やはり俺の逆行は間違っているのか? 作:ペンギンって可愛いですよね
ティータイムが終わると、
陽乃がぱんっと手を叩いた。
「さーて!
次は、うちの中を案内しちゃうよ~♪」
「いや案内とかいいから帰してくれ!!」
「ムリ♡」
即答。
雪乃は呆れたようにため息をつく。
「お姉さま……勝手にお客様を振り回すのは……」
「ん~、いいじゃない? 雪乃ちゃんも来るでしょ?」
雪乃は少し考えて――
「……はい」
(来るのかよ!!
なんでお前はついてくるんだよ!!
怖いだろ!!
観察されるだろ!!!)
小町は楽しそうに手を挙げた。
「小町、案内うれしいです!」
(小町……お前は本当に天使だな……
悪魔の城でも楽しめるタイプだよな……)
雪ノ下母は優雅に微笑んだ。
「ふふ、いってらっしゃい。
陽乃、雪乃、ちゃんと案内してね」
⸻
◆ 第一ステージ:庭(広すぎる)
家の裏にある庭へ出ると――
学校の校庭より広かった。
八幡
「……」
小町
「お、おにいちゃん……ここ……公園……?」
雪乃
「庭です」
「いや庭のスケールじゃねぇよ!!!」
綺麗に整えられた芝生、
花壇、
噴水、
庭師さんが普通に仕事している。
陽乃は自慢げに胸を張る。
「ここね~、かくれんぼしたら超楽しいよ?」
小町
「絶対見つけられない……」
俺
「雪ノ下家の庭でかくれんぼとか、
遭難するレベルだろ……」
雪乃は淡々と言う。
「以前、お姉さまが本当に迷子になりました」
陽乃
「ち、違うよ!? あれは……その……」
八幡
(迷子になる広さってどういうことだよこの庭……)
⸻
◆ 第二ステージ:書庫(反則級の文化レベル)
続いて案内されたのは、
“図書室のような部屋”だった。
壁一面が本棚。
中央には木製の大テーブル。
革張りの椅子。
まるで大学の研究室か図書館。
「わぁぁ……!
ほんとに本がいっぱい……!」
小町の目が輝く。
「でしょ~? お父さんとお母さんの本もあるし、
雪乃ちゃんの好きな本もいーっぱいあるよ♪」
「……姉さまの本は少ないですが」
「ちょっと雪乃ちゃん、それ言う?」
(未来と同じく姉妹のバチバチがあるんだな……
しかしこの本の量……
俺の学校の図書室より多いぞ……)
雪乃は静かにこちらを振り向く。
「比企谷くん。
あなた、本は読むのですか?」
「え、あ……まぁ……少しは……」
雪乃
「そう。なら……これなどどうかしら?」
差し出されたのは――
小学生が読むには難しすぎる文学作品。
(いや無理だろこれ!!!
俺小学生だぞ!? 未来知識あっても無理だぞ!?)
「い、いや、その……難しそうだし……」
雪乃
「そうですね。
あなたには、まだ難しいかもしれません」
なんか刺さった!!!
陽乃
「雪乃ちゃん~いじわるしちゃダメだよ~?
八幡くんの顔見てみなよ、軽く死んでるよ?」
(お前のせいだよ陽乃!!!)
小町は別の棚を見つける。
「おにいちゃん! これおもしろそう!!
小町、この本読んでいい?」
小町は何か絵本を手に持っていた。
「小町さん、とても選ぶのが上手なのですね」
「えへへ……!」
(……小町、雪ノ下家の人たちに好かれすぎじゃね……?
未来で小町が雪乃と仲良くなる理由、
この世界線だと“幼少期からの関係”になりそうだ……)
⸻
◆ 第三ステージ:廊下(いや廊下って何だよ)
陽乃
「じゃあ次は~、二階だよ!」
階段を上がった先は――
ホテルの様な廊下だった。
いや本当に。
長い。
無駄に長い。
扉がたくさんある。
カーペットがふかふか。
照明が優しい。
小町
「……おにいちゃん……迷子になりそう……」
雪乃
「私たちでさえ慣れるまで時間がかかりました」
陽乃
「私は今でも迷うよ!」
(自慢するなよ……!!
雪ノ下家の広さの異常さを証明するだけだよ!!)
⸻
◆ 雪乃が再び八幡を見る(静かなる興味)
案内がひと段落したところで、
雪乃はふと立ち止まった。
そして八幡をまっすぐ見た。
「……比企谷くん」
「な、なんだ……?」
「あなた……
とても不思議な人ですね」
(ひええええええ!!
洞察し始めた!!!
未来の“探偵雪乃”が顔出してきた!!!)
陽乃はけらけら笑っている。
「だよね~?
八幡くんって見れば見るほど面白いよね?」
「面白くなくていい!!!
普通がいい!!!!!」
小町が袖を引っ張る。
「おにいちゃんは……
おにいちゃんだからいいんだよ」
(……小町……
お前の言葉は時々心に効きすぎるんだよ……)
雪乃は小町の言葉を聞き、
優しく微笑んだ。
「……そうですね。
妹さんがそう言うのなら……
きっとあなたは、不思議だけれど……
悪い人ではないのでしょうね」
(雪乃……お前の言葉が未来より柔らかい……
小町の影響力すごいな……)
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◆ ラスト:陽乃が爆弾を落とす
陽乃がふと手を挙げた。
「じゃあさ、
今日はみんなで晩ごはん食べてく?」
八幡
「いや帰る!!! 帰らせてくれ!!!」
雪乃
「私は構いませんが……」
(雪乃まで乗り気にならないで!!!)
小町
「ごはん……た、食べたい……!」
(小町ィィィ!!!
お前の“ごはんにつられる性格”は可愛いけど命取りなんだよ!!!)
陽乃がにっこり笑った。
「じゃ、決まり♪」
(決まりじゃねぇよ!!!!
俺の意思どこいった!!!!)
こうして――
比企谷兄妹、完全に雪ノ下家に取り込まれる。
八幡の心
(……逃げ道……どこ……?)