産物だ。

 

魔素というのはどんなものにでも微量ながら存在する、その流れを感知することで周囲の動きを把握することができるというのがこの魔法の原理になる。

 

性質上距離を短くすればするだけより鮮明、により詳細にわかるようになる…まぁ試してみた感じ多分半径2メートルくらいまで狭めないと手に取るように分かるレベルにはならないしそこまでな印象だ。

 

まぁこの魔法にも素晴らしい点はある。動きだとかの感知は難しいが建物なんかの大きな場の見取り図を簡単に作れるしちょっと頑張れば感知内に遠隔で魔法を発動させることもできる中々便利な魔法で建物とかの大きなものだけに縛れば半径5kmくらいは多分いけるぞ!

 

つまり……何が言いたいかというと俺は半径5km四方の隠れ道だとかはある程度把握できるようになっているのだ!

 

 

現在はなんとなく人の流れを感じれる程度の大きさで周囲を警戒中…人混みにひっそりと紛れて時間を潰す…できる限り話したくない、会話したくない…貴族たちに値踏みされるような目で見られるのは懲り懲りなのだ。

 

そう思っているがまた誰かがコチラに近づいている……少しだけ左右に移動してみて俺目指して近づいて来てるか確認。

……うん、間違いない。俺のところに近づいて来ている。

 

はぁ、何のようだろうか。

「エドルス様、先ほども言いましたが公の式典では魔法の使用は控えてくだされ」

 

誰かと思って振り返れば俺を呆れたように見ている、知ってる顔の老人が立っている。

「なんだ、ラーゼンさんか」

 

うーん身内っていいねぇ、顔見たら安心できる…この味方がいなさそうな探り合いばかりの場では尚の事だ。しかしまた説教だろうか?

 

「変なところ見せちゃいましたね。こういうところ慣れてなくて……」

「このような場には疎くて当然。しかし慣れてもらわねば困りますな」

「……はい」

ラーゼンさんは、俺の目を見ながら話ける。言っていることは事実だ、それは分かってるんだが好きになれないんだよなぁこういうの…

 

駄目だな俺。こう不安になると取り繕う余裕が無くなる、周りの目が気になるし……

「このような場に姿を出す機会はこれから増えるでしょう。貴族間の関係構築は今や最も重要とされていますからな」

「…そうですか」

 

俺は人と話すのはそこまで好きじゃないし特に思ってもないことを言うのは苦手だ…

 

俺がそんなことを考えているのを見抜いているのかラーゼンさんは少し笑うように話を続ける。俺が目を逸らしたいことを的確に突いてくるとは…ラーゼンめ…なかなかに良い性格をしている……いや、この場合悪いのか?

 

「まぁ心配しなくてもエドルス様なら直に慣れるでしょうな。何、深く考えず市場調査のつもりで参加すればよろしいのです。」

 

ラーゼンからの慰めに近いような、慰めではないような言葉をもらうが……うん、ぶっちゃけ慣れそうな実感がまったくわかない…

なんというか今、まあ多分これからもだが見る側ではなく見られてる側という認識が拭えない。

 

不愉快とも言えるジロジロと品定めをするような目…どこへ歩いても、何をしても、一挙手一投足全て見られているように感じるのだ…

 

「その認識は少々間違っていますよ」

 

ラーゼンはこっちの考えは分かっているとでも言いたげにそんなことを言う。この人はテレパシーでも使えるのか?毎回俺の考えを読まれている。

……前々から感じていたのだが、この人の目を見ているとなんでもお見通しなんじゃないかと少し疑ってしまうのだ。

 

 

いやまぁ実際にそうなのだろう。俺よりも遥か年上で世界を長く生きているの、ラーゼンにとって俺は人生初心者だし、そんな初心者の考えていることなど手に取るように分かるのだろう。

 

「エドルス様を品定めしている、それ自体に間違いはありません」

ラーゼンはそんなことをなんでもない事のように……いや、実際ラーゼンにとってはなんでもないのだろう…ラーゼンは過去に俺のような悩みを持った王の子供たちをいくつも見てきたのはずだ。

 

「しかしこれは間違えてはいけません。選択権のある…選ぶ側に立っているのはエドルス様なのです」

「……」

なんか、こう……言葉ではうまく表せないのだがすごいグッときた。

確かにそうなんだけど、そう突きつけられると……そう、なんというか自分が国王の息子なのだという認識を改めて考えさせられてしまうのだ。

ただまぁ…ラーゼンに諭されるのは悪い気はしない。

 

「今は苦しい時期に立たされているでしょう。今、どのような状態なのかも全体を通して理解おられるはず…だからこそ不安になるのでしょう」

 

ごめんなさい、逆です…わからないから不安なんです…!将来自分が上手く立ち回れているのかとか自分がちゃんと生きているかとかの不安ばっかりなんです!

 

「しかし、この状態もいずれは終わりをつげます。どのような形であっても私は受け入れるつもりですが……」

 

そこまで言うとラーゼンは言い淀む。

……いや、言い淀んだというよりは少し考え込んでいる?そんな雰囲気だ…どうしたのだろうか?何を止まる必要があるのだろうか?まさか俺がまだ小さいからこれ以上は理解できないとでも?その通りかもしれない…ラーゼンさんが思っているのなら間違いなくその評価は合っている。

 

「少々小難しくなりすぎましたかな、どうです?気分転換にでもなりましたか?」

「少しだけですけどね」

 

…少しラーゼンと話して安らいだ。ちょっと気負いすぎてたかもしれない…

 

「そうですか、早速ですがご挨拶にとお越しになられている方がおられますよ。」

そう言うとこっちが返事を返す前にラーゼンはどこかへと行ってしまう…依然として憂鬱なのは変わらないが……切り替えるしかないだろう。

 

そんな風に思っていると前から誰かが近づいてくるのがわかる。

「お初にお目にかかりますエドルス様。ご一緒してもよろしいでしょうか?」

 

見れば…少女が俺の前に現れ、静かにこちらを見定めるように見つめている。

洗練された佇まい、そこらを歩いている大部分の大人たちよりも優雅だ。

 

背丈的に…同年代くらいだろうか?当然ではあるのだが俺と同じ年代の子も多い…僅かながらでもの関係構築のためという見え透いた動機のだが、年が近い人が多くて良かった。

 

こういう子たちも俺と同じように思っているものも少なからずいるだろうしそれでも頑張っているのだから情けないこと考えていられない。

 

きっと俺の何倍も厳しい教育を受けてきた子なんてざらにいるのだろうしな。

 

「……えぇ、願ってもありません。ぜひ」

 

可能な限りの自然な笑顔で俺は頷く…多分きっと、ラーゼンが言ったようにこれからこういう事は増える一方なのだろう。

 

色々大変だけど、今年も一年頑張るか…




エドルス
貴族の嗜みとか一生できないだろうと思っている。定期的にヴェルドラの元に遊びに行ってストレスを発散するのが日課、休憩お祖母ちゃんの家行く孫かな?ラプラスも自室にたまに現れるのでそのときはとっ捕まえて話相手にしてる。

ラーゼン
なんやかんやエドルスを気にかけてるおじいちゃん。魔法を教えている教師として見ても時期に支えることになる存在として見てもエドルスは結構理想的なのでモチベは高め。

レイヒム
生臭坊主。エドルスに対して優秀な人は耳も早いんだなと再認識。
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