文章が綺麗に…! マジで感謝です!!
ベー太さん、ありがとうございます!!!
「………落ち着いた?」
「うん。とりあえずは」
キュヴァちゃんを光堕ちさせる。俺がそう宣言してから、キュヴァちゃんは泣き出してしまったので、落ち着くまで隣で暫く様子を見ることになったんだけど。
………ひとまず、感情の整理はついたみたいだ。
「それじゃ、師匠とかもう1人の私にも、この話をしに行かないとだね」
「………あ………うん……でも……」
キュヴァちゃんは浮かないような顔をする。
【皆………私を裏切るんだ……。ラフ君も、ジェネシスも……ルーイも………皆、皆……!】
……キュヴァちゃんは、きっと誰も信頼できていないんだろう。師匠やもう1人の私のことも、まだ心の奥底では疑っているのかもしれない。
……状況が状況だ。疑心暗鬼に陥るのも無理はないと思う。だから……。
「大丈夫だよ、キュヴァちゃん。私がついてるから」
「ルーイ……」
「師匠ももう1人の私も、キュヴァちゃんのことをどうこうしようなんて思ってないと思うよ。師匠は師匠で、キュヴァちゃんの素性が知れないからあまり情報を与えないようにしてただけだと思うし、もう1人の私も、根本的には私とそう変わらないから」
俺は震えるキュヴァちゃんの手を握りながら、言う。きっと、この子には時間が必要なんだろう。生まれてからずっと、誰も信用できないような環境に置かれて、誰かを信じるということが、きっと怖いんだと思う。
…………多分、ジェネちゃんの一件で、余計にそれが加速してしまったんだろうな。
まあ、それに関してはこれからゆっくり、信頼を築き上げていけばいいだけの話だ。キュヴァちゃんの人生は、光堕ちしてから再スタートできるんだから。
「………大丈夫そう?」
「……うん。多分大丈夫。………ヒンナはポンコツだし、もう1人のルーイのことも、信じてないわけじゃないから」
師匠、仮にもミステリアスを目指してるのに、キュヴァちゃんからもポンコツ評価をいただいてらっしゃる…。ミステリアス知識に関しては間違い無く尊敬できるんだけどなぁ……。まあ、ミステリアスに興味のない人からすれば、割とどうでもいい知識ではあるんだろうけど。実際、俺もミステリアスは引退してる身だし。
………と、そうそう。
「そういえば、キュヴァちゃんに渡すものがあったんだよね」
「……私に渡すもの? なに、それ」
「じゃーん! ヘアピン! ………キュヴァちゃん、いつも髪で右目隠れてたから、見えにくいかなーと思って。まあ、そういうお洒落だとは思うんだけど、ゲームする時とか髪邪魔になりそうだし、どうかなーって」
「……ありがとう。………でも、何でキノコ?」
そう、キュヴァちゃんにあげたヘアピンは、赤色のキノコになっている。もちろん、これには理由があって………。
「キュヴァちゃん、ゲーム好きでしょ? だからそれに関連するもののほうが良いかなーって思って、探してみたら良い感じのがあったから」
「なるほど。私はスター派だよ」
「えっ、そうなの!? ……じゃあ間違えたかなぁ……」
「でも、ルーイからのプレゼントは嬉しいよ。……ゲームする時、つけようかな」
キュヴァちゃんは早速、右の前髪にヘアピンを付け出す。前までは見えていなかった右目が、今ははっきりと見えるようになっていて……。
「なるほど。右目に隠された秘密! みたいなのはない感じなんだ」
「ルーイは私のことなんだと思ってたの…?」
いや、だってジェネちゃんからクロマック君の差金っていう情報を貰ってたからさ、何か右目にも秘密が……? って思考になってもおかしくないじゃん?
とまあ、そんなことは置いておくとして。
「それじゃあ、行こっか」
「……ヒンナのところ?」
「うん。師匠達にも協力してもらいたいしね」
とは言っても、腕輪型転移魔法機はもう1人の俺が持ってるから、師匠のアジトへは自分の足で行かなきゃいけないんだよね。
今日は大変だなぁ。キュヴァちゃんのアジトに行って、さらに師匠のアジトにも行かなきゃいけないなんて。まあ、でも仕方ないか。
「………それじゃあ、ルーイ。私の手に捕まって」
「へ? 何で?」
「? 何でって、転移魔法を使うから」
「転移魔法……?」
転移魔法…。そんなの使ってたっけ?
いや、まあキュヴァちゃんはどんな魔法でもコピーできるっぽいから、何の魔法を持ってても違和感はないけど……。
「? え、いやだから、腕輪型転移魔法機の中に搭載されている魔法を、私はコピーしてるから。だから私も、同じように転移魔法を使えるんだよ」
「……でもそれの転移先って、ジェネちゃんのアジトにセットしてるんじゃ?」
「私の転移魔法も、腕輪型転移魔法機と同様、一度その場所に行って再設定すれば、別の場所をワープ先とすることができるから。だからヒンナのアジトに設定し直しといた」
「そうなんだ」
ほえー、便利だなぁ転移魔法。じゃあ、学校に登録しておいたら、HR直前まで家でぐーたらできるってことだ。働き出してからも、職場に設定しておけばギリギリまで寝れる! めっちゃ便利だ!
光堕ちしたら個人的に腕輪型転移魔法機譲ってもらお。
私生活が楽になるし最高の魔法だね。
「じゃあ、行くよ」
俺はキュヴァちゃんの手を取る。便利な便利な転移魔法で、師匠のアジトまでひとっ飛びだ!
視界が歪む。俺とキュヴァちゃんの体が、アジトから別のアジトへと、転移していく。
ものの数秒。たった一瞬で、俺とキュヴァちゃんは、師匠のアジトの内部へと移動していた。
そしてそこには、もう1人の俺とラフ君がいて。
「愛結ちゃん…? それに………キュヴァ………ちゃん……?」
『この前ぶりだね。けど、どうして…?』
普段なら手で狐作ってこんこん! とか言ってくるのに。俺とキュヴァちゃんが突然やってきたことにびっくりして固まっちゃってるみたいだった。
ので。
「こんこん! やっほー。ちょっと話したいことがあったから来たよん」
狐の挨拶、俺が代わりにやるね。千夜ちゃん見ってる〜? 君が狐の挨拶しないから、狐の挨拶は俺が取っちゃいましたぁ!
「話って、どういう……?」
「キュヴァちゃんのことで、話したいことがあるんだ。……師匠も呼んでほしいんだけど、いる?」
「今、仕事中……? なのかな。分かんないけど、呼んでみるね」
千夜ちゃんはそう言って、奥の方へとスタスタと入っていく。
その間、俺はラフが持ってきたゲームタイトルを眺めながら、皆で雑談を交わしながら待っておく。
「……私としては、2は名作。最後の亡き妻からの手紙、あれが泣ける。それに、敵クリーチャーのデザインがセンスの塊すぎて、あれは最高傑作と言わざるを得ない……」
「私はホラゲーちょっと怖くて苦手かなー。あとアクションへったくそなんだよね。……気になるけど、プレイする勇気が出ないなぁ……」
「……なら、これとかどうだろう? 2人で協力プレイ可能で、片方は銃を扱わなくて良い。あくまでサポートって感じで一緒にプレイできる。ファン層が1人プレイの方が多かったり、ストーリーが短いという理由で不評になりがちな作品ではあるけど、初心者が経験者と一緒に触れるという意味ではこれ以上ない作品だと思うよ」
『でもその作品じゃ銃の練習はできないから、ホラゲーに慣れるなら、まずはこっちの方がいいとぼくは思うんだけどなぁ……』
そんなこんなで、適当にオススメのゲームでも聞きながらダラダラと待っていたわけだけど、そうすると、時間もあっという間に過ぎ去っていて、気付いたら、千夜ちゃんが師匠を引き連れてやってきていて……。
「そのゲーム私ソロでクリアしたよ。最初はラフ君と一緒にやってたんだけど、やっぱり銃使いたくなってきたんだよねぇ………」
………バカな!?
千夜ちゃんが……俺の分身が………ホラゲーをプレイしている……だと……?
そんな、そんなバカな……。お前だけは、お前だけは裏切らないと信じていたのに……。
俺を置いていくというのか、光千夜…!
「この……裏切りもんがぁぁぁぁぁ!!」
「ど、どうしたの? 私がホラゲーやってるのがそんなに不満だった?」
「いや別に」
『……やっぱり、この子よくわからない……』
「ルーイが変なのはいつものことだよ」
今日も平和だなぁ。
「……それで、ルーイ。キュヴァについて、話したいことがあるんでしょ? それって、何のこと?」
師匠が、俺に尋ねてくる。
そうだった。今日師匠のアジトに来たのは、それが目的なんだった。
「師匠、協力してください」
目的達成のためには、少しでも協力者が必要だ。だから、師匠の力も使う。色々な手段を講じて、キュヴァちゃんを救い出す手段を見つける。
「? なにに?」
「………キュヴァちゃんを、救いたいんです。だから……師匠、力を貸してください」
さあ、キュヴァちゃん光堕ち大計画の、始まりだ。