TS魔法少女は光堕ちしたい!!   作:布団から出られない

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2章 魔法少女達は絆を紡いでいく
27悪の組織による幹部集合会議


 

 

師匠によって、アジトが破壊されました。

当然、何のお咎めもなし、というわけにはいかないわけで……。

 

悪の組織『ワ・ルーイ』では、幹部達を集めて円卓に並び立ち、アジト崩壊に関しての報告と、師匠の失態に対する糾弾を行う会議が行われようとしていた。

 

当然、俺なりに師匠を庇いはしたが、まあ、流石にあの惨状を見れば誰がやらかしたかというのは一目瞭然なわけで。

 

結局師匠が犯人であることは、すぐに幹部様にバレてしまうのでした。

 

「私に何かあったら、ルーイも道連れよ。一緒に地獄の底まで落ちてもらうわ……」

 

ぶるぶると震えながら、師匠は俺に脅しをかけてきた。要は、今回の会議で全力で庇え、さもなくばお前もろとも私は終わりになるんだぞ! ということだな。

 

まあ、最悪幹部様を頼れば、道連れにされることはないんだろうけど。

今回の件は、俺がもっとはやく敵の侵入に気付けていれば防げたことだし。

元はといえば多分俺があのメイド系魔法少女に目を付けられてしまったのが原因なわけで。

 

後から確認したら、俺の体に発信機がついておりましたからねぇ。ええ。

バレたらやばいと思ってこっそり壊しときました。発信機つけてくる魔法少女とか怖ぁ。これからは気をつけよ。

 

とにかく、俺には師匠を庇う義務があるだろう。というか、本来なら俺が責任を負わなきゃいけない案件でもあるのだ。

アジトを直接破壊したのが師匠だったから、師匠が目立って責められることになっているだけであって。

 

だからまあ、俺は俺なりに、師匠を擁護しようと思う。お世話になっていることもたくさんあるしね。

 

「さて、大体揃いましたかね。……今回皆さんにお集まり頂きましたのは、先日、我がアジトを破壊した幹部の1人、ヒンナ様に対する処遇を決めるためでございます。お忙しい中大変申し訳なく思いますが、是非ご検討頂きますようお願い申し上げます」

 

「おい、もうはじめるのかよ」

 

幹部様が、他の幹部達に声をかける。その様子に、1人の男が不満そうに声を荒げた。

赤い髪を左半分だけオールバックにした、目つきがするどく、ファッションもどこかロックさを感じさせるような男だった。

左耳にピアスをつけていて、輪っかにトゲトゲとした針のついている腕輪を身につけていて、ちょっとヤンチャな雰囲気を醸し出している。

そして、円卓に7つ用意された椅子の内の1つに座っているので、彼も幹部だ。というか、彼に関しては一度目にしたことがあるので、知り合ってはいる。

 

あ、ちなみに俺には椅子は用意されていない。まあ、幹部と同列みたいになっちゃうしね。座れないのですよ。とほほ。

 

「イグニスさん、何か問題でもあるのでしょうか?」

 

「……まだクソガキとデカブツが来てねェ。欠員がいるのにはじめようってのか?」

 

そういって赤髪幹部……イグニスは、他の座席2つに目を向ける。

……が、その席にはきっちり2人とも座っていた。

というか、7つの席全て、きっちり余すことなく埋まっている。

 

「失礼しちゃうなぁ。イグニス様には私の姿が見えないんだ? ま、節穴だもんね、仕方ないか」

 

イグニスが目を向けた2つの席のうち、片方に座っていた少女が口を挟む。

黒髪で片目が隠れていて、ヘッドホン、グレーのパーカーにフードと、どちらかというとインドアな印象を受けるが、スカートは赤色と派手目で、足には白黒のニーハイを身につけているため、ただのファッションなのかもしれない。

といった感じに、一見すると普通の少女だが、彼女の背中には黒い翼が生えていた。

 

「ンだとテメェ! 幹部でもねー奴が、その席に座んじゃねェ!」

 

「幹部ではありませんが、ワタクシどもも幹部の代打として、この席に座らせていただいています。オクトロア様にも許諾を得ていますし、何も問題はないかと」

 

イグニスが目を向けていた椅子のもう片方、少女が座っていない方に座っている、白い髭を生やした白手袋の、礼儀正しそうなお爺さんが、2人の会話に口を挟む。

 

お爺さんは、健康的に大丈夫なのか心配になるくらいには細く、それでいて、背筋はピンと伸びており、服装もタキシードと、物凄く礼儀正しい印象を受ける様相をしていた。

 

「そういうこと。私達は正当な権利を持ってこの椅子に座ってる。これで文句はない? イグニス様」

 

「……アジトが一つ潰れたっていうのに、危機感のねェ奴らだな……。チッ、仕方がねェ。オクトロア、続けろ。遮って悪かったな」

 

「構いませんよ。では、ヒンナ様の失態について、話し合いましょうか」

 

……ふむ。さっきイグニスが責めていた2人、初めて見るのだが、幹部ではないのだろうか?

幹部じゃないなら、何で俺は座れないんだ?

椅子ください。

 

「師匠、私の椅子ってないんでしょうか?」

 

「はぁ? あるわけないでしょ。代打でも何でもないし、ルーイはモルモットなんだから」

 

「師匠、ひどい…。幹部の人っていつもそうですね! 私のこと何だと思ってるんですか!」

 

「客観的な事実よ」

 

俺はヒソヒソと師匠と内緒話をする。今の師匠は、糾弾される者だし、俺は師匠の言う通り組織のモルモットなので、あんまり発言権がない。仲良く隅っこでお話ししようね…。

 

というか、俺、あんまり幹部と顔合わせたことないからなぁ。

あたりを見回しても、知ってる顔は……あるにはある、1人だけ。けど、他は知らない。

 

……うわ、手振ってきた。あいつ気持ち悪いんだよな…。

 

「先輩、一個質問なんだけどさ、ルーイちゃんの席はないの? ずっと立たされっぱなしじゃ辛いでしょ。ね、ルーイちゃん」

 

「ありませんよ。ルーイさんは参考人として一時的にここにいてもらっているだけなので。逆に、ルーイさんに座席が必要なんですか?」

 

「だって、さっきヒンナさんと内緒話してましたからね。椅子欲しいんでしょ?」

 

……何で聞こえてるんだよこいつ。

前からそうなんだよな。

幹部の内の1人、ピュア。

どこがピュアなんだと突っ込みたくなるような名前してるんだが、こいつは何故か俺に執着……というかちょっかいをかけてくる。

 

幸い、俺の管理権限は幹部様にあるので、あまり出会う機会も少ないのだが、会ったらルーイちゃん、ルーイちゃんと、しつこく付き纏ってくるのだ。

こいつに付き纏われるの、結構ストレスなんだよね。本当やめて欲しいわ。

 

「ピュア様、結構です。私は、組織のモルモットですので。モルモットに用意される椅子はございません」

 

「あー! ルーイちゃん! なんて健気なんだ! 可哀想に…! 椅子がないと辛いだろう…。俺の膝の上が空いているよ! さあおいで!」

 

「結構です。間に合ってますので」

 

お前の膝の上乗るくらいなら師匠の膝の上に乗るよ。多分重たい、邪魔、どけー!って言われるだろうけど。

 

「それで、ヒンナ様の処遇についてですが」

 

「……私は許してあげていいと思うけどねー」

 

「げっ………あいつ………」

 

幹部様の発言を機に、1人の女が声を上げる。女が発言したのを見て、何故か師匠が心底嫌そうな声を出していたのだが……。不仲なのかな?

 

「結局、あそこってオクトロアのアジトでしょ? だったら、あそこに雇ってる従業員って何の意味もないただのブラフ。オクトロアが業務を行う上では必要のないアジトだったわけじゃない? むしろ人件費や維持費の削減に繋がったわけだし、結果オーライでしょ」

 

女の顔を見ると、師匠と同じミステリアス仮面を身につけていた。

なんだ、おそろっちじゃん。仲良いのかな?

 

「ルーイ……あいつを黙らせて。あいつに助けられるのは癪なのよ…!」

 

「えぇ……せっかく助けてもらえるんだからいいじゃないですか」

 

何が不満なんだろうか。プライドが許さないとかかな?

うーん。別に幹部同士なら助け合ってもいいんじゃないかなって思うけどね。悪の組織だからそういうのないのかな?

 

「しかし、ヒンナ様のやらかしの後処理をするのは私です。その過程で、本来私が行うはずだった組織の業務も滞ることになります。……これはクロマック様の望む結果にはならないでしょう」

 

「……なるほどね。ヒンナちゃんの後始末をオクトロアがする羽目になっちゃうわけだ。………んーならさ。私がオクトロアがやるはずだった業務、やっておこうか? 私余裕あるしさー。ヒンナちゃんが許されるためならやってあげていいよ」

 

「ちょ、ルーイ、なんとかして! 本当に嫌なの! 嫌なのよ! あいつに借りができるのが!!」

 

「いや師匠、そんなこと言われても……。だってほら、私はモルモットなんだから。発言権はありませーん」

 

「ごめんってば! モルモットって言ってたこと謝るから! ね? ね?」

 

「知らんぷり〜」

 

「もーーーー!!」

 

いやだって、俺が発言したところで師匠のこと助けられそうにないんだもん。

多分割と本気で他の幹部からしたらお前モルモットだから喋んな、状態だろうしね。

ピュアとかいうやつがどう思ってるかは知らん。

 

まあ、せっかく助けてくれようとしてるんだから、助けてもらっておいたら良いんじゃないですかねって思うわけですよ。

 

「……良いんですか?」

 

「うん、いいよー。で、滞在先は私のアジトでも良い感じ?」

 

「構いませんよ。あと、ついでで申し訳ないのですが………。ルーイさんとヒンナ様も、そちらで預かって貰えないでしょうか?」

 

「……ちょ、ちょっとオクトロア! どういうこと? 私を預けるって!」

 

「ヒンナ様には今回の件について責任が生じています。ですので、それの償いとして、ジェネさんが私の代わりに担うことになった業務の手伝いを行って欲しいんですよ」

 

「冗談じゃない! よりにもよってこいつとなんて…! こいつの世話になるくらいなら、死んだほうが……! 大体! 元はといえばルーもごっ!」

 

「師匠も嬉しいですよね〜! いやーよかった! 師匠が頭に血が昇ってアジトを破壊した時はどうなることかと思ってましたけど、優しい同僚がいて助かりましたね!!」

 

師匠が余計なことを口走りそうになっていたので、俺は慌てて師匠の口を塞いだ。

ま、どっちにしろ助かるんならそれに越したことはないだろう。借りを作りたくないとか、そんなのわがままだ。

俺のぱっと見の印象でしかないが、あのジェネさん? とかいう幹部も、純粋に師匠を助けたいだけのように見えるしな。まあ、大丈夫でしょ。

 

「まあ、自業自得だな。よかったなヒンナ、ジェネシスが優しくてよォ」

 

「もごっ! もごぉ!!!」

 

「はいはい師匠、嬉しいですね〜、良かったですね〜」

 

師匠の口は封じ続けている。幹部様ならワンチャン許してくれるかもだが、他の幹部が、元凶はブラックルーイであると知ったら、俺の立場が危うくなるのでね。悪く思わないでくれよ、師匠。

 

「これで会議は終了? やっぱり幹部が直接くる必要はなかったね。代打で十分な内容だった。私がここに来ることは間違ってなかったってことで良いよね。ね、イグニス様」

 

「テメェ!」

 

「イグニス様、怒りを収めてください。会議は終了したのですから、これ以上無駄話を続ける必要もないでしょう」

 

「チッ………生意気なやつがいたもんだな……」

 

NOT幹部な2人とイグニスは相変わらず険悪な雰囲気を醸し出していたが、まあ、あの人らと今後関わることって多分ないし、光堕ちしたら殺す相手だからね。無視無視と。

 

「……それでは、皆さん解散してください。本日はお集まりいただき、ありがとうございました」

 

幹部様の言葉を皮切りに、各々が会議所を退散し出す。

 

「ルーイちゃんともっと一緒にいたかったなぁ……。先輩、ルーイちゃんだけ俺のところに貸し出しとかはダメ?」

 

「貴方は貴方の業務に専念してください、ピュアさん。それと、ルーイさんに貸し出しはありませんよ。ジェネさんには預かってもらうだけですから」

 

「つれないなぁ……先輩、わざと俺にルーイちゃん預けないようにしてるでしょ? ……はぁ……まあいいや。また会おうねルーイちゃん! 俺のこと恋しくなったら、いつでも俺が管理してるアジトに来てくれたら良いからね!」

 

セクハラ男が、俺に向かってブンブンと全力で手を振ってくる。

一応幹部という立場の相手なので、手を振り返すくらいはしてやるが、返事はしてやらない。

帰れ。光堕ちしたら1番最初にお前殺すからな。

 

「皆帰っちゃうねー。久々に会えたのに」

 

「んー! んー! もごごっ! もご!」

 

「ヒンナちゃん、そんなに私のこと嫌い? 酷いなぁ、私、ヒンナちゃんとお揃いの仮面までつけたのに……」

 

かわいそう……。師匠、せっかく仲良くしてくれようとしてるんだから、向き合ってあげようよ。

多分この人なら一緒にミステリアスムーブもしてくれるし、アニメも見てくれそうだよ?

 

「初めまして……えーと……ジェネ、様?」

 

「あー。そういえばルーイちゃんとは自己紹介してなかったね。そっかそっか」

 

目の前の幹部、ジェネさん? は、綺麗で長い黒髪に、白いメッシュを入れた髪を靡かせながら、綺麗な声で、ミステリアス仮面の奥から言葉を発する。

 

「初めまして。私は魔法少女ジェネシステネーブル。組織の幹部やってます。同じ魔法少女として、ルーイちゃんとは仲良くやっていきたいと思ってるから、これからよろしくね!」

 

「んー! んー! もごもごぉ!」

 

「………へ?」

 

ま、魔法少女…?

え、俺と同じ…?

 

……おいおい、属性被ってるじゃないか。

なんでなんで? 組織って魔法少女いなかったんじゃなかったの? いないから俺で実験してたんだよね?

というか……。

 

 

 

光堕ちのライバルが現れたんだが!?

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