ハードな国に転生したけどカッコ良く生き(り)たい   作:王の物置

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原作開始前なのにとある歴史改変に気がついて草なんだ。ま、まぁ本編に多分影響しないことだし問題ないなヨシッ!


分からない時は何を考えても分からない件

「エドルス様、この度も招待いただきありがとうございます。」

「わざわざご丁寧に……お久しぶりですヘルマン卿。どうです、その…最近の様子は?」

 

俺は父にいつも言われる言葉がある。今のうちに親交を広めておけと口酸っぱく何度も言われる。父は言葉だけでなく俺をそういう場に赴かせることも多い。

「エドルス様のお力添えもあり、物資の貯蓄が増えました…これでしばらくは防衛網も維持できるかと…」

「そうですか、それは良かった」

 

実際今も父より言われて俺は様々なところに連れ回されては年齢を問わず色々と会話する機会を設けられたりする。

 

今日は俺の誕生日パーティ…まぁ主役の参加は必須であるわけだ。

…ラーゼンさんとかフォルゲン騎士団長とかに祝ってもらうだけで満足と思う今日この頃、どうも十四歳になったエドルスです。

 

今日は外から来賓される方も多いらしく、ホント一生挨拶しなければいけないかもしれん…もう適当にぐーたらしたい!

「これはこれはエドルス王子。噂は至る所で聞いておりますぞ?何やら魔術に没頭されているようですが……そのようでは民からの信頼は得られますまい」

 

「…シネレア卿…これは耳が痛いですね。しかし魔術は趣味程度にとどめておりますので…」

 

色々な人と関わるので必然と相手に対して不満を持つこともある。コチラを値踏みするように見てくるもの、小馬鹿にしているような態度をとるもの…様々いる。

 

父はそれを含めて親交を深めよと言っているのだろう、勿論私も父からの言葉を無下にはせず精神背一杯取り組み、全うしようと努力している。

 

 

こうも長く様々な者と関わると、苦手だった事もある程度許容していけるようになるというもの…これも様々な人に関わってきた恩恵だ。

 

 

「仮にも王子ともあろうお方が学者気取りというのは他の者からの印象を落としますぞ?体裁を少しは気にされては?」

「…あはは、確かに御尤もですね」

 

 

いや嘘だ、マジでムカつく。

こっちが言い返せない立場だからって好き放題言いやがって…人の趣味に口出してくんなザビエル。電気椅子で処刑されるみたいな髪型しやがって豚の丸焼きでも作る気か。

って言いたいがこういう小言が多い人は大体権力者側の貴族だし、むしろ気を使って話さないといけない。

うーん、非常に面倒くさい。

 

可能なら1日中ずっと何も考えずに外で遊んだり、スライム君と戯れたり好きなことを好きなだけして過ごしたい。

 

…まぁこういう人はすぐにどっか行く。ちょっと前に気がついたこのパーティーの楽しみ方の一つに…しばらく遠くから眺めているととあるメンバー同士で固まるのだ。

 

派閥争いの牽制、とでも言うのだろうか。

特に序列の上の者や自分よりも目上な人を前にすると気を引き締め直したり、へつらって近づいていったり…逆に遠くにいき小馬鹿にしているだろう奴もいる。

 

たまーに近づいてなんか言ってくるやつもいるが…正直何がしたいか全くわからない。

失言目的の牽制のつもりなら火力が足りないし、実際に注意として伝える気なら態度が足りない。まぁ多分不快にさせたいだけなのでそれで毎回ピキってる俺は、見ていてさぞ面白いだろう。

 

聞かれれば自分の立場が不安定になるかもしれないのによくやるわと思い、少しばかり尊敬の念も抱く。

人間観察とか正直まったく好きではないのだが、脳内で仲良くでそうな人と、仲良くできなさそうな人をグループ分けするのは楽しい。

 

「お初にお目にかかりますわエドルス様」

 

どこからか女性の声が聞こえハッとして横を見れば誰もいない、そして瞬時に声の主がもう少し下の方にいることに気がつく。

 

「コレはこれは…わざわざご挨拶に足を運んでいただきありがとうございます…」

 

顔立ちと背丈からなんとなく察する、5歳くらいの女の子だ…こんなに小さな子も参加するのか…スゲーな。

 

立ち姿がもう5歳のそれには見えないし非常に落ち着きが感じられる、過去の自分と見比べるのもおこがましいレベルだ。

あとめっちゃ可愛い…

「私はマリアベル。マリアベル・ロッゾと申します。この度はご招待いただきありがとうございます。」

「マ…?!」

それマ?

聴きたくない名前だった、そんな事ある?目の前にいる少女は何と言った?マリアベル?

「ロ、ロッゾ…」

何を言ってるんだこいつは…いや動揺するな、落ち着け…多分スキルの【強欲者(グリード)】によって俺の心理状態はある程度把握可能なはず…慌てるな。

 

いかん目眩がする、落ち着け俺!

「……ということはシルトロッゾ王国からわざわざいらしてくださったのですね。ごゆっくりと楽しんでいってくださいマリアベル嬢」

ここはひとまず穏便に話を済ませよう。可能な限り早く離れよう…相手に笑顔でこちらに一礼し軽いあいさつを終わらす。

「エドルス様、この1日がさらなるご繁栄の礎となりますようお祈りしておりまs―」

 

不快感、視界が歪むような、平衡感覚が保てないような感覚…背中をなぞられるようなネットリとした汗が背中を流れる。

 

気がつけば右腕が動いていた、気がつけば右手は握って持ち上げていた――「゛ぁ…かっ!」

 

何を握った?

「……ぇっ、ぁ…」

「………」

 

マリアベルの首だ。

……!俺は何をしている?!急いで手を離して距離をとる…5歳の首を掴んで絞め上げるのは絵面も字面も事案が過ぎる…!

「…!も、申し訳ありません!」

 

周りは……何も見ていないかのように普通に会話が続いている。おそらく、俺の周囲に結界が張られているからだ…幻術のような類で周囲から見れば普通に会話しているように見えるだろう。

 

…ラーゼンさんが急いで張ってくれたのか?

「ハァハァ…ゲホッ!」

マリアベルも息を整えるのを見守る。

女の子の首を絞めるとか……人として有るまじき行為だッ!何故そんな事をしてしまったんだ…?

 

「……お前、なぜ反抗できたの?」

マリアベルの発言…おそらく最強のスキルだと自負している【強欲者(グリード)】についての質問。知らない、何もわからない。

 

さっきの不快感がそれなら尚更だ…気がつけばマリアベルの首に手が差し掛かっていた。

反射で身体が動いていたのだ。気がつけばすでに手に力を込めていたのだ。

全てが俺の意思じゃない…とは言えないかもしれないが少なくともそんな暴力的な行為を望んでいたわけじゃない。

 

「……今度…埋め合わせが出来ると良いのだけど…私はここで失礼します…!」

 

その場を後にしようと一歩後ろに下がるがマリアベルは息を荒げ、こちらに歩みよってくる。

「待ちなさい、止まるのよ。お前から離れるのはどちらにとっても体裁が良くないの…そこで止まっているだけで良いのだわ」

「その、すいません…色々、今度…何か埋め合わせを…」

 

気まずさから、俺は声をかけることしか出来ない…マリアベルがコチラに頭を下げ、離れていく様子を見守ることしかできない。

 

周囲の人達は何事も無かったかのように談笑している。やはり当事者以外の全員にはマリアベルが普通に会話していたように見えたのか?

 

「ラーゼンさん…!」

真相を知るべく、俺はラーゼンに速歩きで近づき声をかける。

 

「エドルス様…そのように駆けてはなりませんよ…」

俺の慌て、足早に歩く姿を見てかラーゼンはやれやれと言った様子で話す…しかし今俺が知りたいことはそれではないのだ。

「助かりました。ラーゼンさんの魔術がなければ今ごろどうなってたか――」

 

「?……あぁ、何を話されていたか詮索する気はありませぬ。このような場で魔術を扱うのは少々如何なものかと思いますが…この老獪の知恵が少しでもお役に立てたようで何よりです」

「…?」

 

会話が噛み合っていない。どういうことだ?ラーゼンの言い方的にラーゼンが使ったものではない…そしてラーゼンは俺が使ったと思っている。

 

…つまりどういう事だ?何がどうなってる?ラーゼン以外が使った魔法だったのか…誰が?何のために?

 

 

 

 

 

 

マリアベルが男を目にした時の最初の印象は平凡で、無個性。

周囲からの評判は良く、非常に大人びていると噂されていたこの国の王子がどのような者か興味が湧いていた。

 

しかし、その興味も姿を見れば失せた。欲望も人並み程度にしか感じられず、欲がないわけでもなければ欲深いという訳でもない…特にこれといった特徴もない人間。

 

そういう人間ほど操りやすく、それが次期王になる者なら好都合なことこの上ないが、駒以上には成り得ない取るに足らない存在であった。

 

今すぐにでもスキルの支配下におこうと接近し、自身のユニークスキルである【強欲者(グリード)】を発動した先の出来事。

 

マリアベルら声を絞り出せないほどの力で首を掴まれ、その腕からは想像もつかない、こちらは抵抗もできない圧倒的な力で絞め上げられたのだ。

 

(やられたわね、やられたのよ…)

自室の鏡で首を見れば手形のような青痣がハッキリと写っている…それ程の力で絞められた。

 

数秒にも満たなかったあの瞬間はマリアベルからすれば何時間にも感じる程に命の危険を感じた…

 

あの男が首を絞めていた時、奴の握力は常に上がり続けていた…もし、最後の瞬間まで上限に達していなかったのであれば……あと5秒でも長ければ首の骨を折られていた。

 

「…」

 

恐怖を感じた、焦りを感じた。しかし今それ以上に感じるのはその事実をどう扱うかという好奇心。

あの男が、エドルスが自身のユニークスキルを防いだのだ。自身のスキルが通用しなかったのはこれで2人目だ。

 

「面白いじゃない…」

幸い、あの行為は奴の本意ではなかったようだしそれならばそれにつけ込む形でやり方はいくらでもある。

 

「マリアベル、それがファルムスへと出向いた感想か?」

考え込んでいれば声が耳に届く。グランベルのものである。

 

「あら御爺様。盗み聞きかしら?感心しないのよ」

「それで、どうであった?かの王子は?」

 

「その話なのよ御爺様。お願いがあるのだけど――」

 

ファルムスの貴族の半数はロッゾと何かしらの関係がある。何かアクションを起こすのも非常に容易い。既に傀儡となっている者も少なくはない。

「御爺様、シルトロッゾとファルムスの友好をより深めるべきだと思うのだわ。大々的にやるべきなのよ。」

「ほう?」

 

力で及ばぬなら、他の部分で勝れば良い。元よりマリアベルは今までもそうしてきたのだから…

奴の度量は把握した。かの出来事を通した上で奴の評価は変わらず凡庸で扱いやすいであろうという評価。

「…あの男と接触する機会を増やしてほしいのだわ。友好関係の証明としてもね」

 

「フ、フハハハ!お前にそこまで言わせるのかあの男は!良かろう、お前の願い聞き入れよう」

 

笑うグランベルの答えを聞いた後、再びマリアベルは思案する。

時間も、手駒もマリアベルにはいくらでもある…元よりファルムスの支配を目論んでいたのだ。

 

計画を切り替えることになるが、そんなのは憂う必要のないこと…選択肢が1つ増えただけなのだから。

 

(面白いじゃない、面白いのよ)

マリアベルは一人、笑うのであった。




エドルス
なんか周りに謎と敵ばっか増えてないかコイツ?反射的に問題行動を起こしたヤベーやつ。本当にマリアベルには申し訳ないと思っている。それはそれとして二度と関わらないでほしいとも思っている。

マリアベル
平常運転。両親をスキルで洗脳しているヤベーやつ。危うく死期が早まるところだった。ヤベーやつとヤベーやつは惹かれ合う運命なんだよね…。
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