ハードな国に転生したけどカッコ良く生き(り)たい   作:王の物置

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地の文増やそうとしてるのに全然増えねぇ!


やりたくないこと程やらないといけない時がある件

数年ぶりのジスターヴ。俺はクレイマンに呼び出され、応対室らしき部屋まで連れてこられた。

入ってみたがグレイマンは居らず、コチラを見ているメイドさんが一人ポツンといるだけと少々の菓子が置かれているのみ…クレイマンは後から参上するらしい。

……お菓子くらいは食べてもいいよな?

 

菓子の入っている3段スタンドに手を伸ばしながら物欲しそうにメイドさんをチラリと見れば、コチラの意向を汲み取ってくれたのかどうぞと軽い動作をしつつニコリと微笑んでくれる。

 

「いただきまーす」

「フフッ、お召し上がりください」

 

…つい声が出てしまった、目配せだけで意思疎通した意味がないな。

まず俺が手をつけたのは下段のクッキー…少々はしたないが一口で食べきり、味を噛み締める。美味しい…!すごく美味しい…これだけ食べて帰ったらダメだろうか?

香ばしくザクザクとした食感、そして甘い…優しい甘さだ。決して甘ったるくなく、計算され尽くした美味しさだ。1枚、また1枚と手に取って食べていく。

 

クッキー結構好きなんだよね。貰い物でくらいしか食べる機会はなかったけれど、砂糖甘いやつもバターが甘いやつも大好きだ。

 

次は中段のスコーンを食べよう。隣に置かれている多種多様なジャムと一緒に頂こう――背後からガチャリと扉の開く音がする、手を引っ込めてその相手が俺の目の前に来るのを待つ。

訪れた相手は当然、魔王クレイマンであった…もう少しだけ遅れてくれても良かったのに…

 

「お、お久しぶりですクレイマン様」

「足を運んでくれたのですね。貴方とこうして対面するのは数年振りですか?嬉しく思いますよ」

 

クレイマンは営業スマイル過ぎる気持ちの悪い作り笑いで紳士そうに話し始める…来ることを強制しておいてよく言えるよなって感じだ。

 

「本日はどのようなご要件で?」

俺も負けじと営業スマイルで相手を刺激しないように、平静を保って応答する…クレイマンはカップに入った紅茶をすすり目すら合わせようとしない…そのいかにも余裕のある態度、実に腹が立つ。

 

「貴方にはこれまで充分に動いてもらいました。その殆どはゲルミュッドと行動を共にしたのみでしたが……それでも貴方という存在に感謝しています」

 

…よくもまぁベラベラと思ってもないような言葉を並べられる。俺のことを替えがきく駒程度にしか思ってない癖にそこまで語れるのは本当に尊敬するよ。

 

「つきましては……貴方に褒美を取らせたいと考えています」

 

…褒美、クレイマンの言う褒美…絶対ろくなのじゃない。支配の宝珠とか渡されたり、魔王になれ!とか言われても困る。

「褒美、ですか?嬉しい限りでございます…」

そんな俺の不安を他所に、クレイマンはゆっくりと立ち上がり、窓辺で黄昏る。

なんかアニメでも漫画でも窓際にいた気がするし外の景色結構好きなんだろうか?だとしたら結構可愛いところあるな…。

 

「……ゲルミュッドは近年、大幅に力を減らしています。数年間を共にしてきた貴方ならば分かるでしょう?」

 

クレイマンが話した内容はゲルミュッドについて…これは……本当に魔王になれとかだったりするのか?だとしたらかなり不味い…リムル敵対コースが確定してしまう……!

それだけは避けたい…敵対しようものならある程度やむを得ない事情があっても、転生者補正があっても死ぬのがこの世界。せめて死ぬなら良いことをしたい…!

 

「私の魔王誕生計画を知るものはごく僅か。扱える者も少数ゆえ、名付けはゲルミュッドに一任していました…しかしあの体たらくでは大した戦力強化は見込めないでしょう」

 

ゲルミュッド…確か蠱毒計画を提案した本人のはずなのに慕っている人からこんな事を言われるのは少し可哀想な気がしてきた…いや、ゲルミュッドだしな…

 

「ゲルミュッドはもはや不要。しかし計画を任せられる者は少ない…可能なら…信頼できる従順なる私の僕に、任せたいものです」

クレイマンはそう言って振り返り、俺に対して笑いかける。殴りたいその笑顔…だれがパシリや。顎で動かせるレベルのカスだと思ってますか?その通りです。

 

「新たな魔王の手綱を握るのは…ゲルミュッドではなくエドルス、君こそが相応しい。私はそう考えているよ」

……やっぱり俺は死ぬ運命の星の下に生まれてきてしまったのか…?

 

「なに、有象無象に名付けをさせるのは手間だ。貴方には私の指示のもと…ある一つの魔物の誕生に力を貸して頂きたいのですよ」

 

…一人の魔物ねー!何十人の魔物を名付けしてまわらないといけないのかと思ったぜHAHAHA!一体なら時間にも余裕があるしきっと影響力もないだろう!

まさか、いやそんなまさかね?オークロードなわけないよなー。もしそうなったらオーガの里が滅ぶ一端を背負う事になるしリムル一派に殺される確率がグーンと上がるし出来れば嫌だなー…!

 

……オークロードは嫌だオークロードは嫌だオークロードは嫌だ!

 

 

「魔物の名は――オークロード」

 

 

ふむ世界よ、オレにしねと言うんだな!

…クレイマン、実はお前が未来見えてるだろ?俺を殺そうとしている刺客か何かだったりしないか?限りなく世界の影響力を抑えて退場させようとしてるよな?

 

まずい、非常によろしくない方向に事が進んでいる。このままいけば、言い表せないほどの凄惨な死を迎える事になるのが確定してまう…!

 

しかし断ればその凄惨な結末が近くまで歩み寄ってくるだけ、これが遠距離恋愛というやつか…なんか俺前世悪いことしたっけ?いやまぁ悪い事してないと言えば嘘になるけど……それでも今世でこんな目に遭う程悪い事をした覚えはないのだが。

 

 

「…新たな魔王が誕生すれば、実質的なジュラの大森林の支配も夢ではありません。私はね、君の事を買っているのですよ…だからこそ任せたい。どうですか?」

 

信頼だとか評価しているだとかを免罪符に、好き勝手言ってくるクレイマン…仮に断ったら殺そうとしてくるだろうに……もう犠牲者少なそうな方選んで楽になって良いか?来世に期待したほうが良いか?

 

「クレイマン様からのご指名、身に余る光栄にございます。誠心誠意努めさせて頂きます」

 

頭を深々と下げて、精一杯の笑顔を浮かべながら承諾する。とりあえず今はこう返すしか選択肢はない…。

 

「そう言ってくれて、安心しましたよ。タイミングは追々指示します…連絡手段にこれを渡しておきます。何かあればそれで連絡を」

 

そう言ってクレイマンが差し出してくるのは連絡用の水晶、水晶を受け取ろうと手を差し出す、震えと手汗が止まらない…

これミュウランルート辿らないと死ぬよな…?いやでも…仮にファルムス進軍が多少の差異はありつつも進むとすると……んー?……いや、もう考えるのはやめよう。

 

とりあえず、今後の事は後の自分に任せよう……今は今の問題がある…考えるのはそれが解決してからでも問題ない。

 

「そういえば茶菓子を随分気に入ってくれたようですね。包ませますので、どうぞ持っていってください」

クレイマンがそう言うと後ろに控えていたメイドさんがコチラに菓子の包みを渡してくれる……これがクレイマン流人心掌握ですか?ありがたく受け取りますね。

 

「ありがとうございます。それでは、また」

一礼だけして逃げるように部屋を後にする。これ以上厄介事が増えないと良いんだけど…




エドルス
死亡フラグ建築士1級。そのうち積もり積もってタワマン作れそう。
死亡フラグは…!こう建てるんだぁ!
悪役キャラとの協力関係は深めれば深めるだけ死亡率は、はるかに増す。コイツはクレイマン以外に死ぬ悪役キャラとの関係を2つも持っている…この意味がわかるな?
ユウキは生きてるし…まぁ多分死なんやろ。なんかずっとピンチになってる気がする人。どんな行動をとってもリムルからのヘイト値爆上げできる可能性を秘めている稀有な存在。どこで道を間違えちゃったんだ。

クレイマン
エドルス個人は気に入ってる寄りではある、スイーツ楽しんでくれてそうで良かった。生きてたら使うだけだし死んだら切り替えるだけ。でも使えない道具は道具じゃないから断ろうとしたら殺すね…
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