ハードな国に転生したけどカッコ良く生き(り)たい   作:王の物置

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休みがあっても何もできない件

「ぶぇっくしょん!」

 

どうもエドルス(13)です…一人ガサゴソと放置されて少し埃をかぶった鞄の中を漁ってます。

 

今漁っているのは過去に分身が使っていたやつだ。今も乾燥ヒポクテ草の入った瓶やらでパンパンの鞄…茶葉的な用途で使っているが一生なくならない!量が多すぎる…!

 

まぁそれはそれとして…俺がこうして漁る理由は一つ、冒険者のライセンス的なのがないか探しているからだ。

 

調べた感じ顔パスでやれるような界隈ではないし間違いなくそれらしいのが存在するはずなのだが……

「うーん、ないな」

 

鼻がむずむずする中探し続けているがマジで見つからない。

 

シンプルにカバンに詰まっている荷物が多いせいで見落としているのか?

「うーん……ハッ、ハッ!……あー…」

もう一度言うが鼻がむずむずする。微妙にかぶっている埃に鼻がやられる…これのせいで集中力が乱れ、見落としているのかもしれない…

 

鼻がむずむずするから集中が乱れてペースが遅くなり、ペースが遅いから鼻がむずむずする時間が長くて集中が乱れるという負のスパイラルに今嵌っている…!

 

今になってどうしてこんな事をしているかと聞かれれば、外出規制が父より直々に緩和を言い渡されたからである。

 

父曰く、世間を知ることも必要とのことだ…………正直もう少し早く言って欲しかったと思わなくもないが、それは贅沢というやつだ…!外に出られるようになっただけでも感謝だ。

「……ゥェクシ!」

スライム君の方をちらりと見れば微動だにしない。

 

…スライムには鼻とかいう器官がないからハウスダストに悩まされることがないのか……正直ちょっと羨ましい。

 

「クシュン!……あー、鼻かゆい……」

鼻をすすりつつ鞄の中身を漁る。

しかし本当に見当たらない…まさかとは思うが本当にそんなものはないのか? ……いや、そんなはずはない…

 

ちゃんと"著者:ユウキ・カグラザカ、自由組合発行"の『これで君も冒険者!冒険者のしくみ』という本にも書いてあった。

 

ギルドマスター本人があると記載しているのだからあるに決まっている。

「は、ハクシュン!……あーもう最悪だ!」

鼻をすすりつつリュックの中を開ける何もそれらしいものは見当たらない。もしかしたらまだ探していないのかも、そう思い鞄の中身を出しては漁る。

……しかし本当に見つからない、もしやあの分身落としたのか?

 

いやまさか、そんなアホな事する訳………する訳……す、するか。あの分身ならやらかしてもなにもおかしくない、そういうある種の信頼がある。

 

「…ん?」

 

気を紛らわせながらカバンを漁っていると鞄の奥底に薄い金属プレートがポツンと隅に追いやられている、手に取って引き寄せてみれば光を反射しキラリと光る…

「……マイ・アズヨ?」

 

刻まれている文字を読んでみればランクなど様々な冒険者としての情報や名前などの情報が刻まれており、ガビルが擬態中の俺を呼んでいた名前と一致する…俺が探しているものはこれだったのか。

 

微妙に日本っぽい名前なのはなぜ?ユウキにこいつ日本人じゃねと疑われてしまうではないか…!

 

ただ違和感を感じるネーミングだ、マイはともかくアズヨってなんだ?

 

マイ・サトウとかだったら『日本名で登録してるんじゃねーよ』程度の反応で済んだのだが……日本名っぽいがなんかズレている名前だし外国籍っぽさも感じない、というかチグハグで名前っぽくない。

「うーん…」

考えても分からないので考えるのをやめた…なんか時が過ぎるごとに分身に対する謎が増えている気がするが気のせいだろう。

 

外出用の姿に変えて、あんまり使えないが冒険者らしく剣を携えれば完成…!いざ、冒険の旅に……とまではいかないが外を見て回ろう。

 

前の自分と今の自分の決定的な違い…それは時間さえ守れば邪魔する者が居ないということ…!

 

自由組合に行ってみるか…?それとも無視してジュラの大森林なんかに行ってモンスターと戦ってみるか?

どうしようか…考えれば考えるだけ選択肢は増えていく。

 

「ま、いっか…行ってみてから考えよーっと」

 

 

 

 

 

風がふき、木々がさざめき、太陽が光る。人の気配を感じず、ちょうど涼しいくらいの温度…それがジュラの大森林。

 

現在俺は封印の洞窟の近くの森で平和に過ごしております…

「ハーッ…空気おいしい…!」

 

擬態も解除し、人目を気にせずのびのびとできる…くぅ~最高!

…最初は冒険者として活動しようと意気込んだが、やる気があんまり湧かなかった…まぁ朝も夜も忙しなく活動しているのに自由時間も何かに縛られて動かなきゃならないなんて……そんなんやってられっか!

 

ようやく休みだと意気込むが日常生活の疲れが出てきて何もできない、これはあるあるではないだろうか。

 

俺は自由時間くらい何も考えずに伸び伸びしていたい! なのでとりあえずジュラの大森林で気ままに過ごすことにした…誰もいないしスライム君も一緒だ。

 

「スライム君も楽しんでる?」

返事はないいつも通りの塩対応……だがずっと小さな部屋に軟禁されていたからか倍増でぷよぷよ跳ねている気がする。

 

ぷよぷよしすぎてはしゃいでるというよりかは震えてるみたいになっている…誰に会いたいの?なんて言いたいがこのボケが通じる相手は存在していない。

 

転生者ジョークは転生者の前でしか披露できないのである…

「……まぁ、いいか」

 

この世界に来て十年とちょっとになるが人生のなかで5番目くらいに驚いたことがある……

ジュラの大森林、思っているより平和で魔物とかに全然鉢合わせないのだ…

気配を探ったりしてナワバリっぽいところに近寄らない様にしているのもあるが危険な場所に近寄らなければ普通に出歩いても全くエンカウントしない……

「平和だねぇ……」

 

のどかで誰にも邪魔されずに自由に過ごす、この森はそんな場所なのだ。

 

本当に静かだ…聞こえてくるのは風の音、葉のこすれる音…それだけだ…なんだかこの森に俺だけしかいないような錯覚さえ覚える。今なら好き勝手に日頃の鬱憤を晴らすような奇行に走れる!

「ふぅー…「そこノ!強きモノ!」

 

うーん前言撤回だ。バリバリ人いた…恥ずかし…もうちょっと時間があれば間違いなく発狂していた、そんな姿を見られたらダブルで発狂してしまう。

 

ヒヤヒヤしつつそっちを見れば赤いバンダナを巻いた緑肌の青年?少年?がコチラに剣を構えている…

 

緑の肌、ゴブリンである………俺食われる?食べても美味しくないと思うんだが………ゴブリンって美味しいのだろうか…?

 

……正当防衛、正当防衛だ…こちらから襲うというの気が引ける…相手が襲ってくるまでそんな事考えちゃいけない!

 

「……敵、ですか?」

 

一応会話のキャッチボールができるのか試すべく質問を投げかければ相手は首を横にブンブンと振り、焦った様子で剣を下げる。うん、会話は通じそうだ。

「いヤ!違いまス!申し訳ありません!私、ノ名前はリグル!リグルと申シます!」

「あ、どうもご丁寧に…えっと私の名前はエドルスです。」

 

リグル…?リグ、えっ?リグル?えっ?もうリムル居るの?え?いやでも俺ついこの間ヴェルドラに会いに行ったばっかりなんだけど…

 

んー?どういう……いや、そういえば忘れてたけど俺の知ってる方のリグルは兄の名前を継承したんだったか…

 

つまり、俺の目の前にいるリグルは…まさか…兄の方!

原作開始時にはもう死亡してたもんな!こんなところで会えるなんて感動だ…!

 

「えっと…ところでどのような用件で?」

「申し訳アリません…!私は村の警備をしていテ、強い妖気(オーラ)を感じ様子を伺いに来たのデす!」

 

…なるほど、俺は小さい頃から魔法を特に力を入れて学んでいたし、魔素量もゴブリンである彼から見たらかなり多いほうに感じるのだろう。

「いやコチラこそすいません!ご迷惑をかけてしまい……」

 

「あ、い、いエ!どのようなモノなのカ偵察に…」「あ、あ。ハイ…スミマセン」

 

 

うーん気まずい…!この…微妙にコッチが悪いのに相手がめちゃくちゃ謝ってくる感じが苦手で謝っちゃう……!

「そ、そノ…もし、よろしけれバ、村へいらっしゃいますカ…?」

 

リグルからの提案、村への招待…なん、だって?!

リムルが名付けする前のゴブリン村に行けるだって?!改変はできないので何かしら干渉する訳では無いが…リムルが来る前の空気感を味わってそこからリムルの影響でどう変わるかぜひ記憶に残したい!

 

「えっ?良いんですか?!」

当然行かせてもらおうか!




エドルス
なんやかんやありつつも普通に成長していっている。いつ原作始まるんだろうと思いつつ確認がてらヴェルドラのいる場所まで様子を見に行っている。

スライム
久しぶりに外に出れてテンションMAX!

リグル
ゲルミュッドに名付けされてる方。周囲の様子を見に行ったところエドルスに遭遇。自分が一番強いという理由で危険な場所に行く際には一人で様子を見に行くことがある。
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