キューは未だ、苺の家で、部屋で。
その身を療養することしかできていなかったっきゅ。
夕音に、千夜。
キューはずっと、大切なものを取りこぼしてきたっきゅ。
「……キュート、調子はどう?」
『……ごめんっきゅ。まだ、本調子じゃないっきゅ』
失いたくない、そんな気持ちばかりで。
きっと、キューは自分のことしか、考えられてないんだと思うっきゅ。
千夜のことを助けたい。そう思いつつ、キューが今やっているのは、これ以上傷つかないために、戦場へと出ないこと。
決意したのに、戦えなくとも、戦場に出続けて、千夜に声をかけ続けると、そう誓ったのに。
たった一度。
夏場夕音の姿を一目見ただけで、キューは、キューは……。
「…………私も、救えなかった」
『苺……?』
「……組織に生み出されて、利用されてた子がいたんだ。……その子は、私達に助けを求めてきた。けど……元々敵対していたってこともあって……戸惑っちゃった。………信用、しきれなかったんだ」
『それは………』
「……そのせいで、結局その子は、オクトロアに……殺されて……。……きっと、私が躊躇わなければ、すぐにでも手を差し出してあげていれば、助けられたんじゃないかなって………ずっと、そう思ってるんだ」
千夜のことではないと、すぐに分かったっきゅ。
もし千夜がそのような状況になっているのであれば、今頃聖歌は壊れていることが予想できるっきゅ。
けど、そうはなっていなかったっきゅ。今日も苺は聖歌と一緒に外に出ていたし、苺を見送った時に見た聖歌は、壊れているあの時よりもずっと元気な姿を見せていたっきゅ。
だから、きっと別の子のことなんだと思うっきゅ。
けど、だからといって、他人事、というわけでもなくて……。
「……後悔、したんだ。何で、気づいてあげられなかったんだろう、どうして、もっと早く手を差し伸べてあげられなかったんだろうって。凄く、後悔したよ」
『………』
「……だから、だから………。キュートにも、そういう後悔はして欲しくないなって。……戦えないのは、わかるよ。夏場夕音さんの件で、心を痛めてるのも、分かってる。………でも、きっと、今動かないと、また………千夜ちゃんも、手遅れになっちゃうかもしれないから。………だから……」
『………どうせ、キューが行っても、できることなんてないっきゅ。………夕音のことを救えず、幹部マインドライフに体を乗っ取らせて……そんなキューには……』
「……………そっか。キュートには教えてなかったんだっけ」
教えていなかった?
何の件だっきゅ? ……確かに、キューはしばらく戦場に向かっていないから、知らない情報があってもおかしくはないと思うっきゅ。けど……。
『何の話っきゅ…?』
「夏場夕音さんの話、だよ。……あの時私達が出会った夕音さんは、幹部マインドライフじゃない。正真正銘、本物の夏場夕音さんだったんだよ」
どういうことっきゅ…?
だって、キューは見たっきゅ。
正真正銘、夕音が………。
………そうだ、キューは、何を見たんだっきゅ?
キューは、夕音の遺体は見ていないっきゅ。
夕音との契約が切れて、現場に駆けつけたら、何も残っていなかったっきゅ。それで、家に夕音が帰ってこなかった、だから、死んだと判断した。ただそれだけっきゅ。
キューは、夕音の死を、この目で見たわけじゃないっきゅ……。
だとすれば……。
『夕音は、ずっと、生きていたっきゅ……?』
「……そうだよ、それで、千夜ちゃんのこと、ずっと守ってくれてたみたいなんだ。……幹部マインドライフ、というのは嘘で、あれは……千夜ちゃんが被害者であるという印象を私達に植え付けて、千夜ちゃんを救ってもらおうと行動した結果だって。………そう聞いた」
『……そんな……まさか……』
「結局、組織に裏切りとみなされたのか、夕音さんは……そのまま………。けど、それでも。夕音さんは、きっと最後まで、千夜ちゃんのことを助けたいって、そう思ってたんじゃないかな」
わざと悪者を演じて、千夜を救おうと……。
そんな……そんなことも知らないで、キューは……キューは何を……!
人助けをしていたから、夕音を助けられなかった。そんな風に思っていたっきゅ。
何もかも救うなんて不可能だって、そう嘆いて。
手を差し伸べることを放棄していたっきゅ。
けど、それは間違いだったっきゅ。
夕音は、キューが人助けにかまけている間に、死んでしまっていたわけではなくて。
何か目的があって、組織に潜入していたんだっきゅ。
夕音の性格から考えて、きっとそれは、誰かの行動のためで……。
結果的に、その夕音の行動で、千夜が守られていたんだとしたら……。
『……キューは……キューは何をして……!!』
夕音が組織に残り、千夜を助けようとしていたのに対して。キューは、千夜の記憶を忘却して、なかったことにまでしようとしたどころか、切り捨てようとすらしていたっきゅ……。
これ以上失いたくない、もう辛い思いはしたくない、なんて、自己中心的な考えを優先して……。
『……大馬鹿者っきゅ………!! どうして……どうしてキューは!!』
全部全部、キューのせいっきゅ!!
キューが最初から、諦めていなければ。キューが最初から、苺に頼っていれば……。
きっと、千夜も夕音も、今頃……。
救えていたのかもしれないっきゅ……。
「キュート……」
『苺、キューに、後悔して欲しくないって、そう言ってたっきゅよね』
後悔して欲しくないなんて、そんなの無理っきゅ。
だって、夕音を失ってから、キューは後悔をし続けて。
けど、その現実を受け入れたくなくて、目を背けていたっきゅ。
だから、後悔しないなんて、そんなの、キューにはできないっきゅ。
『キューはこれからも、後悔し続けるっきゅ……。後悔して後悔して、ずっと自分の行動の過ちを悔いていくっきゅ』
「…キュート、でも、それって」
『………苺、最後まで聞いてほしいっきゅ。………キューは、きっと、後悔から逃げたら、前に進めないんだっきゅ。……今までずっと、後悔から逃げて、現実逃避をして。……そのせいで、たくさんのものを失ってきたっきゅ。後悔しても、後悔し切れないくらい。けど、それでいいっきゅ。キューは、もうこの後悔から、逃げないことを決めたっきゅ』
後悔しなければ、また現実逃避をして、同じことを繰り返してしまうと思うっきゅ。
だから、キューはきっと、これからも後悔をし続けるしかないっきゅ。
心の傷の痛みを、忘れないために。
もう2度と、現実逃避なんてしないために。
キューは、キューの抱えているこの後悔に、真正面から向き合いたい。今はただ、そう思うっきゅ。
「キュート、それじゃあ」
『………苺、キューはもう、逃げないっきゅ。戦場には、キューも一緒に行くっきゅ。千夜に手を伸ばして、今度こそ、千夜のことを救うっきゅ』
「………そっか。キュートも、もう迷わないんだね。………なら、救いに行こう、私達で、ブラックルーイを……千夜ちゃんを」
今まで夕音が守ってくれていたのだとしたら。
夕音がいなくなった今、千夜の立場はかなり危ういはずっきゅ。
………本当に、こんなところでぐずぐずしている場合じゃなかったっきゅ。
急がないと。また、取り返しがつかなくなる前に。
『苺、組織の情報を集めるっきゅ。……アジトを探り当てて、それで』
「大丈夫、アジトの場所なら、もう目星はついてるから」
『……そうなんだっきゅ?』
キューがぐずぐずしている間に、随分と話は進んでいたみたいだっきゅ。
つくづく、自分の情けなさに嫌気がさしてくるっきゅ。
「うん。スターチス…鳴ちゃんが、白い髪の子……幹部なのかな? に、発信機を付けてくれたから。だから、アジトの場所はもう把握してる。それが、千夜ちゃんのいる場所なのか、組織の本拠地なのか、とか、その辺りについては全然分からないけど」
アジトの場所…。
といっても、『ワ・ルーイ』は複数のアジトを所持しているっきゅ。
それに、幹部達が本拠地へ頻繁に出入りするとは、到底思えないっきゅ。
きっと、本命の基地ではないんだとは思うっきゅ。
けど。
少しでも千夜に近づけるなら。
もう、それだけで十分っきゅ。
『苺、奈良、襲撃するしかないっきゅね』
「…うん。戦力を集めて、皆で攻めに行こうかなって思ってる。……もう、キュヴァちゃんみたいな犠牲者は出したくないから」
苺も苺で、千夜の件とは別に、決意を固める理由を持っているみたいだっきゅ。
……今度こそ、千夜を救う。
もう、見捨てるなんて真似は、しないっきゅ。
湿島さんとイコルのは既に用意していますが、キュヴァちゃんと柚月ちゃんのはまだ未用意です。
ただ、読者の意思を尊重したいので、読みたいものに、好きに投票してください。
あと、感想欄でアンケートについて触れると規約に抵触しちゃう可能性があるので、アンケート回答を感想で行うのはやめましょう。
基本活動報告に同じ旨のものを記載する予定ですので、意見があればそちらに。もしくは、メッセージボックス? というのでやり取りができるっぽいので、活動報告が嫌だよって人はそちらに。私もよく分かっていないので、返信等が遅れてしまうことはあると思いますが、ご了承の程、お願い致します。
間話について
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イコルの話(重め。暗め)
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湿島の話(重め。暗め)
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キュヴァちゃんのお話とか(未定)
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間話登場のギャル、南根柚月の話
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いらない。必要ない。(or本編優先)
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その他