ハードな国に転生したけどカッコ良く生き(り)たい 作:王の物置
やる事やって適当に過ごしていればいつの間にやら完全に日が落ちている。
…今すぐにでもベットに飛び込んで寝る体勢に入りたいが残念ながらそういうわけにも行かない。
「はぁ……」
ため息が自然と口から漏れ出す…最近ため息をしなくなったと思っていたのに……俺は暇を潰すため本を読みながらラプラスが迎えに来るまで待つ。
この待ち時間ですら今の俺には苦痛なことこの上ない、ストレスでどうにかなりそうだ。
「お、待ったか?」
考えていればなんとやら…声の聞こえた方を見れば思ったとおりのピエロ、ラプラスがそこにいた。
「いえ、待っていません」
来ないで欲しい、何かの手違いであってほしい…そんな願いは通じないようだ…もっとこの世界の神様は俺に優しくしてほしい。
露骨なチート能力とか欲しい…この世界の神様って誰だろうか…ヴェルダナーヴァ?リムル?それとも世界の言葉?
何でもいいや…オレに力を分けてくれ!
「ほな、行くで」
「ちょっと待ってください」
そんなアホなことを考えていれば催促してくるラプラス…俺はそんな急かすラプラスを呼び止める。
ラプラスは『はよ行こうや』とでも思っているのか呆れたとでも思っているような怪訝な顔でこちらを見ている…
俺本体がラプラスを呼び止めたことは殆どないはずだがなぜこっちを見るのだろう?
「ちょっと姿を変えますね」
待たすわけにもいかないので返事を聞く前にさっさと姿を変えていく……俺は腐っても一国の王子、間違っても何かしらで周りの名声を落とすなんてことはあってはならないので最大限気を遣う。
分身が作った女性の姿、もはや外出用のテンプレートにすらなっているこの姿……懐かしい、分身に対して結構ドン引いていたな…ていうかこれを使うたびにドン引きだ。
初めて見たときは気が付かなかったがなんとこの姿、服を別の枠を割いて作っているのだ…!
つまり服を作ろうと思わなければ何も着ていないスッポンポンになる…馬鹿かな?こだわりすぎである。
「準備できました。すいません」
擬態は完了、鏡を見れば黒髪黒目の超絶美女と目が合う。
まーじで可愛い…ナルシストになりそうだ…特に目が良い、黒いその瞳孔は黒いながらも光を反射して宝石のような輝きをっている。
白目は濁りがなく澄んでいて、より黒目の輝きが際立つ造形……うーん、よくやった分身!
「ちょっとだけ説明させてもらうで!今から会いに行く人はゲルミュッド様言うてな、蠱毒計画の立案者や」
ラプラスの話を聞いていれば予想通りの相手の名前を口にする…
予想通りでほんっとうに良かった…!
これでユウキとかの名前出されてたら俺の頭がおかしくなる。
「ゲルミュッド様にはワイから説明させてもらいました。やからそれなりの対応しとったらしとったらええで」
「はい、わかりました…」
助かる、ラプラスが説明してくれるなら俺は何もしなくていい……何かするたびにボロが出ないかとヒヤヒヤするからな…
「ほな、行くで?」
ラプラスは俺の形式だけの確認をとりコチラの返事を聞くことなく転移を発動する。
これ以上状況を悪化させないように今まで以上に気を引き締めなければな…
■
転移が終わって周囲を確認すれば、森の中…夜中なのも相まって殆ど普通の視界じゃ周囲を確認できないので諦めてあんまり使い慣れていない探知の魔法を発動させる…半径8mの探知範囲を前方へと設定すれば前方14mの擬似視界の完成だ。
……おっと使ってみれば目の前にはペストマスクを着用した男が立っているではないか…!
あれがゲルミュッドで間違いないだろう。
「ゲルミュッド様。前話しとった助っ人、連れてきましたで」
ラプラスがゲルミュッドに対してそう告げ、俺はその紹介に合わせて軽く頭を下げる……
「おー!お前があの方より派遣されたという人間だな?俺の名はゲルミュッド。上位魔人だ!」
いかにも小物と言った動き、コチラを過度に見くびってるのも小物らしさを加速させる……なんというかここまで小物感を出せるのは才能ではないだろうか?
「お初にお目にかかりますゲルミュッド様。クレイマン様の名により参上いたしました。何でもお申し付けください」
適当に下手に出れば、ゲルミュッドは満足したのか上機嫌に俺のことをジロジロと観察し始める。なんだジロジロ見やがって?
うーん小物、なんかやられ役だなーって感じをひしひしと感じる…正直俺でも勝てそう…
「まずはその力を見せてもらおうか……我らはこれからこの先にある
「はい、かしこまりました」
ちらりとラプラスを見ればラプラスもやる気なのか既に進行方向であろう方を進み始めている……
「ゲルミュッド様、前はワイらに任せときー」
ゲルミュッドの前に立つ形にしてラプラスの隣へと立つ。
流石演技派ラプラス…いつもあってるのと変わらない…多分俺若干顔にでてるのに……
「…エドルスはん、アンタ意外に演技派やな」
「ハハハッ…」
演技派はお前だろというツッコミを入れたいがグッと推し堪えラプラスの呟きをスルーする。
そこそこ魔物の気配を感じるのだがラプラスのオーラを恐れてか全く近づいてこない。
「なんだ。魔物が現れないじゃないか」
「そりゃ助かるわ。ワイらも緊急事態のために温存してますし出ないのは悪いことじゃありませんで、ゲルミュッド様」
ラプラスが適当なこと言って、ゲルミュッドの疑問を無かったことにする。
疑問に答えるのではなく疑問を良い方向に持って行くのは流石としか言いようがない…流石はプロ、といったところだろうか。
アレやコレやと進んでいれば地面が悪い感じにネチャネチャとしてくる………間違いなく湿地地帯へと突入したのだ!
この靴の間に入ってきそうなヌチャヌチャしてる感じ…無理かもしれない……
…風魔法、『
…沼に入らないようにするためにかなり風の風力?密度?を上げて対策完了…めちゃくちゃ魔力食うが気にしたら負けだ。
散策したいところだが視界不良極まれりみたいな状態なので諦めてラプラスの横を歩くだけの作業に専念する。
「やっとか…」
ゲルミュッドが溜息をもらすが無視だ無視。変に関われば突っかかってきそうだからな……
「お?アッチに人影が見えまっせ。魔素量も…中々とちゃいますか?」
「……確かにな、中々の気配を感じる。俺様が名をつけるに相応しい…」
ラプラスが指をさす方向をゲルミュッドと一緒に見るが……なーんも見えん、まぁ14mより先は描画範囲外なので当然と言えば当然だが……
「ゲルミュッド様、念の為…ワイらの後ろにおっといてくださいね…1人中々手強い相手かもやで……」
ラプラスと共に進んでみればしばらくしてからようやく探知内にその存在が入る。
リザードマンの…4人組!
リザードマンのスクワットがコチラへと向かってきている!
リーダーらしき男は紫の体表をしているがまぁ誤差だ。
4人組、リザードマンの…とくれば個人的に思い当たる人…蜥蜴はあのキャラしか出てこない…!
そのリザードマンの代表らしき男はこちらに槍を構えてピタリと止まる。
「我が名はガビル!これより先は
……やっぱりガビルだ!えーめっちゃうれし―――ん?
え?待てよ?おかしくね?ゲルミュッドはリザードマンに名を授けるためにここに来た…ゲルミュッドに名を付けてもらったリザードマンはガビル……
ん?どういう事?なんかタイムパラドックス起きてない?
ていうかなんかガビル君めちゃくちゃこっち見てきてない?気のせいか…?気のせいだよな?頼む気のせいであってくれ…これ以上立場を悪くするような事起こらないでくれ……
「まさか…そのお姿はマイ様ではありませんか!お久しぶりですな!」
ガビルはコチラへと手を振っているのを脳が認識…した瞬間俺の脳に電流走る!
『そこの人間!ココは我ら
『――結構強いね君、もしかして……名前、ガビル?うわなんだ魔力がくぁwせdrftgyふじこlp』『完敗、ですな。我が槍術は通用せず名までいただけるとは……貴方様の名を聞いても?』『………………マイです。』『おー!なんと淑やかで美しい名ですかな!我輩、貴方様に永遠の忠誠を―――』
『あはは……これやらかしたか自分?』
ハハハッ…やらかしてるぜ馬鹿野郎、お前は何をしてるんだ。なぜ今だとかアチーブメント式で記憶解放されるものなのかだとか色々言いたいことはあるが……本当に報連相だけしといてほしかったよ…!なぜこんな重要なこと黙ってたんだ!
「…ヒトチガイデハ?」
なんかの間違いであってほしいと視線をそらすがリザードマンはガハハと俺の希望を笑い飛ばす。
「いえいえそんなまさか!ところで約束通り1日欠かさず鍛えているのですよ!つい最近ボスデスパンダの討伐に成功しまして、様々な死闘…我が武勇!マイ様にこそ聞いてもらいたいと……」
やめろ話しかけてくるな!俺はお前に名をつけた記憶はないぞ!そしてゲルミュッド…訝しむような目でコチラを睨むな!
ラプラスはオーマイガーみたいな呆れるリアクションしないで!俺だって予想外のことだったんだからさ!
あの分身爪痕残しすぎでは?
エドルス(本体)
分身から時間差発動の不可避の地雷を食らってて笑えない。マジで分身を使おうとしてた過去の自分をしばきたいと思ってる。大切なことは伝えといてくれ頼むから…と思っている
エドルス(分身)
やっちゃったZE☆起きたことは仕方ないが報連相のやる気のなさには流石に本体も苦笑い。
ガビル
羽は生えてない。約1年ぶりの主との再会に涙を禁じ得ない。何やら分身と色々あったらしく毎日かかさず鍛えているらしい…
ラプラス
なんかやらかしとるやんおもろいな…と思ってる。流石に予想外すぎて素で笑いそう。