TS魔法少女は光堕ちしたい!!   作:布団から出られない

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74 転生少女は幹部会議に参加する(2)

 

 

さて、これまでは前座。一つ目の議題は、ぶっちゃけ私からすればどうでもいいといえばどうでもいい話だ。キュヴァが幹部になろうがなるまいが、私には何の影響も生じないわけだしね。

 

そう、むしろここからが本番。トーレストが撃破されたことに対する責任。これにはモロ私が関係していることになっているようだし、実際そうなんだろう。

 

だから、私にとっては、今回二つ目の議題のためにこの会議に出席していると言ってもいい。

 

「……では、一つ目の議題については、トーレストの後任は、キュヴァさんということで決まりました。後ほどクロマック様にも提示して、意見を伺いした後、不都合がなければ、キュヴァさんは晴れて幹部に就任致します。……それでは、次に二つ目の議題について、ですね」

 

オクトロアはそうして、一つ目の議題をまとめ、二つ目の議題へと入る。

はじめに口を開いたのは、先程私情でキュヴァの幹部就任を否定していたイグニスの、2つ隣の席にいる者だった。

 

「……オクトロアがまとめた情報によると、ピュアはトーレストの脳を弄り、傀儡として使役した。しかし、厳密には完全に制御しているというわけではなく、リミッターを外して、好き勝手に暴れさせているだけだったと。その状況を危惧したブラックルーイが、トーレストの撃破を、ピュアから許可をもらってから、行った。……こんな感じだね。僕は現場を見ていないから詳しくないけど、ここに書かれているのが事実なら、ブラックルーイに責任はないと見ていいんじゃないかな」

 

イコルが私に責任はないと、そう言ってくれている。

そう、彼は一応、私の味方をしてくれる、ということになっている。

 

なんでも、ヒンナさんが彼に頼んで、私を庇うようにお願いしてくれていたらしい。

イコルのこともヒンナさんのことも、正直私はよく知らないんだけど、守ってくれるというのだからありがたい話だと思う。

 

「そうなると、責任はピュア様にあることになるね。だって、トーレスト様を廃人化させたのも、ルーイにトーレスト様を撃破する許可を与えたのも、全部ピュア様だったわけだし」

 

そして、キュヴァが追い討ちをかけるように、ピュアに責任があると、そう主張する。

 

一応彼女も私の味方らしい。

 

いや、味方多いな!?

現状過半数が私の味方してくれてるんだけど?

 

やっぱり私が天才美少女だから守りたくなるのかな?

 

……冗談です。

 

……ともかく、ここからが本番だ! みたいなテンションで行こうとしたら、案外皆私のことそこまで悪いと思ってなかったみたいだった。いや、『ワ・ルーイ』に所属してる時点で悪いだろって話ではあるんだろうけどね。

 

そんなことは良くて。

私に対する不利益はもうない。それに、もう私が必死こいてどうにかしなきゃいけない状況というわけでもないので。

 

 

……はい。再び暇になりました。会議が始まってから、一言も喋ってないんじゃないかな。

だって、話してたらボロ出しちゃいそうだし。前の幹部集合会議に出席していない以上、下手なこと言えないし。

 

まあ、そんじゃ私は大人しく会議の流れに身を任せることにしましょうかね。

 

「反論いいかな? ルーイちゃんに責任がないって点は同意できるんだけど、俺に責任があるって点には賛同しかねるからね。まず、俺がトーレストを廃人化させた理由なんだけどね。………彼に頼まれたからなんだ」

 

廃人化を頼まれた? どういうこと?

ゲーム廃人とか、そういう人種? ならわかるけど。

 

「……ほう? あの状況は、トーレスト自身が望んだものであったと、そういうことですか?」

 

「うん。そうだよ。俺はトーレスト自身に頼まれたからこそ、ああいう行動を起こしたんだ」

 

「……それは、どういう意味ですか?」

 

「……トーレストはね、疲れてたんだよ。この世界に居場所なんてない、いうほど『ワ・ルーイ』の理念に共感しているわけでもない。正直飽きたと、刺激が足りないと、もうやめたいと、そう言っていたんだ」

 

……それ、自暴自棄ってやつでは…?

 

「それで…?」

 

「彼自身から提案してきたんだ。ぶっちゃけもう終わらせたいし、殺してくんね? って。そんで、どうせなら刺激的な最後がいいって言うもんだからさ。じゃあ、脳弄って傀儡にしてもいいかなって聞いたら、快く了承してくれたんだよ。ま、そういうわけで、俺はトーレストを手駒にして、襲撃作戦を計画したってわけなんだ」

 

倫理観壊れすぎじゃない? ドン引きなんですが。

いや、ピュア君さぁ、言い訳するにしてももっとあるでしょ、言い方とか。

何でそんな嘘でしかないじゃーん! って感じの嘘つくんですかねぇ…。

 

「なるほど、確かに筋が通ってるわね」

 

ん? 何も通ってないが?

 

「……ヒンナに同意しているわけじゃないけど、まあわかるよ。僕も、ヒンナとは別の理屈だけど理解したよ」

 

は、はい? どこにどういう理屈があるというんですか??

 

「……ま、あのデカブツならそう言いそうだな」

 

あ、あの、これ、事実なんですか?

本当に刺激的な最後にしたいとか言って、それで脳みそ弄りましょーってなったってこと?

 

……は? あ、頭おかしい……。

 

「……トーレスト様は、そういう性格だったから。私と同じで、ちょっと飽き性だった」

 

い、一体どんな奴だったんだトーレスト…! 

会ってみたくなってきたんだが、もう死んでるんだよねぇ…。

 

「そうだね。そういうやつだったよ、トーレストは」

 

ゆ、夕音叔母さん!?

ちょ、ちょっと待って、ついていけてないの私だけ?

これ私がおかしいの? 私の倫理観がおかしいの?

 

トーレストって本当にどんなやつだったんだろ。

 

それともあれか、トーレストの精神状態がまともじゃなかったんじゃないかな。

ぶっちゃけメンタルケアとかしてくれそうにないもんなぁこの組織。精神に異常?知らん働け! とかそういう感じなのかもしれない。

 

……やばい、この組織、思ったよりも頭おかしいのかもしれない‥。

 

「ま、そういうわけだから、どちらにせよ、トーレストはこの世からさよならする運命だったんだよ。時期の違いでしかない。だから、俺の責任は……」

 

「そうですね。トーレスト撃破の件についての責任は、誰も負わないと言うことで、よろしいでしょう」

 

そして、なんかあっさりと、トーレスト撃破に関する会議は、終わってしまう。

これでいいのか?

なんて、常識を持った私の目線から見ると、そう思わざるを得ない会議だったのだが、やっぱりそこは悪の組織。

これでトーレストに関する議題は終了し、トーレストの後任はキュヴァ。

 

トーレスト撃破の責任について、ピュアや私が追う必要もないとの結論が出た。

 

とりあえず、話しておかなければいけない議題は終了。

思ったよりも早く終わったなぁなんて思いながら、留守中の半身はどうしてるんだろうと思いつつ、まあ、もう会議も終われるし帰れるか、なんて思っていたその時だった。

 

「ちょっといいかしら、オクトロア」

 

「……どうしたんですか、ヒンナさん」

 

「ルーイの身柄について、少し話しておきたいことがあるのよ」

 

ヒンナさんが、突然私について、何か話題をオクトロアに持ちかけたのだ。

夕音叔母さんの方を見る。けど、どうやら夕音叔母さんもヒンナさんの行動に心当たりがないみたいで……。

 

一体、私の何を話そうと…?

 

「今、ルーイの身柄は、私とジェネシスが滞在しているアジトにあるわね? ……けど、今回の一件で、私は痛感したわ。私達には、ルーイを管理できるだけの能力がない。私達では、ルーイの面倒を見切れないってね」

 

「ヒンナちゃん、何を言って……?」

 

夕音おばさんも、ヒンナさんの行動に困惑している。

私も、ヒンナさんが何を言おうとしているのか、わからない。ルーイを管理できるだけの能力がない、それが分かったのが今回の一件、と言われたって、私にはその記憶がないのだから、判断のしようがない、というのが正しいかもしれない。

 

「……だから、私とジェネシスは、ルーイの面倒を見るのをやめるわ。……代わりに、これからは、ルーイの面倒を、イコルに見てもらうことにする。……どう? オクトロア、この提案、飲めるかしら?」

 

……私を、別の幹部のところに…?

 

どう、いう……。

 

「ヒンナちゃん! そんな勝手な!」

 

「分かりました。なら、ルーイさんの面倒はイコルさんに見てもらうことにしましょう。イコルさんの方は、それでよろしいでしょうか?」

 

「いいよ。僕には優秀な部下である湿島がいるからね」

 

……正直、意識が覚醒した時。

夕音叔母さんがいたから、そこまで動揺しなくて済んだ、というのはある。

 

悪の組織にいるのなんて、ちょっと不安だったから。

 

けど、血の繋がりがある人が、いてくれるんだって、そう思ったから、安心してたんだけど……。

 

……その夕音叔母さんと、離れなきゃいけないなんて。

 

「……ヒンナちゃん……どういうつもり…?」

 

「言った通りよ。私達じゃ、ルーイの面倒は見切れない」

 

「……意味がわからない! ルーイちゃんを守る上で、私たちの元に置くのが1番安全だって!!」

 

「……私には……あんたを信用していいのかどうかも分からないのよ………」

 

そんなの……。

 

そんなの……。

 

「……ふふ。大丈夫ですよジェネシス様。……私、上手くやるので」

 

 

 

 

 

……ひひ。

 

最高じゃないか。

 

だって、夕音叔母さんの目を気にしなくていいんでしょ?

 

勿論、最初は安心してたんだけどさ。やっぱり、身内がいるとちょっとやりづらいところあるじゃん?

 

だから、正直助かったっていうか。

 

うん、これで私のやりたいように、私は私の“光堕ち”を実行できるようになったね。

ヒンナさんには感謝しなくっちゃ。私にこんな良い機会を与えてくれたんだからね。

 

それに、どのみちもう1人の私も一緒なんでしょ?

だったら、別に心細くも何ともないや。

 

「………なら、私も一緒に……」

 

「ジェネさん、できれば勝手な行動は慎んでいただきたいのですが。そもそも、ルーイさんの管理権限を持っているのは私です。あくまであなたは、私が管理できない間に代わりにルーイさんの面倒を見る代理人でしかないのですよ。その代理人を変えるというのですから、当然あなたにルーイさんを管理する権限はもうありませんよ」

 

「……まだ、私は代理人だよ。だって、クロマック様に話を通していないでしょ? だったら、今はまだ私にも権限が…」

 

「ルーイさんの管理権限については、クロマック様が全て私に委任しています。ルーイさんの処遇に関して、クロマック様の決定を待たずとも、私自身の意思で決定しても何ら問題は生じません」

 

「でも……!」

 

「大丈夫だよゆう………ジェネシス様。私、イコル様のところでも上手くやるからさ」

 

「ルーイ……」

 

「……安心して。たまには顔見せに行くし」

 

「………わかった。……体に異常を来したら、すぐに私のアジトに来てね。体の不調とか、そういうの全部診てあげるから」

 

「うん、ありがとう」

 

むしろ、好きなように光堕ちを目指せて、私にとってはありがたいことしかないような気がする。

 

夕音叔母さんの目を欺きながら光堕ちを目指すの、ちょっと面倒臭い説あったからね。

 

……私のプランで、私の好きなように光堕ちを目指すのなら、別の幹部の元で行動した方が好都合だと思う。

 

それに、イコルに関しては、もう1人の私も知らないはず。つまり、互いに情報量が同じ状態で光堕ちへの道をスタートできるということでもある。

 

うん、条件完璧では?

平等で、公平で、公正な更生計画を押し進めることができるのだから。

 

よーし、これからはイコルの元で、光堕ち目指して頑張ろーっと。

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