TS魔法少女は光堕ちしたい!!   作:布団から出られない

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4 悪役魔法少女の日常パート

 

さてさて、悪役魔法少女ロールプレイを始めたわけだが、実はですね。

光堕ちする上で、あまり悪辣になりすぎるとよろしくないのである!

 

あんなにも悪役っぽく振る舞った癖に、何を今更……、と思うかもしれないが、あれは初回だったからちょっとテンションあがっちゃっただけで……ね? 

 

ともかく、光堕ちをする際、大切なのは、その悪役が視聴者のヘイトを買いすぎていないか、という点である。

あまりにも悪辣でクズな奴が、いくら改心したといっても、クズすぎて視聴者が光堕ちを受け入れられず、むしろ悪役として華々しく散ってくれた方が良かったと感じてしまう可能性がある。

 

別に視聴者とかいないじゃん、と思うかもしれないが、俺が懸念しているのは魔法少女サイドや一般市民視点から見た俺への印象だ。

それが悪すぎると、流石に俺の光堕ちが許されないかもしれないからね。

 

だからこそ、そういう風になってしまわないよう、俺は俺自身のヘイト管理を行う必要がある。

 

そう、題して、『あの悪役娘も実は可愛いところあるんだぜ』作戦!! パチパチ〜!

 

ま、この作戦を実行するのは、正直まだはやいと思ってるんだけどね。

だから、今回はこの作戦を実行する上での布石。

あくまで2人の魔法少女には、”魔法少女ブラックルーイによく似た少女が、普通に日常を送る姿“を確認してもらうだけにとどめてもらう。

 

その少女がブラックルーイだと気付いた時に、2人は知るのだ。

あれ? ブラックルーイってそこまで悪い奴じゃないんじゃね?ってね。

 

と、いうことで、俺はあの魔法少女2人組の生活圏であろう場所で、適当にぷらぷらと散策中である。

 

この辺には店も多く並んでいるし、暇は潰せそうだ。

それに、ちょっと離れた場所に怪人を置いて、今二人組の魔法少女が退治に向かっているはずだから、怪人討伐が終われば自然とここにも立ち寄るだろう。

 

そんな彼女たちに対して、年相応の少女のように振る舞う魔法少女ブラックルーイ(によく似た少女)を見せつける!

普通の女の子と変わりないブラックルーイ(によく似た少女に見せかけた本物)の姿を見て、魔法少女達は思うのだ。

 

『あいつもああいう一面があるかもしれない……』ってね。

 

そうして、最初の最悪な印象を、少しずつ改善していく。

お互いに、相手の良いところを徐々に知っていくんだ。

 

そしたら最終的に…………。というわけだ。

 

うーむ。我ながらに完璧なプランである!

 

「あ、あの!! ちょっと良いですか!!」

 

おっ、聞き覚えのある声だ! もしかして、早速魔法少女の子が俺の存在に気づいたのかな??

まあ、本当は直接言葉を交わすんじゃなくて、あくまで俺の自然体を見せたかったんだけど……。

 

そんな風に思いながら、俺は後ろを振り返り、声をかけてきた少女の顔を拝む。

 

「え………」

 

その少女の顔には、確かに見覚えがあった。

そう、見覚えがあるのだ。

 

魔法少女なら、昨日顔合わせてるわけだし、()()()()()()()。魔法少女の顔くらい覚えてるし。

それが何を意味するか

 

つまり、俺の目の前にいたのは。

 

「あの……! もしかして、千夜ちゃん、ですか……?」

 

魔法少女ではない、一般少女。そしておそらく彼女は、俺が以前交流したことのある人物、ということになるだろう。

 

俺が拉致前に交流していた人物で、1番仲が良かったのは黄葉(きよ)遊美(ゆみ)ちゃんだ。その他の人物については、それなりに仲良くしていたが、仲の良さ的には全員同じくらい。特別仲が良いと言えるのは、本当に黄葉ちゃんだけだった。

 

だから、黄葉ちゃんでなければ、ある程度仲がよかろうが、俺からすればその他大勢になる。そして、目の前の少女は、見覚えがあるような気はするものの、遊美ではないなと感じる。

 

だって遊美、陰キャだったし。俺が声かけた理由も陰キャだったからだし。

目の前の少女は、どう見ても陽キャだ。うん、断言しよう、彼女は遊美ではない!

 

「千夜ちゃん? 誰のこと? 申し訳ないけど、分からないかな。探してるの? 良かったら手伝おうか?」

 

でだが、当然間違っても俺は『久しぶり〜! 元気してた〜?』なんてお気楽に接してはいけない。

だって俺、世間的には行方不明だぜ? 普通に挨拶しちゃったらさ、こんなところで何しとん?ってなるでしょ?

 

それに、クロマック君達は俺のことを洗脳できているって勘違いされてらっしゃるのだ。クロマック君達のそういうところは、馬鹿で哀れで愚かで可愛いと思うが、ここで俺が光千夜であると言ってしまえば、洗脳ができていなかった、もしくは洗脳が解けた、とクロマック君達にバレてしまう可能性がある。

そうなりゃ今度は俺が馬鹿で哀れで愚かになってしまう。あ、可愛いのは元々ね。

 

「い、いや。何でもない。その、ごめんね? 貴方が、私の昔の友達に良く似ていたから…」

 

「そうなんだ? にしても、私に似てる子か〜。ところで、貴方はここで何してるの?」

 

「え、私は……その……。貴方の方こそ、女の子1人でぶらぶらと……危ないよ?」

 

目の前の少女は、俺の問いには答えられないらしい。ここで何してるのかって質問を聞いた途端、目が泳ぎだして、明らかに話題を逸らそうとしていた。

 

うーん。なーんか隠し事してんな?

まあ、いいか。女の子の秘密は、そう簡単に明かすもんじゃない。俺は常に紳士だからね。今は美少女だけど。

 

「うーん。まあ、本当はもう1人いるんだけど、ちょっと今立て込んでるみたいで。仕方なく1人でいるって感じかな」

 

嘘は言ってないんだよね。ぶっちゃけ。

 

「そうなんだ。あ、それでいうと、私も、本当は3人でここに来るはずだったんだけど……その、他の2人が立て込んでて……」

 

お? なんだ? お前は友達1人だけど、私は友達2人いますってか? 俺だって本当は3人でここに来るはずだったって言えなくもないぞ? うん。

さらっとマウント取られてるのか?

 

…なわけないよな。こんな子がそんなの考えるわけない。というかこういう思考に至ってる俺がやばいわ。

 

さて、どうするか。

せっかくだし、この子と交流してみる?

 

俺、今のところ光堕ちの完璧なプランが決まってるってわけでもないんだよね。

だから、何の力も持たない一般市民な少女との交流を経て、彼女を守りたい、とかそういう思いが芽生えて光堕ち、パターンもまあなくはないかなって考えてるわけよ。

 

そういう意味で、今彼女と一緒に過ごしてみるというのも悪くないかなって。

だってちょうど彼女、友達が来なくて1人ぼっちになってるみたいだし。

少なくとも友達が来るまでは構ってくれるだろうさ。

 

「その2人が来るまで、少し一緒にいない?」

 

「へ?」

 

「ほら、女の子1人だと危険なんでしょ? だったら、2人ならどうかなって」

 

「うん。確かに、ぼっち同士だもんね…! 賛成! 私達、一緒に行動しよう!」

 

ぼっちとは心外な。

俺は別に今だってぼっちじゃないぞ。いつでもこの手から妖魔達を呼び出すことができるのだからね。

 

まあ、そんなことしたらここら一帯騒ぎになっちゃうし、今魔法少女2人組は別件を対処しているはずだから、妖魔君達の出番は残念ながら用意できそうにないんだけどね。

 

「それで、えーと…。名前、聞いてもいい?」

 

「名前…?」

 

「うん。私達、まだ自己紹介してないでしょ?」

 

「あー、私の名前はひ……」

 

危な。勢いで光千夜って答えそうになった。それしたら駄目なんだってば。馬鹿か。

 

それにしても名前、名前か……。

どうしようか。俺は光千夜の名を名乗るわけにはいかない。

 

「ひ…?」

 

…ひ、は聞き取られていたらしい。

どうしようか、光……だと感づかれる可能性がある。

かといって、パッと思いつく名前は……。

 

「広井。私の名前は広井だよ。よろしく」

 

あったわ。

何なら光千夜よりも使ってる期間長い名前だったわ。

 

そうだわ。俺前世広井じゃん。

よかったー。よくリカバリーできたな。いや〜前世の名前が広井で良かったぜ。

流石に広井大介ってゴリゴリ男の名前答えるわけにはいかないから、名字しか答えてないけど、名前どうしよ?

 

どうせなら前世の名前活用したいよな。

 

とりあえずローマ字表記してDaisuke……と書くとなんだか踊りたくなってしまうが、そうだな。

 

aiで愛。無難すぎるか?

uでユー→ユウ。これひねりすぎ?

じゃあSauki→さユーき→さゆきとか?

Saeki→佐伯。名字やんけ。

 

いっそのこと広井・D・佐伯とか?

ないわ。

 

「私は山吹って言います! よろしくね!」

 

おっ? なんか名字だけで許された?

じゃあ、俺はただの広井として振る舞うとするか。

auでアユとかもいいかなって思ってたんだけど、まあいいや。

 

山吹……山吹………。

うーん? そんな名前の友達いたっけな?

マジで記憶にない。絡んだことある子なら本当に申し訳ないんだけど……。

 

まあ、いいか。

どうせ向こうも俺のこと千夜だと思ってないんだし。

 

今日初めましてで、今から仲良くなる子なんだと、そう思っておけばいい。

 

……2人の魔法少女は、まだ怪人と戦闘中っぽいな。

無理もない。今回は、ただ怪人を用意しただけじゃないというか。

 

まあいいか。

2人の魔法少女がここに来たら、多分俺も分かるだろうし。

その時に、その2人に見せつけるように山吹ちゃんと仲良くしている姿を見せればいい。

そうすれば、俺の『あの悪役娘も実は可愛いところあるんだぜ』作戦は成功するはずだ。

 

着実に光堕ちへの道を歩めているな!

くくく……光堕ちする時が楽しみだ。

 

 

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