皆さんは変なことはせずに、wordとかそういうの使いましょう。
どうして? わーいじゃぱにーずぴーぽー! どうして私の嘘がバレてるのーん?
「う、ううう嘘なんてついておりませんわよ?」
「……やっぱりうそつき。取り繕おうとしてもだめだよ。嘘ついてるの丸わかりだから。残念だけど、光堕ちを諦められないのなら、仲直りはできない」
なんてこった。光堕ちかキュヴァちゃん、どちらか選べと?
キュヴァちゃん助けたかったら、光堕ちを諦めろと?
ま、まじぃ? どっちかしか選べないの? なんで?
「ねえキュヴァちゃん、その、光堕ちと仲直りを両立できたりは?」
「無理だよ。そもそも、光堕ちをするなら、ルーイは私のことを裏切ることになる。当然の話じゃない?」
あーそか。キュヴァちゃんからすれば、組織を裏切るなんて発想はもうなくて。余命もわずかで、余生をどう過ごすか、そういう風にしか思考が働いていないんだ。だから、俺が光堕ちするっていうことは、キュヴァちゃんの元を離れて、キュヴァちゃんと敵対するということと同義になる。
だから、光堕ちかキュヴァちゃん、どちらかしか選べないと、そういう発想になるわけだ。
なら……。
「…キュヴァちゃん、あるよ。キュヴァちゃんのことを裏切らずに、私が光堕ちすることができる方法」
「なんでそんなに光堕ちしたいの?」
俺がこの世に生まれてきたからだ!!
…こちとら光堕ちの化身なものでして。光堕ちの妖精ともいう。つまり、光堕ちすることは運命として決定づけられているのである。光堕ちするっきゅ!! 今のキュートのマネね。
「キュヴァちゃんの魔核? とやらの問題、それを解決してあげれば、キュヴァちゃんは組織に従わなくてよくなる。私が光堕ちしても、キュヴァちゃんが私と対立しなくてよくなる。どうかな?」
「無視された…。というか、そもそも、何で魔核の話を…。それに、私の魔核についての問題、解決策は用意してあるの?
そこなんだよねぇ。正直、魔核? ナニソレオイシイノ? 状態なわけで、対処法どころか、魔核がどんなものなのかすら把握できてないんすよね…。あ、ちなみに食いしん坊ではないです。
まあ、でも、当てがないわけでもない。実際、幹部様は魔核の代わりになる心臓を用意してあげればいいって言ってたし、それに…。
「ジェネちゃんの研究資料、私がこっそり保有してるから。探せば何か手掛かりがあるかもしれない。それに、師匠は魔法科学とかいうのを研究してて、体が不自由な人でも自由に体を動かせるような装甲を作ってるから、師匠に頼めば、魔核の代わりが作り出せるかもしれないでしょ?」
「…。やっぱり、何も見つかってないんだ? 何のプランもないのに、私のことと光堕ちのこと、両立させようとしてたの? …愚かだよ。二兎追う者は一兎も得ずっていうでしょ? ルーイは、ここで決めるべきなんだよ。私をとるのか、光堕ちをとるのか」
…普通に考えたら、キュヴァちゃんの方をとるべきなんだろう。けど、光堕ちは俺のアイデンティティだ。光堕ちの妖精、なんてふざけたことを考えていたけど、実際そう形容してもいいくらいに、俺は光堕ちのためだけに生きてる。
どれだけひどい目にあっても、その先に光堕ちが待っているとわかっていれば、俺は迷わず進むことができる。苦難を苦だと感じず、日々を楽しく過ごすことができる。俺にとって、光堕ちというのはそういうものなのだ。
………でも、だからといって、キュヴァちゃんの事がどうでもいいってわけでもない。二度とジェネちゃんみたいに、死に別れしてしまいたくはないし、キュヴァちゃんとはもう一度、ゲームをして遊びたい。だから、俺のとる選択肢は。
「キュヴァちゃん、私は光堕ちをとるよ」
「……。わかってた。しってた。だから、期待なんてしてなかった。結局、私は…」
「…だから、私はキュヴァちゃんのことも光堕ちさせるよ」
「は…?」
俺のアイデンティティは、光堕ちだ。俺は光堕ちのために転生したし、光堕ちへの想いでは、誰にも負けない。だから。
「私は光堕ちをとる。それで、キュヴァちゃんも、自分自身も、光堕ちさせてみせる。キュヴァちゃんの魔核の問題も、解決して見せる」
「めちゃくちゃだ、そんなの、理屈が通ってない。それは、選択になってない」
「知ってる? 光堕ちっていうのはさ、奇跡なんだよ。敵だと思っていた相手が、仲間になる。相容れないと思っていた存在と、分かり合える。そんな尊いものが、光堕ちなんだよ。それに、言ったでしょ? 私は、光堕ちのために死んだ。そうして今、生まれ変わったのが、光千夜としての私」
「それが、なに?」
「状況を考えてみてよ。拉致されて洗脳されて、悪の魔法少女として組織に従わされてる。こんなの、光堕ちしてくださいっていってるようなもんじゃん。私はさ、光堕ちに最適な環境に生まれることができたんだよ。これって、奇跡だと思わない?」
そうだ。光堕ちっていうのは、奇跡を起こすものなんだ。絶対にあり得ないと思っていた、そんな展開を呼び起こしてくれる、最上級の山場なんだ。理屈が通ってない?奇跡に理屈なんてない。選択になってない?奇跡を起こすんだから、選択をする必要なんてない。ただ俺は、俺のあるがままにふるまうだけだ。光堕ちのために、まっすぐに。
「…どうして、一緒に堕ちようとしてくれないの。私と一緒に、組織の被害者として、みじめに人生を終えてくれれば、それだけで私は、救われたのに…」
え、そんなこと考えてたの?…でも、それって悲しいよね。どう考えてもバッドエンドなのに、それが救いに感じるなんて、絶望しかないと思う。
「そのために、ブラックルーイは手遅れだって、魔法少女達の元に、ブラックルーイが行かないように根回しまでしたのに…」
ん?ちょっとまてい!根回しって何?俺の光堕ち計画を阻止しようとしてたの?こ、困るよキュヴァちゃん!俺は完璧なチャートに則って、最適な光堕ちを目指していたというのに!!
キュヴァちゃんは本当に悪い子だね。でも、いいさ。どのみち、キュヴァちゃんも光堕ちさせなきゃいけないんだから。
「…キュヴァちゃん、今からでも間に合うよ。私がキュヴァちゃんを救う。光堕ちの専門家で、光堕ちの国家資格を持っている私が、キュヴァちゃんを光堕ちさせてあげるから」
「…うそばっかり。うそつきなのに、なんで……。私を救えると、そう言った時のルーイには、嘘がないの…?」
ああ、それはね。
「私が、光堕ちの奇跡を、誰よりも信じてるからだよ。…だからキュヴァちゃん、一緒に行こう。私と一緒に、光堕ちを目指そう」
俺はキュヴァちゃんに手を差し出す。キュヴァちゃんは、目に涙を浮かべながら、俺の手を取る。
「本当に、救ってくれるの?」
まるで、親に捨てられた子供が、縋ってくるかのような、か細い声で。
キュヴァちゃんは、俺にそう、確認するように問いかける。俺はそれに、はっきりと、嘘偽りない声で、応える。
「うん。絶対に、キュヴァちゃんを光堕ちさせるよ」
ジェネちゃんの時、俺は、何も知らなかった。ジェネちゃんを光堕ちさせようなんて発想、まったくなかった。ただ、ひっそりと生きてくれればって。…だから、ジェネちゃんのことは救えなかった。俺がジェネちゃんを救えるとしたら、光堕ちしかなかったのに。けど、今度は違う。キュヴァちゃんは、光堕ちさせる。ジェネちゃんの時とは違う。今度こそ、俺は俺の意思で、キュヴァちゃんの光堕ちを成功させる。キュヴァちゃんの命は、失わせない。
主人公ルーイちゃんとヒロインキュヴァちゃんでお送り致します。