TS魔法少女は光堕ちしたい!!   作:布団から出られない

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3章 魔法少女シスターズは帰還する
56合理少女は攫われる


 

トーレストの体は、完全に崩れ去っている。誰が見ても、トーレストがその命を散らしたということは明白だった。

 

……トーレストは倒した。これで、ピュアの計画は崩せた………とはいっても、ピュア自身もトーレストを倒すことを別段拒否していたわけじゃあないんだけども。

 

「倒した……のかな……」

 

「……倒したんじゃない。安らかな眠りを与えた。それでいいと思う」

 

「…ホワイト…」

 

「私は、あんな奴らに同情する必要はないと思ってる。けど、それじゃキューティの気が済まないだろうから。だから私は、安らかな眠りを与えたんだって、そう思うことにする」

 

「…………うん。ありがとう、ホワイト」

 

あああああああ!!!!

なんだそれ!! 尊い尊い尊い!!!

いい関係じゃんキューティバースとホワイトポイズナー!! まさに仲間! 2人の絆が垣間見えるよ!

 

ふう。落ち着け俺。光堕ちもまだなんだ。この程度で尊みを感じていては、光堕ちした後の俺はどうなる?

今のうちに耐性をつけておくんだ! じゃないと、多分光堕ちした時にまた尊死してしまうことになるだろうから。

 

……よし、落ち着いた。

ふう……。

 

しかし、まさか初めての幹部撃破が、面識の一切ない操り人形状態の彼になるとは思わなかったし、それが光堕ち前に共闘する展開での討伐になるとは全く予想もしていなかった。

 

けどまあ、これで”ブラックルーイも案外悪じゃないのかも?“疑惑をキューティバース達に持たせることはできただろう。

それができただけでも、収穫はあったというものだ。

 

さて、しかしこれからどうするか。

魔法少女達に手を貸せたのは、“トーレストが暴走するとこちら側も困るから”という言い分を通すことができたからだ。けど、トーレストを討伐した今、魔法少女達に加担する理由は何もない。

 

かといって、スターチススクラッチは重傷だし、キューティバースも負傷してる。無傷なのはホワイトポイズナーのみ。この状態で、戦闘を続行するのは厳しいものがあるだろう。

とすれば……。

 

「ピュア様、撤退を…………あれ……」

 

俺は一応は幹部であるピュアに、戦線からの離脱を提案しようと、彼に話しかけようとした……のだが……。

 

彼の姿が、どこにも見当たらない。

それどころか……。

 

「……あ……れ……。ホワイト、スターチスがどこに行ったか、知らない? 酷い怪我だったし、すぐに病院に連れて行かないとって思ってたんだけど……」

 

「私は知らない…。キューティのところへ行くまでは、ブラックルーイと戦おうとしてたから」

 

スターチススクラッチの姿も、どうやら見当たらないようだった。

……スターチススクラッチは、とても動けるような状態ではなかった。彼女が自分の足で、どこかへ移動したとは考えられない…。つまり……。

 

『ピュアの仕業クルね』

 

「どういうこと?」

 

『クーはよく知らないクル。けど、この場にいないのはピュアとスターチスのみ、導かれる結論は、ピュアがスターチスを連れ去った。それだけクル』

 

「そんな……で、でも! ピュアの様子は、キュートが……」

 

『……ご、ごめんっきゅ。……ブラックルーイの動向が気になって、ピュアの様子、ちゃんと見れてなかったっきゅ……』

 

「そんな……」

 

つまり……俺やキューティバースがトーレストの対処に回っている間に、ピュアがスターチスを拉致したと?

何のために?

魔法少女の戦力を削るためだけなら、スターチスにトドメをさせばいい。わざわざ連れ去った理由は……。

 

「……う、そだ……。そんな……だめ……私は……また、被害者を……」

 

「ホワイト…?」

 

「また……あの触手の被害者が出る……また、あいつにやられる…! もう2度と出さないって誓ったのに……! 私は……私は……!!」

 

ホワイトポイズナーの顔が、どんどん青ざめて行く。体は小刻みに震え、体中から汗を垂れ流して、目には涙を浮かべながら。

 

……ああ、そうだ。組織が魔法少女を拉致する理由と言ったら、一つしかない。

それは……。

 

俺みたいに、悪の魔法少女としてこき使うため、だ。

 

『私の………せいですわ……』

 

「レディ?」

 

『私が……1番に……スターチスのことを、考えてあげるべきでしたの……だというのに、私は……大した力もない……癖に……戦うことを選んで………私が………私がちゃんと……見ていれば…!』

 

「そんなことないよ! レディが一緒に戦ってくれるって言ってくれた時、私、心強かったんだから! だから……悪いのは私だよ…。私があの時、ピュアを縛り付けなかったから…。とにかく、反省会はあと! はやくスターチスを…!」

 

『いいえ……違いますわ……結局私は役立たずでしたの!! っ…………私が……スターチスのそばに……いてあげるべきでしたの……私が………私が……余計な真似を………したせいで………』

 

『その通りクル。パートナーが危篤状態にあるのに、それを放って戦闘に向かうなど、パートナー失格クル。他の魔法少女がどうなろうと、自分が契約した魔法少女だけは幸せにする。それが正しい妖精の形クル』

 

「クール! そんな言い方…」

 

『何か間違ったことを言っているクル? クーは正しいことしか言っていないクル』

 

『け、けど、キューがピュアのことを見張っていなかったのにも責任が……』

 

『それもそうクル。お前も大概クル。パートナーにも寄り添えず、幹部の見張りもろくにできない。何しに来たクル? 役立たずの能無し』

 

「クール、誰が悪いとか、そんな話をしてる場合じゃないよ。はやくスターチスを助けに行かないと!」

 

『魔力が枯渇している今、助けに行くのはミイラ取りがミイラになるだけクル。意味がない。レディとキュートが無能で役立たずだった、そのせいで1人の少女が犠牲になった。それだけの話クル。クーなら、ホワイトのことを絶対優先するし、ホワイト以外を見捨てても、ホワイトだけは助かるように動くクル。それができない時点で、お前達は妖精失格クル』

 

魔法少女達と、その契約妖精達からは、後悔の声と、責任の所在をめぐる声が上がる。

幹部を倒した後だというのにも関わらず、空気はお通夜だ。

 

おいおい、これじゃ俺の共闘ムーブが台無しじゃないか。それに、魔法少女にはキラキラしてて欲しいんだ。決してその顔を曇らせて欲しいわけじゃないんだ。太陽みたいに明るく、それでいて可愛くて可憐でいて欲しい。

 

けど、今のままじゃ、キラキラな魔法少女は、とても見れそうにない。

 

うーん……。

 

洗脳装置は壊してある……。だから、俺みたいに洗脳されて従わされるってパターンはあり得ないだろう。

けど……脅されて、拷問されて、無理矢理……とか、そういうのはあり得る。

 

最悪の場合…。

実験サンプルとして、使い潰すだけ使い潰されて、その命が尽きるまで、解放されないってパターンだ。

 

やだなぁそれ。街を守るために頑張って戦って、ボロボロになったのに、その結末が組織に使い潰されるなんて、胸糞悪すぎて無理だ。

 

……それに、仮に使い潰されないにしても、俺と同じ悪の魔法少女なんてごめんだ。

俺は1人で光堕ちしたい。俺以外に光堕ちキャラは必要ないのだ。

 

最高の光堕ちのためには、焼き直し展開は必要ないのだ。

 

ということで、スターチススクラッチの救出には、俺が向かうこととしよう。

なあに。適当に理由つけて解放してやれば良いだけのこと。何たって俺はピュアのアジトを知ってるし、一回訪れてもいるんだからな!

 

それに、気持ち悪いのであんまり意識したくはないが、ピュアは俺に好意を持っている。

俺が従順に振る舞って、魔法少女捕まえたのー? 見せて見せてー? なんて純真無垢なロリムーブでもかませば、不本意だけど、ピュアは俺のためにスターチスの拘束場所まで案内してくれることだろう。

 

よし、そうと決まれば…。

 

「ブラックルーイ…?」

 

「トーレストを倒した時点で、貴方達との共闘は終わり。私にスターチススクラッチを救う義務もない。だから……これでおしまい。じゃあね」

 

「待って!!」

 

叫ぶキューティバースを無視して、俺は腕輪型転移魔法機を起動する。

まずはジェネちゃんのアジトに帰る。そんでそっから、ピュアのアジトへと向かって、スターチスを救出する。

 

ま、なるようになるさ。

 

何たって俺は、光堕ちが大好きなんだから。

光堕ちする時に、そこに光がなかったら、堕ちようにも堕ちれない。

俺が安心して光堕ちするためにも、魔法少女達の不幸な展開は、俺が全部ぶっ潰す。

 

全ては最高の光堕ちのために。

いざ、れっつらごー!

 

 




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