ハードな国に転生したけどカッコ良く生き(り)たい   作:王の物置

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1週間投稿くらいは頑張れ自分!次は1週間以内を目指します!


罪は気がついたときが一番苦しい件

最近の悩みは白髪が結構増えてきたこと。どうも、16になりましたエドルスです。

 

増え始めたのは多分マリアベルと会った時くらいから。いや別にマリアベルが悪いとかそういうことではなく、シンプルに過労のストレスでの白髪だろう。

 

ゲルミュッドのやつに真夜中、不定期に引っ張り出されるからその生活リズムの崩れでのストレスだと思われる。

つまりは全部クレイマンが悪い。人の睡眠妨害とか絶対にしてはいけない行為だ、絶対に許せん!殺してやるぞ近藤達也!

 

 

…さて、今俺は空を飛んで窓から城の様子を確認しております。

最近どうも周りは俺を遠ざけようとしている気がするのだ…最近、城の中が妙に騒がしい。

 

聞いても「いつも通りです」としか返ってこない。

流石に16年ここで生活しているので分かる。いつも通りではない。

 

思えば定期的にこんな感じに周りが忙しなく動くことがあった気がする…その時全て俺は何事もなく過ごしており、全く関与できていなかったのだ。

 

窓から色々覗けるところを覗いていく、廊下はあまり変わった様子はないように見える。次に客室、誰かがいる様子はなく特に変わった様子はない。

 

やはり手当たり次第では駄目か……ある程度目星をつけていたところに行くしかないかな。

 

「ひ、人が飛んでる?!」

 

若い女性の声が耳に入る…声がした方を見てみれば窓から身を乗り出す勢いでこちらを覗く黒髪の女の子がいた。姿が見えないように魔法をかけていたのによく気がついたな…侮れない相手だ。

 

「あ、どうもどうも」

俺はその女性に近づいて軽く挨拶をする。部屋の中は…かなり荒れ気味で分かりづらいが結構内装が豪勢な感じだ、どこかのお嬢様か何かだろうか?

 

…いや貴族にしては変わった服を着ている。かなり前世寄りの服というか……

「えっ…?言葉分かるの?」

 

女の子は信じられないといった様子でこちらを見つめる、俺も同じく信じられないといった様子で見つめ返し…その直後に彼女の言葉に衝撃を受ける。初対面なのにかなり辛辣に馬鹿にしたような言葉で刺された。

「ま、まぁ人ですから?」

このガキ!と言いたくなる気持ちをグッと抑えて俺は笑顔でそう答える…俺の笑顔に対して女性は泣きそうな顔…その目から涙が溢れる。

 

な、何かやらかしてしまった!

「あ、え?!だ、大丈夫ですか?!あーっと…えー、な。申し訳ありませんでした!えハンカチ…持ってないし……あ…落ち着いて?どうかしたの?」

 

慌てて持ってるはずがないハンカチを探す俺、無言で泣く女の子。俺は何とか落ち着かせようと必死になる…傍から見たら完全に俺がいじめて泣かし、慌てて謝っている中学生みたいに見えるだろう。

 

なんとか事態を収拾させようとするが女の子は一向に泣き止まず、次第に泣き声が大きくなっていく。

 

 

「ずっと1人で……怖かった……」

「あ、え?ご、ごめん…」

女の子は泣き止まず、俺はどうしていいか分からずオロオロするばかり…もうどうすれば良いのかわからずパニックだった。

もしかして何かとんでもないことをしてしまったのだろうか……

 

 

「名前は…?いつからここにいるの?1人なの?」

「あっ…………ん?」

 

…頭の中を整理しよう。

まずこの娘の質問の意味、名前の次の質問が『いつからここにいるの』そしてこの娘は驚いていた、言葉が通じたと言うことに……そしてよくよく聞けばこの娘は日本語を話している。前世寄りの服のセンス。日本語。

ほぼ間違いなくこの娘は日本から召喚された異世界人と言うことになる…ということはワンチャンこの娘がキララなのだろうか。

 

 

今考えているのはこの娘の事ではなく…俺のことだ。

しかも、この国の言語は日本語ではない…そして目の前にいる少女が話している言葉こそが俺の知る言葉だと、今まで一切気が付かなかった。

 

言葉が通じたと言っていた。つまり普通は言葉が通じないということ…それは逆も然り、この世界の言葉がわからないということ…この国は異世界なのだから当然日本語が使えないのだ!

 

しかし俺はこの世界に生まれたその瞬間から言葉が分かっていた。

 

仮にスキルの効果によるものだとすると何のスキルによるものなんだろうか、ココ数年自分のユニークスキルを一切使っていないので全くわからん。

…いや今考えてもわからないので俺のスキルについては一旦保留にしよう、今は涙痕の残っている女の子の事だ。

 

「えーっと、名前はエドルスです。歳は16です」

「同い歳じゃん…ウチはキララ、水谷希星」

 

彼女の口からは予想通りの名前が飛び出した。同い歳、確かファルムス侵攻の時の年齢は何歳だったか…

 

「キララは、その、一人なの?ずっと?」

「うん…ウチなんにもしてないのに……いきなりこの世界に来て、それで……」

キララの目からまた涙が溢れる。

突然異世界に飛ばされて、言葉もわからないし、周りは利用することしか考えてない奴だらけ……そりゃ心細いだろう。

過去…いや未来の所業を見ても責める気にはなれない。

自分とは状況が全く違う、正直同じ立場だったら俺も腐ってたと自信をもって言える。

 

「そっか、色々…大変だったね。話くらいなら聞けるよ」

「本当?」

正直目の前にいる少女キララは作中の異世界人の中でも他者の追随を許さないレベルで可哀想な子だと思う。所々で普通の学生メンタルを見せていたしここに来なければ普通の生活を送れていたことだろう。

 

「じゃあ…ちょっと話し相手になってくれる?」

キララの願いに再び俺は頷き、窓枠に腰を下ろす…普通に座ったら痛いので魔法で浮いてるのは内緒だ。

 

「えっと…エドルスはどこ出身なの?」

「日本だよ。キララと同じ日本」

 

窓枠座りに対してスルーせず笑って欲しかったなんて思いつつもキララの質問に返答する。

俺の返答に彼女は驚いたような顔をしている…何か気になることでもあったのだろうか?

 

「日本人なの?ハーフってやつ?なんか結構……名前とか…顔が外人っぽいというか…」

 

…そういうことか、自分が転生者である事を説明してなかったな…マリアベルとの会合のイメージが強すぎて異世界人=転生者というイメージに固まってしまっていたようだな…召喚されているのは分かっていたはずなのに俺と同じ体で話してしまったな。

 

「えっと、俺は…1回死んで、前世の記憶を持ったままこの世界に生まれ変わったんだ。なんで死んだかは覚えてないけどね」

 

アハハと笑っているとキララは絶妙な表情になった。

「えっと……こんな世界で16年も生きてるってこと?辛くないの?」

 

「辛いよ。前に比べて全然便利とかじゃないし色々しがらみは多いけど…それでも皆が支えてくれてるからね、どうにか頑張ってる」

キララが何か思い悩んだような顔をしているので俺は出来るだけ優しい顔を作って返答する。しかしキララは落ち込むばかりだ…

 

「良いなぁ…みんなに恵まれてて。ウチは頼れる人なんて……いないし……なんでウチだけこんな目に合わないといけないんだろう……」

キララが肩を落としてうなだれる、天井を見上げ、全身の力を脱力し椅子にへたり込んでいる。日頃の疲れが見え隠れしている…

 

…かなりの罪悪感に蝕まれる、俺がいながら全く関与できなかった。

 

彼女よりも前にも召喚されていた異世界人もいたんだろうがキララが一人と言っていたということは…まぁそういう事なのだろう。

それとなく異世界人がいるであろう事は感じていたはずだ…なのに何故自分から探そうとしなかったんだよ。

 

キララと同じような経験をした奴は何人でもいたはずだ、俺の行動一つで変わっていた人生もあったかもしれないのにな…

 

「…キララ、ごめん」

 

謝ることしかできない、無知は罪…とはこういう状況を指すのだろうな、俺は何かしらアクションを起こせるだけの立場にいながら何もしなかった。

 

「?……なんでアンタが謝るの?」

 

俺の発言にキララは軽く首を傾げる。

 

「その、俺​─────」

 

『俺はこの国の王子なんだ』そんな事を口走りかけて言葉を止める。

…今、俺の立場を伝えるのは違うよな。それは懺悔以外の何物でもない。自分の罪悪感からキララに立場を打ち明けて、謝って、何になる?

 

キララは少し違えど自身の同じ境遇の人間を欲しているのだ、打ち明けるというのは今のキララを傷つけることになるだろう。

 

 

「…その。俺は自由に動けるからさ、困った事があったらなんでも言ってよ。力になれるように頑張るからさ」

俺はキララに笑いかける。キララは俺の言葉を聞いて固まり、少し考えるように目を瞑った後に話し出す。

 

「じゃあ…さ、また会いに来てよ。その時は美味しい物もヨロシク」

「もちろん任せて!」

 

自分の怠慢で他者を不幸に導くというのはこんなにも苦しいものなのか…

 

「…ちょっと用事思い出した!俺、一旦戻るね!また後で!」

俺はキララの返事を聞く前に逃げるように飛んでいって、自身の部屋へと帰っていく。

 

…一度ラーゼンから話を聞き出す必要がありそうだ。

 

 

 

 

 

 

「ラーゼンさん!いますか!」

キララがいた場所から離れ、ラーゼンがいるであろう場所を手当たり次第に探してラーゼンの私室へとたどり着き、ノックもせずに扉を開く。

 

…どうやらラーゼンは何かしらの書き物をしていたようで俺の声に驚き…呆れた様子でため息をついた。

「エドルス様…緊急の用である事は伝わりますが一国の代表になられる者がそのように音を立てて走り、ノックもせず部屋を開けるというのは​─────」

 

「はいすいません!」

 

ラーゼンは呆れ顔でいつものように俺に苦言を呈してくる…こうやってラーゼンが何か言ってくるときは大体俺に原因があるので素直に謝るのが吉だ。

 

「……それで、どうされたのですか?」

「ラーゼンさん、率直に言います。俺に隠していることが有りますよね?」

俺は少し鋭い目をしてラーゼンの横顔を睨む。

ラーゼンは動揺した様子を見せるわけでもなく首を少しかしげて何のことか言えと言いたげに耳だけこちらに傾ける。

 

「異世界人についてです!」

「あぁその事ですか」

 

ラーゼンは一度手を止めて、俺に目を合わせる。

 

「1年先に話をする予定であったので隠すつもりはありませんでしたよ、しかし何故その事を?」

 

「異世界人であるキララさんにお会いしました。実際に会って感じたのですが……異世界人の待遇を改善した方が良いと思います。」

俺はラーゼンに異世界人の扱いについて考えを述べる、それを聞いたラーゼンは顎に手をかけ考える素振りを見せる…

 

「早い…?いや思念伝達か…」

何か予想外の出来事があったらしい。

 

「流石でありますなエドルス様。魔法による思念伝達をマスターしておられましたか」

「……」

 

いつものように俺を褒めるラーゼンだが、俺は微妙な顔をしているだろう。

今は一刻も早く問題点を改善したいのだ。

俺はジト目でラーゼンと目を合わせるが、ラーゼンは飄々とした態度を崩さずに返答する。

 

「エドルス様…部屋も食事も一級品、我々は願いも可能な限り叶えておりますし待遇の面でも問題はありません。これ以上の待遇改善は求める方が酷なのでありますよ」

 

「そういう事ではなくて…!もう少し寄り添ってあげるべきだと思うんです!」

 

自分の言いたいことが伝わらず、少し声を大きく発してしまう。

 

「その、キララさん、凄く辛そうでしたし…もう少しだけ」

 

ラーゼンは俺の様子を見て「ふむ」とだけ呟いてから口を開く。

「エドルス様、アレらは当然我々の一存で呼んだ存在。可能な限りの待遇を保証しているつもりなのですが――」

「兵器運用をやめろと言っているんです!」

 

自分の意見がこの国では少数派であると理解している故の苛立ちをそのままラーゼンへとぶつける。

自分でもみっともなく、子供の我儘のような発言だと理解している。ラーゼンに無理難題を押し付けて甘えているだけだということも……

 

「……すいません、感情的になりすぎました。ちょっと休んできますね」

 

国としての方針もあるのでラーゼンに言ってもどうにもならないだろう。分かっているのに、自分勝手な行動ばかりしてしまい自分が嫌になる。

 

一礼だけして、ラーゼンに背を向けて部屋を出るべく歩きだす。

「エドルス様」

ラーゼンが俺を呼び止める、俺は振り返らずに立ち止まって次の言葉を待つ。傍から見れば自分の意見が通らず拗ねる子供だ…まぁ事実だが。

 

「もしよろしければ次の召喚の儀、お越しになられますか?」

「…ありがとうございます」

 

いつも俺はラーゼンの好意に甘えてばかり、もう少し周りのことを考えて動くべきなのは分かってるんだがどうにもそれが実践できない…前世の年齢を合わせたらなかなかいい歳なのにな……

 

「ラーゼンさん、すいませんでした」とだけ言って俺は部屋を後にした。




エドルス
正義感は並程度の方。睡眠不足だからか若干メンタルやられてる?ストレスからか若くして白髪が目立ち始める。将来ハゲてそう。

キララ
まだ人は殺してない。周りからは交渉系スキルと小馬鹿にされているらしいがまだ言葉が分からないのでノーダメージ。

ラーゼン
なんやかんやでエドルスには甘い。愛弟子だからね仕方ないよね。それはそれとしてそろそろ身体古くなってきたなーと思っている。

異世界人について
原作を見るに割と色々な国で割と行われているらしい異世界人召喚。召喚は結構ミスをすることも多いらしい。
言語習得は魔法で数ヶ月程度かかるらしい(書籍に書かれてた気がする、全然記憶違いだったらねぇよハゲと一蹴してください。)
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