ハードな国に転生したけどカッコ良く生き(り)たい   作:王の物置

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転スラ見ながらご飯食べていたら…いつの間にか3週間経っていた…何を言ってるか分からないと思うが俺も何を言ってるか分からねぇ。

いや本当に更新が亀過ぎる!!


喧嘩するときが一番素の人格が出る件

サッカーボールのようにひび割れた地面、水気を含まぬ乾いた風が俺を撫でる…

 

歩けど歩けどあるのはミイラのような死体ばかり…手足を折り曲げ、背骨は浮き出ているような……物言わぬ死体の記録が積み上がるばかり。あまりにも気味が悪かった。前世も今世も温室育ちの弊害がこんな所で出るなんてな……

 

 

クレイマンに命令されて、ゲルド達オークがいる土地に訪れてみたが、実際に来てみないと分からないこともあるんだな、と身をもって知る。

普段見れないような景色、普段なら絶対に来ないような場所。

 

さながら観光気分――

 

 

……と思わないとやってられない。

「……ッ、」

 

…そして、ふと死体の奥で少し大きめの何かを見つけた。最初見たときはふと、岩かと思ったが…よく見れば四肢があり、人型の…オークであった。

早く仕事を終わらせて帰りたい。俺は死体の山から視線をそらして、前へと進む…がラプラスはピタリと止まり、俺の方へと振り返った。

「エドルスはん、お目当てのもんやで」

ラプラスは俺の方を向くと指をさす。ラプラスの様子を伺い、斜め後ろにピッタリとくっついているが動く気配がまるでない…

 

「ほな、頑張りや~」

「え?」

視線を向けた先には煙しかない。ボンッと音を立てて出てきた煙の中を探してもラプラスの姿は綺麗さっぱりいなくなっていた…どうやら考えてることが読まれたらしい…俺一人で行くしかないか。

 

進んでいけば行くほど、その身体がどれだけの巨体か見えてくる…ゆうに2メートルを超える身体でノロノロと重い足取りで歩くオークが一人…

 

コチラに気がついたのか、ピタリと足を止めて、ゆっくりとした動作でこちらに振り向く。

 

 

「えっーと、こんにちは」

 

行き当たりばったりで声をかけたが、オークは動かない。

あれ……言葉が通じないのか?いやでも通じないことないよな…?ならなんで返事をしないんだ?

 

「えーっと…」

オークは一向に動く気配はない。ただ俺たちの方へ向き直っただけだ。

 

一旦手の力を緩めて、深呼吸してからオークを見つめ……れない、俺の身長が170cmくらいだとしたら相手は2mをゆうに超える身長…威圧感が半端ない。

 

「あの……俺はエドルス、強い仲間を探してる…仲間になってくれるなら名付けをしたい。どうかな?」

……返事はない。言葉が通じていない?いやでも通じないことないよな…なんて考えているとオークは口を開く。

 

「…それは、なぜ。俺なのでしょうか」

…そういう事を聞くのはやめてほしいな。人に面と向かって話すのは苦手なんだよ…。

 

「……さぁね、運が良かったからじゃないかな」

なんか、やりにくいな。こういう話は本当に苦手だ、三者面談みたいな気まずい場所からは走り去りたくなる。

 

「そうか――」

そこから先の返事はない、うつむいたまま、言葉を紡ぐことなく押し黙る。

 

 

相手が話を聞いてくれる気なのは、コチラとしては願ったり叶ったりだ……ラプラスのやつどこ行った?まさか俺から目を離す…なんてするわけがない、けど周りを見渡してもどこにもいない。俺はオークの後を追いながらキョロキョロと辺りを見渡すがラプラスの姿はどこにも見えない。

 

やはり俺のやり方でやってみろという意図らしい。それなら……俺の好きにやらせてもらおう。

 

「…まずは食事をとってからにしようか!」

「はい…ハイ?」

 

 

 

片っ端からお店のものを買い漁り、転移で戻り、ゲルドの前に並べていく。

……とりあえずの水とパンと果物、生野菜程度しか買ってきていないが、オークは目の前に並べられた大量の食べ物を呆然と眺めている。

「ほら、食べていいよ」

俺がそう言うと、オークはおずおずとパンを手に取り口に運ぶ。そして一口二口だけ食べようとして、手を止めた…また呆然と食べ物を見つめる。

 

「どうかした?」

「……俺は後でも構いません。」

オークは申し訳なさそうにコチラを見つめ、真っ直ぐとした瞳でそうつぶやく。

「どうして?」

素で声が漏れてしまった。こんな荒れ果てた大地でマトモに食事をとっているはずもない…子供がいるだとか、そういう理由があっても普通なら何口かは食べるだろうに…口を付ける気配が一切ない。俺ならまず後でも…なんて言えない。

 

「……民が飢えております。」 

 

その言葉に俺は耳を疑った…民。その言葉の意味は勿論分かる。つまりこの人は王様だとかの偉い人だってわけだ。オークの、王様…つまり目の前にいる筋肉質なオークのは――紛うことなきオークロードのゲルドということ…

 

「生まれた子が、翌朝には息を引き取り、4日で顔を合わせた者たちが命を落とします。俺は問題ありません、俺には生まれ持った再生の力があります」

 

ゲルドは視線を上げでこちらをとらえる。

「…皆腹を空かせています。なので…食べるのならば、まず民から。」

俺は言葉を失った。

生まれたばかりの赤子も、子を守る親も、食べ盛りな子も全員が全員餓死していくと聞いて…正直俺には理解できなかった。

 

助からない人間まで抱えて沈む理由が分からない。

生まれたばかりの赤子?年寄り?動けない病人?

悪いけど、俺がそんな環境なら、間違いなく逃げている。動ける人だけ連れて、普通に過ごせる場所へ逃げている……。

 

俺は逃げるようにゲルドに背中を向けて少し離れる。

 

「…駄目です」

「今は食べることに専念してください」

俺には理解出来なかった…その奉仕的な考え方が。俺一人でも救われるなら、きっと俺は全部を投げ打って助かろうとする…

 

ゲルドの考えはさぞ素晴らしい考え方だろう。しかし俺には俺の考え方がある…悪いけどこの行為は善意なんかじゃない。あくまでも目的のための投資にすぎないのだ。

「しかし自分が食べるという選択は、民の誰かが飢えることを意味します。」

「焼け石に水と言うやつです、その程度の食料で1日持つと?」

 

「俺のひとくちが子供達の二口になる…より多くの者が腹を満たせるのです」

「ハッキリ言いますね。子供が食べた所でどうなるんです?今は貴方と話をしてるんですよ」

つい振り返って感情的に話す。

流れるのは沈黙と乾いた風の音、もう何も話すことはない……あまりにも心のない言葉を投げかけてしまった、人はピンチになったときに本性が露呈するとか言うが…。

 

「――後で改めて聞きましょう、変わるのか、変わらないのか」

「…俺は、子供達より先に食べることは、俺には出来ません。」

 

「ハァ……好きにしてください。但し全部とは言いませんから、貴方もちゃんと食べてください…そうでなければ話が出来ません」

その言葉を最後に、俺は再び口を閉じた。

……暫くしてからゲルドの方をチラリと見れば、ゲルドはパンを両手で持った、まるで壊れ物を扱うみたいに。

そしてゆっくりと口に運び、噛んで、飲み込む。一回一回、躊躇するようにして食べすすめる。

 

気まずくなって、…何をしようにもやることがないので、目を瞑ったまま思考を停止させていた。

 

 

ゲルドが食べ終わるまで待ち…食べ終わったのを確認してから、話を再開する。

 

「最終確認です。仲間になりますか。断っても構いません、他を当たるので…」

 

俺の言葉に、ゲルドは考えるように固まってから…片膝をつき、頭を下げる。

「………この俺に、民を救える力を、お与えください」

「……」

なんというか、本当にやりづらい。俺はこの人とはウマが合わない…魔物と人の差、というやつだろうか。価値観がかけ離れている感覚……言葉は通じるのに会話が出来ないみたいな感じだ。

 

勿論、言っていることの理解はできる…でも主張は全く理解できなかった。生き物として欠陥とすら思ってしまうほど、その譲る覚悟の原動力が、やはり俺には理解できなかった。

 

「――今日から君の名前は"ゲルド"。ゲルドだ」

引っ張られる感覚、全身の力が抜ける…乗り物酔いでもしたみたいに気分が悪いし頭も痛くなる……コレが名付けの代償ってやつか。

リムルのようにぶっ倒れることはなかったが、言ってしまえば俺の反応には倒れるだけの先があるということだ…。リムルが気絶する瞬間は…きっと想像を絶する不快感なんだろうな。

 

 

ゲルドも進化の兆候か、体の力が入らないのか立ち上がろうとしながらも地面へとへたり込む。

はやくも進化の兆候が現れているようだ、目が覚したときに意識の薄いオークロードにならないと良いが。

「…おやすみ、ゲルド。」

ゲルドは睡魔に抗うが勝てるはずもなく、眠りについてしまった。

 

…しかし名付けってこんなにも辛いものなのか…頭がズキズキと痛い。……コレをぶっ倒れるまで何回もやってるリムル…本当にすごいな。

「随分お優しいコッチャな」

 

…隣を見ればピエロが一匹……神出鬼没とはこのことか。

 

「…いや別に…所詮金持ちの道楽ですよ……それにほら、名付けって結構本人の願いとかに左右されるらしいじゃないですか。だからまず…って感じですよ」

 

「難儀やなぁ」

 

難儀なのは今の俺の状況である。毎日、日数だけが過ぎていく感覚が苦痛に感じる人生になんてなりたくなかった。

「コレで仕事は終わり、ですよね?ラプラスさん?」

「せやな。おつかれさん、あとは目覚めるまで待つだけや」

 

………正直ゲルドの主張は理解できなかった。俺なら絶対に、自分から食べる。

「…ラプラスさん、コレが終わり次第クレイマン様と直接会って話をさせて欲しいです」

「クレイマンと?唐突やな」

 

「えぇ、一つの節目として……私個人として相談がしたいんです。」

 

…しかし、だからこそゲルドのような人は…報われてほしいものだ。…ゲルドが進化してしまえば、もう俺の役目は終わりだ……あとは死ぬだけかもしれない。

「まーええで、クレイマンに話は通しとく」

「ありがとうございます」

 

それならば俺は俺なりに、まだまだ醜く生き足掻きたい。




エドルスくんが頭痛系主人公となりつつある……
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