TS魔法少女は光堕ちしたい!!   作:布団から出られない

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69幹部な叔母は勘違いを貫く

 

 

んあ?

 

「ルーイ、目を覚ましていいよ。暗示はそのままに、催眠状態だけ解除」

 

「ひょえ?」

 

あれ? 俺何してたんだっけ?

確か、『るいるい』のスマホで、ジェネちゃんが電話をかけてきて……。

 

それで、分身のことを隠すために、どうにかジェネちゃんを納得させようと、偽証を行おうとして……。

 

その後に、キュヴァちゃんが来たんだよな。

それで、キュヴァちゃんから逃げようとして…。

 

「……それで、どういうこと? この子、ルーイにそっくりなんだけど?」

 

……捕まった…のか?

結局俺はキュヴァちゃんから逃げきれずに、そのままアジトまで連行されてしまった、ということなのだろうか。

 

みれば、俺は椅子に座らされ、手足は椅子に拘束されて身動きが取れない状態になっていた。

 

「……限りなくルーイちゃんに容姿を似せた全くの別人……っていうのも考えたんだけど、だとしたら誰が何の目的で…?」

 

「オクトロアが何かやってるんじゃないの? あんたが邪魔だから消してやろうとか、そう思って、ルーイを装った何者かに、ジェネシステネーブルを始末するように仕向けていた、とかね」

 

……俺の存在は、師匠やジェネちゃんに大きな混乱を与えていたらしい。

キュヴァちゃんの方も、俺や師匠、ジェネちゃん……そして、もう1人の俺の方へ順々に顔を見つめながら、困惑した表情をしている様子だった。

 

そして……何かめっちゃ怪しまれてるっぽいです。

 

「オクトロアが私を? ……ありえないかな。オクトロアは確かに私を危険視こそしているけど、同時に利用価値もあるって考えてるはずだよ。だから、私を始末する、なんて選択を取ることはないと思う。それに、私の監視をしたいなら、ヒンナちゃんを通してすればいいだけの話だからね」

 

「じゃあ、誰が…?」

 

「……それは直接本人に聞いてみれば分かることだよ。まあ、ある程度予測は立ててるけどね」

 

そう言って俺の顔を見つめ出したジェネちゃんの表情は、普段の俺に対してむけているような、穏やかなものではなくて…。

 

「それで、君は何者なのかな? 誰の差金で、何の為にルーイちゃんの姿を装っているのか。教えてもらえないかな?」

 

冷ややかな視線と、低く威圧するような声。

その様子は、まさに悪役に相応しいくらいに恐ろしくて…。

 

「ぶ、分身です……」

 

「は?」

 

「わ、私は分身ですぅ……」

 

隠し通そうと思っていた分身魔法のことを、あっさりとゲロってしまうくらいには、俺は目の前のジェネちゃんの様子にビビっていた。

 

あれだ、普段温厚な人ほど、キレると怖いってやつ。あれを今まさに体感しているわけです。

 

「……分身?」

 

「はひ……。ピュア様のアジトに訪れた時に、魔法で分身しておいたんです。ちょっとやりたいことがあったので」

 

「やりたいこと? ……抽象的な言葉はやめてくれないかな? はっきり言ってもらわないと、納得できないから」

 

「と、友達と遊ぼうと思ってて!」

 

正直に白状したはいいものの、それでもまだジェネちゃんの機嫌はいつものそれではなく。

俺を責め立てるような、敵視しているような、そんな様子の態度だった。

 

「………と、友達…? ……とにかく、キュヴァちゃん、どう?」

 

「模倣してみたけど……。分身魔法は本当っぽい、けど、この魔法は……」

 

「じゃあ、本当に……?」

 

「そ、そうなんです。けど、友達と遊びに行く為にそんなことしてるって知られたら、組織にどう思われるかって思うと、怖くて……」

 

ジェネちゃんは姪である俺のことをそれなりに大事にしているはず…。だから、こういう路線で攻めれば、師匠はともかくジェネちゃんは俺を擁護してくれるはず、そんな風に思って、俺はジェネちゃんに話しかけたのだが、俺の発言を特に聞き入れるつもりはなかったらしく、普通にスルーされました。泣いた。

 

「キュヴァがグルの可能性があるわ。信用できない。今この場でその分身魔法ってのを使ってみなさいよ」

 

「それは違う、と思う。……キュヴァちゃんにこの子を捕まえるように指示を出したのは私だし。まあ、確認しておくに越したことはないかな。キュヴァちゃん、お願いできる?」

 

「………確認、なんだけど………」

 

「? どうしたの?」

 

「……それは、私が死ぬことになる場合でも、実行しなければいけない命令ですか…?」

 

死ぬ。キュヴァちゃんのその言葉に、場の空気が凍る。

 

「……どういう、こと?」

 

「……今私が模倣したこの分身魔法。確かに、分身することは可能。だけど、もし使えば……命の保証はできない。……私でも、この魔法を使って無事で済むかどうかは、分からない」

 

………んえ?

分身魔法って、そんな命の危険が生じるような魔法なんですか!?

 

いや、その兆候は確かにあったような気もするけど、何だかんだで大丈夫だったから何とも思ってなかったぜ。

いやまあ魔力増強剤があるし? 多分デメリット帳消しにできてるだろうからまあ。

 

大丈夫っしょ。

 

「………ルーイが分身魔法を使っているのは、事実だと思う。実際、私が模倣できたことがそれを証明している」

 

「……じゃあ、何? ルーイちゃんは、生命に危険が生じる可能性のある分身魔法を、友達と遊びたいからって理由だけで使ったっていうの?」

 

「え、まあ、はい。そうなりますね」

 

「………ありえない」

 

あ、ありえない……ですか。

 

も、もしかしてドン引きされてる?

いや、だってしょうがなくないですか? 命に危険が迫るような魔法だなんて聞いてないもん。説明書ついてなかったもん。

 

「……やっぱり、おかしいよ。冷静に考えて、命の危険が迫ってるのに分身魔法を使うなんて、おかしい」

 

「でも、ルーイが分身魔法を使ってるのは、私が証明してる」

 

「じゃあやっぱりキュヴァもグルなんじゃないの? そもそも、キュヴァの素性もよくわからないのよ。オクトロアやあんたは知ってるんでしょうけど、私達他の幹部からしたら、キュヴァの存在は不可解でしかないし」

 

「……いや、違うよ。キュヴァちゃんが言ってることは、正しい。けど、ルーイちゃんが分身魔法を使った理由、それが、根本的に違ったら?」

 

なんか、俺が友達と遊ぶために分身使ったこと全否定されてるんですが…。

え、別に良くないですか? 何かやらなきゃいけないことあるけど、でもそれはそれとして遊びたい気持ちもあるっていうのはそんなにおかしいことなんですか?

 

というか、俺の場合そもそもゆーちゃんが元気なさそうだったし、そんなゆーちゃんをいつでも元気付けれるように、24時間常に連絡が取れる体制を取りたいがゆえの分身魔法であって、決して遊ぶためだけのものでもないというか。

 

「じゃあ、何の為に…」

 

「……全部繋がったよ。……ヒンナちゃん、ルーイちゃんは、組織のために、私達幹部の命令には逆らえないように洗脳されてたよね?」

 

「まあ、そうなんじゃない? 私は実際にルーイの洗脳に立ち会ったわけじゃないから、詳しくは知らないけど」

 

「おかしいと思ってたんだ。今回、ピュアが襲撃作戦を立てていた件。そして、その作戦にルーイちゃんも組み込んでいたことも」

 

「ピュア? どうして急にピュアが出てくるのよ」

 

「……ピュアは最初から知ってたんだよ、ルーイちゃんの分身魔法の存在を」

 

な、な、なんだってー!

 

まあ、ピュアが俺の分身魔法を知ってたら、それを取引材料に俺を脅して好き放題やるんじゃないかって気もするから、多分違うと思う。へ? ピュアへのイメージ悪すぎだろって? 実際セクハラ野郎だしいいんだよ。

 

「……まさか、ピュアがルーイに命令して、分身魔法を使わせたって言うの?」

 

「そうとしか考えられない。そして、これはピュアの罠だったんだよ。……ルーイちゃんは、一度洗脳装置にかかってる。だから、再洗脳する場合、脳に過度な負担をかけすぎると、1回目の洗脳で負ったダメージと、再洗脳の際に負う脳へのダメージで、ルーイちゃんが廃人化する危険があったんだよ」

 

そうなの?

あの洗脳って、俺の脳にダメージ与えてたんだ……。でも実際どうなんだろ?

こうして俺はピンピンしてるわけだし、特に何の異常もないんだけど…。

 

「じゃあ、ルーイのことを洗脳しようとすると、ルーイの廃人化のリスクを考えなくちゃいけないってことになるわね…。もしかして……」

 

「ルーイちゃんを分身させれば、ルーイちゃんを洗脳するチャンスが2回できることになる。それで、ピュアは片方のルーイちゃんだけ洗脳して、成功したから、もう片方も洗脳しようと…」

 

………というか、洗脳装置って壊れたんじゃなかったっけ?

俺の知らん間に修理されてた?

いやでも師匠がアジト破壊した時に洗脳装置もともに破壊されたはずなんだが。

 

もしかして、ピュアが持ってるの?

 

………もう1台あったのか。

 

「その推理は矛盾しています、ジェネシス様。もし、ルーイが廃人化するリスクを軽減するために分身魔法を使わせたのなら、何故分身魔法を使わせることによって生じる命の危険には目を向けないのか、それが説明できない」

 

「それは違うよ。……ルーイちゃんが仮に分身魔法の行使で死亡した場合、その責任は誰が取るか。……ルーイちゃん自身が魔法を行使したことが原因で死んだんだから、その責任はピュアにはいかないよね?」

 

「……理解した。もしルーイが洗脳による廃人化でダメになってしまった場合、その責任は洗脳をした者にある。つまり、ピュア様が洗脳装置を所持していることが判明した途端、ルーイ殺しの責任をピュア様が取らされるハメになる」

 

ほーん。つまり。

 

俺が洗脳で廃人化→ピュアの責任

分身魔法の結果死亡→自業自得

 

になるから、分身魔法を使わせずに洗脳するよりも、洗脳による廃人化のリスクを下げるために分身させてから洗脳させる方が、ピュアにとっては都合が良かった、ってことか。

 

まあ、全部的外れなんですけどね。

けど、このままいけば全部ピュアのせいにできそう。あいつならいくらでも罪被せていいでしょ。どうせ同じようなことやるだろうし。

 

「つまり、今目の前にいるルーイは、ピュア様によって洗脳されてしまったルーイってこと?」

 

「ひょえ!?」

 

え、そうなるの?

……いやでもそっか。分身魔法で洗脳する時のリスクを減らしたって話なんだから、そりゃ今ここにいるルーイは洗脳された状態のはずって思考には至るよな。

だってジェネちゃんの理屈で行くと、洗脳できなかった=廃人化or死亡のはずなんだから。

 

「……うん、そうだよ。明らかに口調が迷子だったからね。だべ、とかおっす、とか。別人のふりをしたかったのかもしれないけど、それでもやっぱりおかしいよ。だってルーイちゃんは……」

 

「……そうね。ミステリアスムーブをこなせるくらいには、演技ができる方だったわ」

 

「うん、つまり、あんなヘンテコな口調で喋るくらいおかしな演技をするようになったのも、ピュアに洗脳されたせいと考えれば、全て辻褄が合うからね。むしろ、あの変な口調から私はピュアに洗脳された可能性を思いついたくらいだし」

 

「まあ、明らかキャラ付け感半端なかったし、ルーイにしてはお粗末だと思ってたのよ」

 

なんかボロクソなんですが。

洗脳なんて全くされてないんですが?

 

……うーん、ピュアのせいになったから分身魔法で分身してた件は許されそうなんだけどさ。

 

……どうしてこうなった?

 

 

 

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