TS魔法少女は光堕ちしたい!!   作:布団から出られない

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53悪役魔法少女はチャートを立てる

 

 

怪人始末して、あとはまあピュアのこと裏切るだけだなーとか呑気に考えてたら、まさかピュアがあんなデカブツ連れて来てるとは思わなかった。

しかも幹部らしいじゃん? 裏切るなんて無理無理。裏切ったらその瞬間あのトーレストとかいう巨人に潰されてジエンドですよ。

 

小心者の俺には荷が重いってわけなんです。

怪人に関してはまあスターチススクラッチが倒したってことにしときますか。幹部君にバレたら大変だからね。

 

そして、ピュアのこと裏切り大作戦は、残念ながらおじゃんになると。

そういうわけで、仕方なく俺は当初の裏切りムーブから、いつも通りの悪役ムーブに切り替えざるを得ないわけなんですけど…。

 

会話聞く感じ、もしかして全員に俺が光千夜ってことバレてる感じ?

多分キューティバースちゃん達がスターチススクラッチにも共有してるだろうし、まあそんな感じしますね。

 

うーん、じゃあ広井愛結の方どうしよ。本当にゆーちゃんと遊ぶためだけの存在になりつつあるんだけど……。

 

まあいいや。後で考えよう。ちゃんとチャート立てるって言いましたけども、世の中そんな上手くいかないんよ。何が起こるかわからんし、むしろアドリブ力こそが大事なんじゃないかって思うわけです。今みたいに、ピュアがデカブツ連れて来て裏切れなくなったりとかね。

 

さて、今大事なのは、戦況の把握だ。今、魔法少女は3人いる。けど、増援が来るかどうかは不明。対して、幹部は2人。戦力差的には、間違いなく組織側が有利だ。

だからまあ、俺は魔法少女達があまりにも不利になってしまわないよう、手加減なり何なりをする必要が生じてくる。

 

そんで、戦況についてだけど。

キューティバースちゃんはピュアの方に駆けていった。どうやら、俺が実験されてたことに憤りを感じて突っ込んでいったらしい。もう俺が被害者だって認識してるらしい。普通に悪意を持って組織に協力してる一般魔法少女だという線はまだ残ってると思うんだけどなぁ。

 

そして、スターチススクラッチはデカブツを止めに入ったらしい。まあ、あんなの放っておけないしね。目立つし。

 

そして、俺の目の前に残ったのは……。

魔法少女ホワイトポイズナー。

以前まで俺のことを全力で殺しにかかっていた彼女だが、今の彼女からは、俺に対する殺気を感じられない。

多分……というか十中八九、俺のことをキューティバースちゃんから聞いたんだろう。

 

ふむ、やっぱり洗脳被害者路線で光堕ちするのが丸いんだろうか。

 

 

「ブラックルーイ……話がある」

 

「今更話し合い? おかしいなぁ? 前は本気で殺そうとしてかかって来てたのに」

 

「っ……それ……は……」

 

ホワイトポイズナー…ホワイトは顔を伏せる。

俺のことを実験の被害者だと思って、俺を殺そうとして来たことに罪悪感でも持ってしまったのだろうか。

 

まあ、実際殺されかけた時は本気でびびってたからね。あの時のことを詫びろ!とまでは思わないが、多少罪悪感を覚えられてもまあこっちも怖い思いしたしおあいこかなって気持ちがないまでもない。

 

けどもまあ。

ホワイトって多分、キューティバースみたいなタイプじゃないと思うんだよ。

キューティバースは、どれだけ攻めようと、何度でも立ち上がってくる感じで…多分メンタル強いんだろうなぁって感じするけど、ホワイトはミステリアスムーブした時に俺にびびっちゃってたし。

 

そうだな。それなら……。

 

「別に間違った行動はしてないと思うよ。だって実際、街を破壊して、そのことに何の罪悪感も抱かない悪党なんだから、私は」

 

「………けど……ブラックルーイは……組織にやらされてるだけ。本当は、組織の被害者で……」

 

ふむ。

魔法少女は良い子ちゃんが多いのかな。

どこまでいっても、俺が元々善性の持ち主だったと、そう思ってくれているらしい。

実際はただの小心者だけどね。

 

善の心は持ってるかどうかわからんし、人によく思われたいと思って善行をすることはあっても、それまでだと思うし。

 

俺は魔法少女達みたいに、キラキラしてるわけじゃない。

まあ、だからこそ光堕ちロープレしたいなぁってなってるんだけどね。

 

話が逸れたが、とにかく。

俺が被害者だと思っているから、ホワイトは今心を痛めてるんだろう。

彼女は、人質にしたり、ミステリアスムーブで虐めたりと、ちょっと酷いことし過ぎて来てるし。

これ以上虐めるのも酷かなって思うんだ。だから……。

 

「私が被害者っていうのは、残念だけど間違いだよ。希望的観測ご苦労様。私は、自分の意思で街の破壊を行っているし、自分の意思で組織に従っている。案外組織で過ごすのも悪くないしね。日々楽しくて充実してるよ。けど、それが世間的に良くないことだってこともわかってる。捕まえられたってしょーがないってね。だからまあ、君は間違ってないと思うよ。むしろ正しい判断だよ」

 

「それは、違う……そう思うのは組織に洗脳されてるから……」

 

俺が被害者だって、そう認識してもらうのは、やめていただこう。

洗脳被害者路線の方が簡単に光堕ちできそうだし、受け入れてくれそうだけど。

 

それでキューティバースちゃん達が心を痛めてしまうのは、何だか可哀想っていうか…。

いやじゃあ最初から光堕ちしとけって話なんですけどね。

けど俺は俺の欲望を止められないんじゃ! 最高のタイミングで光堕ちしたいんだよぉぉぉ!

 

まあ、ともかく。

俺の今後の光堕ちプランは、こうだ。

性根の腐ったクズで、自分の意思で組織に加担するヤベー奴だったブラックルーイ。

しかし、キューティバースちゃん達のキラキラに触れることで、次第に正義の魔法少女に憧れを抱くように。

 

組織に対して疑問を持ち出し、自分が楽しいと感じていた街の破壊も、いつしか退屈になっていく。

そして、思い出すのだ。

姉と過ごしていた日々。その時は、充実していたこと。

街の破壊なんて他人に迷惑しかかけないような趣味は、持っていなかったこと。

 

そして、気付く。

自分も本当は、街を守る魔法少女になりたかったんだと。

どこかでボタンをかけ間違えて、街の破壊とかいう行動をしてしまうほどにグレていただけなんだと。

 

その証拠に、街の破壊を行う上で、死人は出して来なかった。そう、ブラックルーイは、無意識のうちに、死人が出ないように怪人を誘導していたのである!

 

そのことに気付いたブラックルーイは、キューティバースの手を取る。そして、一緒に戦ってくれと、そう告げてくるキューティバースに、ブラックルーイは頷きを返して……。

 

ふひ………ふへへへへ……。いいね、クズが浄化されて正義の魔法少女になるんだ。どっちかっていうと、不良少女の更生かな?

こういうの良いよね、悪役だった奴が、光堕ちして、自分の行動を反省し、今度は味方として活躍するって展開。

 

これなら、俺が被害者だって事実で必要以上にキューティバースちゃん達が悩む必要も無くなるし、俺は最高の光堕ちができるし。うん、我ながら完璧なプランでは?

 

って、しまった。思わずトリップしてしまっていた。

光堕ちできることを考えたら、どうしても思考がね。

 

もしかしてホワイトポイズナーって何か喋ってた? もし喋ってたなら無視してごめんなさいだな。

 

「聞いてなかったけど、何か話した?」

 

「…………何も。けど、分かった。貴方は、組織にいたことで、悪辣な”魔女“にされてしまった。変えられてしまった。……だったら、私が……私が本当の貴方を取り戻す」

 

お? まだ好意的に解釈してくれてる? これはあれだな。”お前グレちゃってるけど、そういう悪い奴らと連んでるからグレてるだけやぞ! 私が更生したる!“って感じだな。まあ、少なくとも被害者って認識は払拭できたんじゃないだろうか?

流石に拉致洗脳されたとかは分からないでしょ。証拠もないだろうし。

だって、洗脳映像は師匠が消し炭にしてもう残ってないはずだからね。

 

拉致して一緒に過ごすうちに悪い思考に迎合しちゃったって風に捉えられちゃう可能性はあるけど、その場合でも不良少女更生光堕ち路線に狂いはないし。

 

「力っていうのはさ、守るよりも壊すために使う方が、楽しいんだよ。だから……」

 

俺は周囲を見渡す。

先程も述べたが、俺は魔法少女達があまりにも不利になってしまわないように、手加減をする必要が……。

 

「……? どうしたの? 何か……」

 

……俺が見たのは…。

 

血だらけの、魔法少女スターチススクラッチ。そして、それを守ろうと、魔法を繰り出して応戦するキューティバースの姿だ。

 

……キラキラしている魔法少女が、血みどろに塗れて戦っている。

それくらいに、街を守ろうと必死なのは、素晴らしいと思うし、尊敬する。けど、俺はそんなに魔法少女に傷ついて欲しいわけじゃないし、何より……。

 

 

あのまま行くと、スターチススクラッチは死ぬ。

 

………キューティバースも、スターチススクラッチを守りながら戦っているせいで、あちこちに傷を負っていて、スターチススクラッチほどでないにしろ、その見た目は痛々しいものになっていた。

 

確かに俺は、光堕ちしたい。

けど、その過程で、魔法少女が死んでしまったり、一般人が犠牲になるような展開は、望んでいない。

屍の上を踏み越えた先の光堕ちなんて、何も尊くない。

犠牲の上に欲望を満たしたって、何も嬉しくない。

 

そんなことをするくらいなら、俺は……。

 

「仕方ない……」

 

「ブラックルーイ、何を…?」

 

俺はキューティバースちゃん達の元へ駆け寄る。

 

どうせ理性を失った幹部なんだ。

こいつのことを裏切ったって、組織への裏切りにはならないだろう。

 

何より、元からピュアのことは裏切るつもりだったんだ。当初に予定通り、俺は裏切り大作戦を実行する!

チャート通りだ! やっぱり、チャートに沿って行動するのが1番だ!

 

そう思って、俺は幹部トーレストへと突撃した。

 

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