TS魔法少女は光堕ちしたい!!   作:布団から出られない

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110まで書くと冗長になりそうだと感じたので、4章少し短縮となりました。


100『????』は正体を現す

 

「ごめんね、薬深ちゃん、私、戦えなくなっちゃって……」

 

「大丈夫だよ。苺ちゃんが戦えなくても、聖歌さんが戦えるし……それに、私だって頑張るから」

 

ブラックルーイ。

私と同じように………いや、私よりも、よっぽど酷い、オクトロアの触手に脳を蹂躙され、組織の都合の良い手駒として、洗脳を施されてしまった少女。

 

………彼女のことは、絶対に助けないといけない。

私には、その義務がある。

同じ組織の被害者として、彼女の苦しみを、少しでも理解している者として。

 

…苺ちゃんも、遊美も、魔法少女としての力を、一時的とはいえ失ってしまった。

 

 

だから、今は、私が……私が、光千夜を、暗闇の底から救い出さないといけない。

 

苺ちゃんがいない、そのことに、不安を感じることもある。けど……腹を括れ私。救うんだ。私と同じような目に……私よりも悲惨な目にあった子を、この手で。

 

『………どうやら、街に襲撃がきたみたいクル。…………怪人1匹と……魔法少女が1人』

 

組織に加担する魔法少女といえば、あの子しかいない。

かつて私が魔女と呼んでしまった彼女、私が救わなければいけない、組織の被害者。

 

「……わかった。苺ちゃん、ごめん、私いかなきゃ……。クール」

 

『……待ってっきゅ。………キューも、連れていって欲しいっきゅ。………千夜のこと、今度こそ、ちゃんと向き合いたいんだっきゅ、だから……』

 

キュートはキュートなりに、思うところがあるんだろう。

私にとっては、それはどうでもいいことではある。けど……。

 

「……薬深ちゃん、キュートのこと、お願いできる?」

 

「……わかった」

 

苺ちゃんがそう言うのなら、従う他ない。それに、いてもいなくても、私の戦闘に支障はない、と思うから。

 

『行くクルよ』

 

「うん、分かった」

 

私は、クールとキュートを連れて、戦場へと向かう。

苺先輩は、戦場に行けば巻き込まれる危険がある。だから、申し訳ないけど、ここで置いていくことにする。

 

………ブラックルーイは、魔法少女への変身の代償で、長くは持たない。

…一刻も早く、救い出さないと。

 

私は、自分の中に強い使命感を宿しながら、現場へと向かう。

 

魔法少女に変身し、最初に私が目にしたのは……。

 

「な……鷹型の怪人……」

 

大きな鷹の姿をした怪人だった。

怪人、というよりも、怪鳥、というべきか。ともかく、空中戦を強いられるのは必至…。

 

今までの怪人のように、簡単に倒せそうにはなかった。

 

………けど、衝撃的なのはそれだけではない。

 

戦場には、怪人の他に、魔法少女も1人、この場にやってきているという話だった。私は、てっきりこの場にやってきていたのは、ブラックルーイだと思っていた。けど、私が見たのは、彼女の姿ではなくて…。

 

「………怪人って、こんな感じなんだねえ。ふーん」

 

ブラックルーイよりも、身長が高い、謎の仮面をつけた女性……。

おそらく、魔法少女であろうと思われるのだが……。

 

しかし、組織の魔法少女は、ブラックルーイだけでは……?

 

「……まさか、ブラックルーイ以外にも組織の被害者が…?」

 

『……ま、さか………』

 

ブラックルーイと同じ、組織の被害者ならば、彼女もまた、私が救わなければならない。

 

そう思い、私は彼女との対話を試みる。

 

「……私の名前は、魔法少女ホワイトポイズナー。………貴方は…?」

 

「……んー? 私? 私はねー」

 

目の前の彼女は、顔に付けている仮面を取り外して、後方に放り投げながら、言う。

 

「魔法少女ジェネシステネーブル。………悪の組織『ワ・ルーイ』所属の魔法少女であると同時に……組織の幹部でもある、かな」

 

「……幹部……」

 

『………そんなはず………ないっきゅ……きっと、気のせいっきゅ……』

 

幹部クラス……となれば、ブラックルーイとは地位が異なる。

……ブラックルーイは、拉致され、洗脳されたことで、『ワ・ルーイ』に従わされていた。けど、目の前の彼女は……。

 

「……ラフ」

 

『………うん、分かってる。ぼくは………』

 

組織の幹部であり、そして、妖精ともちゃんと契約している。

明確な意思を持って、組織に加担しているというのは、一目瞭然だった。

 

……そう、彼女こそが、本当の……。

 

「……“魔女”…!」

 

私は、目の前の“魔女”から距離を取る。

彼女との戦闘は、初めてだ。情報が少ない。それに、怪鳥のこともある。慎重に立ち回っていく必要があるだろう。

 

「『マジックギフト』!!」

 

私は、『マジックギフト』を、目の前の“魔女”に行使する。

『マジックギフト』を受けた者が魔法を行使するたび、その魔法の4割分の魔力が私に吸収されるようになる。

『マジックギフト』は、私の魔力供給源として機能すると同時に、相手の魔法の火力を4割減するという役割があるのだ。

 

これをかけていれば、初見の魔法でもある程度対応できるはずだ。

 

……問題は、怪鳥の方で……。

 

「………んー、中々誰も来ないね……。どうしようか……。あの子が来るかもだし………他の魔法少女がやってくるの、待ってあげようか?」

 

“魔女”は、まるで私に譲歩するかのような姿勢を見せてくる。

それがなんだか、私のことを舐めている態度にしか思えなくて、無性に腹が立ってきて……。

 

「………クール、『浮遊の魔』」

 

「……了解クル」

 

「絶対に潰す」

 

私は、クールに頼み、自身の体を宙に浮かせる。

目の前の“魔女”は、ここで今、私が倒す。

 

「……ふーん。いいの? 怪人が街を破壊しているけど?」

 

「……得体の知れないお前を放っておくわけにはいかない。………“魔女”め……私が退治してやる」

 

私の言葉を聞いて、“魔女”はニヤニヤと、気持ちの悪い笑みを浮かべながら、嬉々として、返答をこちらによこしてくる。

 

「……得体の知れない、かぁ……。………なら、知ればいいんだよ。だって、私のことをよく知る存在は、君のすぐそばにいるんだから……。ね、キュート」

 

「どういう……こと……?」

 

『そ………んな……ま……まさか……本当に……』

 

「……なら、名を名乗ろうか。私の名前は夏場夕音。昔、私はキュートと契約して、魔法少女やってたんだよ。だから、キュートなら、私のことをよく知っていると思うよ?」

 

『夕音………なんで……どう………してっきゅ………』

 

キュートの方を見ると、大量の汗を流しながら、顔を真っ青にして狼狽えている。

………とても冷静な状態とはいえない。けど、この反応を見るに、“魔女”の言っていることは事実なんだろう。

 

……とすれば……。

 

「………裏切り者、ということ…?」

 

「……あー。そうとも言えるかな? ………ま、逆に、その表現は私には全く当てはまらない、とも言えなくはないんだけどさ」

 

“魔女”の言うことは、よくわからない。キュートの方も、ぶつぶつとうわごとを呟くだけで、有用な情報を喋ってくれそうにもない。

 

………錯乱しているんだろう。かつて自分が契約していた魔法少女が、悪の組織に加担しているのだから。

 

………理由は知らない。けど、自分の意思で『ワ・ルーイ』に加担しているというのなら、彼女が悪であるというのは、揺るがない事実だ。

 

私がやることは変わらない。“魔女”を退治し、これ以上ブラックルーイのような……光千夜のような被害者を出さないようにする。そのために私は……。

 

「………やーっと見つけた」

 

戦闘体制に入ろうとした私の耳に、1人の少女の声が届く。

戦場には似つかわしくない、軽薄さを隠すつもりもないような、声。

 

どこか、目の前の“魔女”と似たような、そんな印象を受ける声だった。

その声を聞いて、“魔女”は…。

 

「…………釣られてきたね」

 

まるで最初から予想していたとでも言わんばかりに、そう話す。

……何だ? 一体、何が起こって……。

 

「……キュート、だっけ? 安心しなよ。君が契約した、夏場夕音は、ちゃーんと死んでるから。だから、夏場夕音が悪の組織に加担しているとか、そんな事実は存在しないよ」

 

声の主を視界に入れてみる。

緑色の髪に、そばかすが特徴的な少女だった。様相はタイトスカートになっていて、全体的にスリムな印象を受ける。

 

ツインテールになった髪は、まるで常に風に吹かれているかのように、ゆらゆらとゆらめいていた。

けれど、それ以上の情報は読み取れない。……『夢幻の魔』だろう。

 

つまり、魔法少女。

出会ったことはない、見たこともない。けど、援軍に来た魔法少女と、そう認識して問題はないのだろう。

 

『………どういうことっきゅ…?』

 

突如現れた魔法少女の言葉に、キュートが返答する。キュートは、相変わらず余裕のない表情で、冷静な状態ではないのだろうが、最低限受け答えはできるみたいだった。

 

「簡単だよ。目の前にいるのは、夏場夕音なんかじゃないんだから」

 

「………話が見えない。どういうこと?」

 

「………正確には、夏場夕音に()()()()()というのが正しいかな」

 

少女の言葉に、“魔女”はまるで、それが正しいかとでもいうかのように、うんうんと頷く。そして、私達に見せつけるかのように、悪辣な表情を、その顔に貼り付け出す。

 

「……そうだね。君は私の正体を知っているからね。……分かっていたよ。ここに来ることも、私の正体を、魔法少女達に明かすであろうということも」

 

『もったいぶらずにさっさと教えるクル。こうしている間にも、怪人に街は破壊され続けているクル。いつまでも睨み合いを続けているわけにはいかないんだクル』

 

クールの言うことももっともだ。はやく結論を述べてほしい。

“魔女”の正体次第で、私の戦闘アプローチも変わる可能性があるのだから。

 

「せっかちだなぁ……。まあいいよ。教えてあげる。……夏場夕音という女性は、悪の組織との戦闘で命を落とした。けど、その死体は、悪の組織に回収され、利用され続けてきた。……つまり、今目の前にいる夏場夕音は、彼女の死体を被った全くの別人で、その正体は……」

 

『………死体を利用されて……うそっきゅ……そんな………』

 

キュートが狼狽える。けれど、少女はそんなキュートの様子を一瞥すらせず、構わずに言葉を紡ぎ、“魔女”の正体を告げた。

 

「……幹部マインドライフ」




106〜107くらいまで読めば全部分かるようにします。石を投げないで…
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