ハードな国に転生したけどカッコ良く生き(り)たい   作:王の物置

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て、転スラの時系列難しい…暴風竜さんが消えたら本格的に死んでしまう……


お祭りには面白いことが付き物な件

どうも、7歳になりました。エドルスです。

 

同じ1年でも濃さって言うのは1年ごとに変わりますよね。

 

六歳の一年…振り返ってみると、1年は特に濃かった充実した毎日だったと感じています。

 

毎日のようにしていた闘気の鍛錬と魔法の勉強…そしてそれが実を結んだ初の脱出成功、その先であったスライムを家に連れて帰ったし、かなりイベントのあった楽しい一年であったと言えるでしょう。

 

……弟が誕生していると父に言われたり、久しぶりに炎魔法使おうとしたら出力ミスって危うく庭の木々が全焼しかけたりしたこともあった…こう考えると思ったよりと色々あった一年でした。

 

次の年の目標は平和に何もない一年を過ごすこと。これに尽きる!問題ばかり起こす自分からオサラバするのです。

 

さて、ファルムス王国では7歳が一つの節目として捉えられてるらしく、今日俺の7歳の誕生日としてなんかすごく大きな祭りが開かれている真っ最中だ。

 

国全体がお祭りムードでどこを見ても人、人、人で溢れかえっている。

 

 

税金の無駄遣いやめろ!と言いたいところではあるがラーゼン曰く国の権威と発展具合を知らしめるためでもあるらしいので特に文句を言うことはできない。

 

個人的には色々と見知らぬ服装の人とかも見かけるし、凄い盛り上がりではあるのではないだろうかと感じています…

 

そして珍しく俺は自由に出歩くことを許されている…今日は楽しむことだけを考えろとのことだ。

 

多分どっかで監視はしてるだろうけど、自由に見てまわれるのならそれで十分だ。

 

 

「さて、どこに行こうか」

どうせ監視しているのはラーゼンなので堂々と擬態を利用して歩きやすい姿へと変わる。

「よし、これで良いな」

 

擬態を覚えてからは自室で暇な時があれば擬態の造形を弄るのに没頭していた、そのおかげでかなりスムーズに姿を変えるようになったしバリエーションも豊富になったしでかなり便利になったと思ってる…

 

没頭…というか沼ってて本当に暇さえあればやるようになっていた…好きなキャラをイメージした女体に姿を変えて女装していたのをラーゼンに見られたのは普通に黒歴史である。

 

……繰り返している内に自分の擬態姿を見て照れるようになったりしてから危機感を持つようになった。

本当にこのままいったら究極(アルティメット)加工厨になって元の自分に戻れなくなりそうだったから普段使いは自分や父の特徴を大人の骨格を当てはめただけのものを使用するようにしている。

 

「お、串焼き。すいませんこれ一つください」

「あいよー!銅貨4枚ね!」

 

理想を追いすぎると興奮より感動が勝ってしまうという事実に気づいたのは最近のことである。

 

「良い匂いだ……やっぱりこういうのが良いよな」

 

串の横から齧り付いて一気に半分口の中へと放り込む。

「はむ、ハフ……」

 

前食べたものとは違う肉が使われている…!まぁ店が違うので当然と言えば当然なのだが……

 

「美味いな、これ」

前食べた物がラム肉ならこれは鶏肉に近いだろうか?俺の知っている鶏肉よりも少し硬めではあるが前世で食べ慣れた味を想起させるこの味わいは素晴らしくうまい!

 

思ったより美味しく無くなる速度が早いので一度さっきの場所まで戻りに進行してきた方向へ戻りだす。

 

「すいません、串焼き5本セットください」

一度これを買った場所まで戻って追加の購入、もう1本食べ終えてしまったので多分これくらいが丁度いいだろう。

 

「はいよ!銅貨15枚だね!まいど!」

 

…さっきいた場所へと戻る、外に出たときは出来なかったことだ…時間の流れによる変化にしみじみしつつ、俺の口の中には肉汁が弾けていた。

 

 

「さてと、次はどこに行こう…」

うーん、美味しい。舌に残らずさっぱりとしている味わいなので飽きることなく食べられる。

 

至るところから良い香りがするし楽しそうな声がする。目指せ全店舗制覇っ!と言いたいところだが数が多すぎて無理だ…

 

「なんだあれ?」

人の賑わってる場所の中でも一際目立って人が集まっている場所がある。

気になったので人混みに混ざって様子をうかがってみれば、ナイフでジャグリングをしたり玉乗りをしていたりするピエロの恰好をした人がいた。

 

「おぉ!!」

プロの技だ…!かっこいい!前世ではこういうものを観る機会はテレビかスマホで見るかだった。

 

いつか行ってみたいと思っていても結局この目で見るような機会は訪れなかったがまさか転生先で見れるとは……!

「かっこよ!」

こういうのは生で見るのが一番良い!

 

どの人を見てもパフォーマンスが上手い。ジャグリング、玉の上で逆立ちしながらのバランス感覚、ナイフを投げて的に当ててみたりと俺がイメージする大道芸そのものが目の前で行われている。

 

まーじでこの世界に来て良かったと思う瞬間5位くらいには入る光景だ。

 

「ずいぶん楽しんでくれてんなお兄さん。風船どーぞ」

「あ、ありがとうござ――?」

 

風船をもらった、日本人としての本能が反射的に礼を述べる…そのピエロの姿を見るより先に感謝の言葉を述べようとしたところで気づいてしまった。

「……あ、ありがとうございますー」

 

そのピエロは紫を基調とする服を身に纏い、赤い布を腰に巻き……そしてウサギの耳が生えたような仮面を被っている!

 

この男を俺は知っている、知らないわけがない…風船を渡したピエロの正体はラプラスに間違いない。

 

原作キャラにふらっと会った驚きと正体知ってるのを知られたら殺されるかもという焦り…俺の心内を気取られる前にここをゆっくりと歩いて離れてゆく。

 

「……あ、ジュースある…買うか……パン、一つください」

 

離れた後、気を紛らわすために目についたものを購入するが全く喉を通らない。なんか変なやついたとかクレイマンとかに報告されてないだろうか?

 

そもそもあれはそっくりさんとかかもしれない…だって何もないのにここにいるとかあり得ない、ピエロだからという理由で大道芸人の一人として紛れるわけがないしあれは似たような姿をしているだけの別人だ。

 

「……はぁ」

 

ラーゼンも見張っているだろうが多分ラーゼンでは勝てないだろうし…憂鬱な気分になるのは仕方ない。

 

「あんさんどうかしたんか?顔が曇っとるでー!ワイでよければ話聞くでー、陽気なピエロさんに言ってみぃ?」

 

……隣を見ればなんかよく分からんが紫を基調とした服を着ていて、そして仮面をつける……紛うことなきピエロが座っている…

 

 

うん、気のせいだろう。

 

「ちょいちょい!無視せんといて!」

肩を揺さぶってくる奴が隣に座ってます、助けてください……なんか凄い馴れ馴れしい、なんだこのピエロ。なんか見たことある気がするが多分気のせいだ…そうに決まってる。

 

「ちょ!別に怪しいもんちゃうで?!金巻き上げようとしてるとかそういうのちゃいます!名乗りますからそないな不審者見る目でワイを見んといて!」

「アハハ、持ってるもの全部差し出すんで許してください」

 

とりあえず金とさっき買った食べ物たちを生贄に捧げて消えてもらおう。ヤバい人には反抗せずに温和に済ますことが大切だ。

 

特にこういう特徴的な格好をしている奴は集団で活動しているので土下座してでも許してもらわなければいけない。

 

「えー、貰えるなら遠慮なく……ってアカンやん!これじゃホンマに盗人になってまうがな!ワイは潔白無実の一般人やからそないな事せんで」

「わかりました。詐欺ですね…なんでも買いますよ」

 

「なーんも分かってないやん!話聞いてた?ワイはホンマに潔白なんで!」

 

「そうなんですねー」

この人結構面白い、流石ピエロの格好をしているだけはある。

でもこういういかにも良い人に見えるやつほど裏で何やってるかわからない…というかこういうタイプの犯罪者は相手から絞れるだけ絞ることしか考えてない。

 

だからこういう奴と対面したときは深入りせず相手の記憶に残らないように何もせずに金を差し出すほうが良いのだ。

 

「お兄さん信じてへんなぁ?本当にワイはお兄さんを励ますために来たんやで?愉快なピエロさんに相談してみ?」

「悩みはありません。ありがとうございました」

 

「とりあえず自己紹介からするでーワイの名前はラプラス、見ての通り職業はピエロや。そんで好きな事はおもろい事や」

「へぇー。私も好きですよ面白いこと」

 

ラプラス?うん、死のうかな。

なんかもう危険な気がするしクレイマンとかに嵌められてタダ働きさせられたりしそうだし最終的に何かしらの生贄にされそうだし死ぬより苦しい思いするなら死んだほうが良いかもしれない。

 

「えぇ?ホンマかいな?反応うっすいけども……もうちょっとワイに興味もって欲しいわー。お兄さんの名前も聞かしてくれへんか?」

 

「エドルスです」

「エドルスはんねー…ってエドルスってこの国の王子様と同じ名前やな!もしかして関係あるん?」

「いえ、全く関係ないです」

「そかそかー。まぁそうよな、あんさんみたいな知的な7歳児がおるわけないもんなー」

 

持ってて良かった擬態スキル!ラプラスがここにいる目的がわからない以上、姿を変えられるのはアドバンテージになっている…それとなく来た理由を聞いてみるか?

 

「ハハハッ、身長が170もある7歳とか怖すぎますよー…ところでラプラスさんはどうしてファルムス王国のお祭りに参加なさったんですか?やはりお仕事で?」

「実益も兼ねとるけど趣味やな。今日は珍しくほとーんど仕事入っとらんの。息抜きしにちと遊びよったんよ」

 

 

ラプラスの表情を読み取ろうとするが全く分からない。仮面をしててもしてなくてもプロのエンターテイナーの真意は俺のような素人では読み取ることができないようだ。

「趣味、ですか?趣味っていうのはやっぱりさっき言ってた楽しむことですか?」

「おぉ!エドルスくんちゃんと聞いてくれとったんやな?」

 

「楽しむ…というと?何か面白いものでも見つけたんですか?まぁ祭りが大規模で楽しいと言えば楽しいでしょうけども」

 

少し踏み入った質問をしてラプラスの様子をうかがうが依然として変わらず飄々としていて全くその真意が掴めない。

「この祭りはおもろいよなー。まぁお祭りがあるから来たっちゅうのも理由やけど……」

「けど?」

 

そこで一度言葉を区切る。ラプラスの雰囲気は変わっているわけではない…しかし俺はなんとなく嫌な感じがした。

ラプラスの一挙手一投足を見逃すまいと集中して次の言葉を待つ。

 

「けど、ワイは人探しをしとるんや。おもろい奴がおるって話聞いてな」

……なんかよく分からないがいきなり意味深なことを言ってきた。もしかしてだけど俺の正体に気がついてるのか? いやそんなはずない、だって見た目は完全に別人だし擬態スキルで全くの別人になっているわけだし……

でもラプラスなら俺が誰だか分かってて言ってる可能性も否定できないし……いや、そもそもなんでラプラスが俺を探すんだ?

 

「人探しですか……?」

「おう、そうや」

「どういう見た目の人ですかね?ここ地元なんで力になれますよ!」

 

「いやな。おもろい奴がいるって仲間から聞いてな?なんでも人間(ヒューマン)なのに……一部魔物固有スキルの擬態使う奴がおるって話しでな?」

ラプラスはコッチを見てクスクス笑うように体を揺らす。

 

「へ、へぇー。そうなんですか?魔物が住まない国なのにそんな人がいるなんて生きづらそうですね…」

動揺を隠しきれない。なぜ俺の事を知っている?てか本当にどこで俺が擬態使えるって知った?初めての手に入れた時以外俺は部屋の中でしか使ってなかったぞ?

「……ところでそこに隠れてるあんさんえらい殺気とんどるけ――どぉぉ?!!」

 

ラプラスの腕が吹き飛ばされる、不可視の風の斬撃を飛ばす見知った魔法――「ラーゼンさん!」

 

圧倒的急展開。ちょっとびっくりしたのは置いといて状況を理解すべく二、三歩後ろに下がってラプラスから距離をとる…ラーゼンさんは勢いよく空から降りてきて俺とラプラスの間に入るように着地し、その持つ杖をラプラスへと向ける。

 

「上位魔人…!尻尾を掴むのに苦労したぞ、こんな場に潜んでいたとは」

 

???全く理解が追いつかない。ラーゼンさんはラプラスを追いかけていて…?ラプラスは俺?を狙っていて…ラプラスはラーゼンさんに何をしたんだ?

 

「ちょいちょい会って早々物騒なもん飛ばしてくるやん!急に攻撃とか…!ワイが出る幕ないやん!会ったばかりで悪いけどサイナラ!」

ラプラスは煙幕を取り出し地面に叩きつけ、煙が晴れる頃にはどこかに消えていた……めちゃくちゃ典型的な逃げ方である。実際にやる人がいるとは……

 

「エドルス様!何かお身体に害はありませぬか?」

「あ、なんにもないです」

 

……何が何だか分からない。なぜラーゼンが焦った様子だったのかもわからないしラプラスが何しに来たのかもあんまり分からなかった。

 

「…あのところで…?」

 

「実は、複数の場で異常な魔素を感じ大規模な儀式魔法と推測し、偵察に向かっていたのですが全てが気配だけのもぬけの殻。

流石は上位魔人と言うべきか、痕跡を辿るのに苦労しました……狙いは分かりませぬがエドルス様に何か危害が及ぶ前に駆けつけられたのは幸いでした」

 

「あ、はい助かりました。ありがとうございます」

 

7歳目もなんか…凄く大変な1年間になりそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやーファルムスのじいさん怖すぎるわー!コッチ来た瞬間腕スパーっといかれてん」

 

 

「フッ、ラプラス。君ならその程度、大した事ではないだろう?ところでティアの言っていた男、どうだった?」

 

「んー。オモロイ子やったな。遠目で見とったら大人びてるというかそこらの大人より大人なんちゃうかって感じやのに話したら意外に違ってんー。意外とティア達とも気ぃ合うかもしれん」

「フフッ、君にそこまで言わせるとは中々愉快な人間らしい」

 

「――あとありゃワイらの事知っとったな。」

「ほう?」

 

「顔合わした瞬間ギョっとしてん、多分予知系のスキル?とか持っとんちゃう?たーぶんあの感じクレイマンの事は勿論…もしかしたらボスの事も知っとるかもしれん」

 

「…なる、ほど?これは一度実際に会ってみる必要がありそうですね………ラプラスには監視と接触を依頼したい。引き受けてくれるかい?私のもとに連れてくる時期はおいおい伝えます」

「りょーかい」

 

「……我々の前に立つ障害になるか、それとも推し進める鍵になるのか。見極める必要がありそうですね」




エドルス
とんでもないやつに目をつけられた。祝7歳誕生日。お前、もう炎使うのやめろ。庭園を業火に包んだ放火犯。貴族でも捕まるレベルの重罪をかましている。擬態に沼ってメス堕t……擬態に沼って大変なことになりそうだった人。最近召喚魔法の勉強をしているらしい、多分大惨事になるからやめとけ。新手の襲撃者が現れたのでもっと監視が厳しくなる。

ラーゼン
エドルスから助けに来てくれてもラプラスに勝てないよなとかって言われてる人、事実だけど可哀想。裏でめちゃくちゃ頑張ってた。エドルスの監視も謎の気配を放ってた上位魔人の特定もやり遂げた。

スライム
外に出れないため家で留守番中

ラプラス
中庸道化連 脅威の情報力。ごくごく普通な人間なのにとある魔物の固有スキル擬態が使える奴がいると情報を手に入れて様子を見に行った。面白そうな子だったから個人的好感度UP!

???
策略巡らすどこかの魔王。ラプラスの報告を聞いてエドルスに目をつける。趣味はお茶会らしい。
一体ナニイマンなんだ…
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