TS魔法少女は光堕ちしたい!!   作:布団から出られない

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125親友少女は考察し、暴走する

 

 

幹部オクトロアが落としていった紙切れ。

その紙切れに示されていた言葉の意味を、私は考え続けていた。

 

破られたメモに書かれていたのは、広井愛結……つまりあーちゃんに関するもので。

彼女がブラックルーイに利用されているのでは? という考察のようなものがなされていた。

 

………が。

 

「いくら何でも不可解すぎるよね」

 

色々と、この紙にはおかしな点がある。

まず、広井愛結をブラックルーイ……千夜が利用しているという点についてだ。

 

ブラックルーイは、広井愛結という自分そっくりの少女を、ブラックルーイの正体のミスリードとして使っている、という考察なのだが…。

 

確かに、以前スターチスが話していたものに、広井愛結がブラックルーイの正体である、という話があった。

実際、ミスリードにあーちゃんが利用されている、というのもあり得そうな話ではある。だが、おかしすぎるのだ。

 

この破られた紙切れは、オクトロアが落としたものだ。

もし仮に、広井愛結という少女を、千夜が身代わりとして利用しているとしよう。

 

じゃあ、それをオクトロアに言わないのはなぜ?

広井愛結を利用する。これをオクトロアに言っても、何ら問題はないはずだ。自身の素性を探られないようにするための合理的な判断ともいえる。

 

……そもそも、千夜に素性を隠す意味なんてあるのだろうか?

だって、洗脳され、記憶を消されているのであれば、自身の素性が知られようと、どうでもいいことだ。

知られたところでダメージなんてない。だって、本来の自分はもう捨てているのだから。

 

それをするメリットがあるとすれば、幹部オクトロアなど、『ワ・ルーイ』の連中のみだろう。

 

つまり、この紙に書かれている考察は、そもそもオクトロアが書いたものではない?

もしくは………。

 

「……わざと落とした、とかかな」

 

……メェナを勧誘する上で、この紙切れを持ってくる必要性など、オクトロアにはないはずだ。重要な書類なのであれば、雑な保管はしないだろうし、間違っても落とすなんてことはしないはず。……それに。

 

「上部の破られた部分、やっぱり気になる……。もしかして、この部分に書かれていた情報が重要なものだった…?」

 

不自然に上部部分だけ破られた紙切れ。これが意味するのは、破られて私の手元にない部分に、何か重要な情報が載っていたのではないかということ。

 

そして、もし仮に、わざと私のいるこの場所に書類を落としたのであるとするならば………。

 

「………いや、私、ではなく……」

 

オクトロアは私が魔法少女ムーンノウシーカーであることを知らない。だが、もし、夏場夜風……サマーハリケーンのことを認知していたのだとすれば?

 

彼女を経由して、魔法少女側に誤情報を流す……ということも考えられる。

サマーがキューティ先輩達と接触したのは、おそらくオクトロアも知っているだろうから。

 

サマーはオクトロアが来た時、変身をしなかった。だから、オクトロアは彼女の変身前の姿を知らないものだと、そう信じ込んでいたいたけど。

 

……以前組織に所属していたのなら、知られていて当然なんだ。むしろ、知られていないなんて考える方が、楽観的で、愚かで、短絡的だ。

 

……………さて、もし、幹部オクトロアが、魔法少女側に誤情報を流す、という目的で私の元にこの紙切れを置いていったのだとしよう。

 

それをする理由は、何故か。

 

「決まってるよ……そんなの」

 

私の考察が正しいとするのであれば、オクトロアは、広井愛結がブラックルーイ……光千夜に利用されているという情報を流そうとした、ということになる。

 

それが意味することなんて、決まっている。

 

……オクトロアの目的は……。

 

「広井愛結≠光千夜、の図式を成立させること」

 

…………あーちゃんが、千夜だということ。

それ以外に、オクトロアがこんな回りくどい真似をする必要性は、ないと思う。

 

「………あはっ! ………あはは………」

 

本当は、心のどこかで、もしかしたら………なんて考えは、あったのかもしれない。

けど、私はそれを否定し続けて、目を逸らし続けて……。

 

親友のこと、ちゃんと親友として、真っ当に接せれる人間なんだって、そう思うためにあーちゃんを利用していただけだったんだ。

 

「なかったんだ……。私、本当に……」

 

…………私はもう、とことん堕ちるところまで堕ちるしかないらしい。

私の親友は、光千夜ただ1人だった。

 

私は、ただ1人の親友に、歪んだ感情を向ける、狂人でしかなかったのだ。

 

……ああ、本格的に私は、狂ってしまった。

もう、後戻りはできない。

 

でも……。

 

いいん、だよね?

 

【誰が認めなくても、その趣味は、確かに自分のモノなんだから。共有できなくたって良い。自分が認めなかったら、誰がそれを認めてあげられるんですか?】

 

だって、あーちゃんは………千夜は言ってたもんね。

 

【隠せばいいじゃないですか。バレなきゃいいんです】

 

バレなきゃ、いいんだもんね。

 

【いいよ。人ってそういうものでしょ。誰かに迷惑をかけて、かけられて、そうやって社会は形成されてるんだから。いいじゃん別に。迷惑かけちゃいなよ。迷惑かけすぎたなって思うなら、後で謝ればいい。許して貰えば良い】

 

迷惑、かけてもいいんだもんね。

 

【もし、許されなくても……私だけは、どんなことがあってもゆーちゃんの味方だよ】

 

あーちゃんは………千夜は、どんなことがあっても、私の味方なんだもんね?

 

 

 

 

 

千夜の、せいだからね。

千夜が、私をこんな風にしたんだから。

 

もう、嫌って言っても聞かないよ。だって、私は千夜に迷惑をかけてもいいんだから。

いくら迷惑をかけても、頭を下げて謝れば許してくれるんだから。

 

謝らなくたって、千夜は私の味方でい続けてくれるんだから。

 

だったら、いいよね?

私は、私の好きなように。

私の趣味を、千夜に押し付けていいんだよね?

 

だって、千夜が言ったんだよ。

全部、全部、千夜が私にやれって言ったんだから。

 

だったら、その責任は、千夜にとってもらわないと、ね?

 

「………そうだよ。全部、千夜のせいだもん……。私は、私の好きなようにやるから」

 

なんだか、すごく……。

 

解放された気分だ。

 

もう、何をしてもいい。何したって、いい。

 

私はもう、私の好きなように振る舞おう。

 

周りがどうとか、もう、心底どうでもいい。

だって、私が嫌われたくない親友はもういないんだから。

 

私がいくら暴走しようが、千夜は全部受け入れてくれるんだから。もうそれでいいや。

 

千夜が悪いんだよ? 私にあんなこと言うから。

もう、私止まれなくなっちゃった。

 

「魔法少女の力使えないの、面倒だなぁ……」

 

私の中に残っていた良心は、罪悪感と共に完全に消え去った。今の私は、私利私欲のために千夜を利用することしか考えていない。

 

けど、私が欲望のままに動くためには、やっぱり魔法少女の力がないのは不便で…。

 

「メェナもオクトロアに取られたし、千夜を好きなようにするには、戦力が足りない、かな………」

 

どうにも、今の私じゃ、千夜を好き放題できるだけの実力もないし、環境も整っていない。

困ったものだ。

 

私は、千夜を救おうとしている苺先輩達も相手にしつつ、『ワ・ルーイ』に千夜を好き放題されないようにしないといけないのだから。

 

「いや………」

 

いっそのこと、『ワ・ルーイ』に協力を持ちかけてみるのもアリだろうか?

別の理由を用意して、オクトロアと接触し。

隙を見て、千夜を私のものにする。

 

オクトロアの目的を探りつつ、千夜を私の好きなように扱うための下準備を進められる。

 

懸念点は、今の私は魔法少女に変身することができない、ということなのだけど……。

 

「……先輩みたいになれれば、なぁ……」

 

妖精の力なしに変身できれば、楽なんだけど。

………組織で、その薬を探し出す?

 

いや、それはそれでギャンブルすぎるような気もするし……。

 

【魔法少女であるはずなのに、悪の組織に加担してしまっている魔法少女とかいるじゃないですか。ああいうのが好きなんです】

 

………ああ、そっか。

私の癖とは若干異なる。けど、千夜の状況を好ましく思う子も一定数いるわけで。

 

「……恩智寧魅夜、だっけ。……あの子に接触して、あの子と同じ趣味の子がいるコミュニティに入れば………」

 

私と同じ、とまでは行かなくとも、恩智寧魅夜のような趣味を持った魔法少女が、彼女のコミュニティに参加しているかもしれない。

 

魔法少女のコミュニティなのだ。……私と類似した癖の魔法少女がいれば、好んで所属するはず。

 

彼女のコミュニティにいずとも、輪を広げていけば、いずれは……。

 

「魔法少女の力を持つ同胞、見つけられるかもね」

 

ある種これもギャンブルみたいなものだ。

けど、無策でオクトロアと接触するよりも、ずっと現実的で、安全な手段といえる。

 

私の癖を明かして、協力してもらう必要はあるけど、まあいい。

 

私の目的達成に、私の名誉はもう必要ない。

だって、どれだけ酷いことをしたって、千夜は受け入れてくれるんだから。

 

だから……。

 

「待っててね、千夜。私が………“親友”の私が…千夜を……もっと魅力的にしてあげるから」

 

私は、私の趣味に走るだけだ。

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