やはり俺の逆行は間違っているのか?   作:ペンギンって可愛いですよね

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第十一話 雪ノ下家ティータイム、観察される八幡・大人気の小町

一般家庭のリビングの概念を崩壊させるような部屋だった。

 

天井は高く、

大きなシャンデリアがきらきら光っている。

 

ソファはふかふかすぎて沈むし、

テーブルはガラスで高級ホテルみたいだし、

カーペットに至っては歩くだけで緊張する。

 

小町は手をぎゅっと握ってきた。

 

「おにいちゃん……

ここ、ほんとに人が住んでる家なの……?」

 

「俺も信じられない」

 

雪ノ下母は優雅な動作で座り、俺たちに微笑んだ。

 

「さぁ、どうぞ。

今日は子どもでも食べられるお菓子を用意したの」

 

そこには、

小町の顔より大きいパフェと、

ホテルのラウンジレベルのケーキ。

なぜか高級そうなクッキーが箱ごと出ている。

 

「す、すごい……おにいちゃん……」

 

(小町、食べ物で落ちるな。

ここは敵地だ。気をつけろ。)

 

しかし陽乃は言う。

 

「小町ちゃん、いっぱい食べてね♪」

 

「は、はい……!」

 

小町は完全に落ちた。

 

 

◆ 雪ノ下母、八幡の分析を始める

 

雪ノ下母は紅茶を口に運びながら、ふと俺に視線を向けた。

 

「八幡くんは……

陽乃、雪乃と同じ学校なのよね?」

 

「は、はい……」

 

「成績がとても良い、と聞いてるわ」

 

陽乃がにこにこしながら言う。

 

「満点だったんだよ~。お母さん。

全部のテスト」

 

(おい魔王、余計な情報を流すな!!!

ここで満点は火種なんだよ!!!)

 

「まぁ……優秀なのね。

努力家かしら?」

 

(いや未来知識でズルしてるだけです!!

とは言えない!!)

 

「……えっと、たまたまです」

 

雪ノ下母はふっと目を細めた。

 

「慎ましいのね。

その“控えめさ”、とても良いわ」

 

(やばい。この人、気に入った相手は深掘りしてくるタイプだ。

陽乃の観察力の源を感じる……!!)

 

俺の心臓が縮む。

 

 

◆ 小町、大人気になる

 

一方その横では。

 

陽乃が小町の髪をなでまくっていた。

 

「小町ちゃん、かわいい……

このまま連れて帰りたい……」

 

小町

「え、えへへ……」

 

雪ノ下母も優しく笑う。

 

「本当に綺麗な子ね、小町ちゃん。

将来が楽しみだわ」

 

「そ、そんな……///」

 

(小町……どんどん敵陣に取り込まれていく……!!

やめろ、その笑顔はデカい武器になるから!!)

 

俺の胃はどんどん痛くなる一方だった。

 

 

ティータイムが一段落した頃。

 

玄関の方から足音がした。

 

コン、コン、と規則正しい歩調。

 

陽乃が嬉しそうに声を上げる。

 

「あ、帰ってきた♪

雪乃ちゃん、今日早いんだね~」

 

雪乃……。

 

まさかとは思ったが――

扉が開いた。

 

「ただいま戻りました、お母様。

あ……お姉さま……?」

 

雪ノ下雪乃(小学生)が、

生真面目な表情でリビングに入ってきた。

 

そして、

俺と小町を見た。

 

目をぱちぱち瞬かせる。

 

「……?」

 

陽乃

「紹介するね雪乃ちゃん~。

八幡くんは知ってるよね?その八幡くんと妹の小町ちゃんっていうの♪」

 

雪乃

「ひ、比企谷……くん……?」

 

雪乃は八幡を見て、

その表情が変わった。

 

“知っている”

“警戒している”

“でも、なにか引っかかる”

 

そんな感情が、一瞬で読み取れる。

 

小町は丁寧に頭を下げた。

 

「こんにちは雪乃さん……!」

 

雪乃

「こ、小町さん……こんにちは……」

 

そして、

雪乃は再び俺を見る。

 

(絶対なんか思い出してるだろこれ……

幼いながらも雪乃の洞察力は鋭いし……

俺の存在、怪しまれてる……!?)

 

雪乃は小さく息を吸って、

静かに尋ねた。

 

「……なぜ、あなたが……

うちに?」

 

だよな!!!

そう聞きたくなるよな!!!!

 

八幡

「いや、それは……その……

陽乃さんが……」

 

陽乃

「私が連れてきたの♪」

 

雪乃

「…………」

 

雪乃は無表情になった。

怒っているわけではない。

ただ“理解不能”という顔だ。

 

雪乃

「……お姉さま。

どういう、基準で友人を……?」

 

陽乃

「直感♡」

 

雪乃

「直感……」

 

(雪乃が混乱してる!!!

珍しいものを見た!!!)

 

雪乃の視線が俺に戻る。

 

瞳の奥で、

何かを測るように、

じっと見つめてくる。

 

(やめてくれ……

洞察しないでくれ……

未来バレするとか地獄なんだよ……!!)

 

小町が心配そうに俺の袖を握る。

 

「おにいちゃん……大丈夫……?」

 

雪乃はその姿を見て、驚いたように目を見開いた。

 

「……小町さん。

あなた……比企谷くんの妹……なの?」

 

小町

「はいっ」

 

すると雪乃は、

ほんの少しだけ頬を緩ませた。

 

「……かわいいわね。

……少し、羨ましい」

 

その言葉に八幡は固まった。

 

(雪乃が……微笑んだ……!?

小町の破壊力は雪ノ下姉妹共通で効くのか……!?)

 

陽乃は横で嬉しそうに拍手していた。

 

「でしょでしょ!?

小町ちゃん可愛いよねぇ~~♪」

 

雪乃

「……えぇ。とても」

 

こうして――

 

雪ノ下家に比企谷兄妹が完全に馴染み始めるという

ありえない世界線が静かに動き出した。

 

八幡の心の声

(……俺、これ以上巻き込まれたら死ぬ気がする……)

 

 

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