やはり俺の逆行は間違っているのか? 作:ペンギンって可愛いですよね
休日の朝。
珍しくゆっくりできる日だった。
(……今日は家でのんびりしよう。
ゲームして、昼寝して、宿題は……まぁ後でいいか。)
そんな平穏を破壊する音が鳴った。
──ピンポーン。
ん?
母さんも父さんも買い物に行ってるはずだ。
宅配にしては早すぎる。
俺は少し警戒しながら玄関に向かった。
ドアを開ける。
「やっはろー♪」
……魔王がいた。
雪ノ下陽乃が、満面の笑みで立っていた。
「……雪ノ下さん!!?
なんで……なんで俺の家を……!?」
陽乃は小指を頬にあて、にこっと微笑む。
「内緒♡」
こわい。
こわい。
こわい。
どうやって調べたんだよこの人!?
未来の俺が知る“雪ノ下陽乃”の能力なら、
家の住所くらい余裕で把握してくるだろう。
でも小学生でそれやるなよ!!!!
「今日はね~
八幡くんと行きたいところがあるの♪」
「断る!!!!」
即答。
すると陽乃は一度だけ瞬きをし、
ゆっくり笑顔を深めた。
「ううん、ムリ♡」
は?
「断るのは……ムリ♡」
あ……こいつ、完全に連れて行く気だ。
(やばい……この人、俺の拒否権を存在しないものとして扱ってる……
未来そのままだ……!!)
陽乃は俺の腕を自然に掴む。
「行こっ♪」
「行かねぇよ!!」
そんなやり取りをしていると――
廊下から足音がした。
「おにいちゃーん、誰か来て……」
小町が現れた。
そして陽乃を見た瞬間、
「……えっ。
おにいちゃん、か、彼女……!?」
「違う!!!」
やめろ小町、誤解を広げるな!!
しかし小町は目を潤ませながら一歩前に出て、
「お、おにいちゃんは……
小町のおにいちゃんです……!」
純粋な瞳で陽乃に宣言した。
(小町ィィィィ!!!
やめてくれ、相手は魔王だ!!
逆らっちゃダメだ!!)
案の定。
陽乃は一瞬ぽかんとした後、
顔を輝かせた。
「なにこの子!?
かわいい!!!」
「ひっ……!」
陽乃は勢いよく小町に詰め寄った。
「きゃーーー! 小町ちゃん!?
可愛すぎる!!! なにこれ天使!?
八幡くん、こんな可愛い妹がいたの!?」
小町はたじろぎながらも、
「お、おにいちゃんは渡しません!」
陽乃は興奮気味に俺の方へ振り返る。
「ねぇ八幡くん……
小町ちゃん……もらっていい?」
「いいわけねぇだろ!!!!」
即答。
陽乃は両手をほっぺに当て、
やたら嬉しそうに体を揺らす。
「えぇ~?
こんな可愛い子、手放すなんて無理だよねぇ……
でもちょっと連れて帰りたい……!」
小町
「や、やだ……!」
(でもちょっと喜んでる)
八幡の心
(おい俺の妹、魔王に懐くな!!
本気で連れてかれるぞ!!!)
陽乃は小町の頭をなでながら、にこにこ笑う。
「小町ちゃん、ほんとかわいい……
あ、そうだ!」
不安しかない前置きから、
「八幡くん、今日はね……
小町ちゃんも一緒に行こうか?」
「は!? 無理だろ!!」
陽乃
「え~? 小町ちゃん行きたいでしょ?」
小町
「え、えっと……おにいちゃんが行くなら……」
(小町……!
お前、魔王に“連れて行っていい子”認定されかかってるんだぞ!?)
だが陽乃はすでに手を叩きながら喜んでいた。
「決まりだね♪
じゃあ三人でお出かけしよ~!」
「決まってねぇよ!!!!」
しかし陽乃の“誘い”は命令と同義であり、
断る権利は存在しない。
こうして――
比企谷八幡は、
魔王(陽乃)&天使(小町)
という最強タッグに連れ去られることになった。
八幡「(どうして俺の人生こうなんだ……)」