アイより高く軽やかに   作:にいづま

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以前は某所でア〇マスの二次創作をしていました。

担当アイドルは岡崎泰葉です。


初ライブ
もっともっと輝くの:ルビー


「おねえちゃん、まだ寝ないの?」

「うん。もうちょっと」

 

 いよいよ明日はジャパンアイドルフェス。私達の初ライブだ。ミヤコさんに今日は早く寝なさいと事務所から帰らされたけど、ご飯を食べてお風呂に入った後でもおねえちゃんが寝ようとしない。

 

「私はいいからルビーは先に寝てて」

「明日はわたしたちのライブだよ? 何してるの?」

「MEMのライブの準備。せっかく大きい会場取れたからいろいろやっておきたいの」

 

 そう言っておねえちゃんはパソコンの画面を見つめている。ここ一週間のおねえちゃんはおかしい。何だかぼーっとしてたり、そわそわしてたり。

 

「もう! MEMちょのライブも大事なのはわかるけど、今はわたしたちのことでしょ。もう寝ようよ」

「……わかった」

「ほら、電源落として、さっさと寝る」

「はーい」

 

 これじゃあいつもと逆だなあ。おねえちゃんが電気を消してベッドへもぐるのを見届けてわたしは自分の部屋に戻った。

 

 

 

「やってきましたジャパンアイドルフェス!」

 

 そして翌日。いよいよ初ライブ! 待ちに待ったこの時にわたしのテンションは上がりっぱなしだ

 

「わかったから。元気は本番にとっておきなさい」

 

 ミヤコさんが呆れたように言う。ここに来る途中もずっとこんなテンションだったからしょうがないか。

 

「ルビーは元気ね……」

 

 おねえちゃんは元気がなさげだ。やっぱり昨日あんまり眠れてないみたい。

 わたしたちが出演するステージは10ステージある中でも地下アイドルが多いステージ。おねえちゃんはもっといいステージが用意してほしかったって愚痴ってたけど、まだ駆け出しのわたしたちには十分なステージだと思う。

 ミヤコさんに連れられて楽屋へ。初めてのライブの楽屋はステージに出るアイドルでごった返している戦場みたいなところだった。わたしが初めてのロケ弁にはしゃいだり、わたしたちを知ってる人に話しかけられて一緒に写真撮ったりしてたのに、おねえちゃんはずっと隅っこのイスに座って目を閉じていた。

 

「おねえちゃん大丈夫そう?」

「昨日あまり眠れなかったみたいだし、そっとしてあげましょ」

 

 おねえちゃんは目を閉じてはいるけど眠ってはいないようだった。緊張しているのかな。

 

 

 

「『B小町twins』さん。準備お願いします」

「はーい」

 

 そろそろわたしたちの出番だ。よし、と気合を入れる。気になって横を見ると、隣にいるおねえちゃんは緊張を通り越して青ざめていた。

 

「おねえちゃん? 大丈夫?」

「大丈夫よ。でも、ちょっとね。失敗したらどうしようって考えちゃって」

 

 絶対大丈夫じゃない。こんなときも平気なフリをするおねえちゃんはらしいけど。どうしようか考えて、わたしはおねえちゃんの両手を握った。

 

「ルビー?」

 

 驚くおねえちゃんの目を見つめる。

 

「おねえちゃん。ここまで連れてきてくれてありがとう。おねえちゃんはあれからずっとアイドルになる夢を叶えようって頑張ってくれた。わたしだけじゃステージに上がることすらできなかったと思う。でも、これからは一緒にいこうよ。失敗するときも成功した時も全部一緒。わたしたちは二人で『B小町twins』だよ!」

「ルビー……。わかった。一緒に行こう」

 

 おねえちゃんと手をつないで、わたしたちはステージへ歩いた。

 

 

 ステージに立つと満員の客席に、わたしたちのファンかな? まばらな青と赤のサイリウムが見えた。これがアイドルが見ている景色。わたしがずっと憧れていた光景。見惚れていたけど、インカムから最初の歌のイントロが聞こえてはっとする。そうだ。わたしはアイドル。まばらなサイリウムを全部わたしたちの色で染めてやる。

 

『みなさんはじめまして。双子アイドル『B小町twins』です。姉の星野アクアと!』

「妹の星野ルビーです! みんな、今日は楽しんでいってね!」

 

 最初の曲を歌う。前のB小町の曲だけど、ダンスはアレンジしている。わたしたち二人でアイのパートを踊る。アイドルになると決めてから何度も練習したダンス。横を見るとおねえちゃんもちゃんと踊れてる。

 

「みんな、どうだったかな?」

 

 曲が終わって呼びかける。客席からはみんなが手を振って応えてくれる。熱気が伝わってくる。やばい。すっごくたのしい。

 

「この曲は前のB小町の曲で、あ、昔、B小町ってグループがあって、わたしたちはそのセンターだったまー……アイさんに憧れてアイドルになったんだけど。今の曲はそのアイが踊ってたダンスを二人で再現というか二人がセンターみたいな形でアレンジしたもので、アイが顔の横で両手でピースしてたのをわたしたちは片手ずつでやったりとかしてて」

『ルビー。そろそろ次』

 

 楽しすぎて話してたらおねえちゃんに注意された。いけないいけない。今はステージの上だ。

 

『このあたりの裏話は後日配信で話します。『B小町twins』の公式チャンネルをチェックしてね。それでは次の曲はB小町twinsのオリジナルです。『二つ星』!』

 

 流れるようにおねえちゃんがチャンネルの宣伝をして次の歌に入る。おねえちゃんも元の調子が出てるみたい。だったらもうわたしたちに怖いものはない。この歌だっておねえちゃんが作ってからずっと二人で歌って踊って来た。初めて聞く歌でも客席のみんながノッてくれてる。それがうれしい。

 多くのグループが出るステージで、わたしたちに割り振られた時間は短い。あっという間に最後の曲が終わった。

 

「みんなー! これからも『B小町twins』をよろしくねー!」

 

 

 

 ファンの歓声に手を振って応えながらステージを降りる。舞台袖でおねえちゃんとハイタッチ。

 

「おねえちゃん、すごかった。みんなわたしたちを見てて、みんな笑顔になってて、アガってくれてて、ぶんぶん振られてるサイリウムがきれいで、それで」

「落ち着いて。帰ってから聞くから。早く着替えて出ましょう。あんまり時間ないわよ」

 

 そう言うおねえちゃんは安心したような笑顔だ。あれだけ緊張してたもんね。うまくいってよかった。

 

「ルビー。初ライブ、楽しかった?」

「うん!」

 

 わたしの返事に、おねえちゃんはわたしの頭をポンとなでた。

 舞台袖から客席を見る。まだライブの熱気が残っている。ざわついているけどわたしたちのことを話しているのかな? ざっと見たけど、せんせらしき人はいない。

 

「どうしたの? 名残惜しい?」

「まあそんなとこ」

「今日のライブはこれで終わりだけど、これからはもっと大きな会場で、客席全部が青と赤のサイリウムに染まる景色を見に行きましょう」

「うん! わたしたちの目標はドーム!」

 

 どんどん人気があがっていけば、いつかあの人も見つけてくれるよね。

 こうしてB小町twinsの初ライブは終わった。明日からもアイドルがんばろう!

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