TS魔法少女は光堕ちしたい!!   作:布団から出られない

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132悪役少女は姉と再会する

 

 

急いで幹部様の元へと向かう。

魔法少女からの襲撃、その猛攻に、果たして幹部様は耐えられるのか。

 

「キューティちゃん達ちゃんと強いからなあ………」

 

幹部無双! ができるほど、個々の幹部の戦闘力がぶっちぎりで高いってわけでもなさそうなんだよね。師匠の破壊力は凄まじいし、“魔核”があった頃のキュヴァちゃんの模倣魔法も厄介さ満点だったけど、幹部様は多分そこまでじゃないと思うし。

だって、魔法少女のジェネちゃんが実際に幹部になれてたくらいなわけだし。

 

だから、幹部の実力ってピンキリで、必ずしも魔法少女を圧倒できるようなものではないと思うんだよね。

 

特にピュアとか、どうせ大したことなかったでしょ。雑魚中の雑魚なんじゃない?

んまあ、だからこそ魔法少女達が襲いかかってくるとなると、幹部様の身が大丈夫なのか心配になってくるというか……。

 

「大丈夫かなあ……」

 

心配だ。心配だからこそ、急がないといけない。

ジェネちゃんの時みたいに、手遅れになってしまう前に。

 

そう思い、俺は全速力で幹部様のいるアジトへと駆けつける。

アジトのある建物付近に近付いてきたが、外からは戦闘が行われているようにはとても思えなかった。が、一度中に入ってみると……。

 

「『ストロベリーアロー』!」

 

「『ギフト・イン・スピア』!」

 

正に魔法少女達が幹部様に襲いかかっている光景が、俺の目に入ってきていて…。

 

………相手の数は、5。

魔法少女キューティバース、シャイニングシンガー、ホワイトポイズナー、スターチススクラッチ、ライオネルグレーテという組み合わせだった。

 

………ムーンノウシーカーはいないんだ?

総力戦ってわけでもない? どこかに潜んでたりするんだろうか…?

 

けど、ムーンがいないとはいえ、流石に5対1は幹部様でも厳しいだろう。

俺が加勢しないと、このまま魔法少女達に押し切られてしまうかもしれない。

 

「幹部様!」

 

俺は幹部様のもとに駆けつけ、急いで加勢する。

 

「………千夜ちゃん………」

 

「…千夜…………」

 

俺が幹部様の加勢に入る様子を見て、キューティとシャイニングが反応する。

もう俺の素性は完全に知られているみたいだ。

まあ、分かっていたことだけども。

 

「ルーイさん、加勢に来てくれたんですね。私は、貴方に合わす顔もないというのに……」

 

「幹部様、別に、キュヴァちゃんの件は気にしてないですよ。……幹部様には、幹部様の事情があるんでしょう? なら、私がそれを責めることはできないです。幹部様には、ずっとお世話になっているので」

 

キュヴァちゃんが本当に亡くなっていたら、流石の幹部様でも、俺は恨んでいたかもしれない。けど、キュヴァちゃんは結果的に生きてるし、光堕ちもできた。無断でキュヴァちゃんの命を脅かしたことは、許されて良いことではない。けど、幹部様にだって事情はあるのだ。

 

今までお世話になってきた分、ある程度俺が寛容にならなきゃいけない部分はあると思う。だから、もう幹部様のことは責めない。

 

幹部様も、きっと心から反省しているだろうから。

 

そんな風に思って、幹部様と会話を交わしていたんだけど……。

 

「キュヴァちゃんの件を、気にしてない……? ……どうして……。千夜ちゃんは、キュヴァちゃんを救おうとしていたんじゃなかったの……?」

 

何故か、俺の発言にキューティが疑問を抱いたようで。

キュヴァちゃんを助けるつもりじゃなかったのかって、そう尋ねてきた。

 

………そういえば、キュヴァちゃんは魔法少女に助けを求めてたんだっけ?

その時に、俺がキュヴァちゃんを救おうとしている話も聞いていたのか。

 

まあ、だから俺が幹部様を許していることに違和感を覚えたのかもしれない。しゃーないか。キューティちゃん達は俺と幹部様の関係を知らないからなぁ。

 

「私は今まで、幹部様にお世話になってきた。幹部様の下で働かせてもらったし、幹部様にアドバイスをもらいながら、組織の魔法少女として活動してきた。私にとって幹部様は、もはや恩人と言っても良いくらい大きい存在だからさ……。だから、幹部様が何をしようと、私はある程度のことなら許容できる」

 

「ある程度って………。千夜ちゃん、貴方にとって、キュヴァちゃんの存在はその程度のものだったの……? 違うでしょ? 貴方は、キュヴァちゃんのために……」

 

「キューティ、ブラックルーイは、もう……。………ブラックルーイ、貴方は、完全に組織に毒されてる。その考えは、組織に植え付けられたものだ。………洗脳によって、強制的に植え付けられた思考だ。……………偽りの……偽の感情なんだ」

 

俺の言葉を、ホワイトが真正面から否定してくる。

あー、まあ、この子アンチ組織! って感じの子だからなぁ。

俺と幹部様の関係性を、誤解しているらしい。洗脳によって植え付けられたものだと、そう信じて疑う様子はない。

 

実際には、幹部様はちゃんと俺に対して、申し訳ないって気持ちを抱いてくれているし、お互いに尊重できるような、そんな関係性だと思うんだけどね。

 

「………仕方ない。私と幹部様の関係性は、魔法少女には理解できないものだろうから」

 

「……合理的に考えれば、幹部に対して好意的な感情を洗脳で植え付けるのは、組織にとって理にかなっている。ホワイト、この洗脳を解くには、やはり根幹から組織を潰す必要性があるのかもしれない」

 

………んまあ、理解されないよねえ。仕方のないことだと思うけどさ。

しゃーないか。とにかく、とりあえずはこの場を切り抜けることから。

 

現状、魔法少女達5人に対して、こちらの数は2。

完全に不利だ。

 

「2対5は不利すぎますね……。幹部様、いざとなれば、私の腕輪型転移魔法機を使って、師匠のアジトまで逃げます。それで大丈夫ですか?」

 

「……なるほど、ジェネシスが作っていたものですか、確かにそれを使えば、戦場からの離脱も容易でしょうね。………危なくなれば、それでお願いします。あと、厳密に言えば3対5ですよ。メェナさんがいますので……」

 

メェナ? そんな子いる?

そう思い、周囲をキョロキョロと見てみたところ……。

 

なんか、羊がいるんだけど…?

あれ、もしかして仲間? あれがメェナって子? あんな子いたっけ…?

 

「メェ……! ワタシ、ワルイヒツジジャナイデスゥ………。プリティデゼンリョウナカワイイヒツジデスゥ……」

 

「幹部様、あれ、戦力として数えて大丈夫なんですか? なんか、無害アピールして戦う意志一切なさそうなんですけど……」

 

「……みたいですねぇ……」

 

「みたいですねぇ……じゃなくてですね……。どうするんですか? この状況、どう切り抜けるんです??」

 

やっぱ腕輪型転移魔法機で逃げるのが最適なんじゃないか?

どのみち、このアジトって元はピュアのだし、最悪失っても良いような気も……。

 

「大丈夫ですよ、ルーイさん。私が何のためにキュヴァさんを襲ったのか、それには理由がありますから」

 

「へ?」

 

「………ブラックルーイの目を覚まさせる。そのために、まずは貴方を倒す! 『クイックポイズン』!!」

 

「『ギフト・イン・スピア』」

 

ホワイトが放った魔法に対し、幹部様は『ギフト・イン・スピア』という魔法で対抗する。

……けど、幹部様はそんな魔法持ってなかった。だって、その魔法は……。

 

ホワイトポイズナーのモノなんだから。

 

「なっ! どうして私の魔法を……!」

 

「キュヴァさんの中にあった“魔核”、それには、他者の魔法を模倣する、『模倣の魔』が宿っていました。となれば、その“魔核”を手に入れた私にも、他者の魔法の行使は可能というわけです」

 

「……まさか、キュヴァちゃんの…!!」

 

キューティが幹部様に対する敵意を増幅させる。

キューティって、結構キュヴァちゃんのこと好き? なんか、やけにキュヴァちゃんの肩持ってるというか、幹部様に対して、キュヴァちゃんの『模倣の魔』を奪ったな!! って詰め寄りそうなくらい、敵意剥き出しの視線を送ってるんだけど。

 

まあ、別に良いか。キュヴァちゃんが好かれるのは、そんなに悪いことでもないしね。

 

………にしても、『模倣の魔』か。確かに、それがあればある程度の数の魔法少女ともやり合える。あれ? これ案外いける?

 

「元々、キュヴァさんを襲ったのはこの“魔核”のためですからねぇ。……裏切りだとか、そういうのは正直どうでも良かったんですよ」

 

「……許せない……! そんなことのために、貴方はキュヴァちゃんを!!!!」

 

キューティは怒りのままに、幹部様へと突撃する。

……うーん、やっぱりキュヴァちゃんへの肩入れが凄いな? 友達になりたいのかな? 今度紹介しようかな? キューティちゃん良い子だし、キュヴァちゃんとも仲良くなれそうだよね。

 

「………皆、今度こそ、千夜を取り戻す。……キューティがオクトロアの足止めをしている間に、私は……あれを実行するわ。だから、協力して」

 

「……ついにやるんだね。……効果が出るかどうかは、賭けだけど……。分かった。危なくなったら、私が援護するよ」

 

「………オクトロアは、キューティとホワイトに任せよう。……私達は、ブラックルーイを……光千夜を救うための行動に注力しよう」

 

さて、キューティとホワイトがオクトロアの相手をしているわけだけども。

どうにも、他3人、シャイニング、ライオネル、スターチスは、俺の方に視線を向けていて…。

 

「……これ、私が3人とも相手しなくちゃいけないパティーン?」

 

『模倣の魔』を持つ幹部様に戦力割いてよ〜。私には1人寄越すくらいで十分なんじゃないの〜?

まあ、幹部様の負担が減るならいいか、とも思わなくもないけどさ。

 

「……行くわ」

 

「援護は任せて」

 

「危なくなったら即離脱、ね」

 

シャイニングは、ゆっくりと俺の元へと歩み寄ってくる。

何か、とっておきの魔法でもあるのだろうか。

………こちらから仕掛けるのは危険だな。とりあえず様子見を……。

 

「………ブラックルーイ。私は、貴方に伝えなきゃいけないことがある。………一度、話す機会が欲しいの。……こちらは、貴方に危害を加えない。だから、貴方にも、同じようにこちらに危害を加えないことを約束して欲しいの」

 

………ほう? 話し合いがしたいと?

…まあ、別に良いんだけど……。

ここで話し合いで時間を潰せば、幹部様の負担も減らせるしね。

 

「いいよ。話したいことがあるなら、いくらでも」

 

「……そう。なら………。私は変身を解除するわ。……貴方に、危害を加えるつもりはないから」

 

「へ?」

 

それ、大丈夫?

こっち悪の組織だよ? 『ワ・ルーイ』だよ? そんな相手に対して、変身を解除するって、無防備すぎない?

ちょ、ちょっと!

 

「流石に危な…」

 

「これが、私。魔法少女シャイニングシンガーの、正体よ」

 

シャイニングシンガーは、宣言通り変身を解除する。俺は慌てて、止めようとするが、間に合わず。

 

変身を解除して、俺の目の前に姿を現したのは……。

 

「う………そ………」

 

「………千夜」

 

俺の……私の…………光千夜の、大事な家族。

肉親にして、大好きな姉。

 

光聖歌。

 

それが、魔法少女シャイニングシンガーの、正体だった。

 

間話について

  • イコルの話(重め。暗め)
  • 湿島の話(重め。暗め)
  • キュヴァちゃんのお話とか(未定)
  • 間話登場のギャル、南根柚月の話
  • いらない。必要ない。(or本編優先)
  • その他
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