TS魔法少女は光堕ちしたい!!   作:布団から出られない

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19.5分身少女はクリスマスを楽しむ

 

 

いやー寒い季節になってきましたね。

……俺も、幹部様から与えられたなけなしの金で、どうにか1着コートを買わせて頂いて、寒さを凌いでいるわけですけれども。

 

うーん、外って寒いんだなぁ。3年くらいアジト軟禁生活で、基本体温調節は室内の温度調節でどうにかなってたから気にしたこともなかった。割と過ごしやすい環境だったんだよね、アジトも。ただ、実験とか訓練とかで、ちょっと忙しい毎日が待ってるだけで。

 

さて、そんな俺が、どうしてわざわざ寒い中、外を出歩いているのかというと……。

 

ん? 魔法少女と戦闘? いや、今休暇中だし、この前幹部君に叱られたばっかりなんで、んなことしませんよーと。

 

正解は………。

 

どぅるどぅるどぅるどぅるー! ジャーン!

2人っきりでラブラブデート! でした〜!

 

はい、というわけで、わたくし、光千夜には、彼氏ができました〜!

パチパチ〜!

 

 

……なんてことはなく。

普通に山吹さんことゆーちゃんにクリスマスデートに誘われたんで、都合よく休暇中だし是非是非と二つ返事で了承したのだ。

 

あの陽キャなゆーちゃんのことだから、クリスマスは仲良い友達なり彼氏なりと過ごすものだと思い込んでいたのだが、まさか俺をお誘い頂けるとは……!

 

友達が彼氏とデートとかで一緒に遊べなかったりとか、そんな感じなのかな?

にしても、ゆーちゃんに彼氏がいないなんて思えないけどなー。ゆーちゃん可愛いし、陽キャっぽいし、男の1人や2人くらいいてもおかしくなさそうなのに。

いや、2人いたら駄目だけども。

 

「ごめんお待たせ! 待った?」

 

息をはぁはぁと切らしながら、ゆーちゃんは俺の元へと駆けてくる。本当に急いでやってきたのか、セットしてきていたであろう髪が少し乱れているような気がした。

別に焦らなくても、俺はいくらでも待つのになー。

 

「ううん、全然。私も今来たところだから」

 

まあ、約束の時間の2時間前くらいには来てたんだけどね。待ち合わせ13:00とかだったんで。11:00くらいには準備完了してたんで、張り切って早めに出てしまったのである。というか、分身魔法デメリットなしで使えるとわかったから、普通に分身魔法使いながら身支度してたんだよね。

 

歯磨き、食事と化粧、ヘアセットで分けて、後で分身解除して融合したら、全部完了した最強千夜ちゃんが誕生したわけよ。分身便利すぎない? てか俺に都合良すぎな魔法すぎない?

 

まあ、ともかく、決してゆーちゃんと遊ぶのが楽しみすぎて2時間前から待機していた、というわけではない。予想外に身支度が早くなってしまっただけなのだ。それで2時間前に着くものなのか、とか思っちゃいけない。

 

は、張り切ってなんかないんだからね!

 

「さてと、それじゃあ……」

 

「ショッピング、だよね」

 

「うん。クリスマス仕様のショッピングモールを見て回ろうかなって思って」

 

昼間のクリスマスで何するか、特別テーマパークとかで遊びに行くわけでもないし、イルミネーションも昼間に見るようなものはそう多くはないだろう。となれば、まあ自然と買い物とか、そういう話になってくるわけだ。

 

「にしても、クリスマスかー。私彼氏とかいないから、ゆーちゃんが誘ってくれて安心したよ。おかげでクリぼっちにならずに済んだしね〜」

 

幹部君出張でいないしね。ま、師匠はアジトで滞在してるんだけどさ。あの人は慣れない業務を必死こいてこなしてる最中だから、まあ実質クリぼっちだ。

 

「え、そうなんだ。あーちゃん可愛いし、絶対モテると思うんだけどなー。あんまり身近に良い人がいない感じ?」

 

「うーん、そうだなぁ………」

 

俺のいる場所、悪の組織だからなー。良い人も何も、って感じだが。

異性と言えばクロマック様と、あと幹部君くらいかな。いや、一応他の幹部も男はいたりするんですけど、1人はクソ程気持ち悪い奴なんで論外。もう1人はよく知らないのでなんとも。他は性別すら知らないので評価不能って感じなんだよね。

 

で、クロマック様は全然働かないし、魅力的なところがあるかと言われるとうーん……。

 

まあ、良い人がいるとすれば消去法で幹部様になるかなー。仕事できるし、ちゃんと叱れるところ叱りつつフォローも入れてくれるし、何より世話してくれるからなぁ…。

 

良い人ってよりかは保護者だな。というかそもそも幹部様って人なの?

 

「まあ、異性として付き合おうとか、そういう人はいないかな……。働かない人と、セクハラ野郎と、よく知らない人と………。って感じだから」

 

「そうなんだ。なんか、周りの環境にあんまり恵まれてない感じ?」

 

「いや、そんなことないよ。私のことよく見てくれて、世話焼きで、何かするたびにアドバイスとかくれる頼りになって優しい人はいるから」

 

「なーんだ、やっぱりあーちゃんにも良い人いるんだ。変だと思ってたんだよね〜。あーちゃんならモテないわけないって」

 

「んーちょっと違うんだけどねー」

 

幹部君はそういうんじゃないんですけどね。

でもまあ、俺と幹部君の関係をどう説明しようかと言われると、ちょっと難しいんだよね。

親……と呼称するのは少し抵抗あるし、やっぱり保護者とか?

いや別に保護者ってわけでもないしな…‥。俺の管理権限は持ってるんだけども。

 

「それで……っと、どこ見て回ろうかなー。あーちゃんどこがいい?」

 

「んー………。服でも見て回る?」

 

「あー。でも寒いから試着とか面倒臭いしね〜」

 

確かに。わざわざ脱いで着直さなきゃいけないの、ちょっと面倒臭さがあるというか…。脱いで一瞬でも寒い思いをしてしまうのはちょっと億劫かもしれない。

 

「じゃあ防寒具でも見る? マフラーとか」

 

「おーいいね。それっぽい」

 

よし。パーフェクトコミュニケーションだな。

代替案の提示をきっちりして、俺とゆーちゃんは防寒具を見て回ることになった。

 

「せっかくのクリスマスなんだし、どうせならお互いに何か選んでプレゼントしない?」

 

「プレゼントかー。ゆーちゃんが喜ぶもの選べるかな…」

 

「あーちゃんがこれがいい! っていうものがあったら、それで。あーちゃんのセンスに任せるよ。良いものお願いねー」

 

「私のセンス、かー。大丈夫かなぁ」

 

俺ずっとアジトに軟禁生活だったからねー。ファッションとかに詳しいわけじゃないしなー……。

まあ、せっかくゆーちゃんが言ってくれたんだし、俺なりにゆーちゃんに似合いそうないい感じの奴探してみるとしますか。

 

俺とゆーちゃんはそれぞれのプレゼントを選ぶため、一旦別れて店内を見て回ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

防寒具は………手袋、とかかなぁ。

マフラーって人によって使ったり使わなかったりだし、いや、それでいうと手袋もなんだけどさ。

 

ポケットに手突っ込めばいいじゃんとか、そういう人もいるから、ぶっちゃけ手袋も人によるんだけどさ。

けど、ゆーちゃん本読むみたいだし、外で本読むってなった時、手袋なしだと寒かったりするかもじゃん?

まあ、そんな寒い中わざわざ外で本読まないだろうとは思うけど。

 

ともかく、俺から防寒具をプレゼントし合おうと提案しちゃったわけだし、これで全然別のモノをプレゼントしたら不自然だろう。

 

ということで、俺は手袋をゆーちゃんに渡すことに決定した。

 

ん? 金はあるのかって?

幹部君からお小遣いという形でもらったものがあるのだよ。量は多くないが、アニメや漫画は師匠が見せてくれるし、ゆーちゃんもそこまで金遣いの激しいタイプではなさそうだから、普通に今回クリスマスプレゼントという形でゆーちゃんのためにお金を使っても、今後の俺の生活にそこまで支障は出ない。

 

衣食住は組織が用意してくれるからね。食事は幹部君からだけども。

 

さて、手袋は……。

うーん、ゆーちゃん明るくて元気な感じするし、暗い感じの色よりも、明るい感じの色の方がいいよね〜。じゃあ、黄色とか、そういう暖色系の色の方がいいかな。

でもあんまりにも派手すぎるのもあれだから……。

 

「あ、これとかよさそう」

 

クリーム色をベースとして、ワンポイントに黄色い紅葉の刺繍が施された手袋が、俺の視界に入った。

ゆーちゃんらしい色が入りつつも、あまり派手すぎず、丁度いい塩梅の手袋なんじゃないだろうか。俺はそう思い、目に入った手袋を手に取り、レジへと持っていく。

 

「ありがとうございましたー」

 

うん、サイズもゆーちゃんの手にフィットしそうな、大きすぎず、小さすぎず、丁度いいくらいのものだった。

 

使ってくれるかどうかはわからないけど、いらないなら捨てるだろうし、俺としても久しぶりにできた友達なのだ。

 

「気に入ってくれるといいなー」

 

俺は先程別れたゆーちゃんの元へと向かう。

ゆーちゃんが何を買ったのかはわからない。けど、どんな些細な物でも、孤独で飢えていた俺と友達になってくれた優しい子なのだ。

 

彼女からもらうプレゼントは、大切にしたいなと考えている。

 

「ゆーちゃん、ただいま。良いもの見つかった?」

 

「うん。あーちゃんは?」

 

「こっちもバッチリ。それじゃ、お互い見せ合おっか」

 

俺とゆーちゃんは、互いに用意したプレゼントを見せ合う。

うーん、今最高に友達してる。久しぶりだなーこういうのとか。

昔も遊美ちゃんとプレゼントし合ったりしたっけ。懐かしい。もう遠い過去の記憶って感覚なんだよね、あの頃の記憶は。

 

「マフラー?」

 

「うん。あーちゃん防寒具の例えでマフラーって言ってたから、もしかして欲しいのかなって思って」

 

マフラーかー! 俺の手袋よりも多分高いと思うんだけど、貰っちゃっても良いんだろうか?

……まあ、こういうのは気持ちだもんな。次何かプレゼントする機会があったら、俺がそれ相応の物を選ぶことにしようっと。

 

「ありがと! 滅茶苦茶嬉しい! ゆーちゃんも、手袋で良かった?」

 

「うん。デザインが結構好きな感じだし、それになにより、あーちゃんからもらったプレゼントだもん。嬉しくないわけないよ」

 

よ、よかったー。

見た感じ、ゆーちゃんもちゃんと喜んでくれているみたいで…。

手袋使うタイプの子で助かった。

本当、会って日が浅いのに、こんなに仲良くしてくれるゆーちゃんには感謝だな。

 

「気に入ってくれたなら良かった。そうだ、せっかくだし、ゆーちゃんから貰ったマフラー、早速付けてみよっかな」

 

「お、いいね! 丁度今日はひんやりしてるし、私もあーちゃんから貰った手袋つけてみよっと」

 

俺とゆーちゃんは、お互いのプレゼントを身につけて、互いに見せ合う。

俺の見込み通り、手袋はゆーちゃんによく似合っていたし、ゆーちゃんの方も、俺がマフラーをつけている姿はよく似合っていると、そう言ってくれた。

 

「それじゃあ、もう少しこの辺見て回ろっか」

 

「うん、そうだね〜」

 

俺とゆーちゃんは、互いに互いのプレゼントを身につけながら、仲良くショッピングモールを見て回る。

 

久しぶりに友達と出かけるという体験をできて、この日は大満足だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま戻りましたよーっと。………はぁー! 楽しかった!」

 

ゆーちゃんほんま可愛い。マフラープレゼントしてくれて嬉しかったし、俺と仲良くしてくれてありがとうだわ。

彼氏いないの不思議〜とか思ってたけど、逆に男いたら脳破壊されちゃいそう。多分俺ゆーちゃんの彼氏に嫉妬しちゃうと思うね、うん。

 

「ふへへ〜。マフラーふかふかだなぁ……」

 

「ルーイ、おかえりなさい。帰ってくるの、やけに遅かったわね。一体何をしていたの?」

 

「あ、師匠〜。実はですね〜」

 

普通に友達と遊んでる〜とか言っちゃうと、お前何してんねん、ふざけてんのか、もう一回洗脳な! になりかねないので、あらかじめ言い訳は考えてある。

いや、言い訳というか、実際事実というか。

 

「師匠にプレゼントがあるんです」

 

「プレゼント?」

 

「はい」

 

そう、俺はあらかじめ、師匠へのプレゼントも買っておいたのだ!

もちろん、何をしていたのかと問われた時に、言い訳できるように買っておいた、というのもあるのだが、普通に師匠にはお世話になったからね。感謝の気持ちを込めて、プレゼントをゆーちゃんと一緒に選んできていたのだ。

 

「じゃじゃーん! ネックウォーマー!! 師匠、装甲で体を覆ってますけど、首元は覆っていなかったので」

 

「ふーん。私が寒がってると?」

 

「師匠の綺麗なお肌が冷えたら大変ですから! それに、師匠にはミステリアス研修でたくさんお世話になったので、お礼がしたくて」

 

「ま、まあ? 部下の思いを受け取るのも、立派な上司の勤めだし、ありがたく受け取っておくわ」

 

……この感じ、師匠喜んでくれているな?

目見ればわかるんだよね、師匠って。

ミステリアスを豪語してるけれど、師匠の人となりをある程度知ると、割とわかりやすいんだなってことがよく理解できるんだよね。

 

うーん!

今日はゆーちゃんとデート出来たし、師匠も喜んでくれた!

結構良い1日だったなー。

 

「師匠」

 

「ん?」

 

「メリークリスマス!!」

 




次回は遊美ちゃん視点のお話
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