TS魔法少女は光堕ちしたい!!   作:布団から出られない

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32悪役魔法少女は再び街を破壊する

 

久しぶりの破壊活動。

……長い休暇を終えて、俺はとうとう、悪の組織らしい、怪人と共に行う破壊活動へと取り掛かることができるようになった。

 

なお、師匠はやらかしの精算。ジェネちゃんは幹部君の業務請け負いで、この場にはやってきていない。まあ、ジェネちゃんはそもそも戦えないんですけどね。

 

まあとはいえ、師匠なしで魔法少女達の相手をするのって、そろそろ厳しいよね?

ということで、今回は助っ人を呼んでおります。はーい、ではではー! 助っ人のキュヴァちゃんでーす!

 

「君と私は、一応同じ立ち位置の存在になるらしいよ。同僚ってことだね。まあ、足を引っ張らないでくれたらそれでいいよ」

 

黒髪で片目が隠れていて、ヘッドホン、グレーのパーカーにフード。一見するとインドアな少女。だけど、スカートは赤色と派手派手。足には白黒のニーハイを身につけていてオシャンティ。極め付けに、生意気で上からで、淡々とした物言いをする彼女の正体は。

 

組織の幹部会議の時、幹部の代理として出席していた少女だ。

幹部のイグニスとちょっと険悪な雰囲気になっていた、あの少女だね。

 

んで、彼女が言うには、どうやら俺の立場は彼女と同一のものらしい。

 

「そうなんですか。てっきり、私の方が下っ端だと思っていましたが」

 

「モルモットとはいえ、一応は魔法少女だし、オクトロア様の直属の部下扱いだからね。私みたいな、幹部の側近的な立場と同一視されてるみたい」

 

ほーん。つまり俺は幹部君の側近みたいな扱いと?

結構地位高いんじゃない? 拉致して洗脳しただけの駒にしてはさ。

 

ま、実際俺のことを貴重な戦力とか言ってたし、地位自体は妥当なものなのかもしれないね。

ふふん、俺は幹部様の側近だぞ! ひれ伏せ凡夫ども!!

とはいいつつ、最近は師匠との行動が多かったんですけどね。側近とは。

 

「同じ魔法少女で、戦闘に参加しないジェネシステネーブル様が幹部についているのに、君が幹部じゃないのが逆に不思議だけどね。……もしかして無能だったりする?」

 

「し、失礼な! 私は有能……いえ、なんでもないです」

 

よくよく考えたら、結構失敗してきてたわ。

殺意マシマシホワイトちゃんに殺されかけるわ、それを黄色ちゃんことムーンちゃんに助けられるわ。

師匠とミステリアスムーブ勝手にして怒られたり、メイド魔法少女に正体バレして、そのせいでアジトが崩壊することになったり……。

 

うん、よくよく考えたら、俺有能でもなんでもなかったな……。

ごめん、俺、もっと組織のために頑張るよ!

光堕ちしたらどうせ壊滅させるけど、それでも何も貢献せずに終わるのは嫌だからね!

 

「ブラックルーイ………私が、私が引導を渡す」

 

怪人を暴れさせて、実際に現場にやってきたのは、いつも通りのキューティバースちゃん達……ではなくて。

 

『スターチス、敵はブラックルーイだけではありませんわ。やはりライオネルに頼った方が……』

 

「ライオネルには、できない。私じゃないと……」

 

『怪人の相手くらいはさせるべきですわ。このまま単独で挑めば、貴方は確実に負けますわよ』

 

アジトが破壊される原因になったメイド服姿の魔法少女だった。

今回の彼女の隣には、前回と違ってドイツ服姿の魔法少女はいないらしい。

 

しかし、どうしたものか。

助っ人がいるのはいいものの、これじゃミステリアスムーブができそうにない。

師匠から教わった数々のミステリアスムーブ。それをこなすことを、休暇中も夢見ていたんだけどなぁ。

 

まあ、仕方ない。変にロープレしてるところ見られて白い目向けられるのも嫌だし、ミステリアスムーブは諦めるか。キューティバースちゃん達いないしね。

 

それに、俺の本業は光堕ちだ。いや、別に業務じゃないけども。

 

ともかく、光堕ちさえできれば、後はどうでもいい。ミステリアスムーブができないのは残念だが、それもまた運命だろう。

 

「はじめまして、魔法少女。私の名前はキュヴァ。悪の組織『ワ・ルーイ』が幹部の1人で、今日お前を打ち負かす者だ。覚えておくといい」

 

「ほへ?」

 

幹部? あれ……幹部代理とか言ってなかった?

幹部会議の時だって、イグニスに幹部じゃないやつが来るなー的な感じでキレられてたし……。どういうこと?

 

「幹部……。流石に不利だね。ここで勝ちを目的にして戦うのは、合理的じゃない」

 

『やはり、ライオネルに救援を……』

 

「…仕方ない。ライオネルには怪人の相手をしてもらう。キューティバース達もそのうち来るだろうし、私はあくまで時間稼ぎ目的での戦闘を行う。レディ、サポートして」

 

『了解しましたわ』

 

メイド服の魔法少女は、妖精と会話をして、作戦を立てているみたいだった。

俺達の方も、何か相談して決めておいた方がいいかもしれない。

 

「あのーキュヴァさん。私達も何か作戦を…」

 

「ない。目の前に来た敵を叩き潰せばいいだけ。危なくなったら帰る。ただそれだけでいい」

 

「えーと…」

 

「必要のないことに思考を割く必要がある? 私達は勝つ必要性がないんだから、無駄なことはしなくていい。私、何か間違ったこと言ってる?」

 

「あ、はい」

 

な、なんだこの子。

なんか効率厨みたいなそんな感じか? うーん。これからこの子とペア組んで魔法少女達と戦わなきゃいけないのか……。

 

ちょっと面倒な気もするけど、まあなるようになるか。

 

「あ、というか、何で幹部なんて嘘を?」

 

「そっちの方が魔法少女もびびるかなって。それに、いちいち幹部の側近だとか、幹部代理だとか、説明するのが面倒くさいなーって思っただけだよ」

 

あーそんな理由。

でも確かに、幹部の代理やってるとか、幹部の側近的な存在でーすとか、そういう自己紹介をするのってなんだか面倒くさいというか、肩書きがすんなり頭に入ってこないというか。

いまいちどういう立場なんだ?って感じがすごいのよね。

そう考えれば、もはや幹部って言ってしまった方がよくね? って発想になってしまうのも、分からなくはない。

 

「相手が1人なら、怪人に任せてもいいかな。君は自由に動いてよ。私はちょっと離席。他の魔法少女が来るまでゲームしてるから」

 

「は? え、ちょ、ちょっと待ってくださいよ! それは流石にやばいんじゃ……って本当にゲームしに行くの? 待って待って……おい待てコラァ!! 仕事サボんな!! ………って……行っちゃった…」

 

げ、ゲームしに行くて……。自由すぎやしないですかね? そりゃイグニスはんもキレますわ。何であんなに突っかかってたのかよく分かった。

 

というか、ゲームしてて増援の魔法少女の存在に気付けるんですかね…?

ゲームに夢中で、気がついたら戦闘全部終わってたなんてことになったりしないもんなんですかね?

 

……まあ、いいや。変にやる気出して、魔法少女全員殺しまーすとかされてもそれはそれで困るし。血祭りにあげられる魔法少女なんて見たくないからね。魔法少女はキラキラで、輝いていて、悪を滅する正義の味方でなきゃいけないんだから。

 

勿論、俺も光堕ちしたらそうする予定。キラキラで、輝いていて、プリティーで、悪は許さない正義の魔法少女! そんな存在になれたらいいなって思ってます!

 

それに、キュヴァちゃんいないなら、ミステリアスムーブもやりたい放題だしね。

うん。そう考えたら割と悪くない気もしてきたぞ!

 

「さて、怪人を倒し終わるまで待つか、怪人を倒させずに、一緒にメイドちゃんいじめをするか…」

 

キュヴァちゃん信用するなら、怪人倒されても平気だろうけど、キュヴァちゃんゲームから抜け出してくれるか不明瞭だしなぁ。

 

キューティバースちゃん達は後から間違いなく来るだろうし、そうなると怪人なしじゃ俺は逃げることすらできない。

 

となれば…。

 

「怪人と一緒に攻めるのが正解、かな!」

 

俺は結論を出し、メイド服の魔法少女に向かって猛直進する。

久しぶりの戦闘だ。存分に暴れさせてもらう。

 

「『闇の炎』」

 

「っ……ブラックルーイ……!」

 

それに、メイド服の少女には広井愛結の正体バレへの恨みがある。

鬱憤は、ここで晴らさせてもらうぞ!

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